精霊聴取 ⑨
2019年8月1日現在……。
目次一覧下に、
アブノ店長が出張しているようです……。
ガクガク((((;゜Д゜))))ブルブル
ヤバイと思った方は各話に逃げてくだしあ(笑)
本人は……丁寧な接客を心掛けています(´◉ω◉)
ふきふき、ふ〜きふき。
『C2:派手にいったみゃ?』
『C7:にゃ〜〜。にゃにやっとんにゃー!』
『C3:ご、ごめんミャ〜〜』
ミャーツとニャーナが、
ミャナミのひっくり返したお盆を片している。
いつも"こっち側"の家事をしてくれている、
ダイさんとサキが、シゼツになっちゃってるので、
猫の手も借りまくりたい大集合だ。
私は収納モードになってるドラゴンヨロイを持ちだし、真ん中に付いてる胸当てを指さして、言う!
「え……じゃあ。
この、乳装甲って……、
元々……"ゲームのアイテム"なのッ!?」
〘------そうですそうです-☪︎〙
『『 きひひっ! 乳装甲だってー! 』』
「にょきっとにょきっと」
……。……?
いや、でもこれ、
あの変態テンチョーさんが……。
「アブノさんがさぁ……コレ、ずっと前から持ってたって言ってたわよ?」
「私も欲しい……」
え? いや、マイスナさん……。
あなたはあなたで、ステキなヨロイを、
おこさえになったじゃあーりませんか。
そ、そんな指くわえて可愛くしてもダメよ!
クラウンが、相変わらず正座のまま、言う。
『────私が……ゲームの世界を実体化してしまった。
────そう…………言うのですか……?。』
〘------ええ。最終的に私たちは;
------その仮説が最も有力だと判断しました-☪︎〙
『『 クラウン。あんた、この世界の神様だから 』』
『────(´◉ω◉)……。』
クラウンの真顔は……ちょっと面白い。
私の頭ん上には、神様がいるらしいわ。
『>>>いや、話を聞いてたら君たち2人も十分、神様メンバーのうちだろ……』
〘#……全くだ。スケールが大きすぎて、年寄りには理解し難い……ありがとう〙
『C2:みゃ』
……ずず。
ミャーツの差し出したお茶を飲む先生。
そないに御年寄というイメージじゃないケドね。
銀の長髪の、イケイケおじ様ですわ。
質問再開。
「この乳の力って、その……ゲームの設定なの?」
『C2:ドン……言い方……言い方みゃあ……』
隣にいるクラウンに気をつかいつつも、
ちょっとガマンできなくて聞いてしまう。
神様たちはフレンドリーに答えてくれた。
〘------"さいしょのむねあて"は;
------"チュートリアル"のクエスト中のみ使用できる;
------"お試し装備"──と言える物です-☪︎〙
『『 耐久値設定自体が存在しない初期装備で、モンスターからドロップした歯車を使って、どんな能力でも"お試し"できるんだよー♪ 』』
『────!!!。』
『>>>──……!!!』
「……耐久値が、存在しない」
『『 うん。壊れないの 』』
………!
アブノさんが言ってた事と……、合致するわね。
"この胸当ては、破壊できない"──。
でも、アブノさんは、
私の乳サイズに合わせる時に、
この胸当ての大きさを変形させてたような……?
〘------本来であれば;
------チュートリアルクエストが終了すれば;
------その胸当ての機能は停止するはずなんです-☪︎〙
『『 そーよねー。"さいしょの戦い"が終わったら、ソレ、ガラクタになるはずなんだケドなぁー。"全てのスキルがお試しできる"なんて、ゲームバランス崩しちゃうしさー? 』』
「……にょっきにょき?」
……!?
え……!? でも……!?
「私……実際に魔物から、歯車ひっこぬいたり、できてる、よ……?!」
〘------ソコなんです-☆
------何故だかはわかりませんが……☪︎
------その胸当ては今でも;
------"チュートリアル実行中"の状態になっていて;
------今も"どらいぶ"をドロップする事が;
------可能となっています-☪︎〙
『『 なーんで、その"むねあて"だけが"起動状態"なのか、私たちにもわからないの! そりゃ、さいしょは100億個も世界中に実体化したアイテムだかんね! 一個くらいバグってるのがあったのかもしれないケドさぁ? 』』
ひゃ、ひゃくおく……!?
先輩の世界の人って、
そんなにいたんだ……。
──っていうか!
「この乳って、世界中にあるの……!?」
『C2:言い方……』
『C7:無駄にゃん……(ポン……)』
〘------無いです無いです-☪︎
------どうしてか、それだけが;
------"こちら側"に存在しているようです-☪︎〙
『『 ソレってホントは、こっちの世界じゃ装備できないはずなんだー。なんでアンティは装備できるんだろーねぇ? 』』
「え?」
気になる事を言い出したわ、この子。
先輩は、こういう事は絶対に突っ込む。
『>>>……"こちら側"の普通の人類は、この胸当てを装備できないのかぃ?』
〘------あ……☪︎〙
『『 あ…… 』』
ヒューガさんとシゼツが、
"いっけね……"みたいな顔をした。
「……ここまで来て、隠し事もヘチマもないでしょ」
〘------;……。〙
『『……まぁ、ね……』』
私の静かな口調の促しに、
ヒューガさんとシゼツは、
観念したかのように喋り出す。
〘------アンティ……☪︎
------あなた達は;私たちが言うところの──;
------" NPC "が独立進化した存在です-☪︎〙
『────……!。』
『>>>……そういう事か』
すぐ隣のクラウンが私を見て、
先輩が、おデコを押さえた。
「"えぬ、ぴー、しー"……?
それが……"私たち"の──種族名なの?」
『>>>あー、クラウンちゃん……。
>>>"ノンプレイヤーキャラクター"の概念を
>>>後輩ちゃん達に高速流路教育できるかぃ?』
『────やってみましょう。
────トライ:1。』
──ヴォオン……!
「「──!!」」
私とマイスナの周囲に、
青白い光でできた細長いカードが、
何枚も、展開される。
とても長く、まるで剣みたいだ。
情報を圧縮したアナライズカードのようね。
それが、私たちの頭に刺さるように、
次々と吸収されていく。
「「……っ!」」
──ヴぉヴぉヴぉヴぉヴぉ────!!!
情報の剣が、
マジック・ショーのように、
私たちの頭の中に吸い込まれ、
瞬時に、概念を理解する。
「……!! "ノンプレイヤー、キャラクター"……!!」
「わたし、たちが……!」
私たちは……"主人公"じゃあなかった……!
ヒューガさんが、驚く私たちの視線を見て、
続きを話しだす。
〘------クラウンが作り直した;
------私達にとっての……"三番目"の世界-☪︎
------それは;"ゲーム・ワールドを初期化した世界"その物でした-☪︎〙
『『 ホントにね……さいしょは、なぁんにも無かったの。なァーんにも、ね…… 』』
「なん、にも……」
〘------私たちは;途方に暮れました……☪︎
------身体は多元拡張子の光触媒の影響で;
------人とは違うものに変質しかかっていましたし……☪︎
------何より;私たち以外に;
------生き物など存在しない世界だったのです……☪︎〙
「……、……」
広い世界に、
もし、七人だけだったとしたら……。
そんなの……想像するだけで、ツラい。
『『 でね……? どうすればいいか、
全くわからない時にね?
ジュンヤお兄ちゃんが──、
──"神様"に会ったの! 』』
「「──!?」」
かみ、さま……?
先生が、問う。
〘#……"君たち七人"の前に、神がいたと?〙
〘------彼が言うには……☪︎
------ジュンヤのいるFRIDAY・Serverに;
------いきなり……"光り輝く、死にかけのお爺さん"が;
------現れたそうです-☪︎〙
「光り……輝く……」
『『 宇宙空間にある、宇宙ステーションにだよ? ありえないよね……。でも、私達も音声データは聞くことができたの 』』
ジュンヤ・オウノ:「アナタは、いったい……?」
輝く老人:「おぉ、おお、こんな、こんな事が……!」
ジュンヤ・オウノ:「おい……わっけわかん、ちょ、しっかりしろよ!?」
輝く老人:「なんと、なんと言うことだ……! ……聞け! 聞いてくれ、若者よ……!」
ジュンヤ・オウノ:「何なんだ、何なんだよ……コレ」
輝く老人:「我は……失敗した、失敗したのだ! この世界は、何も生まれないはずだったのだ……! だが、そなた達、は……! 噛み合った……、噛み合ったのだ! 運命の歯車が……その、駆動が……同じ大きさを保ったのだ……!」
ジュンヤ・オウノ:「何を、言ってんだよ、アンタは……!?」
輝く老人:「私は……もう、持たん。頼む……! そなた達に……託す! この、この世を……! 私の、世界を……!」
ジュンヤ・オウノ:「お……い!? アンタ、体が!!」
輝く老人:「ふ……愚かな失敗者は、光へと還るのだ……」
ジュンヤ・オウノ:「なぁ、待てよ……! アンタ、何モンなんだよ……!」
輝く老人:「おぉ……! 我が名を聞いてくれるか……!
我が名は……" エルシエルド "──…… 」
〘------そのご老体は;
------光の粒子になって消滅したまま;
------現在まで観測されていません-☪︎〙
『『 ジュンヤお兄ちゃんの手の中で、ほどけるみたいに消えちゃったんだって 』』
「にょわー……」
「「……」」
〘#……この世界は、君たちが創ったのではないのか……? その方は、こちらの世界の……"元々の神"だったのか?〙
〘------ふふ……ギンガ殿-☪︎
------私達も;全てがわかる訳ではないのですよ──☪︎.*・゜〙
〘#……、む……〙
ヒューガさんの苦笑に、先生が言葉を無くす。
いつもの"酒飲みローザ"と同一人物は思えないほど、
大人の女性って感じの表情だわ……。
『『 あの後のジュンヤお兄ちゃんは……珍しく、感傷的だったな。しばらく悩んで──お兄ちゃんは、"世界を一から創ろう"って、提案してきたの! 』』
「「……!」」
〘------"さいしょの世界"には、何も無かった……☪︎
------でも;私たちには;
------"さいごの切り札"が残されていた──☪︎〙
『────それは:つまり……。』
〘------えぇ、そうです-☪︎
------多元拡張現光体の;完全なオリジナル原盤;
------私たちは、code:101……;
------──"ラケシス"と呼んでいました-☪︎〙
『『 設計図は、あったの。だから、私たちは──もう一度、する事にした 』』
「「……」」
〘------私たちは;自分たちの身体をデータ化し;
------それを自己増殖可能なNPCに移植して;
------人類を再現しました-☪︎〙
『>>>……、……』
『『 動物や植物は、モンスター中心のデータしか無かったからね……。しょうがないから、"魔物がいる世界"にするしか無かったの 』』
「にょきっと?」
『『 ふふっ、あなたもその中のひとつね? 』』
シゼツが、うさ丸の手を握っている。
〘#……君たちは……この世界の人間たちの、"祖先"でもあるのだな……〙
……!
ヒューガさんや、シゼツが……。
『『 ふふふっ。ねぇ、アンティ? あなたは、私が自分にソックリだと思っているだろうけど──本当は、逆なのよ? 私がアンティに似てるんじゃなくって、あなたが、私に似ているの! 』』
「……!? あ、えっ、と……!?」
〘------そうですね──☪︎
------アンティ・キティラ。あなたは恐らく──;
------"シゼツ系"のNPCの末裔だと思います-☪︎〙
『────:……!。』
『>>>後輩、ちゃんが……』
「……シゼツが、私の"ご先祖さま"って、コト……?」
『『 えへへーっ♪ ま、色んな"血"が混ざっているでしょうけどね! きひひーっ♪ うやまいたまえーっ♪ 』』
「にょきーっ!」
……。シゼツが、
なんで私の事を気に入ってくれてるのか、
よく、わかった気がする……。
私の御先祖様は、
真ん丸うさぎさんを抱っこして、
ケラケラと笑っている。
〘〘------私たちは……;
------最後のアナライズ・カードを使い;
------地表を"ダンジョン"として再生させました-☪︎
------生命の循環を;NPCにも、魔物にも;
------発生させるには;
------世界をそう作り直す必要があったのです──☪︎〙〙
「──! ちょっと待って!? 私たちの世界って……"ダンジョン"なの!?」
思わず叫んだ!
ダンジョンって……"迷宮"の事だよね!?
〘------そうです-☪︎
------この世界は;私たち七人をサーバーとして;
------運用されている;ダンジョンです-☪︎〙
……!
……さ、さらっと、言いやがるわ……!
『>>>"D:Server"……"ダンジョンサーバー"の事だね……?』
『────:……。』
先輩が、確認する。
……"D:サーバー"ってのは……、
確か……"じかん箱"を見た時に──。
〘------この星の地表に射出した多元拡張子原盤;
------"ラケシス"は;非常に円滑に機能しました-☪︎
------世界には人類と魔物の祖先が生まれ──;
------独立したサブ:ダンジョンも発生しました-☪︎〙
『『 でもね? "拡張子システム"には"もの凄ーい欠陥"が、ひとつあったの! 』』
「……けっかん?」
〘------使用した"多元拡張子原盤"が;
------世界中のダンジョンの中のどれかに;
------ランダムに転移してしまう、という欠陥です-☪︎〙
『『 あはは……。つまりねー?
"世界を作り直す力のあるカード"が、
どっかのダンジョンの宝箱に、
移動しちゃうってコトね! 』』
「──むちゃくちゃじゃないのよッッ!?」
な、何を言ってるのよ、この人たちは!?
そんな危ないモン、誰かに発見されたら──……!?
『────そんな:まさか……。』
「……え?」
クラウンが、自分の胸を押さえている……?
〘------地上に自己増殖したサブ:ダンジョンは;
------既に;私たちの管理下からは離れていました……☪︎
------"ラケシス"の存在は……私たちの中に;
------長い間、しこりのような不安を;
------抱かせ続けました──☪︎〙
『『 ……ま、最終的には結果オーライだったんだけどねー。今は手元にあるようなモンだし 』』
「え……!?」
どゆことどゆことどゆことどゆことどゆこと……。
「その……"ラケシス"ってアナライズカードは、見つかったの……?」
クラウンが、私の方を見た。
『>>>何言ってんの、後輩ちゃん……』
「へ……?」
『>>>"ラケシス"をドロップしたのは──、
────きみの、お父さんだよ』
………。
…………。
………………。
歯車法。
時限結晶。
そして、アナライズカード。
「くら、うんの……」
『────:……、わたし、の……。』
〘------クラウンには;
------とてもよく馴染んでいるようですね-☪︎
------元々;互換性があったからでしょうか-☪︎〙
『『 こんな空間まで創れちゃうくらいだもんねー。ずずーっ 』』
箱庭の和室で、
神様兼、御先祖が、
のびたうどんを食べる。
「──にょきっ!?」
出汁が、うさぎに飛び散った。
【速報】うさ丸、下味がつく。










