精霊聴取 ①
連投ですね(*´ω`*)
今日も元気に無計画!
ヒゲイドさんの言うことは、
よく理解できたと思う。
私も冒険者の端くれだ。
命を扱う者として、
それを次に伝える大事さ。
それはたぶん、食事を作ることと同じ。
──でも、なんだか、ちょっと。
私の心のエンジンは、不調だった。
「配達、いこっか」
「ん」
何とか起きあがって、
良い気分転換になるかもと、
手紙の集荷量を確かめに行く。
一通だけしか、手紙はなかった。
「あれだけ頻繁に配っていただいてます。
こんな日もありますよ!」
キッティはそう言ってくれたけど、
私は少し、寂しくなった。
「カトリーヌさんの所だ……」
「うん、いこっ」
ドニオス東部14丁目に向かう。
あのおばーちゃんは、一人暮らしだ。
すぐに着いた。
「あぁらぁ、こんにちはぁ♪」
「はい……」
「こんにちは」
「ふふふ、暑くなるわねぇ」
手紙を渡す時。
あれ? いつも私、
どんな事しゃべってたっけ? と、
なかなか言葉がでない。
「お手紙、です……」
「はぁい。確かに受け取りました」
「ここに、サインください」
カトリーヌさんは左利きで、
ペンを持つ指には、
宝石付きの指輪が光っていた。
薬指だ。
旦那さんは──……。
「今日は、元気が無いわねぇ」
「……! いえ、その……」
「ま、そんな日も、あるわよぉ♪」
失礼な事を考えていた気がする。
天気がいいので、世界が明るい。
今日の私は、それについていけてなかった。
「ふふふ……この指輪、気になぁる?」
「……っ! いえっ、ごめんなさいっ」
何が、ごめんなさいなのか。
「あのっ……失礼します」
「バイバイ、おばあちゃん」
「はぁい、バイバイ」
あああ、ダメダメだぁ……。
その夜、ローザとイニィさんが起きた。
『────アンティ。
────ローザに情報開示を依頼しています。
────今夜:箱庭に集合でよろしいでしょうか。』
ドニオスに帰ってきてからは、
数日間、クラウンたちをスルーし続けた。
いや……言い方を優しくし過ぎた。
ガン無視し続けていた。
「ごめんね……行くわ。マイスナもいい?」
「いーよ。畳の部屋だよね?」
『────かしこまりました。』
クラウンにも、
ずいぶん気を使わせちゃってるな……。
夜、眠るのと同時に、私たちの意識は潜る。
シャボン玉の海のような空間を落ちていくと、
すっかり形の変わった"箱庭フォートレス"が、
眼下に悠然と航行していた。
『────鳥居などの建造物はそのままですが:
────両翼推進機構や:機関部周辺:
────メイン重火器系統のほとんどが:
────リニューアルしています。』
「なんか……すごいわね」
「綺麗なカタチしてるね」
羽衣みたいな羽根がついてる、巨大な船。
朱色の木組みの城。
トン、と降り立つ。
〘#……きたか〙
居間の飴色の机には、全員が集合していた。
ミャナミとニャンゴが、お茶を配っている。
あ、ローザいた。
〘------いやぁ~~:ご心配おかけしましたのん-☪︎*〙
けっこう元気そうだ。
すぐ横で、イニィさんがニャーナのほっぺたつねってる。
{{ こぉーんーかーいーはーキーモーがーひーえーまーしーたー! }}
『C7:ぎょ、ごめんにゃん……』
ミャーツとニャーナは、
クラウンが釘をさしてくれたらしい。
『>>>さて……んじゃ、やりますか?』
〘#……そうだな〙
これだけ大所帯なのに、シーンとなった。
上座にいるローザに、目線が集まる。
〘------えーっとのん……☪︎
------もちろん;ここまできて隠す気はないのん-☪︎
------でも;どゆ感じでやったらいいのん? ☪︎
------質問形式の方が良いのんか……? ☪︎〙
クラウンが、手をあげる。
『────初めに:確認します。
────あなたは……" サーバー "の一人ですね?。』
〘------そうのん-☪︎
------ウチは" 月曜日サーバー "のん-☪︎〙
ローザは、あっさりと認めた。
『────:……。』
『>>>何故、今まで隠してたのさ……』
〘------隠していたというより;本当に記憶がなかったのん☆
------復元された記憶がダウンロードされたのは;
------あの炭鉱の地下でだのん-☪︎〙
『>>>……なんだって?』
〘------サンドマン……あなた達が"スナヌシ"と呼ぶ" 土曜日サーバー "は;意識が混濁する前に;アップル……" 木曜日サーバー "のネットワークの力を使って;私の記憶情報をかき集めてくれていたのん-☪︎〙
『>>>…………』
『────記憶を;失っていた……。』
クラウンは自分の胸に、
無意識に手を当てている。
〘#……君は……私たちをこちらに呼び出した、"王女ロザリア"の記憶も持っているようだが……容姿もよく似ているのは何故だ?〙
〘------ウチのオリジナルである"ヒューガ・モーント"は;様々な自己の永続手段を模索したのん-☪︎ 人アバターの遺伝子情報の組み換えや;自己生命情報の魔術投影……今のウチにはわからないけど;ネットワークに断片記憶を流し込む事もやってたみたいのん-☪︎ 結果的に;かなりの手段が成功して;ウチは複合体になっちゃったのん-☪︎〙
『>>>……』
〘#……〙
先輩と先生は、
これを聞いて顔を見合わせている。
……正直、ローザの言ってることが、
よく理解できないからだわ。
クラウンが、聞く。
『────私も……:" サーバー "なのですね。』
〘------そうのん-☪︎
------あなたは" 日曜日サーバー "だのん-☪︎
------勇者様も……" 金曜日サーバー "の後継機になってるのん-☪︎〙
『────。』
『>>>っ、……』
クラウン達は何か言いたそうだったけど、
先生が遮った。
〘#……根本からいこう、ロザリア。
" サーバー "とは、なんだ?〙
〘------ギンガ様は;
------だいたい;予想がついてるんじゃないのかのん?-☪︎〙
〘#……〙
先生に視点が集まる。
〘#……君は……"宇宙飛行士"か?〙
『>>>──!!』
〘------ふふふ;だいたい合ってるのん-☪︎〙
ローザは、静かに笑っている。
『>>>先生、どういう事です……!?』
先生が、私の方を見ている。
え……!? な、なに……?
〘#……国際宇宙ステーション、"はぐるまどらいぶ"。
君たちは、それの……"乗組員"だな?〙
──……ッ!
〘------その起案名は;本当に初期の発案名のん-☪︎
------正しくは後世で;こう言われるのん──☆〙
ローザから柔らかい表情が消える。
〘------"多元拡張宇宙ステーション:はぐるまどらいぶ"。
------地球再構成計画;実行チーム、"プレミオムズ"──☪︎〙
「……アンタ、今、なんてった……?」
〘------私は……その、最初で最後のメンバーです。☪︎
------5人の人間と、1人のサイボーグ、
------そして……ひとつのAIソフト────☪︎
------その内の、ひとりですよ ☪︎〙










