聖戦の幕開け
……いいかぃ?
何度も言っているように──、
17.9ってのは……18じゃないんだ。
つまり、R17.9なんだ。
わ……わかる、ね……?((((;゜Д゜))).*・゜
────その日。
かの組織に、激震が走り抜けた─────。
「"尊主様"が……ッッ!?
"天の塔"から、お落ちになられた……だと……!?」
「ぁあ……ちくしょうっっ!
虫ケラ共にやられたらしいぜ……ッ!」
「ぉおお……、おいたわしや……ッ!
そっ、それで!? お怪我の具合は──!?」
「──安心せぃぃ!! ギルドに出入りしている、
にょきっとナンバー/37248号によると、
無傷だとの事だ──ッッ!!」
「なんとっ……! さ、流石だ……!
ただの兎では、説明がつかないッッ──!!」
「──ふ、当然のことよ……ッ!!!
しかし……、虫ケラにいいようにされた、
我らが尊主様の、心の傷は深い……!」
「く……くっそぉーッッッ!!!
このままでは済むまい──ッ!!
"反逆の花くゆくゆ"の存在もあるというのに……ッ!」
「これは由々しき事態だわ……ッ!
今こそッ──……!!
私たちが団結する時ではないの──……っ!?
「まったくだ……!
あの忌まわしきセミ共は、
まだ生き長らえているのか!?」
「チッ……!
ちょっと子供たちに人気があるからと、
調子づきよって……!」
──憤る、かの者達──。
──高まっていく悲しみと憂い──。
────その声は、決意と共に、響いたと言う──。
「 ────同士達よッッ──……!!!
虫あみを、持てッッ!!! 」
「「「「「──ッッ!!!」」」」」
ざわ・・・
ざわ・・・
ざわ・・・
「……あの、荘厳なうさ耳を付けたお方は……、
いったい、どなたであろうか……?」
「──な……ッッ!? あ、あの方はッ……!!」
「にょきっとナンバー/17号……!!
にょきっと連盟北西支部、"にょきっと長"……ッ!!!」
「ば、バカな……。
"2ケタナンバー"……、だと……」
「うそ……でしょう……?
そんな……高貴なお方が、ここに……!?」
「──聞け、諸君……ッッ!! 我らの我慢も、今こそ限界だ──!! "尊主うさ丸様"には……"反逆の花くゆくゆ"との一騎討ち……! すなわちっっ!!! "マスコットキャラ聖戦"の前に、万全であらせられなくてはならぬ……!」
「「「そ、そうともさ──ッッッ!!!」」」
「──ならばッッ!!
我らのする事は、たったひとつにおいて、
他にない────ッッッ!!!!!」
すぅぅう────……!!!
「──"虫あみ"だッッッ・・・!!!
ドニオス中の虫あみを、買い尽くせッッ──い!!!
今こそッッ!! グッズ販売による財力を、
世界を変革する力へと変える時だッッッ!!
ヤツらにッ……──あの虫ケラどもにっ!!!
我ら!! にょきっと連盟のイカれるチカラを、
知らしめようではないか────っ!!!」
「「「う、ううおおおおおおぉぉ──ッッッ!!!」」」
「──にょきっと連盟、バンザーイ!!!!!」
「「「にょきっとなぁぁああああ──!!!!!」」」
・・・────ババババババババババババ!!!
「──はっ!? にょきっと長ッッ!! あそこをっ!!」
「──なにっ!? あっ。き、貴様はァァァ……ッ!!!」
「「「 バルババゼミ……ッッ!!! 」」」
「 ミ"ンミ"ィーン♪ 」
ババババババババババババババババババ──・・・!!!
暑い闘いが──幕を、上げる……っっ!!!
「いやぁ〜〜義賊ちゃん、助かったわぁ!! 何でか最近、もの凄ぉぉお〜〜く、虫あみが売れてよー!」
「あははは……ま、虫取りの季節ですもんねぃ?」
「いやぁ〜〜まーなぁ。でもよぉ、今年はちょっと……異常なくらいだぜ?」
「そなの……? でもまー、確かに凄い量でしたねー……」
手紙の配達を一通り済ましたタイミングで、
ギルド経由で、"緊急の配達"のお仕事が入った。
"虫取り網"を至急、
ドニオス各店の雑貨屋さんに届けまくる、
という配達クエストだ。
12店舗くらいあったんだけど、
一応、ここの雑貨屋さんが最後!
ちょっとルール違反かもだけど、
配達された物について聞いてみた。
「この店舗だけでも、全部で100本くらいありましたけど……その……だいじょぶなんです?」
「いやぁ〜〜! 思うだろ!? 思うよなぁ!?
でも、これがよぉ〜〜! 無くなんだよぉ〜〜!!
何でか、大人のお客の問い合わせも多くてなぁ……。
いや不思議だぜぇ、ホンっト……」
「ほえぇー……」
「まー、とにかく助かった!!
これで儲け時を逃さずに済むぜッ!!
やっぱはえーなぁ!! あんがとよォー!!
がっかっかっかっかっかー!!」
「ぁーい、まいどっすー!」
雑貨屋の店主さんは、
サラサラと受領サインを書いて、手渡してくれた。
よっしゃー、お仕事完了。
ん……?
──あれっ!?
「マイスナー!? どこー!?」
「あー! 狂銀ちゃんなら、隣の古本屋に入ってたぜッ?」
「──あっ、ありがとうっ♪」
ヒラヒラと金色のグローブを振って、
顔見知りの雑貨屋さんを出る。
チリンチリーン。
──べか〜〜……っっ。
「ぅあ、あっっちぃ……」
『────体温調節を開始します。』
──スゥゥウウウウウウ……!
──ひんやァァ……!
「ひィんっ……! く、クラウン……。あんたね……?」
急に背筋に冷気が走り、ゾクッとする。
ぅおおい……。
ヨロイの内側のバッグ歯車で、
通気性を上げてくれるのはいいのよ……?
でも……いきなり背中とかに氷だしたら、
食堂娘はビックリすっかんね……?
『────首:脇下:背筋:内太腿部に氷塊を接触。』
──ゾクゾクゾクッ……!
「んんん、んっ……! ん、んもー……っ!」
──しゅごぉぉぉぉ──。
『────冷気循環を確認。
────体表温度低下。』
「……、ー……」
あ、おぉー……。
──ひ、ひんやりぃ……♪
ホント、氷の魔石いらずだわぁ……。
マイスナと先生に作ってもらった氷は、
氷山くらいストックしてあるらしい。
あっはっは!
山なんて、大袈裟な例えだとは思うけどね?
「店の外でると、やっぱあっついわねーぇ……」
今でた雑貨屋さんを、ふり返る。
う、うーむ……。失礼な話だけど、
そんなに、おっきな雑貨屋さんではないのよね。
室内が小さいから、氷の魔石もよく効くのだ。
「あの規模の店で、虫あみ100本、か……。
そんなにブームなのかな?」
『────商売人の血が:騒ぎますか。』
「そ、そゆことじゃないってば! もぅー」
わたしゃ手紙とおまんまで腹いっぱいじゃい!
クラウンに茶化されながら、マイスナを追っかける。
隣の店の名前は──……?
「 ──"古本屋クラーケン" ……。 」
……すっごい名前、だなぁ。
「ありゃ。お店のドアが無い……?」
開け放ってるわ……。
こんなに暑いのに。
「ふむ……お……?」
お店の中に入ってみると──。
涼しい空気の溜まった空間。
こりゃ意外。
出迎えるは、本の道。
「……! なんか……いい雰囲気ね。落ち着くわ」
『────魔石による空調管理が:行き届いています。
────こだわりを感じますね。』
あ……ほーんと。
本棚の横に、風と氷の魔石が、
ちょこちょこ付いてる。
「こゆとこは、絵本はないわよね……?」
キン、キン、と、スローペースで歩く。
大量の本は、セピア色にあやかっているモノが多く、
独特の静けさと香りを、
店内に生み出している。
「ふーん……」
──……シュ、スー……ッ。
何気なく、
本を一冊、引き抜いてみる────。
タイトルは……。
「──"ロックタートルにはキャベツ食わせとけ"……」
……?
よ、よくわからん本だわ……。
値段を見る。
「……! "2万イェル"……!」
ウチの定食、35セットくらい食えるやんけ…………。
そっ……と、本棚に戻した。
「けっ、けっこー高い本も、むき出しになってんのね。まぁ……そりゃ、手に取ってもらえないと商売になんないか……」
『>>>ふーん。いい本屋じゃないか。200年前にも、こういぅのがタクサンあったらなぁ……』
「あったんじゃないの? 昔にも……」
『>>>それがね、そうでも無いんだコレが。古い本って、定期的に捨てちゃう習慣があったみたいで』
「もったいな……」
『>>>あーいや……その、200年前の話、だよ……? ま、ぼくの本探しの運が無かっただけかもしれないけどさ?』
「本探しの運て」
『>>>調べ物では、けっこう苦労したもんさ』
あ、マイスナいた。
「やっほー」
「あ……! うん!」
ほぅ。立ち読みしてはる。
花の狂銀と、古本棚。
得てして妙。
本のタイトルは──、
──サッ。
「っ! ……?」
「あ、あはは……」
……。
変な雰囲気だ。
狂銀ちゃんは、
ゆっくり読書したいのかもしんない。
つーか。
読んでた本、あからさまに隠された。
「……ゆっくり読みな」
「ありがとっ……」
ちょっとスネぎみで、
整頓された店内を、プラプラする。
キン、キン……キン──。
「──!」
「やぁ」
厚手のエプロンをしたおじいさんが、
テカリのない木の作業台で、なんかしてる。
しんなりした紙の束と、硬そうな紙……?
──!
これ、本を修繕しているんだわ。
「……絵本のお友達は、5分前くらいからあそこにいるよ」
「……っ! え、えぇ……わかってる。ありがとう」
……。
…………"5分"って言った。
「……"5フヌ"……」
「……ん?」
「いえ……何でも、ないんです……ごめんなさい」
これも……ローザに聞けてない事のひとつ。
( "言語修復"…… )
あの、地下の宇宙船から────。
前の時の単位を知っているのは、
私たちだけになってしまった──。
「…………」
『────:……。』
『>>>…………』
キッティも、ヒゲイドさんも、他のみぃーんなも。
もう、"ジカ"、"フヌ"を知らない。
認めるしか、なかった。
私とマイスナが──"書き換えちゃった"のだ。
「……」
ローザは、先生と共に、
"あるプログラム"を開発している。
どーやら、私とマイスナのためのモノらしい。
先輩はそれを、いっしょーけんめい手伝っていて。
たぶん、今は休憩時間だ。
奥さんに会いにきたに違いない。
『────ふふ:後ろにいますよ。』
『>>>べ、別にいいだろっ……? 』
今のローザ……。
つまり、"精霊王ヒューガノウン"は、
この世界の基礎を創った、七人のウチの一人だ。
その知識は、先輩や先生の知識とは、
また違うジャンル……。
つまり、異世界の"未来の知識"だそうで──。
『────私と違い:彼女には"かつての記憶"があります。
────"アナライズカード"の使用技術にも:
────:一定レベルは:精通しているはずです。
────現在作成しているプログラムが:
────正常に起動できれば:
────あなたとマイスナの身体の安全度は:
────格段に向上するはずなのです。』
「よくわかんないけど……なーんか、
また白衣とか着ちゃってるんだって?
飲んだくれ精霊王さまは──?」
作業中のローザは、先生でもビビるくらい、
どえらい真剣な顔をするそうだ。
それが、けっこう近寄り難いレベルらしくって──。
「"触らぬ神に"、となったワケね?」
『────私が言うのも:どうかという話ですが。』
それを見て、クラウンも"聞きたい事"の続きを、
言い出せなかったみたい。
神様同士でも、タタリは発生するかな?
『────"帝国の王女ロザリア"の記憶も:
────彼女は復元しています。
────"言語修復"というキーワードも:
────知っていると仮定しているのですが……。』
『>>>そーだよなぁ……。ま、今作っているプログラムは確かに重要だ。なぁーに、もう、いつでも話してくれるさ。今はせいぜい、お酒を控えて邁進してもらおぅ』
はは……あの夜、結局ローザ、
床で寝たらしいっす。
もう少し神様らしくしてほしいっつーの。
おじいさんに話しかけられた。
「本の修繕なんぞ、若い子が見てもつまらんだろぅ」
「そーでもないわ。それに、愛しの敵役は立ち読みに夢中でね?」
「ははは……そおかい。20分以上読んでいると、家内がゼニを投げるかもな」
この人の奥さんが、この店の看板娘らしい。
20分後に、奥さんがオクさんに、
10イェル銅貨を投げつけるというイベントが発生し、
私たちは古本屋を出ることにした。
「マイスナー、帰るわよー」
「うっ……うん……!」
ギンギン、ギン……。
……ん?
「……」
「……、……ん、ん? 何?」
「あ、いや……もしかしてアンタ……さっきの本、買った?」
「か……、……買っ、た!」
…………。
「ほぅ……」
「お………お金! もぅ、勝手には使わない、から……」
「や、それは……っ、アンタも一緒に稼いでんだから、いーんだけど……」
そじゃ、なくてですねぇ。
「……。アンタ、何の本、買ったの?」
「……! 、な……な」
「…… SEVEN?」
「な──ないしょ……っ!」
「……!」
…………。
………………。
……………………。
──────ほ────ぉ……?
「か……帰ろっ!? アンティ──……え、えへへへ……/////」
「…………。そーねぇ」
ギンッ、ギンギンッ、ギン────……!
キン、キン、キン──……。
…………。
いや、いいのよ?
マイスナが、何の本買おーがね?
そりゃあね? 愛しのオクさんでも、
ひみつのひとつやふたつはね?
相談ナシに共有のお金使ったのも、
別に気にしてないわよ?
ホントよ?
でもね?
あーーーーんなあからさまに隠されるとね?
ちょっとね?
楽しくなぁーるじゃない……?
イタズラゴコロと、
ちょっと、ピリッとしたキモチに、
なるってモンよね?
そうよね?
じゃ、いこっか────。
ただいま後────。
今日は、私から仕掛けることにした。
お風呂あがりの後そのまま、
マウントポジションをとり、
鼻が触れそうな至近距離で宣戦布告する。
「ゲロる気になったら、いつでも言ってね?」
「今日のアンティ、おうぼうだ」
言うまでもないんけんども。
私たちが夜間戦闘をする時は、
基本、同士討ち確定だ。
"同調融合"というパネェスキルは、
私と彼女の感覚を、完全に同期させる。
共に行き、共に倒れる。
これ、世界の常識ね。
ぶっちゃけ勝ちとか負けとか無い。
じゃあ、相手を攻め込むには、
どうしたらいいか。
簡単である。
保身を忘れればいいのだ────。
「、、、ぅ、え、い、いう、きに、な・・・た、か・・!」
「、、、ぬ、ぇ、、、そ、の、かお、で、いぅなぁ・・!」
こいつ粘りやがる。
心では負けねぇ。
義賊と狂銀が仲良しなワケがねぇ。
予想以上の殴り合いになり、
夜深く、ふたりで、
絞りかけの台拭きみたいになる。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
狂銀つえぇ……。
泣けてくる。
相手も泣いてるけど。
汗とかヤバい。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………、……ぃいもーん……。はじめてかくしごと、されて……しょっくとか……ぅけて、ないもー……ん……」
「……………、……っ」
「ふーん……、ぃいもーん…………」
「…………、……。」
すねティ。
「ぬ、ぬぁぁあぁぁあ……、……///」
てれスナ。
「アンティ……なんて、だいっ、き……らい……っ!」
「へぇへぇ……私、だって、だいきら……いだ、もーんっ!」
ダブルあまのじゃく。
ソースは髪の毛通信。
「……、……ゅ」
「……、……ぅ?」
──ギィリリォォォン……。
マイスナが、空中の白銀の鎖の輪から、
古めかしい本を取り出した。
ふらふらした手で渡された本を、
ふらふらとした手で、受け取る。
この時、辛うじて私が上にいたので、
最大のライバルをクッションにして、
接触過多のまま、枕の方に本を開く。
本の題名が、最初のページに書いてあった。
" 太古の結婚の歴史 "
────────────────
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪
「……」
「……っーん」
……ふ────ぅ……。
「……ぺーじ」
「……ぁ?」
「おってる、とこ」
……。
ドッグイヤーしているページがあった。
紙束にスキマあいてる。
「それ、したぃ……」
「……」
ぼーっとしながら、
折られているページを開く。
──パタッ──……。
●〜生まれたままの姿で愛を誓う〜●
────────────────────
中央王都が設立されるより450年ほど前のア
ルクマキナ地方では、愛し合う二人が一糸ま
とわぬ姿で向き合い、体の同じ場所に同じ紋
章を描き込み、その箇所を重ね合わせた後、
口づけをして愛を誓うという儀式が行われま
した。これは教会も認めていた聖なる儀式で
あり、美しいスタンドグラスの下、愛を誓い
合った者達がお互いの未来を感じながら、互
いの温かさを交じ合わせました。これは指輪
の交換が行われるまでは一般的な行事で、神
に生まれたままの姿で愛を証明する行為は、
尊い行いだとされていました。紋章を描く体
の位置と意匠は自由で、お互いに大切な箇所、
思いなどが反映され、美しい愛の紋様は多彩
なものとなりました。少し恥ずかしいですが
由来を知ると、ロマンティックですね……!
「……」
「……」
……" ハダァカ結婚式 "やないの……。
これを読んでいる間。
ゆっくりと。
わたしとマイスナの上下が入れかわってった。
それはもう、
ゆっくりと、ゆっくりと。
ろーりんぐ、ろーりんぐ────。
本、さかさま……。
「…………── 」
「…………── 」
……ぅー。
「……わたし、あやまったほうがいぃ?」
「……アンティ、かくごしなさい……」
んっ、えっ? や、ウソでしょ。
今からは……体力的に、どっちもしぬわよ?
応戦した。
────チュン、チュン! ばくぅ!
──ババババババ──……!? バッ……
朝。意識が戻る。
「──「」──」
二度寝。
んで昼前。
ヨロイを着込んでから、
ワリと激しい言い合いになった。
「──ああぁああアンティのバカッッ!!! オタンコナス!! どーしてあんなことするのッッ!!??? こ、こ、これ以上アンティのこと好きになったら、ホントに狂うって言ってるでしょ!!!?? なんなの!?!? あ、ぁあ……!! わ、私をっ、あっ、アンティ中毒にしたいのッッ──!? ば、ば、場所とか選べないからねっっ!?!? いいのねッッ──!?!?!」
「──あぁあああ!!! うるせーうるせぇー!!!!! てめぇーもガッツリ反撃してたじゃないのよぉおおっ!!? なぁーによアレ!! あっこから、アソコまでやるかフツウ!?!? 中毒だぁぁあ……!?!? こっ……、こっちのセリフだってのォ!!! あんなのっ……!! 私こそぉぉお、マイスナ中毒なるわっ……!!! おあいこじゃ、バぁーカ!!!!!」
結婚式前って、
こうゆうケンカなるよね、知らんけど。
「はぁ……はぁ……アンティの……さみしがりやさんがぁ……」
「はぁ……はぁ、は、ハァァア……? きひゃはは……」
面白いコト言いやがるなぁ、二代目狂銀ちゃんはァ……。
「そんなこと、ないし」
「じ、じゃあ……今日は先に行くもん」
「えっ」
「先に飛び降りるから……にふ……、一分後に降りてきてね」
めっちゃ悲しい。
ギンギンギンギンギンギンギンギン!!!!!
キ───────────────ンッッ!!
「──!!」
「……──」
玄関まで走り出りだした怨敵を、
ヨロイの最大加速で掴まえた。
仲直りタイムに、
言葉は交わさないまま、
数十分かかった。
「………、……」
「………、……」
「……ごめんなさーぃ……」
謝った。
「私も……ごめんなさい……本を買う時、やっぱり……お金のこと、言った方が良かった、かなっ、て……」
「それは……ホントにいいから……。アンタも働いてるじゃん」
「でも、ほとんどアンティが稼いだのだもん……」
「……!」
それ、パートリッジの街への、
物資補給クエストのやつでしょ……?
あれは……その、特例と言うか。
「あと…………恥ずかしかった…………」
「………………、……ごめん…………」
結婚の本買うとか…………自分なら…………焼け焦げるな。
「あの結婚式、したぃ」
「ぅ"……」
ハダァカで、教会に乗り込むヤツですか。
「だ、誰にも、見せらんない、わよ……? その……」
「ぅん……わかる。私は……アンティとだけで、いい」
「マイスナ……」
「あ……! で、でも……アンティの、家族、とか、は……ぇと……」
「ぅ、や、ソレはチョット……。父さんとか、石化しちゃうかもしんないし……」
女の子同士、ってのもあるけど、
ハダァカで、教会に突っ込むってのは、な……。
「私も、アンタとだけがいいなぁ……」
「……ほんと……?」
「ふふ、ほんと。だから、夜とかに忍びこんで……」
「ぅ、うん……そう、だね……」
……あー……。
コレ、ホントは太陽の光が射し込む、
ステンドグラスの下とかで、やりたいんだわ。
わかるわ。そうよねぇ……。
そりゃそーだ……。
朝早くに、ドニオス教会に忍び込んで……いや、ムリだ。
神官さんとか朝早いだろうし、
ハダァカで、たぶん、仮面も外すから……、
リスクが高すぎる……。
魔刃モードのシゼツの"王絶"を使ったら……?
…………いや……。
例え私たちが見えなくても、
私たちが周りに人がいる中で、
ハダァカでキスとか、ただのプレイだわ……。
剣も握りっぱになるし。
ぅ、うーん……。
月末まで、あと一週間くらいしかないし……。
やっぱり、誰もいない時に、教会に────。
────" 誰もいない大聖堂 "──。
「 あっ・・・! 」
「 えっ・・・? 」
あるじゃん。
レエンに、でかいのが。
(;´༎ຶٹ༎ຶ`)ゆるしてくだしぁ.*・゜










