またでたなみきりん!
やつが、また来るぞ……!
( ✧Д✧) カッ!
「……」
「……」
「クペーッ」
遺跡に入ったら、キリンさんがいた。
倒壊した赤い石造りの家の中で、
座って涼んどったのである。
「ブッシ……!」
「「……」」
でっけ。
トロンとしたお目目と視線が合っている。
コイツ、名前なんてったっけ……。
ジェ……ジェラ……──?
わかんねっ。
もぅ……波キリンさんでいいや。
波みたいな模様してるし。
「アンティ、こいつ首ながいよ! 折る?」
やめたげて。
物騒ねぇ……。
「ブッシ……」
「ペキー!」
「「 ! 」」
瓦礫の後ろから、子供が出てきた。
親子で避暑ってたようね。
どうみても水属性の魔物さんなので、
こーゆう暑い日は、日陰で休んでんのかもしんない。
「プッシ……」
「プルルル……」
「子供だね」
「うん。可哀想なので折るの禁止」
「わかりました、──っ! アンティ!?」
「えっ? うわおっ──ッッ!?」
ズォオオ……!!
油断してたら、波キリンママが、
私の頭の上まで首を伸ばしている!
「アンティに何すんじゃー!」
ガッシ……!!
おお、マイスナ……!
波キリンママヘッドを、受け止めよった……!!
「ブモー!」
「ひぇーっ!」
あ、そういや……。
「マイスナ! そいつ髪の毛モシャモシャしてくるわよ!」
「えぇえええ、やだぁー!!!」
前来た時も、髪の毛……食われかけたもんなぁ……。
「ブモーッ!」
「あ、アンティー!」
おっと、いけねっ。
愛しの狂銀が助けを求めている。
「やめんかー!」
「ブモッ」
チョップくらわした。
『>>>手ぇ出しちゃってるじゃん……』
〘#……ぉ、おい……ここまでキリンに似ているのだ。怒らせると危ないのでは……?〙
んなこと言ったって。
「ブモモ……!」
「にょ、にょきっとなぁー!!」
な、なにぃ!?
まだ私たちの前髪を狙ってるだとぉ!?
『────なぜ:わかるのですか……。』
にょきにょき言うとるやんけ。
「ブモーッ!」
何がいけすかないって、
キリンママさん、座ったままなのである。
首だけ動かして乙女の髪の毛を狙ってきやがる。
完全な舐めプですわ。
「ブモモモ」
「えーかげんにせーよ!」
──ドゥン!!
張り手食らわした。
「ブマァーッッ!」
「ペキーッ!?」
キリンママの顔がぐるんッッ、ってなる。
大丈夫じゃ、峰打ちよ。
〘#……張り手が峰打ちになるわけが、ないだろうが……〙
──キラーン!!
「「あっ!?」」
キリンママのドタマから、なんか出た!
アレは──……!?
落ちてきたのを、受け取る。
「「どらいぶ!!」」
はぐるまでした。
『────分析完了。
────【 はんまーどらいぶ 】とありますね。』
〘------のんのんのんのんのん☆☆☆
------やっぱり"さいしょのむねあて"のチカラが;
------機能してるのんなぁ──☆
------倒さずに;スキルを引き抜けてるのんし;
------ふ;ふしぎのん……☪︎.*・゜〙
「くゆっ! くゆっ!」
カンクルが私の方を見て鳴いてる。
よく見ると、張り手かましたった右手に、
私の髪の毛が巻きついていた。
「そっか……!
右手に髪の毛まきつけて魔物なぐると、
"どらいぶ"がドロップするのね! お、覚えとこー」
「すごいねー」
「ブモォー」
「プッシー!」
『>>>ちゃんと見てー。次きてるよー』
「もーっ! アンティに手ぇ出すなー!」
ギィイン……!!
マイスナが氷の盾を作ってくれた。
けっこうデカい。
せっかく作ってくれたので、
コソコソと氷の後ろに隠れることにする。
こそこそ。
「…………」
「…………」
…………。
「「……?」」
攻撃がこない。
盾から出て覗き見ると、
親子で氷の盾を、ペロペロやっていた。
思わぬプレゼントを与えたようね。
「……これで痛み分けだぁー!!」
「ブモォぉー♪」
波キリン親子の元を去った。
「はぁ……何なのよアイツは」
「次は折る」
〘#……やめないか。あの類は近づかなければ良い……〙
『>>>ぎくっ……』
先輩、昔……アイツに蹴飛ばされたのよね。
〘#……それよりも、見事な遺跡だな。イニィ・スリーフォウ、君の故郷なのか?〙
{{ え? えぇ……そういう事になりますね }}
先生のフルネームで呼ぶ癖が出てる。
そぅよ……! レエン湖が近いんだもんね。
「時間あるだろーし、イニィさんの里帰りもしようっ! レエン湖の底の、妖精の国っ!」
「ようせい!」
{{ えっ……!? そ、それは嬉しいけど……いいの? }}
「モチロン! せっかく近くに来ているんだし、ゼロンツさんにも会いたいでしょう? ほら。前にケッコー、さびしそうだったし……」
{{ あー。ふふ、そうね。じゃ、お願いしようかしら! }}
〘#……カネトキ。ゼロンツ、というお方はいったい?〙
『>>>あ、イニィさんの育ての親ですよ。今は、でっかい木になっちゃっていて……』
〘#……ほぅ。それは興味深い……!〙
「えーっと……その、先がいい? 後がいーぃ?」
{{ ふふふ、後でいぃわ。私がお父様と喋りこんだら、行くに行けなくなっちゃうでしょ? それに……国王様と、お母様もいるんだもの。なおさら動けなくなっちゃうわよ? }}
あ、そっかぁ……!
イニィさんの、本当のお父さんとお母さんも、
あの時、妖精になってるんだわ……!
前は、ゆっくり喋れなかったもんね?
確かに一度いったら、すぐには出発できなさそうだ……。
ふむーっ。
イニィさんのご好意に、甘える事にする。
「後で……必ず行くからね?」
{{ わかってるわ! まず、やっちゃうんでしょ? ふふふっ♪ }}
イニィさんの、小悪魔的な微笑みが響いた。
うんっ、やっぱり楽しみみたいっ!
よかったわ!
王女様の誕生日パーティの後は、
私たち、どうなるか、わかんないし……。
いいタイミング、だったよね!
「れっつら、ごー!!」
「ごー!」
ガラガラガラガラ……。
「「…………」」
大聖堂への入り口が、倒壊している。
『────老朽化ですね。』
「……クラウン。"はんまーどらいぶ"、出して」
『>>>マジか』
きゅぅうううういいんんん・・・!
"さいしょのむねあて"のはぐるまマークと共に、
"はんまーどらいぶ"が回転する……!
『────は、ぐ、る、ま、ど、ら、い、ぶ。
────"ハンマーソウル":クラウニング。』
ガ、きゃぁあんん・・・──!!!
ギュゥオオオオオオオオオンンン──!!!!!
馬みたいな、キリンヘッドみたいな塊が、
歯車を素材にして、空中に構成されるッッ──!!
『────落下型衝撃槌のようですね。』
「いっちゃれぃ!」
約20メルトルテ上から、
動物の頭のモチーフの塊が、
垂直に落下する。
ズガァァアアアアアンンン──!!!!!
『>>>あ、あらっぽーい……!』
〘#……す、すごい力ではないか……〙
〘------う;うーん……☪︎
------やっぱり使えてるのんなぁ……☪︎
------なして;チュートリアルモードのままのん?☆
------"歯車法"と関係あるのんなぁー???☆〙
崩れて埋まっていた地下への入り口は、
ポッカリと大穴となって、穿たれているわ!
いぇーい♪
中は真っ暗で、階段の石が宙に浮いているように見える。
「なんだか、やたら懐かしー感じするわぁ! クラウン! 暗視モード!」
「わくわく! ローザ! 私も!」
〘------の;のんっ! 了解のんっ!☆〙
「あ、ごめんマイスナ。この穴、塞いどいてくれる?」
「よしきたー!」
先に、ふたりで下の階段へ降りて、、、と。
〘------せ;設計機構をスキャニングして;
------できるだけ復元するのんなっ──☆☆☆〙
──ヴォオオンッッ──!
──サラサラサラぁ──……!
──ズォオオオオオオ……!!!
土と岩の粒子が集まり、舞い、結合し──。
ぶち破った所が、またたく間に!
前に来た時に見たままの、
元の形へと、戻っていく──!!!
ほぅら、塞がったぁ。
ワタシ、遺跡コワシテナイヨ。
「マイスナやるぅー♪」
「えへへーっ♪」
『>>>……ホンっト、泥棒し放題だよな……このチカラ』
〘#……よ、よさぬかッ! 洒落にならぬぞ、全く……〙
きん、きん、きん・・・♪
ぎん、ぎん、ぎん・・・♪
「この先にね、あるのっ……!」
「……うんっ♪」
先輩と先生の呆れ声の中、
ウッキウキな、私たちは、
虚空の階段を降りてった────。
マリオのドッスンみたいな感じ?
((´∀`*))ヶラヶラ










