首領安嬢の内心解説
今日の連投その2。(●´ω`●)
「うまっ!」
「もぐもぐもぐ」
箱庭で、マイスナとごはん食べてます。
何がいいって、太らないのがいいわよね!
……いや、こっちに来た時だけ、
ポンポコリンになるとか……ないわよね?
うーん、もしそうなったら、恐怖だわぁ……。
体重計とか作れないのかしら。デバイスで。
え? 箱庭の名前が変わった?
んなこたァーどーでもいいわぃ、乙女にはぁー。
「初めてドロップした食べ物、リアルタイムで拾ったかも。まさか、木彫りの熊が咥えてるとは……これなんの魚だろ? ホッケかな?」
「んぐんぐ。この草うまい。肉が入ってる」
「ほうれん草とベーコンのソテーっぽいわね。ナナナ油で炒めてあるわ」
「この魚も、骨が取りやすくて好きです」
「ぽんずがオススメよ!」
「どぶぁー!」
── か け す ぎ な っ !?
箱庭で拾える食べ物はランダムなので、
時に、とんでもない組み合わせが発生する。
ダイ姉に聞いたら、過去には、
パスタとおにぎり、
プラス、芋ようかんとかもあったらしい。
もっといっぱい草生えてほしい、今日この頃。
「やっぱ普通の配達業務は、気楽でいーわねぇー! この街でも、すっかり有名になっちゃった分、逆に知り合いばっかで気が楽だわー」
「今日もたくさんの子供たちを蹴散らしたね」
「……いや……蹴散らしてはないかんね……追撃をまいただけで……」
「くやしがってたね」
「"のぼり隊"の子たちは……なんで、あんなエンドレスで増えてんのかな……男の子も女の子も登ってくるし……ドニオスの七不思議だわ……」
慈悲なき神官アマロンさんの、
キワドイ猛攻をかわしてから数日間。
気兼ねなぁ────く、
フツーの郵送配達職のお仕事をする事ができた。
いやー……、あの時は……危なかったわぁ……。
アマロンさん、けっこう頭のキレる人だった。
トボけた女神官さんだと思ってたのに……!
あれは要注意だわ……。
まっ、悪いコトばっかりじゃないっ!
お陰で、ヒゲイドさんからの王都に関する追求、
かんなり、うやむやにできたからねっ!
カフェのアダマンタイト像の事なんて、
私の口から言えるかぁぁ……。
ふぅぅ──!
……せっかく無事に生還したんだ。
ちったぁ、穏やかに生活させてくだしぁ。
「……てか、カトリーヌさんのトコに配達したらさぁ……毎回「子供は早い方がいいわよおぉ」って言われんのは、アレは、なんなのかしら……。ねぇ、マイスナ。私はそんなに男勝りに見える……?」
「えへへ……大好き、愛してる♡」
「可愛いからやめぃ。あああ、私にチンコはねぇ……!」
「頑張れば生える」
「即もぐっつったろ。私は女は捨てん」
「考えたんだけど……箱庭では生えるようなデバイスを作ったらね? 向こうでは女同士で、こっちではまた違う楽しみ──」
「──よし、それ以上しゃべんな。そんなデバイス作らせるワケねぇだろぉお……。だいたいそんなの私たちだけで作れるワケないかんねッッ──!?」
「シーニャちゃん辺りを買収する」
「 …… 」
こ………。
嫁の頭が……狂ってる……。
アホや、コイツ……。
「私は常に同時がいいと思う。片方だけとか有り得ない」
「うるせぇぞ。ホントにやったら三日間、クチきかないかんね……」
シーニャとか、まだキッズ脳で倫理感が幼いから、
妙な現実味があって怖いったらにゃい……。
今度、先生に英才教育を頼もうと決意。
可愛い猫には、服を着せよ。
「目のつけ所がいいでしょうー」
「……」
「無視やだっ、無視やだっ」
嫁に肩を揺すられながら、
もっと満足させといたら、
この手の暴走は無くせるのだろうかと、思案する……。
もう、絵本の敵味方としては失格なレベルの事を、
ほぼ毎日やらかしているのだけんども……。
「ふふふー♪」
「この人はなんなのよ……なんでこんな可愛いの……」
机にヒジ立てて頭を抱えてると、
横の宿敵さんの顔が、急にビックリ顔になった。
……私の後ろ?
────振り返る。
『────:……。』
『>>>…………』
〘------のんのんのーん☆〙
〘#…………こ、コホン……〙
襖から、四人のお顔が覗いている。
「……何処から聞いてた?」
『────きっ:聞いてません。』
「ほぉー」
人妻は、嘘がお得意──。
記憶を消す方法は殴打しか思いつかないので、
絵本の主人公の無けなしの正義感で思いとどまり、
四人を天守閣へと招き入れる。
……え? 正座?
正座で座んの?
……どしたのよ。
なんか、変よ?
そーいや、ここ数日……。
目の前のメンバーが何だか、
静かだったような……??
「……なんすか?」
そう聞くと、クラウンやら先輩やら、
えらいソワソワしだした。
……うん、正座で。
言うまでもなく今の私たちは、
現実の世界では、お昼寝中である。
箱庭の城の外は明るく、
目の前でソワソワしている方々は、
なんとも滑稽に見えた。
「いや……ホントにどしたの? 足、崩していいって!」
〘------で;ですが、殿……☆〙
「 私 は 女 だ 」
こいつはケンカを売りにきたのか?
まったく……最近の精霊王はァ。
「勘弁してください……私、なんかしましたか……?」
先生もいるので、
思わず敬語でしゃべりかける。
横では、マイスナが不思議そうに寄り添っている。
『────ど:どうします……。』
『>>>う、うん……もう、聞いてみるか……』
いらいら。
「はよ言わんかーぃ」
『>>>あのさぁ……』
「なにぃ」
『>>>先日の、ことでさ……イニィさんが、言ってたんだ』
「?」
『>>>……きみは、"お芝居"をしたって────』
数分、話を聞く。
「…………なーるほど」
「にこにこ」
マイスナは、横で微笑んでいる。
どうやら先輩たちは、けっこう悩んでくれてたらしい。
「つまり……あなた達の不確かな知識や常識が、私に不用意な規模のチカラを与えてしまったんじゃないか……それを心配してくれてたワケね?」
『────……はい。』
『>>>……』
〘------のん?☆〙
〘#……む……〙
それぞれの表情で、四人は固まっている。
私の言った事は、
まぁまぁ的を射ているようだ。
「……そゆこと、ですか……!」
「ふふふ」
私としては「あちゃー」という気分である。
アマロンさんとのやり取りで、
余計な心配をさせてしまったみたいだ。
悪い気は全くしない。
この人たちは、私たちが大切だから、
こういう事態になったのだ。
そっか…………もちろん、私も悪いな……。
ふむ……。
う、うーん(笑)。
どうやって説明したものか……。
ま、ゆっくりと。
語るとしましょう────。
「──この空間のルールがあやふやだってことは、ずいぶん前から感じてたのよ。あんま、考えないようにはしてたんだけどね────」