まもりおにごっこ さーしーえー
鶏肉を食べすぎた ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ドテッ
「鬼は、お前たちだ。俺が"守る"側だ。
ルールは簡潔っ……! ──俺にタッチしろ!!」
「……ほ、ほぁ……?」
「タッチすればいいの?」
「あぁ、そうだ! だが、有効なのは胴体だけだ! 腕と足に当たっても無効!」
「頭は……?」
「パンチしていいですか?」
「頭は……ええい、仕方ない。頭と胴は有効! パ、パンチは……手加減するなら有効だッ!」
ええんかーい!
「じゃあ……胴体に触ったら、私たちの勝ちってことねっ!」
「手と足は無効ってことは、ガードはするんですよね?」
「……くれぐれも頼むが……手加減してくれ。俺の手足を折るのは禁止! あと、とんがった物で攻撃も禁止。殴り砕くのも禁止な!!! あ、あと飛び道具も使ってはならないぞッッ──!!?」
「ぁ、あはは……」
「注文の多いギルドマスター」
ひっしだなぁ……。
「これは……スピードと相手の隙を……ま、まぁいい。多分おまえ達なら、やれば気づくだろう」
「「??」」
うーん。よくわからんが、
思ってたより楽しそうね!
「スタートは?」
「──スキあり」
えっ。
──ギィン……!!!
──と、
マイスナが、突っ込む……!
──すっ──……。
「あっ……!?」
おっ、かわされた!
半身、引いただけで──……。
「……理想は……優しくタッチしろ。
ヤバくなったら言うから、やめろよ?」
「むむーっ」
「あはは……」
やれやれ……教える側のセリフじゃないわね。
……──しゃっ。
こっちも、いくか……!
「──しっ──!」
────キィィイン──・・・!!
私も、突っ込む。
『────"反射速度"は──。』
『>>>いや──少し様子見で──』
『────了解です。』
思考しろ。
まっすぐ、構えているヒゲイドさんに突っ込み、
手前でくるりと回り、隙を狙おう。
それに……パートリッジの配達の前に、
なし崩しでやった組手では……勝ってるし。
そんな、難しくは────・・・。
──タン・・・。
ヒゲイドさんの足音が……かるい?
「 ……ふ 」
──グッ。
ナックルを、デカい手で包まれた。
……、──引く。
「──ッ!?」
手が、動かないッッ……!?
逆に、私の身体が引き寄せられる……!
────グイぃッ・・・!!
「おわっ・・── ! 」
ぶつか……!? ──あれっ……?
ぶつかるはずの、魔王が──いない……?
──キィん……。
「…………」
ヒゲイドさんに背を向けて、着地した。
「……ありっ?」
──ギィィン!!!
マイスナの踏み込みの音で、振り向く。
────トン・・・!
「わわぁっ……!?」
……──!
ヒゲイドさんのゆっくりとした張り手。
マイスナの肩から、軌道が変えられる。
狂銀は、墜落した。
彼女はすぐに立ち上がり、距離を取る。
──ギィン、ぎぃん、ギィん・・・!!
「……」
「……」
「ふむ」
お か し い 、 ぞ 。
「……俺は、挑発はせん。どんどん来い」
「……── 」
「──…… 」
何度か、試した。
足音が、鳴り響く。
わかった事がある。
「…………っ、卑怯っすわ……」
「? 何がだ?」
「パートリッジの街への配達の前の……。
あの時、手ぇ抜いてたでしょ」
「バカもの、あの時はもっと本気で殴りかかった」
「……いーや。ヒゲイドさんは……。
ドニオスギルドの人らに……私を認めさせるために、
わざと、あっさり負けたんだわ」
「………」
「あんな簡単に……私の掌拳、入らないよね──?」
「……──くくっ!」
────あっ!!
──── ム カ つ く ッ ッ !!!
─ ─ ─ ギキィィイインン・・・!!!!!
たまたま、マイスナと同時に突っ込む。
避けられるのを避けるために、
手前で足をつけなければ。
着地するブーツとヒールに、
ヒゲイドさんは、まんまと足さばきを合わした。
──ヒュッ・・・!! タンっっ・・!!!
「──……!!」
「──……!?」
地に足を付けようとした所を、
スライドするように、横から蹴られる。
ふたり、同時に・・・!?
──当然、バランスを崩す。
──ぐるんっっ!!
「 む ん ッ ッ !!! 」
──── ト ォ ア ン ! !
「「 ぶっ ──……ッ! 」」
手の平の腹で、押された。
体重差で、5メルくらい飛ばされる。
空中で、イラついた。
なにが……ムカつくって。
とことん手加減されてるのは、
私たちの方だってことだ。
今のも……平手打ちで食らって、
打撃にすら、なっていない。
ガンガンに……気遣われてやがる。
そりゃ。仮面とヨロイ、フルに使えば。
モチロン、勝てるわいや。
でも──、
──それじゃあ、意味がない。
「 ふむ……なるほど。
やはり、インテリジェンス・メィルなのだな……。
大したものだ── 」
構えるヒゲイドさんは、
息すら切れてない。
ふたりでキャットのように着地し、
再び、突っ込んだ。
「ぉらあ……!」
「いりぃ……!」
────ギキィィイインン・・・!!!!!
「 おっと 」
──なぜ?
────なぜ、私は頬を押された?
……20分ほど──経過した。
「……ふぅー、ふぅー」
「………はっ……はっ……」
あきらめては、いないっ。
こっちにも……意地がある。
ヨロイ。ゼッテー、つかわねぇ──。
「……お前たち。今までで、気づいた事を言ってみろ」
……。
「……私の、身体が軽い。打撃に体重を乗せにくいから、カバーするために蹴り込んだ時に少し浮いて、その時に押し戻される。攻撃を受ける時に片方に気を回しすぎ。反対側からの押しに弱くなる。殴りかかった時の左右交互の合間に思ったより隙ができる」
「……足元から腰へ二段階でくる攻撃が苦手。手で攻撃した時にずっと伸ばし過ぎて掴まれる。蹴る時に相手をよく見ていない。回避の時に滞空時間が長い。後ろへ半歩さがった時に対応が遅れる。手を外に流された時に思ってたより慌てる」
「……くく」
まだ、一度も。
道着にさえ、触れられない。
ちっく、しょー……。
「──ん。少し、休憩にしよう。
実は、おにぎりを持ってきた。食うか?」
「「 ……。はぁ、……い 」」
──きィん、ぎぃぃン……!
マイスナと二人、ひざをつく。
「うーむ。少々デカいのだが……食えるか?」
「「 ……いただきます…… 」」
私たちが思ってるより──、
……Aランク冒険者って、すごい。
さすヒゲぇぇえええええええ──ッッ!!!!!
( ✧Д✧) クワッ!!










