精霊聴取 ③ さーしーええぇぇぇぇぇえええ
確かにSFぽいんやで……?
でも、これも『おとぎ話』に
間違いないんです(*´ω`*)。.*・゜
私たちが乗り込んだのは、
絵本のように世界を描き直す事のできる、
宇宙ステーションでした。
──── 原作 『 はぐるまどらいぶ。』
「なんの……冗談でしょうか──」
「自身は……知らぬ! こんな、事が──」
「未来を決めるのは──……"何"?」
「め、メカっ娘……もっかい、キマシタわぁー」
『わたしと……同じ……?』
「…………やぁ。
ぼくの名前は、黄野 純夜。
────きみは────?」
『──────。』
きゅ、ぅぅうイイィィン・・・!
『────対象:ジュンヤ・オウノ:ヨリ:入力ヲ確認。
────当機ハ:型式ナンバー / The008:
────独立思考型/衛星制御ユニット:
──────" クラウン・レディ ":デス。』
「……そ、か。よろしくな、クラウン」
『────ヨロシク:ジュンヤ。』
『────"ステーション"ノ:ポイントヲ確認中……。
────正常稼働ヲ確認。
────繰リ返シマス。
────"はぐるまどらいぶ"ハ:正常ニ稼働中。
────"はぐるまどらいぶ"ハ:正常ニ稼働中──。』
⚙
〘------世界を書き換える権限を持つ者が、人では無いということ──。これは、私たちにとっては衝撃的な事でした-☪︎〙
『────:……、……。』
「、……」
この時、クラウンの隣にいてあげたかった。
私はマイスナと一緒に、壁際にもたれていて。
少し離れた所で、クラウンは。
『>>>……──ょ、っと……』
『────! っ:……。』
先輩が、彼女の近くに、さりげなく座り直す。
私の相棒のダンナは、超やさしさ義賊なのだ……!
ホッとする反面、なんだか。
自分が……情けなく思えてしまう。
〘#……国境を光の壁で隔て、各国の社会情勢をリセットする──。それが、君たちの仕事だったと──?〙
先生が問い、精霊王が、苦笑する。
〘------ふふ……仕事、と言えたのでしょうか。最初……私たちは、お互いを敵視していました。素で呑気だったのは、ジュンヤとアップルぐらいなものだったでしょう……。"その時"が来るまで、他の国のクルーが"勝手な事"をしないように監視する。それが私たちの"役目"であり、全てでした。でも、実際にプログラムを行使する者は、あの……小さな女の子の形をした"ロボット"だったのです。ふふ……私たちは戸惑いを隠せませんでした-☪︎〙
『────……。』
『>>>……おぃっ……おまえなァ……っ』
ローザ……いや、今は──。
──"ヒューガさん"、が言ってるロボットって、
"昔"のクラウン"の事、だよね……?
先輩、怒る。
"ウチの嫁さん 人形扱いすんな"、
と、精霊王に、ガン飛ばす。
〘------ふふ……大丈夫ですよ;勇者様-☪︎
------私たちほど、その子の"人間性"を知っている者は、他にいません-☪︎〙
『────……!。』
『>>>……っ? “人間性“……?』
クラウンを見るヒューガさんの目は、
慈愛に満ちている──……?
〘------地上の全ての造環廟が完成するまで、あと半年ほど。ピリピリとした雰囲気のステーションを和やかにしたのは、オウノ・ジュンヤ──その人でした-☪︎〙
『>>>……!』
〘------彼は本……ッ当にふざけた人間でしたが、心の根っこの方では、とても……思いやりがある男性でした。彼は初日に言ったんです。"ポテチとゲーム機もち込んだから、PARTYしようぜっ!"って-☪︎〙
……ぅ、うぃ?
『────:げ、ゲーム……。』
『>>>ポ、ポテチ……?』
〘------互いに牽制しあう間柄──のはずが、彼はあたかも"修学旅行"のように皆の前で振舞いました。"スゴロク"、"王様ゲーム"、"大富豪"、"テレビゲーム"……平気でお酒も持ち込んでましたし……今考えても、ホントに頭おかしいのんっ☆ ふふふ、とうとうキレたQ.Q.が誘いにのって、野球挙にのっかるというトラブルもあったりして──☪︎〙
「……、……」
『────:……。』
『>>>……、……』
「……せんせぇ。やきゅうけんって何?」
〘#……マイスナ、君は知らずとも良い〙
〘------まぁーるで、空気を読まない彼の"おてんば"は──結果として、私たちの関係を良好にしました。"何をするか分からない奴ら"から──"共に星の行く先を見守る仲間"のような思考に、皆を切り替えていったのです。彼無くして、私たちの団結は有り得なかったでしょう──☪︎〙
昔を懐かしむ、大人の女性の表情。
〘------クラウンはよく、ポカン……とバカ騒ぎを見ていましたが;これらのやり取りは、確実に皆の心を溶かしました。その影響を大きく受けたのは……シゼ2型、シゼツでしょう。"あだ名"で呼ばれるようになり、無口だった彼女は、チラホラと微笑みが増えるようになります-☪︎〙
シゼツ──。
"きひひ……!" と笑う、
わんぱくの代名詞のような、女の子。
〘------とある日、ジュンヤが言います。"おデコに紙当ててさ! 逆さ文字書けるって知ってるッッ!?" この頃……私は既にだいぶ毒されていましたから、ケチョンケチョンに女性チームで文句を言いつつも、趣旨に付き合っていました-☪︎〙
ジュンヤって人、
メンタル強そうだなぁ……。
〘------この時、シゼツは"ある行動"を行います。あれは、あのステーションで行使された──"最初の勇気"でした-☪︎〙
ピカ──────!!!!
【 のっ──ッ!? 】
< あれまぁ──! >
{{ ちょっ!? 胸が光って──!? }}
サキ、ダイさん、イニィさんの胸元が光り出す。
あ、これって──……!?
────ばぼんっっ!!
〘------あら……☪︎ あなたも昔語りに付き合ってくれるの?☪︎〙
『『ちょっ、ちょ、ちょ、ちょ、ヒューガ、アンタ、な、なに言う気なのっ……!?』』
「シゼツだ」
「出てきよったわね」
私がよく知っている、白い着物を着た、
チビ四つ角の生えた、鬼っ子シゼツだ。
ダイさんに似た、白っぽい髪を振りかざして、
精霊王モードのローザに駆け寄っている。
『『ちょ、アンタ! やめなって!? プライベートよっ!? なに急に記憶戻ってんの!? 昔の私のことォ、ベラベラベラベラ勝手にさぁー!!』』
〘------あーら? 今からあなたの事をベタ褒めする所でしたのに……☪︎ 全く;相変わらず子供っぽい恥ずかしがり方をするのねぇ、シゼツちゃんったら?☪︎〙
『『ここここここいつぅぅ──!! むぎゅ!? むー!!』』
あっ……。
ヒューガさん、ヘッドロック決めやがった……。
今この人、腕もスライムだから、
シゼツ窒息すんじゃね……?
『『ぷ、ぷぎゅー!!』』
〘------この時のシゼツは、機械化した身体の視覚やデータを、常に地上の第三者に監視されていました。彼女はおデコに大きめの紙を当て、私たちに……こう書いて見せたんです-☪︎〙
『『ぷ、ぷぎゅぬぅ──!?』』
ジタバタと、もがくシゼツ。
抑え込む精霊王のお姉さん。
シゼツの伝えたかった言葉。
〘------" あなたたちを
皆殺しにしろと
オーダーされた
だから わたしを
こわしてほしい " と──☪︎〙
……ッ!!
『『ぷ、ぷぎゅぅ~~……』』
シゼツは、脱力する。
ヒューガさんに口を押さえられながら、
恥ずかしいような、
何とも言えないような表情を浮かべている。
『>>>……くそったれ』
〘#……〙
〘------これは、あの場で明かされた、初めての"他国の陰謀"でした。そして──信頼の証でもありました。シゼツは暗殺専用のサイボーグ化をされた"刺客"として送り込まれていました。しかし……"私たち"の方を選んでくれたんです。これを見たサンドマンは部屋を出ていき、すぐに隔壁をぶん殴る、大きな音がしました-☪︎〙
「「……」」
〘------彼が怒ったのは;シゼツに裏切られたと感じたからではありません。15、6歳の、生身が4割ほども残っていない女の子が;自分を殺せと言ったからです-☪︎〙
『『むぅむんぎゅー!』』
シゼツが、スライム女神をポコポコしてる。
〘------サンドマンはジュンヤと搭乗前から仲が良く、シゼツ以外のメンバーは彼らから、とある作戦を持ちかけられます-☪︎〙
スライム女神は気にせず話す。
塞いだ旧友の口は、離さない。
〘------シゼツが私たちに殺し屋だと告白した二日後、大きな太陽フレアが発生し、一時的に地上との通信が途絶えます。私たちはソレを見計らい、シゼツのボディをショートさせ、脊髄と脳殼を含む彼女の生身の部分を切り離しました-☪︎〙
「……ッ! それ、さ……!?」
「死んじゃ、うんじゃ……」
〘------ふふ……いいえ。サンドマンは世界一の科学者でした。ジュンヤとアップルの協力を得て、新しいシゼツのボディを構成し直したんです。あの時のアップルのこだわりは……同性である私とQ.Q.をも、戦慄させるものでした……☪︎〙
『────そ:れ……私も手伝ったのですか。』
〘------じっくりとは見ていましたよ? 監視される事のない自由なボディ……それを、敵であったはずの私たちから手に入れたシゼツは……。特に、サンドマンには深い感謝の念を抱いたはずです-☪︎〙
『『ふっ、ふんむぅうう~~///!!!!』』
スラ女神の腕の中でギロ目しているシゼツは、
窒息してるから真っ赤なのではないみたいね。
〘------そんなに怒る事ないでしょう? あなたが最初に、私たちに"きっかけ"を作ってくれたわ。ジュンヤが……言ったんです。
"ここいらでさ……みんな、ぶっちゃけあわないかぃ……?"って──☪︎〙
ヒューガさんが、シゼツの口から、
ソっと手を離す。
『『むっ……』』
〘------正直……迷いました。でも結局は皆、そうしました。生活区画の机の上には、データ混入用のハードデバイスが四つと、不正アクセス用の端末がふたつ。いくつかのプロトタイプの演算監視装置が置かれていました-☪︎〙
『C7:……みんな、正直に話したにゃんなな……』
『C2:みゃ……』
〘------私は国境をずらす不正プログラムを。
------シゼツはクルー殺害後にアクセスする端末を。
------ジュンヤは自国のみが海流を操作する地形データを。
------Q.Q.はステーションを自爆させる気でした。
------サンドマンは、国際規格外の演算装置を。
------アップルは、改造した遠隔操作端末を組んでいました-☪︎〙
〘#……なんという事だ……〙
〘------恐ろしい思いをしたのは……サンドマンに、私たちの不正データを解析してもらった後です。私は国に、"わずかに国境壁をずらし豊かな領土を得る"とだけ教えこまれていました。しかし、実際に私が渡されたデータは……"接する全ての隣国に十日間・槍の雨を降らす"というプログラムが隠蔽されていたんです……☪︎〙
『>>>──!!』
『C3:え、えげつないですミャ……』
『C5:ヒトのする事ではないニャ……!』
〘------他のメンバーも……本人の知らない"国の政策"が、混入用データの奥底に忍ばせられていました……。日の当たらないようにするドーム状の構造物。質量弾を形成して自由落下させるプログラム。敵対国の海を埋め立てる地表データ──……。その大半が、数十億の命を一瞬で消し去るためのプログラムだと知った私たちは、閉口しました……。
"何なのだ……私たちの住んでいる国は"と──☪︎〙
皆、無言で聞き入っている。
〘------ジュンヤが言いました-☪︎
------"ボクたちで、やるかい?"と──☪︎〙
「……!」
"
本当に、
本当にダメなんだとしたら──"ボク達だ"。
ここに、全部があると思う。
こんなに、すごい技術があるのに、
今の地上には、夢が無い──……!!
なんで想像できないんだ?
"空を飛ぶドラゴン"……!
"翼を広げて飛ぶクジラ"……!
"はじまりの街"と、"個性豊かな魔物たち"……!
こんなデタラメな3Dプリンターでやるには、
一番さいしょに試すことじゃあないか……!
はは……ボクにはね、夢がある。
実は……"土台のデータ"は、もうあるんだ。
国は、作ろう。
ボク達で、一番みんなが、
陽気で平和に暮らせるカタチを、
創り出してやればいい。
でも──悪いやつらは、こらしめようっ!
なぁに、だぁれも殺したりなんかしないっ!
そうだな……ドラゴンにでも、吼えてもらおうっ!
海を埋めつくす、巨大イカの群れでもいい……!
ユーモアと思いやりは、いつも大切だ。
でも、容赦と遠慮は違うっ!
悪いヤツらの考えなんて、
でっかい怪獣にペッタンコにしてもらおうよ!
そして……子供に夢を与えるような──、
素敵な世界を、演出するんだ──……
"天空のお城"──。
"綺麗な神さまがいる世界"──。
"かわいいキャラクター達"──。
いくらでも"夢"が、
あるじゃあないか────……!
世界のみんなに、教えんのさ──。
すっげぇ、素晴らしいモノが、
生まれたんだって────。
"
〘------;ジュンヤはキラキラとした目で力強く言って、私たちはとうとう、それに賛同しました。ジュンヤが独自に作っていた"あるプログラム"をベースに、私たちは独断で国の領域と地形構成を入力していきました-☪︎〙
……"ある、プログラム"……?
〘------それぞれの国の人口、気候、食文化、自給率、各国のこれまでの情勢……様々なデータを参考にして、苦悩して……私たちは自分勝手に、でも……真剣に"星のカタチ"を完成させていきました。もうお分かりだと思いますが……私たちは、この瞬間から"世界平和を願うテロリスト"となっていたと思います。ですが、やめる気にはなりませんでした-☪︎〙
……世界を、設計したって事、かな……?
はは……スケール、おっかない。
〘------"プレミオムズ"というのは、ジュンヤが言い出した呼称なんです。由来は、よくわからないのですが──☪︎〙
『『っ! えっとね……。
" 聖音を捧げる者達 "って……、
そんな意味だって、
お兄ちゃん、言ってたわ……。
意味は、私もわかんないけど……』』
〘------;……!〙
『>>>"せいおんを、ささげるものたち"……?』
〘#……〙
〘------ふ。私たちは、何かに取り憑かれたかのように、全てのプログラミングを終えました。悪いやつらが空想の動物たちにビックリし、ファンタジーが世界を魅了し、その後、考え得る限りの理想の地形がプリンティングされる────。
後は、実行するだけです-☪︎
しかし、私たちは最後の壁に;ぶち当たりました-☪︎〙
『────最後の:壁──。』
〘------ふふ。かつての──あなたですよ;クラウン-☪︎
------初期のあなたは;全く以て融通のきかない論理思考を持った個体でした。いや……AIと呼ぶには、とても未熟だったのかもしれません……。私たちの"独断行動"など、許可するはずもなかった-☪︎〙
『────わ:たし……?。』
〘------地球再構成計画の実行者は、何故かアンドロイドである、あなたでした-☪︎ 正直に言いますが……その時のあなたに感情なんて……全く感じられなかったわ。見ていて、心が無いのがよく感じられたし……私たちの内、五人は──あなたの"破壊"に賛同しました-☪︎〙
『────、:……!!。』
目を見開くクラウンと、
しかめっ面をする先輩。
〘------しかし;ジュンヤだけは、違いました-☪︎
------"──説得しようよ"。
----------そう;言ったんです-☪︎〙
「せっ……」
『──とく。』
〘------サンドマンや他の皆が……実は私もですが──"彼女には心が無い!"と指摘しました。それに対してジュンヤは──
"じゃあ、ココロを持ってもらえばいいじゃん!"
と言いました──☪︎〙
む、"無敵メンタル"、なのォ……?
〘------──こうして。
------私たちの全てをかけた──;
------" クラウンちゃん☆説得大作戦 "が、
------開始されたのです──……ッ!☪︎〙
世界のためにー!
LET'S、せっとくっ!!
d(ゝω・´○).*・゜