迷える子供たち
(・ω・;)あれ……?
投稿、はやくね……?
王都を通り過ごして、森の中。
薬草探しで超・助っ人になったのは、
他ならぬ、モフモフペアーである。
「──にょきっと! にょきっとにょきっと!」
「──くんくん、くゆくゆくゆくゆ!!!」
ドババババババババ──!!!
「なんか知んないけど……この御二方、穴、堀り慣れてるわねぇー!」
「すごいいきおいだね!」
ピョンピョン、トテトテと。
いっぱい草持ってきてくれた。
「にょきっとな! にょっきにょき♪」
「くゆぷー!」
「おお……純粋にすごいわね……」
「よしよし♪」
なるほど……これがそうなのね!
けっこう葉っぱが分厚い。
煮込んだら美味しいかもしんない。
「よっしゃ……私たちも、やるか!」
「ドンとこい!」
チビッ子モフズには負けん!
私とマイスナも、薬草を探し出す。
実を言うと、最初はかなり難儀した。
クラウン達に、薬草に分類される対象を、
視界にマーキングして貰おうと思ってたんだけど……。
『────ふみぅ〜〜……。』
〘------きゅ〜〜〜〜☆〙
我らが優秀なオペレーターズは、
ガッツリ、ノックダウンしていた。
クラウンは二日酔い。
ローザは氷結&粉砕されて、
手のひらサイズの女の子になって気絶。
〘#……済まない……少々、取り乱した……〙
『>>>ははは……凍結拘束&電撃鎖は、少々じゃない気もしますけど……』
〘#……そ……そう、だな……〙
ぞくくぅっ……。
先生は時たま、
"このひと、やっぱ初代狂銀だわ……"、と、
納得しちゃうコトしよる。
「ろ、ローザの破片……まだ溶かせないの?」
『>>>ソルギアを使いたいんだけれど、クラウンちゃんの意識が覚醒していないと安全に運用できないんだ……』
< 今、鍋で煮とうよ〜〜♪ >
……ダイさん? 鍋で煮てる?
何を? ……まさか、凍ったローザの破片を……?
{{ 元の大きさまで復元するには……かなり、かかりそうよ…… }}
イニィさんも手伝ってんのね……。
箱庭の台所が、フル稼働してるんだろぅな……。
どうやらクラウン&ローザがダウンすると、
かなりのデバイスが使用不能になるらしく──。
「地図も出ねぇわ、回収対象の分析もできねぇわ……」
「ふべんだー」
正確な居場所がわかんねぇし、
薬草がどれかも、わっかんねぇし……。
けっこうな致命傷である。
母がアレなので、子が立ち上がった。
『C2:こちらで:出来る限りサポートしますみゃ!』
『C7:子は親を超える存在にゃんな!』
──ヴォン!!
「──! 小さいけど、立体地図が出たわ! どうやったの?」
『C7:その首輪の機能を使ったにゃ!』
「……! " プレミオムアーツ " の……!?」
どうやらプレミオムズの証であるこの首輪には、
隠された通信機能のような物があるらしく、
私とマイスナのモノは、
その機能が全開になっているそうだ。
『C7:酒神王女は、そのアイテムが通信アイテムと知ってたみたいにゃ!』
『C2:こちらで地図を見る機能を調節しておきましたみゃ! 母さまのマッピングデバイスよりは範囲が狭いみゃけど……』
「いやぁ、助かるわ……」
「私のもでたよ!」
──ヴォン!!
おぉ……。
マイスナの銀色のプレミオムアーツ、
やっぱり完全に複製されているみたいね……。
クラウンの操る地図と比べると随分小さいけど、
ちゃんと私たちが中心に表示されて、
まぁるいサークルマップが視界に見えるわ。
『>>>"プレミオムズ・サーバーズ"のアイテム……って事なんだろうか。遠距離での通信機能もあるみたいなんだ』
「それって、かなり凄くない? 離れてても、おしゃべりできるって事よね?」
「アンティと私は、ずっと一緒にいるから、あんま意味ないね」
「……確かに。ふふっ」
マイスナの発言に、妙に納得してしまって、
クスリと笑みが漏れる。
「はぁー。プレミオムアーツって何なのか、ローザの解凍が成功したら聞いてみましょうか」
『>>>そうだね。まったく……難儀するよ』
〘#……す、すまない……〙
先輩からも苦笑が読み取れる。
先生も、ま、まぁ……感情が素直に出るようになって、いーんじゃなぃ?
『C7:ワタシたちの分析野を直結したにゃ。ドン、試してみるにゃ?』
「ん」
────集中する。
視界にノイズが生まれ、
夏の森に、ライトグリーンのホログラムが、
重なっていく────。
──BiBiBi──ch─ch─ch─ch─ch──……!
▽
▽ ▽ Y ▽
Y Y▽ ▽Y
▽ Y ▽ ▽ Y
▽ Y Y ▽Y
Y Y
『C7:──成功にゃ! 薬草だけ、マーカーが表示されたにゃ!』
「──"視覚域拡張野"、展開」
──・・・ヴォオンン・・!!
頭部を包み込んだアナライズ・カードの羽根は、
私の視覚を限りなく全方位にする。
「……先輩、歯車で摘み取るわ。補佐して」
『>>>……了解、やってみる』
先輩の仮面は一度、真っ二つに割れている。
その時の補修には、私の歯車と同じ成分を使ってる。
仮面の材質に、歯車が混じっているのだ。
先輩が干渉できる範囲は、広がっている──。
──きゅぅううんん……、
────きゅぅううういいい────……!!!
周囲に多数の歯車が召喚され、
"輪投げ"のように、薬草に被さっていく。
『C2:召喚数、56ですみゃ!』
『C7:コントロールはバッチリにゃ! 流石にゃん!』
『>>>……』
──きゅうん・・・!
薬草を捉えた歯車の輪は縮まり、
手で茎をつまむように、薬草を引っこ抜く。
とても効率がいいやり方だ。
「……格納、してみるわ」
『>>>……観測しておく』
薬草は、アイテムだ。
土から、抜いた。
"生き物"、じゃない……。
────そうでしょう? アンティ──。
──────きゅううんん!!
────ズポッ……!
『>>>格納を確認』
「……」
……やっぱり、格納できた。
「……どう思う?」
『>>>うん……確定かな。土から抜いたばかりの薬草は、生命活動が停止してるとは言えない。ルールは……きみが作ってる』
「だよねぇ……やっぱり」
試しに、うさ丸とカンクルが積み上げていた薬草も、
バッグ歯車に格納できるか────、
──きゅうん!
────できた……。
「……抜いたばかりの薬草は……私が……"アイテム"と認識しやすい……」
『>>>……』
……うーん。
普通のアイテムバッグは、
草とか……抜いてから、しばらく置いとかないと入らないのかな……。
「えいっ」
マイスナを見ると、私とほぼ同じ方法で、
"鎖ポケット"を使って薬草を吸い込んでいた。
〘#……"ルールを決める者"が複数いることで、"振れ幅"は大きくなるのやもしれん。今さら言うまでもないが……共に、慎重にな〙
「? 薬草は、吸い込んでも大丈夫だと思います」
「そう……ね。私も生きたままの魔物を、こん中に吸い込むのは──ちょっと、まだ抵抗感があるっていうか……」
『>>>……』
先輩が、しゃべらねぇ。
「……" もし敵を格納して時間停止できたら、最強の武器になるのに "……」
『>>>──・・・っ!』
「そう、考えてるでしょ?」
『>>>……くく、その、なんだ。お互い、浅からぬ縁になったよね──?』
「っ、きひひっ。何いってんの 」
薬草集めに、没頭した。
『C2:音声分析をしていますが、今、近辺に敵対象認定は確認できませんみゃ』
『C7:もう少し南に行くと、川がありますにゃ! そこで休憩しますかにゃ?』
「いや……キッティは、水際は注意しろって言ってたわ。ここで休憩にしましょう。水ならたくさん持ってるし!」
「ごはんだー!」
手頃な岩の、苔の生えていない所に座って、
本日のランチと洒落込む。
────きゅぅうん!!
「本日のメニューは、ミートパイと野菜スティック!」
「やたー!」
"キティラ印のジュンワリ♪ミートパイ"・・・!!
ライスの定食中心のキティラ食堂では、
"ミートパイ"は、いわば裏メニューなのだ……!
常連さんしか知らないメニューなので、
一見さんは、まず頼めない。
(※ウチはほとんど常連さんなので、ほぼ皆知ってるケド。)
ライス付き定食の方が量があるので、
ほとんどのお客さんは、そっち頼む。
そのせいで、あまり数はでないんだけど、
よく、お婆さんとかが、
お孫さんに買ってったりする。
根強い人気のある逸品ね……!
「ぉ、おいひぃ……!」
「んぐんぐ。ひき肉と野菜のジュンワリ感が、たまんないのよねぇ〜〜♪ マッシュポタタとか、チーズ入れても最高なのよ?」
「ジュルリ……」
パイ生地に、んなもんぶち込んだら、
美味いに決まってるのである。
うさ丸には、野菜スティックのキャロット斡旋。
カンクルには、聖なる花束を捧げた。
「パリポリパリポキ、にょんむにょんむ……」
「くゆかぷかぷかぷかぷかぷ」
実家と同じく四角い型に入れて焼いてるので、
ボリュームは満点!
大満足である。
真夏と言える時期だけど、
木の下は、なんとも涼しい。
平らではない緑の絨毯が、
とても風情を出していた。
「いやー私、こーゆー地道に素材ちまちま集めるの、好きかもしんない!」
「いっぱい採れたねー!」
かなりの数の薬草を集められたはずだわ。
集めたら、集めるだけ人を助けられる物だし、
ついつい欲張っちゃった感がある。
「適量が、わかんないわね……少なくはない、かな?」
「今からは、道端で採ったらいいと思う」
「そだね」
うさ丸とカンクルが居て、かなり助かったわ。
もう一本、キャロットスティックを献上しておく。
「にょきっと!」
南を少し過ぎた森は、とても穏やかだ。
小鳥が鳴いている音が聞こえるけど、
他の危険な魔物は、今んトコロ気配がない。
「……」
私は、ヒゲイドさんの手紙を出した。
もう一度、読み返すためだ────。
ぺらり……。
──────────────────────
前に "魔物の素材を次に繋げろ" という
事を言ったが……正確に急所を貫ける
のは、お前たちの長所でもある。
いざとなったら、躊躇はするな。
魔物の素材に目が眩み、
自分を蔑ろにしてはいかん。
大切なのは、自分が生きているという事だ。
気をつけて行ってこい。
頼む。
H.Z.
──────────────────────
「──」
「ふふ」
横から、マイスナが覗き込んでいた。
この手紙は矛盾だらけだけど、
とっても、有難い手紙だ。
「あの人、結婚したらいいのになぁー」
「ギルマス、かっこいいね」
ほんとに。
「まぁ……弱い魔物やら、安全に倒せそうな魔物は、できる限り素材を持ち帰りましょう。ヤバそうなのは、速攻魔石を砕く」
「異議なーし」
ここまで心配されちゃあ、
素直に忠告に従う気しかしない。
とりあえず、ヒゲイドさんが、
ドニオスの街のギルドマスターでよかったなぁ・・・!
と、思うばかりだわぁ。
「……っし! 行くかぁ! 労働ろうどう!」
「スパイ、だいさくせん!」
うーんむぅ……ホールエルの街で、
情報収集、できっかなぁ……。
金ピカ、銀ピカだかんなぁ。
「ほら、きな! うさ丸!」
「カンクルおいで」
「にょきっとなぁ!」
「かんくゆっ!」
夏の森を、私たちは行った。
──────で。
「……ニャーナ。この"首輪由来"の地図の範囲……。もちっと大きくならないの?」
『C7:今のワタシたちでは、それが限界ですにゃあ……』
「……クラウンは?」
『>>>しかめっ面で寝てる』
「せんせぇ。ローザ元気?」
〘#……今……バケツ一杯くらいの体積までは、戻っているな……〙
………………。
「……ま、だぁーいたい、こっちでしょっ!」
「んー! れっつら、ごー!」
「にょ……にょきっと……?」
「くゆぅ?」
きぎぃぃ────・・んんん……。
この、甘い判断が、
のちのち、どえりゃー結果となる。
森で、迷子になったのである。
MA☆I☆GO──(;´༎ຶٹ༎ຶ`).*・゜










