とある宴の視点より。中 さーしーえー
ちゅう!(●´ω`●).*・゜
し、信じられない事が、起こっている……!
周囲の人々の表情が、
再び、驚きに染まっていく……!
王女のッッ、誕生パーティでっ!
王女をッッ!!!
グラップ&ツイストする客がッッ!!
どこに居ようか居たァァァアア──!!!!!
「うわわぁーっ! 綺麗なドレスねぇー♪♪ 髪の色とおそろいねっ!」
「えへへっ、いーでしょおー!!!」
ぐるぐるぐーる、ぐーるぐるぐるぅぐるぅ……!!!
──親しき仲にも、礼儀有り。
それって……何だっけ。
いや……例え親しき仲だとしても、
国の王女を抱きかかえて回転するなど、
前人未踏の領域である……!
そう思わずにはいられない豪胆さ……!!
くっ、クルルカン、恐るべし……ッッッ!!!
「王女様が……」
「ま、まわってらっしゃる……!」
見よ……!!
王女殿下のご学友である子供たちも、
唖然とッッ!! その光景を見上げている──ッ!!
「うわっはははぃ♪ いやー会えて良かったわ……。ぶっちゃけ知った顔がいると安心して……。あ、おばあちゃま、元気? 風邪ひいてない??」
「うんっ!! あれから、すっごい元気だよ!!」
(お……おばあちゃま、だと……!?)
(バカな……! まさか……!? あのクルルカン……!?)
この時点で、我らは。
黄金の義賊姫への認識を、
改める必要があると認識する……!
(オルシャンティア王女殿下と、
あそこまで親しき間柄であるとは……!
どこかの豪族か……ッッ!?)
(他国の高貴な家柄の方なのでは……ッ!?
誰か知っている者はいないのかッッ……!?)
("おばあちゃま"……? ま、まさかぁ。
王太妃様とも、面識がおありという事……!?)
王女殿下の祖母……つまり、
王の母たる王太妃様とも面識があるのだとしたら……!
あの御身、恐ろしく古くから、
王家と関わりがある家系の御方やもしれぬ。
「あ、あれっ──!? きょ、狂銀もいるっ!?」
「あっ、うん」
(──む……!?)
王女殿下は目を丸くし、
二本ツノの仮面を凝視する……!
王女殿下に見つめられた銀の姫は、
落ち着いた様子で優雅な礼をし、
神秘のドレスが、緩やかに波打つ──!
──シャララララァァァ────……!
「ごきげんうるわしゅう、小さな姫君様──」
「わ、ぁ──……、き、きれぇ……」
「あ、あははっ。ほら、ね? パーティってさ、二人一組じゃない? だから……やっぱり私には、彼女が相応しいかなーって。だ、ダメだったかなァ……?」
「そ、そんな事ないですっ! す、すごい……!
義賊と狂銀だっ!! すごぉーい!!」
──ぴょーん! ぴょーん!
可愛らしいドレスで、
飛び上がって喜ぶ王女殿下のお気持ちが、
我らにも、わからなくはない……!
気品に溢れた、黄金の義賊の姫。
艶やかに香る、白銀の狂いの姫。
ううむ……。
我らは、どうしても金と銀の組み合わせに、
ロマンを求めてしまう。
眩く輝く、
使い込まれた剣のような、
深い……金属の美しさ……!
お互いを、どうしようもなく、
魅せ合う双姫──……!
「にょきっとなぁ☆」
「えっ……!?」
「にょきっと、にょっきり、にょきっとなぁ☆」
「……!? ぬ、ぬいぐるみが、しゃべってるっ!?」
──ぽでぷっ。
真ん丸のラビットは絨毯に着地し、
銀の姫に負けない礼をした。
王女は返礼する。
「にょっきり……☆」
「ご、ごきげんよう、ラビットさん!」
「ぅおぅ、ごめんねシャンティちゃん。うさ丸も一緒にお祝いしたいっつって、連れてきちゃったのよぅ……」
「ほ、ホントに!?」
「にょきっとなぁー♪♪」
「え、えへへっ! 嬉しぃ……!」
丸いラビットの魔物は、
まるで言葉がわかっているかのように振る舞う。
これは……面白い。
礼を尽くすラビットなど、
まさに絵本の住人である。
王女殿下にとって、
ラビットは、特別な思いがある魔物である。
"祝いたい"と言われては、
嬉しくない、はずがないのだ────。
「ふふっ、うさ丸さんというのですね?
私にも、あなたと同じ耳が付いているのですよ──?」
「にょ……にょきっと??」
エメラルドのドレスとお似合いの若草の髪。
その髪飾りは、殿下の頭上から後頭部までを、
見苦しくなく、大きく隠す物となっている。
──オルシャンティア王女殿下は、突然に。
それらを結んでいる、リボンを引き抜く──。
──しゅるり……!
(……! 殿下が……!)
(公の場で、お耳を……!!)
小さな王女の頭には、
後ろに流れるように優雅な、
ラビットの耳が備わっておられる。
「ほら──ねっ……!」
「にょきっと! にょきっとなぁ──☆」
「「……!!」」
後ろで見守る二人の姫も、流石に驚いていよう。
殿下が公の場で"ラビットイヤー"を見せるとは、
誰もが予想せぬ事である。
言うまでもなく、ラビット系派生の獣人は、
"子作り"や"性欲"を司る印象が根強い。
"バニー系"と聞くと、我ら貴族でも、
大衆の酒場で扇情的な服を身につけ、
酒を振る舞う場面などを連想する。
"王に相応しくない獣の血"……。
我らの知らぬ所で、コオミナ王妃殿下と、
その御息女であるオルシャンティア王女殿下は、
今まで、多くの偏見に悩まされてきたはずである。
「にょきっとなぁー♪♪♪」
「え、えへへへへっ……♪///」
うさ丸殿と手を握り合う王女殿下は、
非常に愛らしい。
我らが心から望んで止まない、
華やかな笑顔で溢れておられる。
「くゆっ──!」
「……あっ!」
──しゅたっ。
さきほどの襟巻き殿が王女殿下の前に降り立つ。
──ぷっちん!
「くゆー!」
「えっ……! くれるの?」
……!
自らの体から、美しい花を千切り、
殿下に差し出すとは……!
「くゆぅ〜〜♪」
──とたたた、ととっ!
「あっ、の、のぼってきたっ!?」
襟巻き殿は王女殿下の体を登り、
若草色の耳のそばに、器用に花を飾った!
「! あ、ありがとうっ!」
「くゆっ!」
「くすくす……! でも、いきなり女の子に登っちゃダメだよっ?」
「……くゆぅ?」
小さな花の狼は、
王女殿下に撫でられながら、
尻尾をフサフサしている。
「これ、いいなー」
「えっ」
狂銀の姫が殿下のそばにしゃがみ、
ラビットイヤーを凝視している。
「かわいい、私も欲しい」
「え、えっと……」
「すき。愛狂しい」
「いや、あんた立派なツノ、二本ついてんじゃないのよ……」
「! ふふふっ、そうだねっ! 狂銀さんだもんねっ♪」
「わぁ……でも、このうさ耳の可愛さは、確かに反則よねぇ……! うさ丸? あんたよりシャンティちゃんの方が、ゼッタイうさ耳っぽいわよ? あんたのすげぇブットイもん」
「にょんにょとぉぉ──!?」
「あ、あはは……!」
姫君達は畏れ多くも、
オルシャンティア王女殿下の頭を撫でまくっている。
殿下のうさ耳はぴょんぴょんし、
黄金と白銀の姫に、露ほどの偏見も無いことに、
安堵しておられるようであった。
ここにいる我らは皆、
殿下の笑顔を心から願う者たちである──。
頬が緩むのは、致し方なきことであろう────。
「──ほぅ。来ておったか──」
「──あら、まぁ……♪」
──王女殿下と絵本の姫たちに気を取られ、
──我らは、かの貴き方々のお姿に気づくまで、
──大きな遅れをとる。
(──ば、バルドアックス国王陛下──……!)
(──コオミナ、王妃殿下──……!)
「──あ"っ!?」
「……??」
「まぁ──お父さま! お母さま!」
「え"っ……!?」
「むゅ……?」
鍛え抜かれた大柄の肉体、
冠を携えぬ、赤い髪の王。
豊かな若草の髪を靡かせ、
聡明な耳をお持ちの王妃。
王と王妃は、
迷わず、貴き子の元へと進まれた────。
「にょ! にょきっとなぁ☆」
「くゆーっ!」
「──ほぅ! うさ丸も来ておったのか。はっはっはっはっは──! これは良い!」
「──まぁ♪ 体に花を持つオオカミとは……! 美しいものですね──!」
「えっ!? お父さまは、このラビットさんを知っておられるのですか!?」
「ふふふ。コオミナを愛す故、ラビットの友の一人や二人はおろう」
「まぁ♪ ふふふ……!」
「そ、そうなのですね……!」
王の愉快な言い回しに、
王女殿下は素直に答える。
「ふふふ、ごきげんよう。うさ丸さん? おおかみさん?」
「にょきっとなぁー!」
「くゆくゆぅー♪」
コオミナ王妃は、うさ丸殿と襟巻き殿を、
慈しんでおられる……!
冠無き王は、二人の姫へと向き直る!
「ううむ……! ──アンティ・クルルと、その対となる者よ! よく参られた! 存分に楽しんでいかれると良い!」
「「 」」
「あぁああああ──!! お父さまっ!! いけませぬよ──っ!!」
王女殿下が、声を張り上げる──!
「……? な、何がいかんのだ……?」
「──あ、"アンティ・クルル"の御名は、"秘密の御名前"なのですよっ!?」
"アンティ・クルル"……!
それが、あの黄金姫の名か!
……? "秘密の御名前"……?
何故────。
「む、そうなのか? アンティ・クルルよ」
「あ──! またぁあああ──!!」
問いかけられた黄金の姫は、
即座に床に跪いた。
白銀姫も、腰を低くする──。
「おっ、お久しゅうございます──!!!
この前はっ、ろくな挨拶もせずっ……!!
まさか、シャンティちゃんの……」
「お初に──お目にかかります──私は……」
「ふふ──良い。あまり畏まるな。アンティ・クルルよ。先だっての王書の伝達、誠に大義であった」
──何、と……!?
今、王は……何と言った……!?
おう、しょ……!?
「──そちらの姫は……よもや」
「「ぁ──……」」
「──ふ、いや。聞かぬこととしよう」
「「……」」
「しかし、これは……! ──はっはっは!! アンティ・クルルよ! なんと相応しい相手を見繕ったものだ!!! 見事……!! わっ──はっはっはっはっは!!」
「おーとーうーさーまー!?!? 私の言うことを聞いておりますかぁー! ぽかぽかぽかぽか……!」
金と銀の姫は、呆然と国王陛下を見上げていた。
ふむ……まさか直接声をかけられるとは、
思っていなかったのやもしれぬ。
調子にのる他国の豪族やもと思ったが、
国王陛下と王妃殿下に、
あそこまで敬意を以て畏まるのは、
良い心がけだと言えよう。
「あなたのお耳も素敵ですよ♪」
「にょきっとなぁ〜〜///」
「あなた様の尻尾もね♪」
「くゆぅ〜〜♪♪」
「こ、こらっ、うさ丸……」
「か、カンクルこっち……」
コオミナ王妃殿下に照れてしまった、
うさ丸と襟巻き殿は、
慌てて黄金姫と白銀姫に連れ戻される。
「見てください、お母さま! この頭の花は、あの小さな紳士からプレゼントしてもらったのですよ!」
「まぁ……美しいお花だこと」
王妃殿下が見る先には、
愛しい我が子の耳と、光を咲かせたような花。
隠されない耳に、ほんの僅かにだけ、
王妃殿下に憂いが映った。
この人数に晒されている。
子を思う故に、当然であろう──。
「あ、プレゼント──……!」
黄金姫が、ハッとしたように言い、
視線が集められる。
「あの、シャンティちゃん……相談があるんだけど……」
「ん? なぁにー?」
「じ、実はねぇ……? 王女様への誕生日プレゼントの渡し方を、ジィヤさんって人に教えてもらったんだけど……」
「っ! ジィヤに会ったの!? へぇー!」
「う、うん……それでね? 係の人か、近しい信用のおける貴族さんに預けるって、教わったんだけどさ。その、まだ渡せてなくてね……? 誰に預けたら良かったのか……」
「あ、なぁーんだ!! そんなことかぁー!」
オルシャンティア王女殿下は、
両手を前に差し出し──────。
「──はいっ!」
「えっ」
「──私がいるから、いーじゃない!!」
なんと……。
王女殿下に直に御祝いの品を贈るのは、
一般的にはタブーとされているが……。
見た所、あの黄金姫は殿下と、かなり親しいようだし……。
黄金姫も不安に思ったと見え、
王と王妃にお伺いをたてた。
「い、いいんでしょうか……?」
「ふふ。良いだろう。なぁ、コオミナ──?」
「えぇ。あなたは素晴らしいシンエルをしています──」
コオミナ王妃殿下の、
相手の善意と悪意を見るシンエルは、
凄まじい物があるという────。
あの姫は、王妃殿下の笑顔に曇りを作らぬ。
大したものだ──。
「え……っと、じゃあ、お願いしようかなっ?」
「えへへっ──! どんなのなのー?」
「これ、なんだけど……」
いつの間にか黄金の義賊の少女が持っていたのは、
とても小さな、宝箱のようなものであった。
「これ?」
「うん」
「あの、あけてみていいですか?」
「えっ、あ……そーだよね。チェックは必要よね」
「??」
「いーよ。ふふふ、見惚れちゃダメよ?」
「う、うんっ……!」
正直に言うと、
一国の王女に贈る品にしては、
些か小さすぎる装飾箱である。
何か、宝石や魔石の類が入っているのだろうか。
しかし、王族の目に叶う石など、
そうは揃えられはしまい────。
「そぅ、そこそこ」
「こ、こう……?」
──カチャ……!
王女の瞳に、輝きが灯った────。
げに続く⊂⌒っ´ω`)っ.*・゜










