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星令聴取 ⑦ さーしーえー



 ホロ・ヴィジョンが普及し始めて、

 最初に激変したのは"カメラワーク"だ。

 はは。もちろん、ゲームの話さ。


 "一三議論(ひとみぎろん)"、つまり────、


 主人公の後頭部をストーキングする、

 神の視点である三人称カメラと。


 視界に直接投影される、

 体感型一人称カメラワーク。


 "どっちがゲームに相応しいか"という議題は、

 "タケノコ&キノコ戦争"、あるいは、

 "粒あん漉しあん戦争"レベルで、

 定期的に炎上していた。


 オーライ。落ち着こう。

 全てにメリットと、デメリットはある。


 三人称カメラは操作しやすい。

 操作キャラを上から見てるからね。

 その代わり、たまに壁にめり込みやがる。

 これは、あんパンにアンコが入っているくらい、

 当たり前の世界の常識だ。


 一方、一人称カメラは、

 まるで自分自身がそこにいるかのような、

 素晴らしい臨場感を生み出してくれる。


 ──BUT(しかし).



 ────敵に襲われたら(・・・・・・・)超こえぇ(・・・・)────。






 グォオオオオオ──!!!



「〜〜ッッッ!!」



 突貫してくる暗黒騎士のランス──!

 そもそも、コイツはホントにゲームなのか……?



 僕は────……!




────────────────────


  A.助けて!! 半裸女神さま……!

 ▼B.咄嗟にガードするっ!

  C.一度くらい、彼女が欲しかった……!


────────────────────




「くっ──?」



 咄嗟に両腕をクロスして、ガードする!

 あ、これ死んだかも。

 迫る──騎乗騎士のプレッシャー!!



 ──ガ・ィ・イ・イ・イ・ン・・・!!!



「……ッ!?」



 衝撃が、こない……?



「──大丈夫、ですか?」

「……!!」



 眼鏡OLさん……!?

 僕の目の前で、盾を構えている!

 な……今のを、防いでくれたのか!?



「そ、そっちこそ、大丈夫ですかッ!?」

「心配ありませんよ、フフフ……。実は私、人気シリーズの"デモンズ・ボーン"を無印から全てプレイしてまして。フフフフ……」

「……」



 " どやぁー! "



 片手剣を持ったほうの手で、

 眼鏡をクイッとしながら、

 七三わけのポニテOLさんが、

 ドヤ顔していた!


 "デモンズ・ボーン"……!

 た、確か──……。

 かなりダークファンタジーな世界観の、

 ゾンビとか怪物を中世の武器で倒す、

 "一人称で絶対やっちゃいけないゲーム"筆頭の、

 有名タイトルだったはずだ……。



「よいしょ……片手持ちの盾で攻撃を受けてみましたが、ほとんど反動を感じませんでした。パリィは失敗しましたけどね……それに────」

「ぇ……? あっ!」



 OLのお姉さんの視線を追うと、

 空中に、メーターのようなモノが浮いている!

 これは……まさか……"HPバー"、なのかっ!?

 お姉さんのヒットポイントが、

 少しだけ、減ってしまっている……!



「チッ……。初期装備の盾では、全ての威力を殺せなかったようですね」

「そ、そうなんですね……」



 こ、このOLさん、凄い度胸あるなぁ……。

 現実世界で襲ってきた騎乗騎士のランスを、

 片手持ちの盾で受けるか? 普通……。



「──"勇敢なる者を癒せ!"、"ファストヒール"──!」


「「──……!」」



 す、すぐ横にいた大学生っぽいお兄さんが、

 杖を天高く構え、呪文を詠み上げた──!



 ぽァ……、……!



「……!」

「これは……」



 OLお姉さんの体が淡く光り──……!



「……! HPバーが、MAXになった……!」

「へへっ……どうやら成功したみてぇだな!」

「……ありがとうございます」

「気ィ抜くなよ。まだ敵さんはいるぜ」



 グオォ……グルルルルルル……!!



 ……暗黒騎士は、様子をうかがっている……?

 黒馬のような魔物は、その場で足踏みしていた!



「……おいアンタ、どうだった。アイツの攻撃を受けて」

「痛みなどは、ほぼ感じませんでした。現実にあんな怪物の攻撃を受けたのなら、私など、無事では済まないはずです。あの女神様は──ずいぶんなヌルゲーを作られたようですね」

「は、だよな……。アンタの盾にランスが当たった時、線香花火みてぇなエフェクトが出てたぜ……はは」

「……あなた? 何を笑っているの? こんな異常事態なのに」

「──わかんねぇか?」



 白魔道士の大学生が、

 杖を手遊びしながら、

 嬉しそうにはにかむ。



「これはな……"あの人"たちからのプレゼントさ。天空にいる、七人からのな」

「……!」

「まさか」

「いいや、オレはそう思う。"世界に壁を作る"なんて……絶対に"おかしい"って、そぅ……思ってくれたんじゃねぇかな」

「……! ……」



 ヒーラー大学生さんの表情は、

 遠くを見るような、

 懐かしそうな笑顔に変わっていた。



「ま、最初はお約束の"デス・ゲーム"ってヤツかも、と思ったけどな……今の敵さんの攻撃を見てると、そうは思えねーなッ!」

「……ええ、そうね。これは、良くも悪くもゲームだわ」



 OLお姉さんが、片手剣をプラプラと揺らし、

 そして────構え直す。



「……やるか?」

「愚問でしてよ?」

「はん──おい! そこのJKふたり! この黒いの倒すの手伝ってくれ! オレ、回復しかできねぇっぽいんだわ!」


「お、なんだなんだぁ〜〜? やんのかコらァ〜〜!」

「しゃ〜〜コラぁあ♪ カナミ、手裏剣投げちゃうよォ〜〜!」


「──は! ボウズ、お前も、いいな?」


「ぇ、は……はい!」


「ふむ……私しか盾持ちはいないようですね。ヒーラーはケツに付くと相場が決まっています。……頼みますよ?」


「ちぇっ! しゃーねぇなぁー! くっそォー! オレも剣で戦いたかった! おいJK! 中距離で技とか投げまくってくれ!」


「はぁ? チュー距離ってなに? 超接近戦ってコトぉ〜〜?」

「ぎゃはは! な〜にィ言ってんの! てか私、ムチだしぃ〜〜」


「ボウズ……お前のエモノ、グローブか?

 ──よぉし! 隙見て、殴れそうなら殴っちまえ!」


「う、うん……ッ!」


「……どうやら、役割が決まったようですね?」



 近くにいた五人で、野良パーティが組まれた……!

 な、何だろう、この気持ちは……。

 僕は、役に立てるだろうか……!

 ──暗黒騎士の方を、向き直る。



 ──グォオオオオオ・・・!


 

「──よォ……大将。覚悟はいいかい?

 ヒーローってのは──集団でボコる生き物なンだぜ?」



 とっても誤解を生むヒーラーさんの一言で、

 戦闘は再開された──ッッ!

 OLお姉さんと大学生の兄ちゃんは、

 動きや、反応が違う──ッ!!

 とても、ゲーム慣れしているのがわかる……ッッ!



「──ッ! やはり回復にヘイトが取られます! 防御の合間に斬り込みますよ!」

「あぁ──頼むッッ! ヘイ、JK! あの真っ黒クロスケの気ひいてくんなッッ! そういうの得意だろっ!?」


「はぁ〜〜ん? ねぇ? 騎士のお兄さん……あんな杖もってるオトコより、私とイイコト……☆ しない?」

「カナミ、えっろぉおお──い!!」



 上手く……回復役を守る形になってる……!

 OLお姉さんは何回か攻撃を受けていたけど、

 実際に怪我をしている様子は無い!

 これは……本当に、ゲームなんだ……!


「 ほ…… 」


 少し安心してしまった僕。

 その隙を突くように、

 暗黒騎士は、召喚する──!!



 ──ばボンッ!!



「──! 何か飛び出しました!」

「──! ボウズ、避けろ!!」


「わっ──!?」



 黒い、炎の塊のようなモンスターが、

 二匹、こちらに来る!!



「わっ……!」



 僕は、とっさに殴った!!



 ────ドゥン、ドゥン!!!



 キュ〜〜〜〜……!

  キュ〜〜〜〜……!



「た、倒した……?」


「──っ! いいねぇ! ソイツ、打撃が弱点みてぇだぞ!」

「なるほど……ザコはあなたに任せましょうか」


「──え、ええ!? うわっ、また来た──ッッ!!」



 戦闘が続くにつれ、

 ジワジワと、相手にダメージが蓄積する!

 パーティの連携が、上手くいっているんだ!


 OLお姉さんが防御とチクチク攻撃。

 ヒーラーお兄さんが、全体の回復。

 JKチームが、嫌がらせとヘイト補助。

 僕がザコ敵パンチングマシンだ!


 途中でOLお姉さんが、

「くく……回復役がいるゲームなんて、

 ぬるま湯に肩まで浸かってますねぇ?」とか言って、

 すっげぇ不敵な笑みを浮かべて斬り込んでいた……。

 人って見た目じゃわからない。


 僕も、一応は役に立っている……!

 フワフワ飛んでくるザコ敵を、

 無我夢中で倒していた僕に────、


 ────とある事が起こった……!



「──しっ!!」



 ──ドォン!!



 カッ……!



「!? ひかった!?」




 ──────────────────

    ◇ RARE DROP ! ◇


    " だぁく どらいぶ "


        × 3

 ──────────────────




「な、ん……っ!?」



 倒した黒炎の魔物から、

 "黒い歯車"のようなアイテムが飛び出してくる!

 急だったので、ビックリした!

 えっちらおっちら、落とさず、受け取る!

 じゃ、邪魔だなコレ……。

 ま、まだ戦闘中だってのに……!?



 グ・グォオオオオオ──!!!



「──! 注意して! 攻撃パターンが変わりました!」

「HPが減って、ケツに火が着きやがったか!? ──お!? なんか、タメ攻撃の予備動作っぽいぞ──ッッ!!」



 今までと異なる動きになった暗黒騎士に、

 OLお姉さんとヒーラーお兄さんが警戒する。


 僕は、どうすれ────、




 ────・・・ガ シ ャ ……!




「──ぇ?」



 胸元からした、機械が動くような音。

 思わず、見る。



「 ひら、い、てる? 」



 "さいしょのむねあて"の歯車のマークが、

 前に引き出されるように……展開している。

 な、なんだ、このギミックは……!?



 きゅぅういいいいいんんん──・・・!



「……! 黒い、歯車が……!」



 ────がちゃ、がちゃん!! きゅうう・・!!



 "さいしょのむねあて"は、

 敵からドロップした黒い歯車を、

 ────吸い込んでしまった!




 ────ドクン・・・!




「────・・・!」




 鼓動(がキン)────。


 鼓動(ガキん)──────。


 鼓動(ガきン)────────。





 ギアが、噛み合う、音。


 これは────"闇"の、チカラ。




 僕は──────……?






「……! 敵の周りに、黒い障壁のような物が張られました!」

「バリアかよッ!? ──くそっ! 溜め動作を妨害できねぇぞ!?」




 ────構えろ。



 構えろ、ぼく。


 そうだ、見ろ。


 敵は、止まっている。



 ──────────今、なんだ。




「ふみ、こめ」




 ────ドッ!!!




「──!?」

「ボウズ!?」




 

 ──静かな、女性の声がした。





『────はぐるまどらいぶ。

 ────ダァク・ソウルド:

 ────クラウニング。』





 ──それは、


 ──どらいぶが、噛み合う証。






「────ワン」──バリィィインン・・!



 僕の一発目のパンチは、

 同じ属性の敵のバリア(・・・・・・・・・・)を、粉砕する。



「────トゥー」──ゴォオオオンン・・!!



 敵のランスの闇と、

 僕の闇のパンチは相殺する。

 ランスは、大きく外に弾かれた。



「────スリー……!」



 がら空きになったボディに、

 闇のストレートを、叩き込む────。




 ── ド ぉ ぉ お お ン ン ン ・・ !!!




「  ……、──── 」





 ──着地した僕は、取り憑かれたように言ったのだ。



挿絵(By みてみん)

「 ── " ダァク・ソウルズ・スリーアクト " 」





 グ、グォオオオオオアアアアアぁぁぁ──……!!!



 ────パァァああああ・・・!






   騎乗の騎士は、光となりて、

   霧散する────────。







────────────────────


  ◇ CONGRATULATIONS!! ◇


   暗黒騎士を討伐しました!▼



   ◇ RARE DROP ! ◇

  

   暗黒騎士の仮面 [New!]


──────────────────── 




「…………やった、のか?」



 あれ、僕、今……?

 勝手に、体が動いて……。



「……、……やれやれ。参りましたね」

「は、はは……! 美味しいトコ、持っていきやがるなぁ〜〜!」


「何今の……! チョーカッコイイんだけど〜〜!」

「ズン! ズンっ! ドォンっ!! って感じだったよねぇ〜〜♪♪」


「あ、あはは……」



 OLお姉さん、ヒーラーお兄さん、

 JKのおふたりが近づいてくる。

 ……! よかった……。

 やっぱり、怪我はひとつもしていない。



「おい! それ……もしかして"ドロップアイテム"か!?」

「え……? あ!」



 お兄さんに指摘されて、

 自分の腕の中のアイテムに気づく。

 これって……さっきの暗黒騎士がしてた、

 逆三角形のシルエットの仮面だよな……?


 ────ヴォン!



「……!」



─────────────────────


【 暗黒騎士の仮面 】[New!]


 闇の番人である、暗黒騎士の仮面。

 曇りなき眼で、世界を見つめるための物。

 邪悪な者が身につけると闇に引きずり込

 まれるが、純粋な心の戦士が装備すれば、

 その信念を増幅する。


 闇属性:改造可能

 特殊効果:精神力UP・大 / 欲望増加・小


───────────────────── 



「…………欲望増加、って書いてるんですが……」


「ぎ、ギャハハハ……! ぅ、ウっケるぅぅうう〜〜♪♪♪」

「あらぁ〜〜盛っちゃう? ねぇ少年、さかっちゃうのぉぉ〜〜???」


「これで、いつでも暗黒騎士になれますね」

「くく……よォ、ちょっと被ってみろよ!」


「な……! ぜ、ぜったいイヤですよぉ!」



 僕はクワッと言って、

 でっかい漆黒の仮面を、カバンに突っ込んだ!

 こんなのを学ランで被っていたら、

 ただの変なヤツじゃないか!

 


「さて……どうするよ?」



 大学生のお兄さんが、みんなに聞いた。



「ほら、見ろよ。あっちでも戦ってるみたいだぜ」

「……!」



 本当だ……!

 50メートルくらい離れた所でも、

 違う敵と何人かが、戦っている……!



「いま、ホロ・ヴィジョンで確認しました。……どうやら、ドラゴンやら巨人やらが……世界中の軍事施設や国境を破壊してまわっているようですね……」

「お……なんだよ。アンタ、ゴーグルタイプも持ってんのか?」

「こ、これは自宅用ですっ……! 世界中、大混乱になっていますよ……。私たちの戦った敵とは違い、軍事施設などを襲撃したモンスターは、物理的なダメージを建物に与えられるようですね……空軍の基地はほぼ制圧されたと報道しています」



 そ、そんな事が……!

 ドラゴンが……戦闘機を、

 ウエハスみたいに食ってるって言うのか……!?



「ま、まじっすかぁ〜〜。え、私のバイト先もペチャンコにしてくんないかなぁ……」

「や、それはヒドすぎっしょ!」

「えぇ〜〜、だって店長、目付きヤラしいんだもぉ〜〜ん……」


「ヤベぇな……世界中、えらい事になってんぜ! ぉ……おいおい……違う国で、島がマルマル移動を開始した、って騒ぎになってんぞ……!」

「そんなバカな……」



 僕もホロ・ヴィジョンをかけ直して、

 最新のニュースを確認する。


 ……!!

 お兄さんの言った事は本当だ!

 各地の、前々から過剰だと言われていた軍事施設が、

 軒並み襲撃されているらしい!


 ドラゴン、ゴーレム、それに見た事のない動物……。

 海上では、条約違反をしているであろう潜水艦が、

 巨大なタコの化け物に捕まったと報道している。

 妙だと感じたのは、

 潜水艦の乗組員が全て脱出するまで、

 タコは攻撃しなかった、という報道だ。



「……」



 『誰も殺したくない』という『神の意志』。

  その違和感を、僕も感じる事ができる。



「死者が……極端に少ねぇ。間違いねぇよ。これは計画されて起きた事だ」

「……あの、女神さまのお仲間によって、ですか?」



 みんなで見上げる。

 巨大な白の女神は、

 居眠りするように、

 空に微笑んでいた。



「あの宇宙ステーションのチカラで……全てを"描き直す"つもりなのさ……!」

「なんて事なの……これは、テロ行為だわ」



 お兄さんは、お姉さんの方を向く。



「……上等じゃねーか」

「……はい?」

「言ってたろ。あの女神さま。

 "この世界は、もう少し、夢を見る"って──」

「……」



 確かに、言っていた。



「何とかよ……。良くしようと、してんだよっ!」

「……!」

「ぜんぶ……"見えなくする"前にな……!」

「……」




 ……みんな。

 みんな、感じているに、

 決まっているんだ。


 "でっかい壁で、国をバラバラにする"。


 そんな方法が、いいワケが無い……!

 なのに、誰も言えなくて、

 選挙の投票が機能しなくなって、

 とうとう、独自で動く人が出てきて、

 ──何かが、おかしくなっていった。


 僕たち地球人は、確かに、間違えた。

 無関心を、正当化した。


 ──でも、そうじゃない。



 僕たちは、

 今、パーティを組めたじゃないか。




「……やれやれ。どうせ、商談はおじゃん(・・・・)だわ」



 OLお姉さんは、ため息をつく。



「……気づいてた? 私たちの動き(・・)……何か、補助するような力が働いているの」

「……! そうなのか?」

「剣を振った時に、確信した。腕全体を透明の強化スーツみたいなモノが包んで、動きを補佐してる」



 ……!

 そういや、さっき、僕も──……!

 あんな、凄い三連パンチなんて、

 いつもの僕が、できるはずが無い。



「私……あの宇宙ステーションの科学力を、ナメてたわ。まさか、ここまでの事ができるなんてね」

「ああ、全くだ……。人間って、怖ぇモン作るよなぁー……」




 ……"多元拡張宇宙ステーション『はぐるまどらいぶ』"。


 伊達や、酔狂じゃない。

 本当に、世界を描き直す力を持つ、

 僕らの、オーバーテクノロジー。





 ──グォオオオオオぁぁあ・・・!!!



「「「──!!」」」



「うぉー! たおしたー!」

「やっったぁ〜〜!」

「ひゃーふぅお──っ!!」





 離れた所から、歓喜の声があがった!

 女子高生の二人が、嬉しそうに見ている。



「おっ! 勝ったんじゃん〜〜?」

「なんかぁー、ダベッてる間に、倒しちゃったっぽいよおー?」



 向こうのパーティからも、

 笑顔や興奮が伝わってくる。

 そう、とても……、



「……"楽しそう"、だよな」

「え?」

「すげぇ、怖ぇチカラだけどさ……コレってさ」



「「「「「うおぉおおお──っ!!!!!」」」」」




 また、違うパーティから、歓声があがった。



「──"夢"が、あるよな」



 笑顔が、見えた。



「おにぃ〜〜さん、話ィ、ながい〜〜!」

「いくの? いかないの!?

 はやくしないと、みんな倒されちゃうよぉ〜〜?」

「ぉ、お?」



 JKズが、ゴネりだす。

 OLさんが、息を漏らすように笑う。



「──ふ、全くです。今日は自主退社するとしましょう。ほら……新しい魔物が現れそうですよ?」

「「──!!」」



 お姉さんが剣で指し示した方向には、

 地面に、複数の黒い穴が空いていた!



「やりま、しょうか」

「──ッ!」



 僕は、言う。

 


「正直に言うと……ワクワクしました。

 生きていて、イチバン」

「……は」



 お兄さんは、僕の目を見た。



「……よォ、少年。ちっとばかし、狩りにいくかィ?」

「……、──おぅ!」

「せっかくですから、このメンバーでパーティ組みましょうか」

「お姉さん、ホロナン交換してよぉ〜〜♪」

「あ、じゃあ私もぉ〜〜!」





  パーティが、できていく。

  人が、繋がりはじめる。



  バラバラになろうとした者たちが、

  繋がりだした────。




 僕は──────……










〘〘〘 ------;────ッッ!?!?!? 〙〙〙





「──ッッ!?」




 ────違和感。



 急にだ。


 急に、女神が、振り向いた。


 今の今まで、


 居眠りをするように、優雅だったのに。




 頭から生えた一対の羽根が、


 千切れそうなほどの速さで、振り向いた。




 ────太陽を、見ている。







「なん、だ? なに、を、あわて、て──」





〘〘〘 ------あ り、ぇ な い ☪︎.*・゜ 〙〙〙





 世界に響く、


 絶望に染まった、女神の声────。




〘〘〘 ------あっ ては; ならな い わ……☪︎.*・゜ 〙〙〙







     ガ、         ……!

           ン────

       チャ          !






「 む ねあ  てが 」












『────みナさんが。

 ────つけてイる。

 ────むねアては。



 ──────さいしょに:もどしまァァす。』








  は、ぐ


     る、ま、

         は、ぐる、


        ま 


  は、くる、


         まは



           くる


 



         ま



     はく

        るま


              ハ


  狂 ま

       は

               ぐ



      る


       ま


   は


      狂


         て


    ま









   外せた? 外せなかった?

   ん? もちろん、"胸当て"の事さ

                    」









『────なんで。』

 














    セーブしますか? ▽ |







(ノД`)

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『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
店長やったん気づかんかった(*´∇`*)
て、店長ーー!!!!!
[一言] この学生が、後のアブノさんなのかな…?
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