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夜のベンチで。

( ^_^ ;)なんか、

すっごい日常回になってしまった……。

そろそろ戦闘が見たいですね!

ん? ……銭湯? ははは……(失笑)




 そ〜〜〜〜〜〜っ……。


 ……。


 ……あ、やべっ。






「──よぉっ!! 居たかっ!?」


「──いやダメだった!! そっちはどーだ!?」


「──こっちもダメですぅ〜〜! 街門とかはっ!?」


「──全包囲したっ!! 問題ないぜッ♪♪♪」




 問題しかねぇわ……。

 ぜったい、アレ探してんの、

 私たちだと思うワケですよ。 




「もうやだ、お家かえる……」

「ぁ、アンティ、見つかっちゃうよ……!」



 う!?

 ま、まだだ……!

 まだ、終わらんわァァ……!!



「ば、バック! マイスナ……! back!」

「ちょ、ちょっと待って……come on!」



 足音を出さないように、

 そぉ〜〜っと、そぉ〜〜〜〜っと路地裏に戻る。



「つ、次っ! 次の宿屋、行くわよ……! どっち!? どっちなの?」

「えー、えーと、こっち!」


『────周辺マップを更新中・・・。

 ────屋根づたいの移動を再開。』



 クラウンのマップを頼りに、

 12件目の宿屋さんに向かう。

 今度こそ……こんどこそぉ!



「──おいっ! この宿屋に義賊と狂銀は来たかっ……!?」


「──あ? 何言ってんだって? 冗談じゃねぇって!!」


「──こここここちらは一大事なんですぅぅぅぅう!」




 神などいねぇ……。



『────……。』

〘------あ;あきらめたら試合終了のん──☆〙



 試合に参加した覚えがねぇ。




「──とにかく、へそが丸見えなんだっ!!」


「──あ? 男じゃねぇよ! へそまる出しの女の子だよっ!!!」


「──どっちもですぅぅ。どっちもおへそ丸見えなんですぅぅうううう」




 ぁああああやめてぇえええええ。

 へそ出しの何がわるいんじゃぁぁあああいいい。



『────あの:街外周門が近くにあります。

 ────トライしましょう。』



 そぉーねぇー……。

 これならもう、野原でお化け屋敷のほうがイイわぁ……。



「アンティ、がんばる」

「うん……あんたガッツあるわねぇ……」



 心強い。


 最寄りの街門に行ってみたら、

 本当に20人くらいの冒険者さんが固めてた。

 なんなん。



「……コオラセル」

「まてぇ」



 マイスナ、白目が黒くなってんわよ。

 しっかしなさい。



〘------もう街の壁;

 ------飛び越えちゃったらいいのんな……?☆〙


『────非推奨行動です。

 ────門を抜けなければ:

 ────ギルドカードの滞在記録に:

 ────齟齬(そご)が生じます……。』




 この後。

 17件目の宿屋で、捜索隊に見つかる。




「「「「 待ってくれぇえええええええ!!! 」」」」



「ぬおぁー! 二代目義賊サマを、にゃめるなよぉぉー!!」

「きんだんのとうひこう……!」


『────ソルギア・ブースター:点火。』

〘------ルナチェイン・ブースター☆☆☆〙



 ──ゴォォオオオオオオオ!!!

 ──ボヒュウアアアアアア!!!



『>>>……んんッ!? な、なんだぃ、そのデバイスはっ!?』

〘#……むッッ!? ロザリア貴様ァ……!! あの月が、全て、お前由来の水素ガスとか言わんだろうなァァ……!?〙



 ちょっと静かにして。


 本気で逃げた。

 そして今。


 とある屋根の上である。



   かァ──……。


     かァ──……。




「しくしくしくしくしくしく……」

「オッテ、コワイ……オッテ、ソリュウシブンカイ……」



 戻っておいで、マイスナ。

 分解はマズいから……。


 今ほど、うさ丸たちを、

 連れてきて良かったと思った瞬間はないわ。



「「むぎゅぅううふぬぬぬぬぬ……!」」


「にょおぉぉぉおおぉぉ」

「く、くゆっ……、……かくっ」



 落ち込んだ乙女は、

 モフモフに顔を突っ込むに限るのだ……!


 ぬああああああああああぁぁぁ……(心の叫び)。



「にょっっっきにょき……! にょきにょきにょきにょきにょき、にょっき、にょきっと……! にょ、にょきっと、な……」

「かんかーん……!」



 はぁ……『坂道の街』とは、よく言ったモンだわ。

 街の東北側は一番、標高が高く。

 ホールエルの街は一望でき、

 夕焼けは、超・綺麗だった。



「今は……この色が、染みるわね……」

「脱出したい……」



 切実ですわ……。



〘------そもそも;なんで全身;

 ------見せちゃったのんなぁ??☆〙



「ん? あんたねぇ、そりゃあさぁ──」


『>>>あんな人がいっぱいの所で仮面だけ見せても、"次は仮面を取れ"、って言われるだけだよ……』



 おぉっ……?



〘------のん? のんのん?☆〙


『>>>やぁ、つまりね? "絵本のコスプレ"を大公開して、笑われまくる事で、"仮面を取れ"って要望をウヤムヤにしたって事さ──!』


〘------のんっ! なるほどのんっ☆〙



 ……その通り。さすが先輩、だけど……。



「"こすぷれ"、っていうか、あなたのモノマネですけどねぇー……」


『>>>やれやれ……。きみは、たまーに歳相応のモロさが出るからねぇ……。ま、あんま、ムリすんなって──』


「ぬなっ……」




 皮肉を言ったのに、(いたわ)られてしまった。

 ぶぅー。



「……イカのタレ舟、食べたかった……」

「──! うぅ……」



 マイスナの一言に、ションボリである。

 確実に美味しそうな一品料理だったわ……。

 途中で半泣きで店を出たので、

 今頃は、追っ手の誰かのお腹ん中でしょうね……。



「「ぶやぁぁああああああああー……っ!!」」


「にょ、にょわー」

「くゆくゆくゆくゆゆゆ!」



 うさぎとウルフ型ハンカチ、新発売。

 涙を拭くと、バタバタすゆ。



「ぐすっ……どしよっかなぁ……宿屋、なんか先に抑えられちゃってるしなぁ……!」

「アンティと、あったかいお布団で寝たいん……」


〘------平らな屋根みつけてベッド出せばいいのん?☆〙


『────やめなさい。』

『>>>物を考えて言え精霊王……』


〘#……お、おいロザリア! まだ、ルナチェインの話は終わっていないぞ……!〙



 なに? 引火ガスとスライムで出来た月?

 ……ごめん、今その話聞く余裕にゃいわ。



〘#……やれやれ。アンティ君、マイスナよ。本当にどうにもならないようなら、ベンチか何かを探してみると良い。このように屋根にヘタり込むのとは、また気持ちの持ちようが違うだろう──〙



 おおぅふ……。

 歳上の優しさが染みわたるわ……。



『────申し訳ありません。

 ────めぼしい宿泊施設は:

 ────先ほどのポイントが最後のようです。』


『>>>んー、先生の案にのってみるかぃ? 人目が無くなる夜になったら、探してみるといいよ』



「……ちょっと暗くなったら、散策してみる?」

「うん、そうしよー」


「にょぷぁー……」

「くゆぅ! くゆぅー……」



 にょきにょきクッション、(エァーンド)

 くゆくゆクッションは、

 引き続き大活躍だった。

 もゆもゆ。

 

 夕焼けと夜の間の、

 境い目の紫が、ゆっくりと変わっていった──。




 ───で。



「よしよし……。いないわね? いないよね? 義賊が暗躍するのは、闇夜と決まっているのだ……!」

「さーちあんど、ですとろーい」



 デストロイはやめなさい。

 ごめんで済んだら義賊は逃げれるのよ……。



「ふぅ……冒険者チームは見当たらないわね……いけそーよ」

「けっきょく、なんであんな必死に追いかけてきたんだろーねー」



 ホンマになぁ……。

 ほ、ホントにわからんな……。

 酒場で笑われたけど、

 そんだけだったしさぁ……ねぇ?



「──あ、酒場から出る時に、私が一人ふっ飛ばしたからかなぁ……?」

「んゅ?? でもアンティ、怪我させないように手のひらを相手に付けてから、押し飛ばしてたよね?」



 うんうん。



『────目立ってはいましたね。

 ────少々:腕の出力が上昇していましたし。』

『>>>アレは、どうかと思ったけどねぇー。隣のテーブル、ぶっ壊れてたじゃん』


「だ、だってさぁ……! "通せんぼ"されて、チョットは怒ってたしさぁ……むぅ……」



 マントを脱ぐ前の私たちを、

 酒場の入口でシャットアウトしたのは、

 細身の女の人と、太っちょの盾持ちの男の人だった。

 女の人は双剣を持ってたかな?

 


〘#……ヨロイを見せてからは、女性冒険者の方は苦笑いを浮かべていた。君達が泣いているのを見て、気の毒に思ったのだろう……〙


「な、泣いてないもーん!」

「もーん」


『>>>はぁ……でっかい盾持ちの男の方も、二回目に向かっていった時はさ、"ど、どうしよう"みたいになってたろ? それを、きみが見事に、すっ飛ばして出ていくもんだから──』


「っ、つーん!」

「アンティ可愛い」



 人は皆、ヒット(攻め)アウェイ(逃げ)を繰り返すのだ……!



『────ベンチを発見しました。

 ────80メルトルテ前方です。

 ────マーカーしますか。』


「たのむぅー……」

「人、いません?」



 夜の街を、歩き出すことにした。


 先輩や先生たちが住んでいた、

 "ニホン"という国に比べると。

 "私たちの世界"は、夜のチカラが強いらしい。



『>>>語弊があるねぇー。ぼくらの故郷は、街灯やらコンビニも沢山あったからさぁー』

〘#……24時間営業の店や、居酒屋も多かった。こちらの世界とは、夜の人の数が違う。至極当然と言えよう〙



 んぅー……。

 暗くなったら家に帰って寝るのは、

 それこそ当然だと思うけどなぁー……?



「ねぇー」

「ねぇー」



〘------三日間ぶっとおしでやった人たちが;

 ------ナぁニを言うのんなぁ──☆☆☆〙



「クラウン、精霊王をデストロイしといて」

『────善処します。』


「ポッ……♡」



 何にせよ、ひとっ気が街から消えるのは、

 義賊と狂銀にとっては有難いフィールドだ。



『>>>その代わり、見回りの憲兵や松明(たいまつ)持ちなんかは居る。数が少ない分、警戒心は高い。気をつけなよ』



 ……タメになりすぎて泣けてくる。



「なんか……変装のためにこのカッコしてるのに……その変装をさらに隠さなきゃいけなくなるって、おかしーよねぇ……」

「にょきっとなー」


「髪の毛とかは隠せないから、よく知ってる人にはバレちゃうかな?」

「くゆっくゆ」


「? よく知ってる人って?」「にょわー」

「アンティのお母さんとか」「くゆー」



 そ、それはバレそうだわなぁ……。

 キンギンと、歩く。



「髪の毛、長いしなぁー。ここまでくると、一周まわって切りたくはないんだよねー……」

「あ、ああっ、あ、アンティが髪切ったら、私……、生きてっ、いけ、……こふっ……」



 呼吸困難にならないで。



「……つーか。私がカミ切ると、アンタも髪、切れちゃいそうよねぇ?」

「そ、そうなの!?」

「だって……同期してるし」

「あ、アンティは……私の髪が短くなっても、いいのぉ……?」

「んっ……?」



 ショートカットのマイスナ……。

 ショートカットのマイスナ……。

 ショートカットのマイスナ……。


 ────バッサリと切られた銀髪。



「そんな……………勿体ないこと、できねぇぇぇえええ……!!!」

「でしょ────!!!」

「で、でも……ちっと見てみたい、かな?」

「えー!!!」


『>>>なるほどぉ、面白いコト言うねぇー』



 なにがやねんな。



『>>>髪の長さを伸縮・調節できるデバイスを開発すればいいじゃん! 今度、クニャウンズに依頼しておくよ』


「軽くぅぅ、言ってくれやがるわねぇ……!!」 

「か……かみ、のびちぢみするようにできるんですか……」


『────なるほど:良いかもしれませんね。』



 新妻、あんたもか──……ッ!?



『>>>さんざん髪でモノ掴んどいて、"何をいまさら感"だよ……。』

〘#……そういえば、この前の調理の際、コショウを髪で作った手で持って、ふりかけていたな……〙


「あ、あれはァ……!」

「あー! アレ、アンティの髪()いだら、くしゅんってなったんだよぉー!」


『────……。』

『>>>かぐなよ……どんだけだよ』


「奥さんの髪、かがないの?」

「おいやめろマイスナ」


『────え:……む……むぅ//////。』

『>>>……おい、どーしてくれんだ……。こっち、すっげぇ変な空気になったぞ……。ああぁぁぁ……』



 ああ、新婚さんデストロイ。



〘#……はぁ。何故、異世界に来てまで生活指導をする羽目になったのだろうか……〙



 指導、ダメ、ゼッタイ。

 清き、お付き合いですぅぅぅ。



〘------ベンチ;見えてきたのんよ──☆〙




 おお……椅子という造形の、なんと偉大なことか。



「どっこいしょ──」

「とや──い」



 夏の夜のベンチは、小さな広場にあった。



『>>>あんまり声だすなよー。周りの家から、誰か出てくるぞー』



 わかっとるわい。



「にょきっとにょきっと!」

「くゆくゆ!」



 え? なに?

 あ……ごはん?

 あぁ……。



「しずかに食べてね。頼むから……」

「カンクル、お花だよー」


「にょきっとな……!」

「くゆっ……!」



 ガリ……ギリリ……、


 ・・・パキャァァ────ンンッ・・・!!



「おまえというウサギは……」



 ニンジンが、へし折れる音が、

 夜空に木霊(こだま)した。



「にょぷや……」


〘#……わざとでは無い。怒ってやるな……〙


「くぅぅぅうぅぅ……!」



 お前の前歯は何のためについてんだ……!

 世界中のニンジンを削り取るためだろぉぉおお……!?



「くわえて()んなや……」


「にょ……にょや……」




 これだから、前脚(まえあし)の発達した勇者はァぁ……!




「もぅ……っ! ほれ、こっちきて食べなさい!」

「にょきっとな……!」



 ひざの上に、勇者をポテプと置く。



「ガリガリガリガリガリガリガリ」

「くゆくゆくゆ……もぐもぐもぐ」


「はぁ……イカのタレ舟、食べたかったわー」

「アンティ、あれ作れる?」

「う〜〜〜〜んん……たぶん大丈夫だとは思うけどぉ、いっかいは食べときたいわねぇ〜〜〜〜!」


「にょんむにょんむ……」

「くゆーっ♪」



 静かにしなさいってばぁ。





基本、勇者は手と口でへし折る。

(●´ω`●)+

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『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[良い点] ホールエルの冒険者、団結力強いなー。あとはそれを正しい方向に使ってくれたらなぁ… ベンチ、座って休む…話す?ためにかと思ったら、そこで寝るのんな…?町の外に出て家出して寝て戻ってくるって…
[良い点] (;-ω-)ウーン、ヤッパリこうなったか……追われたら逃げるのが人間の性なんだよなー、それに義賊と狂銀だしなぁ。 変装したらしたで、いつ入ったんだってなるしなぁ。 [一言] カバさん、下の…
[良い点] なるほど……ショートカットアンマイか……なるほど盲点だった…… マイちゃん最初のころボブカットくらいかなって勘違いしててごめんよ;; [一言] おいぃ……ホールエルの冒険者ァ…… おにゃ…
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