連盟会長の神学考察
がばがば力、全ッッ開!!( ✧Д✧) カッ!!
Amaron:「何故、アイテムバッグに魔法が入らないのか──わかりますか?」
Anti:「……へ?」
higaid:「なんだと……?」
kitty:「い、いきなり何を言い出すんですか、アマロン……」
Amaron:「いいから、誰か答えて──」
Meissna:「……? ……??」
Anti:「そっ、そんな事、言われても、ねぇ? 実際そうなるし……でしょっ?」
Amaron:「──……」
kitty:「そんなの……世界の常識ですし。でも、アンティさん達のは……?」
higaid:「……ふん。お前たち神官は、"その答え"を知っているとでも言うのか?」
Amaron:「ふぅ──わかりました……結論から述べましょう」
Anti:「……っ!」
Amaron「──" 誰か " が、そう決めたからです」
『────:……。』
〘------;……-☪︎.*・゜〙
Anti:「………? ??? ………ど、どゆこと……?」
Meissna:「よく、わかりません」
Kitty:「ちょ、ちょっと、アマロン……そんな適当な!」
higaid:「──" 誰かが決めた "……? だから、アイテムバッグには魔法が入らない……? ふん、何を言い出すのかと思えば。いったい誰が、そのような事を決めたと言うのだ……?」
Kitty:「そ、そうですよぉぅう〜〜! 変なコト言ってぇ〜〜」
Amaron:「 便宜上 」
Kitty:「っ!」
Amaron:「私たちは……それを" 神 "と呼んでいます」
higaid:「なっ! お、お前……?」
Amaron:「いいから……聞きなさい。アイテムバッグによる"魔法効果の格納"。……これは、遥か昔より定期的に研究され続けてきた、興味深い課題でした」
Anti:「……」
Amaron:「ですが、そのチャレンジは……その尽くが、人知を超えた世界の法則によって打ちのめされる事になります」
higaid:「それは……そうだろう」
Kitty:「そんな事を誰でも実現できたら、世界の常識が書き換わっちゃいますよぅ……」
Meissna:「……」
Amaron:「──"なぜ物質だけが格納可能なのか"。"どうして魔素や魔法は入らないのか"。"両者の明確な違いとは何なのか"──。世代を超え、延々と議論が成され続け──。……あくる日、とある研究者でもあった神官が、こう言ったのです。──"これは神の意志ではないか?" と────」
higaid:「……! ……"神意論"、だな……?」
Anti:「え……?」
Meissna:「……しんい、ろん?」
Amaron:「おや、驚きました。ギルドマスターともあろう方が……このような事にも明るいのですね──」
higaid:「……訳あって、その類の神学書は、若い時に読み漁った」
Kitty:「あっ……」
Anti:「えーっと……そのォ?」
Meissna:「……しんいろん、って何ですか」
higaid:「……ふん。神意論、というのは簡潔に言うとだな──"神様の気持ちになって世の中の真理を紐解く"という考え方の事だ!」
Anti:「か、かみさまの……」
Meissna:「……きもちに……なる?」
Amaron:「──素晴らしい。その通りです。"何故、神はこのような世界にしたのか"……それを、"神の気持ち"になって考える。それが神意論という思考理論の真髄です」
『>>>…………』
〘#…………〙
Kitty:「あのー……。そ、それってぇ、ただの人間の自己満足じゃないですかぁ……? 神さまの気持ちになって、"そうに違いない!"って言って……勝手に納得する、っていう感じの……」
Amaron:「……否定はいたしません。そうね……今回の場合は──" なぜ神はアイテムバッグに魔法が入らないようにしたのか "──という論点になってくるわけですが──……。私は、この問いに関しては、一番しっくりとくる自論を持っております──」
Anti:「……?」
higaid:「……言ってみるがいい」
Amaron:「──実に簡単です。神様は──アイテムバッグを"物を運ぶもの"として使って欲しかったのです」
Anti:「ぁ……」
Meissna:「……」
Amaron:「もし、アイテムバッグに魔法が保管できてしまえば、それは攻撃の手段……つまり"武装"にも転用できてしまう。この世界を創った神様は……アイテムバッグは、アイテムバッグとして使って欲しかった!」
higaid:「……む……」
Kitty:「……あくまで……アイテムバッグ、として……ってことです?」
Amaron:「──ええ。……少なくとも、"魔法が入ってしまう"、なんて機能を持ったアイテムバッグは、世界を創る際……神にとっては都合が悪いモノだった。私は……そう思えてなりません。アイテムバッグは、アイテムを入れる物──。魔法は、自身の魔力と魔素を使って生み出すもの──」
higaid:「……そのふたつの要素の住み分けを明確にするために──アイテムバッグには魔法が入らないよう、神が決めた、と……?」
Amaron:「私は、そう感じます。役割は、きっちりと……分けられているんですよ」
higaid:「……。ふぅむ……。真実味はともかくとして──面白い意見ではあるが……」
Anti:「……」
Meissna:「……」
Amaron:「……しかし、です。アンティさんとマイスナさんの格納スキルは……その法則が、非常にあやふや過ぎます」
Anti:「……!」
Meissna:「……そう、ですか……?」
higaid:「む……。火が入っている、という事が、か……? 確かに前例は聞いたことが無いが……それは、コイツらが珍しいアイテムとユニークスキルの組み合わせをだな──」
Amaron:「──そんな、生ぬるいものではありませんっ! ……アンティさん? あなた……気づいていますか?」
Anti:「は、はい……?」
Amaron:「あなたのアイテムバッグには、魔法が入りますよ?」
higaid:「──ッ!!」
Kitty:「──っ!!」
Anti:「…………。……そんな……はずない」
Amaron:「炎の魔法が格納できないのは、風の魔素が格納できないがために、燃焼が格納した瞬間に停止するからです」
Anti:「それは……で、でもっ、……あれっ?」
Meissna:「……待ってください。アンティと私のバッグは、完全に時間を止められます。だから……出した瞬間に時間が動くから、すぐに燃えて──」
Amaron:「──それは違います。先ほど見せてもらった火は、明らかにアイテムバッグ内部からの風の魔素で噴き出していました」
Meissna:「え……? で、でも……」
Amaron:「先ほど……腕を"歯車の中の空間"に押し入れた時──」
Anti:「……」
Amaron:「指先を、少し紅茶で濡らさせていただきました。アイテムバッグの中に、風の流れを感じましたよ」
Anti:「──そ、それは!! 魔素、じゃなくて……空気を取り込んでいるから、だから──……!」
Amaron:「……気体を取り込んでいて、全く風の魔素が入り込まない、という事は有り得ませんっ」
Anti:「いや……、えぇ……!? ちが……!」
higaid:「アンティ……。落ち着け」
Anti:「ちが──違います……違うんです! これは……"風の魔素"を格納しているわけではなくて……"酸素"! 気体の一部で……それが、燃焼に必要な気体で……」
Kitty:「アンティ、さん……?」
Anti:「それは……! 私たちが呼吸するのにも必要不可欠で……だから、魔素が入っているわけでは、ないっていうか……! あ、あくまで、"化学的"な……」
Amaron:「……」
Anti:「も、もうっ!! へ、変なこと言って、混乱させないで! 魔素は……魔法になったら、私には見えるし……! 火が燃えたまま格納できるのは……気体の中の"酸素"があるから── 」
Amaron:「……アンティさん。それは──、
──何処の世界の学問ですか?」
Anti:「へ……!?」
『────そんな:……。』
『>>>あ、有り得ない……じゃ、ぼくら、の……!?』
Amaron:「アンティさん……」
Anti:「そ、……、……」
Amaron:「この世界では、風の魔素がないと、炎は燃えません」
Anti:「……! ……、……」
Amaron:「……あなたがどのような知識を持っているのか、私には計り知れません。ですが……少なくとも。"サンソ"という物質名は、私は今日……初めて聞きました」
Anti:「……!! そ、れ……は── 」
Amaron:「燃える気体……。それが"サンソ"と言うのだとしたら、"サンソ"とは──"風の魔素"のことなのではなくて?」
Anti:「ちが!! ……それは! ちが……ぅ、せかいの……」
〘#……信じられん……〙
Amaron:「……あなたは……誰かからか、それを教わった。もしくは……何らか"未知の知識"が載った書本を読んだのかもしれない。そして……それが真実か嘘かは別として。──"そのおとぎ話"かもしれないモノを、あなたは……"信じた"」
Anti:「ち……」
〘------しまった;のん……☪︎.*・゜〙
Amaron:「炎は……最初からアイテムバッグに入っていたわけではないわね? あなた……どうやって、その歯車に入れましたか? 学校で習った──"火はアイテムバッグに入らない"──など、という事を、意識しながら入れましたか……?」
Anti:「そッ、あの時は……!! ただ、ひっし、で……ッ! 」
Amaron:「──そうよね。あなたは……"意識"なんてしなかったはずです。可能性を" 信じた "。だから……" 入った "」
Anti:「……! ──ッ 」
Amaron:「この、精霊花ですが……」
Anti:「──!!」
Amaron:「さいしょに入れた時……こう、思ったでしょう──…… 」
Anti:「 …… 」
Amaron:「 " もしかしたら、入るんじゃない? " 」
Anti:「 、… 」
Amaron:「……ねぇ、キッティ。そこにあるのは……普通のアイテムバッグですね?」
Kitty:「ぁ…………はい、そうです……備品の……」
Amaron:「ギルマス? お借りしても……?」
higaid:「……つかえ」
Amaron:「感謝を。キッティ、その袋の口を広げなさい……。このお花……ここに入れようとしたら……ホラ、このとおり──」
Kitty:「ぁ………」
Meissna:「……浮い……た」
Anti:「 ──ッッ!! 」
Amaron:「……気づいたわね?」
higaid:「ふぅ……なるほど、な……」
Anti:「そっ、そうじゃ、ないわ……ッ! 精霊花は、その……特別な花で! わ、私のバッグも、ほら……"歯車法"って、ちょっと妙ちくりんなスキルだから、それで、だから、たまたま入って──……!!」
Amaron:「そう、"納得"してきたのね?」
Anti:「ちが、そ! そうじゃな、くて……! 魔法だって……、ああッ、そうだっ! 私、葉っぱで攻撃された事があるんです! フォレストウルフの……だったっけ? 敵の体から飛んできた葉っぱで、まだ生きてて……! だから、バッグ歯車で防御できて! だから、あれは生きてるし──!」
Amaron:「あなたは……そう"認識"したのね?」
Anti:「かって、に、じゃ、ないわ! ……ゼッ、ゼッタイ……!」
Kitty:「……。アンティさん……」
Meissna:「……わかりやすく、教えて」
higaid:「……、……」
Anti:「そんな事は、できない……」
『────理論を構築したのは:
────私では:なく────……。』
Amaron:「……世界中のアイテムバッグは、この世界の神が決めた物しか格納できない。でもね── 」
Anti:「ちがうん、だってば──…… 」
Amaron:「 ──その歯車のアイテムバッグの、誓約を決めているのは──あなたです 」
Anti:「私……」
Amaron:「あなたは、やろうと思えば──神様が決めたルールを全部、無視することができるのよ」
Anti:「ちがう、ってば……!」
Amaron:「……魔法だって、生き物だって入るわよ。
なんだってね──…… 」