プロポーズ敵味方なし さーしーえー
最初の一文、嘘だな( 'ω')。
↑こらぁ
今、ベッドが濡れておるのは……、
私たちのせいでは、ないんやで──っ!
「元気だしなさいよぉー……」
「にょっ、にょっ……!
にょっきにょき、にょっきぃぃ……っ!」
「泣いてるねー」
「くゆー?」
うさ丸が泣いとんのは、
セミにボロ負けしたのが原因らしい。
ま、足場が悪かったかんね……。
弾丸のようなヤツらの猛攻を、
塔の壁面では避けきれまい。
「カンクルもセミには気をつけてね」
「く、くゆぅー??」
キッティが泣いてるうさ丸を、
ここまで持ってきた時には驚いた。
そ、その……タイミングがアレだったもので!
超特急でシャツを羽織ったわ!!
「にょ、にょにょ、にょっ……!」
「わあったわあった。私が悪かったってば……」
この子、下の受付カウンタの裏で、
丸くなって、スネてたらしいのよ……。
元々、かなり丸いけどねっ?
今は、あぐらかいてる私の足ん中で、
水分が染み出すクッションとなっております。
「つか、40メルから落下しても無傷って凄いわね……」
「キッティが、凄く跳ねてビックリしたって」
──"責任を持って立ち直らせてくださいね!
あと、なんでそんな汗だくなんですぅ?"──
そう言って、キッティは下界へ去って行きましたとさ……。
どうやら下で超絶なバウンドをかましたらしい、うさ丸さん。
さすがスーパーボゥルラビットである。
「にょにょや……にょんにょん……」
「もー……。あんたのコトだから、ちゃんとセミチームに手加減したげたんでしょ? なら別にいいじゃなぃ! 本気だったら、今頃ドニオスクレーターじゃん!」
「にょきっとなぁ……」
ええぃ、元気をださぬかぁ……!
なでりこなでりこ、なでなでりこ。
おっ、カンクルがうさ丸に近よって……?
「くゆくゆ〜〜……!」
「にょ、にょきっと、ぉお?」
ゴロゴロゴロゴロ……。
……。
どうやら励ましているらしい。
私達はそれを見て微笑む。
「「……///」」
つーかその……今さら続きもできないので、
違う話題をもちかける。
「……で? 例の"プログラム"。仕上がったって、ホントなの?」
『>>>ああ。試作段階だけどね。安全性は保証するよ』
〘#……うむ。が、君とマイスナに試すのは、まだ先だ。まず、うさ丸とカンクルくんで試してみようと思う〙
む、そうなの?
うーん、危険がないのならいいんだケド……。
「だってさ? うさ丸、頼んでいーい?」
「カンクル、頑張って」
「にょっき??」
「くゆー??」
今日の配達分は、とっくに終わっている。
このまま塔の頂きで、神秘の実験と参りましょうか。
〘------ま;いけると思うのん☆
------レイヤー分離処理と概念は同じのん☆〙
「あんた……喋り方もどってんじゃないのよ」
〘------いっつも大人モードなんて疲れるったらないのん☆
------せっかく子供になれる身体になったのんに──っ☆☆☆〙
『>>>いや、きみさァ……? どうせ胃袋ちっさくして、酒をたらふく飲みたいだけだろぅ?』
〘------ぬぁっ……!? な、なんのことのんなぁ……?☪︎.*・゜〙
〘#……浅はかだ…………〙
神格化した酒豪の考えは、ひと味違うわね……。
"酒が少ないのなら、体を小さくすればいいじゃない!"。
〘#……ふぅ。さて、実証といこう。モニタリングは任せる。では──〙
────ヴォぉおン……!
「「──!」」
手元に、アナライズカードが一枚、形成されていく。
めっちゃ乱回転してまっさ。
すぐ隣にいるマイスナの前にも、
同じようにカードが生まれていってる。
回転は収まり、
不思議な光り方をする細長いカードが2枚、
私たちのそれぞれに顕現する。
〘------うさ勇者とコショコショ狐の;おデコに掲げるのんっ☆〙
「でこ?」
「おでこー」
つーか、ローザがうさ丸を"勇者"と呼ぶのは何故なのだろうか……。
うさ丸たちを"どこでも召喚"できるようになった理由も、聞けてないしなぁ……。
「ぅーん、色々あり過ぎて何がなんだか……」
「アンティ、デコに当てたらいいだけだよ」
わ、わかっとるわぃ! 目の前のカードを、
パシッと受け取る。
ショボンなうさ丸と、カンクルに手招きする。
「うさ丸のデコって……どこ?」
「にょ、にょん……!?」
「カンクルじっとしててね」
「くゆっ♪」
複雑な表情のうさ丸のドタマ辺りと、
カンクルのおデコの上。
カードは掲げられた。
『────いきます。
────レイヤー分離プログラム:"セパレーター"。
────起動:────。』
き……ら! しゅぉぉおおおッッ…………!
2枚のカードが、光のエフェクトになって解け、
うさ丸とカンクルに吸い込まれていく。
「なかなかきれい」
「うん!」
「にょき?」
「くゆっくゆ」
「お、おわった……。あんま変わり映えしないわね? これでいいの?」
「カード、なくなっちゃったねー」
『>>>ああ……起動はしているよ。よォし……! うさ丸。ちょっとでっかくなってみてくれないかぃ?』
──えっ!
「こ、この部屋で……?」
『>>>この天井の高さなら、だいじょぶでしょ』
いや……だから二匹同時は……、
ま、いいか……。
「うさ丸?」
「にょきっとな……! にょにょにょにょにょ……!!!」
おっ!? ちょ──!?
こんな近くで──……っっ!!?
────バボぉンっっ!!!!
『『『 にょきっとやぁー!!! 』』』
「うわーっ!」
「きゃー!」
至近距離でデカくなんなバカぁ!
すって──────ん!!
『『『 にょ……にょきっとなん? 』』』
「「……」」
白い肉厚に吹っ飛ばされて、
でんぐりがえり状態になる私とマイスナ。
おまえ覚えとけよ?
「く、くゆーっ!」
カンクルが心配そうに、
そばにテコテコ寄ってきた。
……だいじょーぶよ。
天地、ひっくり返ってるけど。
カンクルは慌てて私たちの顔をコショコショ──……、
「──あれっ!?!?」
「カンクルが、ちいさいっ!!」
『>>>せ、成功だっ!!!』
〘------やったの────んんん☆☆☆〙
〘#……うむ、上出来だ……!〙
こ、これって……?
『『『 にょ、にょきっとなん…… 』』』
「あ、こんやろー」
「びっくりしました……」
ノシン、ノシン。
デカいウサギの王様が、
申し訳なさそうに近づいてくる。
「あほー! 乙女がやっちゃいけないポーズんなっただろ!」
「うさぎとらっぷだ」
『『『 にょきっと、にょんにょんな…… 』』』
巨大うさ勇者は、私とマイスナを持ち上げて、
ベッドの上に戻してくれた。
おぅ、反省せんかい。
乙女ダブルおっぴろげやってんぞ。
いや、、、それはどーでもいいわ……!
カンクルを見ると、やっぱり小さいままだわ……!
『────共有スキルはそのままに:
────"同期巨大化現象"が解除されています。
────二体のステータス……異常無し。
────"成功"と言って良いと判定します。』
『>>>オーケー……! "お墨付き"をもらったね!』
〘#……逆も試したいな。カンクル、やれるだろうか〙
「くゆっー!!!」
────こぉぉおおおお……!
────コォォオオンン……!
『『『 クルォオオオオンン──・・・!!! 』』』
──ばぼんっ☆
「──にょきっとな!」
今度は、うさ丸が小さく、カンクルが大きく──!!
これは、つまり──……?
「──うさ丸とカンクルが、
"同時に大きくならない"ようになった、ってこと!?」
『>>>──そのとぉーり!!』
お、おぉ……! これは……凄いわね。
今までだったら、どっちか大きくなったら、
もう片方も一緒に大きくなってたもんねっ!?
『『『 カンカンカン♪ 』』』
「にょ、にょむ……」
でっかいカンクルが、
うさ丸の耳をハムハムしている。
噛みごたえがありそうだ。
〘------今日は祝杯をあげるのーんっ☆
------勝利に美酒はつきものだのんぅっふっふっふ──☪︎.*・゜〙
『>>>なんだ、そのキモイ笑い方はさ……。きみと数ヶ月は旅してたけど、初めて聞いたよ……』
〘#……ロザリア。その理論では、君は常に常勝だ……〙
ちょっとあんま飲ませないでよね……!?
聞きたいことも聞けなくなるじゃないの!
『────ひとまずは……:良い結果ですね。
────最終工程には:私も加入します。』
『>>>やぁ、そうだね。後輩ちゃん達に使う前に、もう少し正確に"分離プロセス"を調整しないとな──』
「「……!!」」
そうか……。
私たちに……。
「私とマイスナに、使うためのモノなんだよね……?」
「アンティと私……?」
『>>>ああ。これが上手くいけば、きみ達の"生命活動の同期"を分離できるかもしれない』
「「あ……」」
なる、ホド……。
そーゆうコトか……。
『────"怪我の共有化"を:解除する。
────最優先目標としています。』
〘#……お互いの能力を共有化できる、というのは素晴らしい。しかし……"生命"まで共有化しているのは、危険と言う他ない〙
「「……」」
『>>>全くその通り。片方が死ねば、もう片方も死ぬなんて──ナンセンスさ。そうだろ?』
「「……」」
そりゃあ……その。
例えば、私がドジこいて怪我しても、
それがマイスナに反映されないのは……嬉しい。
『>>>危険は出来る限り、減らしていかなくっちゃな! ダメージの共有化は早く排除したいよ』
〘#……ああ。それに、この分離プロセスが上手くいけば……君達の"互いへの過度な依存"は徐々に治まっていくやもしれん……〙
「「……ッ!!」」
"過度な、依存"……。
「……どれくらいで、できるんですか」
「!」
マイスナが聞いた。
『>>>……! そうだね……。ここまで上手く効果が出たなら、調整にはそんなにかからないと思うんだ。一週間、いや数日もあれば──』
「それが、私とアンティに施されたら、
私とアンティの繋がりが、消えるの?」
……!
『>>>そ……そういうワケじゃないさ! きみと後輩ちゃんの"パス"は、根本では"電鎖歯車法"によって繋がってる。きみの身体流路の保持のためにも、完全な切断は有り得ない』
「でも、その"セパレーター"ってモノが発動したら……少しだけ、私たちの"繋がり"が……消えるんですよね?」
『>>>そ、それは──……』
……うん。
マイスナのさびしさ、わかる。
ぽん、と頭に手を置く。
「! アンティ……」
「だいじょぶよ……! こんくらいで、アンタのこと嫌いになったりできないから。アンタだって、そうでしょぅ?」
「うん……」
クラウンが、優しく引き継ぐ。
『────確かに:あなた方二人の"同期"は:
────生命活動分離に伴い:多少は弱体化すると予測します。
────ですが:それで互いを思う気持ちが:
────分け隔てられる訳ではありません。』
〘#……あくまで重きを置いているのは、身体的な同期の分離だ。それは保証しよう。心は君達にある……〙
「は、はい……」
「元気だしな……?」
私はちょっと困った笑顔で、
愛しの宿敵を慰める。
私も実は、ちょっと寂しい感じがする。
"同期融合"というスキルのせいで、
私たちが過度に、
互いへ依存しまくっているのだとしたら──。
それが少しだけ弱まる可能性がある、、、ってことだ。
うん……。
私が静かになっていると、
マイスナがしゃべりだす。
「──やっぱり」
「え?」
どした?
「ちょっとだけ、ソレするの、待ってほしい」
「マイスナ……」
「必要だって、わかります。私たちの事を思って、作ってくれた」
そうだね……。
「でも……アンティと"繋がり"が、弱くなっちゃう前に……。その……」
『────:。』
『>>>……』
〘------のんのん……☆〙
〘#……〙
────察するに、余りある。
「……ふぅ」
ちょっと、顔が熱い。
いや、胸も結構、ホットかもしんない。
でも────、、、
────私から、言うべきよね?
「ねぇ、マイスナ」
「うん?」
けっこう気恥しい。
でもまぁ、言ってしまえ・・・!
人生の大イベントは、自分で起こさなきゃ・・・!
ふ、ふぅ──────・・・!
「あした・・・結婚しよっか!」
「 ──…… ! 」
パァァ・・・!
マイスナの表情が、華やぐ──!
二代目黄金の義賊は、二代目狂銀に求婚した!▼
「するーっ!!!」
プロポーズが成功しました!●▼●.*・゜
やったぜ( *˙ω˙*)و グッ!