裸の正義に装甲を さーしーえー
(´∀`*)"お約束"な感動を。
──爆発のような、パンチ。
がきゃぁぁああンンンンンンンンン──!!!!!
例えなんかじゃない。
敵も、腕も、吹っ飛んでる……っ!
「あ、アッパー……!」
「お手手がっ……!!」
泥の巨人が倒れ、
アッパーの破片が舞う。
先輩は、自分の過去と重ねていた。
『>>>……! ずっと岩肌を殴り続けてた腕が、あんなに脆いはずがない! 昔のぼくと同じだ……! "時"が、動き出したんだ!』
時の止まった最強の装甲。
それが、崩れ去って行く時。
かつての、黄金の義賊の記憶──。
「アッパーの体全部が……柔らかくなっているっていうの!?」
『────そうとしか考えられません。
────基礎構造の強度が:
────著しく低下しています。』
なぜ……! そんな……!
そんな、可哀想なことが……!
〘------"時の単位"が;戻ったからのん……☪︎〙
「「……っ!?」」
かつての姫が、ポツリと言う。
〘------あのボディは;
------私たち由来の素材が大半のん……☪︎
------こっちの世界の物質より;互換性が無いのんな-☪︎
------"時間"が正常化して;
------急速に劣化したんだのん……☪︎〙
「……、つまり……」
「私たちのせい……?」
ローザの言ってる事はわかんないけど、
私たちが、"何かをした"という感覚がある。
動き始めた。整えてしまった。
私たちが────……!
『『『『『 アッパぁぁあああ・・・!!! 』』』』』
OoooonnnNNNUUUUUU・・・!!!
アッパーの腕は両方とも、無い。
左腕は肘から下が、
右腕は拳が無くなっている。
『────強度不足に起因し:打撃が通っていません。
────敵対象:活動を再開します。』
「アンティ! あのままじゃアッパー、もっと壊れちゃう!」
「くっ……」
どうすればいい……!
私のヨロイや歯車は、
敵の"龍属性無効"で弾かれちゃうし……!
マイスナにも、私の龍属性が影響しちゃってる……!
やっぱり、"熱と氷"……?
くそ……! あの威力を使いすぎると、
いつ、オーバーヒートするか……!
属性って、なんて厄介なの……!!
ひゅるるるるるるぅぅぅうう──────!
ん……?
なんか落ちてきた……な?
「にょっきぃー!!!」
「っ! うさ丸っ!? ──ぶわっっ」
──ぽてむ、がしぃー!
「……アンティ、顔にうさ丸ついてるよ」
「……」
「にょきっと」
「くゆーっ」
ダイビング兎をひっぺがし、
問いかける。
「──ぷぇい! うさ丸! アンタ、もっかい大きくなれないの!? さっき、なってたわよね!?」
「にょ……! にょきっと……」
両耳を垂らして、両目を隠しよった。
丸いわ。
『────巨大化には:クールタイムがあるようですね。』
〘------勇者さまにも;休息は必要のん!-☪︎〙
『>>>……はい?』
よ、よくわからんが、
しばらくは動くぬいぐるみさんモードのようだ……。
「──ぇえい! 頭の後ろ乗っときなさい! 離すんじゃないわよっ!」
「にょ! にょきっとなぁー!」
ガシィン・・・!!
うさ丸を後頭部に装備し、見上げる────!
── OoooonnnNNNUUUUUUAAAAA──!!!
──ズガガガガガガガガ──!!!
『『『『『 アッパーぁぁ……!!! 』』』』』
「うおああ!!」
「アッパー!!」
砂の津波が、槍のようにアッパーを襲う──!!
ホコリと一緒に、破片が舞い散る!
体の表面が……砕けているんだ!!
「バカやろぉ! アッパー!! 逃げなさいっ!!」
〘#……あれは、もたんぞ……〙
んなこた、分かってる……!
泥の怪異は、大きな人型になって立ち上がる……!
土の神殿と、泥の王────……!
ごっついシルエットは、空間を支配する……!
ズシン──……!
ズシン──……!
── OoooonnnNNNUUUUUU──……!!!
「「……ッ」」
胸に……打撃さえ通れば……ッ!
ヨロイを脱いだら、龍属性では無くなるけど……、
いや、死ぬわな……。
大きな氷の塊をぶつけてみる……?
いや……それだけじゃ……!
『『『『『 アッパァァ……!! 』』』』』
「……! あの子……!」
「に、逃げて……!」
アッパーは、腕を後ろに引いている……!
まだ、殴るつもりだ!
バカッ……! もう、拳なんて無いのに……!
『────断裂した腕部の強度では:
────攻撃自体が:自身の崩壊を招きかねません。』
『>>>右腕が、ぜんぶ無くなっちまうぞ……!!』
「にょきっと……」
「くゆー……!」
── OoooonnnNNNUUUUUU……!!!
『『『『『 アッパぁぁあああああ!!! 』』』』』
ギシギシ、バキン・・・!!
「……、……ッッ!!」
──音がした。
ダメだ。マズい。
私の中の感覚が、悲鳴をあげる。
「あ、──アンティ!」
「……っ! く……! ──クラウン!!」
とっさに叫ぶ!
そう、これは────、
────ただの、思いつきだ。
「──アッパーの腕を──補強して!!」
『────レディ。』
──ぎゅいいんんん・・・!!!
『『『『『 アッパああ!!! 』』』』』
──巨大なパンチに生まれる、金のきらめき。
──────────ふりぬく。
──"属性無効"が発動します▼
────────────ドゴオゥ・・・!!!!!!!
ゴォオンン────────ン!!!!!!!
──Oooo……!?
──土砂ァァああああああああぁぁぁ!!!!!
「「 え……!? 」」
『『『『『 アッパあぁああー!!! 』』』』』
──土砂ぁぁあああんんんん!!!!!
『────貫通……しています!。
────ダメージが:貫通しました!。
────敵対象に胸部に損壊確認!。』
『>>>──はいった! 打撃がはいったよ!!』
え──!?
……なして!?
私の歯車で包んだ、巨大な黄金の右腕!!
ぶっ飛ばしたわ!!
『『『『『 ……アッパぁぁー??? 』』』』』
なんやアイツ……。
く、首ひねってら。
ま、まぁいきなり、
お手手が金ピカになりゃあね……。
〘#……何故、攻撃が通った!? あの拳の歯車は、龍属性ではないのか!?〙
『>>>クラウンちゃん!』
『────分析完了。
────これは……。』
クラウン……?
『────"属性無効"の発動を:確認しました。』
「ぞくせい……」
「むこう……?」
──Oooonn……nnn……!
あっ、また立ち上がる……!
……っ! 胸が少し陥没してる!
やっぱ、効いてんだわ!
『『『『『 アッパぁぁあああ──!!! 』』』』』
──OooonnNN,,,AAAAA──!!!
もっかい殴る、アッパー……!!
砂の腕でガードする、土の巨人……!!
ゴ──────────ン・・・!!!!!!!
──土砂ァァああああああああぁぁぁ──!!!
「っ!! また入ったわ! 攻撃が弾かれてない!!!」
『────情報を共有します。』
『>>>なるほど……! こぅいう事か……!』
「えっ……?」
──ダァアアアンンン・・・!!!
『『『『『 アッパー♪♪♪ 』』』』』
泥の巨人は、しりもちをついている!
ダウンしている間に、クラウンが言った!
『────"龍属性"が:無効化されているのです。
────だから:防がれませんでした。』
「……?? えっと、だから、それは敵に、でしょう……?」
クラウンの言ってる事、よくわからん。
『>>>あ、そぅじゃなくて……要するにさ。きみが龍属性じゃなくなれば、攻撃は通るんだよ』
「──!? どゆこと!?」
先輩の言ってる事も、よくわからん。
〘#……なるほど。今、分析結果を見た。彼のマスターは、気づいていたようだな……〙
先生まで……よくわからん!?
「はい。わかりやすく教えて下さい」
マイスナが、私の気持ちを代弁する。
〘------こっ;こんな事があるのん……!?-☪︎〙
えっから、はよ教えろや。
『────アンティ。
────アッパー・ゴーレムには:
────全ての属性を無くす能力があるようです。』
……。
……。
………………ふんむ?
『>>>たぶん、彼のパッシブスキルなんだ。彼には属性の概念が無い』
……。
……??
…………???
『>>>あっ、イマイチわかってないね?』
……ぶぅ。
『────アンティ。
────彼の直接接触部は:
────敵も味方も:属性が消失するのです。』
……!!
〘#……彼の右腕の歯車からは……"龍属性"が消えているのだ〙
「……それって!!!」
──OooooNNNNNNNNN──!!!!!
『『『『『 アッパ・・・! 』』』』』
「……ッ!」
まーだ、立ちやがりますか……。
しつこい野郎は、嫌われるわよ?
さて、私は。
言われた事を、考える。
「……アッパーに触れていると、
私の属性も、敵の属性も消える……?」
『────肯定。その通りです。』
『>>>はは。よぅするに……敵がどんな属性を持っていても、"ただの殴り合い"に持ち込めるスキル──それが彼の能力、"属性無効化"なんだよ』
『『『『『 アッパ・・・! 』』』』』
──OoooonnnNNNAAAAA・・・!!!
──パラパラ、パラ……。
「 そっ、、、かぁ 」
私、わかった。
"今日のお話の主人公"は、彼なんだ。
土の巨人が、殴りかかる。
アッパーが、ガードする。
キカイ仕掛けの瞳に宿る、確かな意志。
このままじゃ、いけない。
──────料理の仕方は、わかった。
「・・・マイスナ!!」
「──はい・・・!」
────跳び上がる。
歯車と鎖よ、唸るがいい────・・・!!!
ギュオオ、
ギィイン、
─────ガ、きぃいいいんんん・・・!!!
『────物理接合媒体に接続。
────アッパー・ゴーレムの基盤因子に直結。
────流体金属を補填。
────基礎フレームを再構成中。』
『>>>外殻装甲を高密度アナライズ積層で補填する。急ごしらえだ、文句は無しで。両手機関部の設計を完了──!』
〘#……脚部駆動系に介入した。鎖と歯車がある、問題ない。膝関節を修繕したが、装甲が甘い。前面に氷積層シールドを形成する〙
〘------金属素材は;周りにいくらでもあるのん-☪︎
------冷却装置は任せるのんっ-☪︎
------ショック・アブゾーバーが未発達のんなー☪︎
------ウチの身体でも充填しとくのん──☆〙
──もう、砕けはしない。
『────第三装甲の設計を。』
『>>>めんどくさい。ヨロイの形を流用しよう』
〘------仮面つけてやるのん-☪︎ 気に入ってたのん-☪︎〙
〘#……補助演算はこちらでやろう〙
──金の右腕。
──銀の左腕。
──盾の両足。
──鋼の仮面。
──身体は、想いで出来ている──。
『────アッパーマン:プロトタイプ。
────オーバーレディ。』
「やったれ、アッパー」
「キカイのチカラ、なめるなよ」
『『『『『 ──UPPAAAAAAA!!!!! 』』』』』
──ぎゅぅういいいいいいいいいんんん!!!!!!!
────魂の駆動が、轟いた。
ダイナマイトアクション版のダイ・ガード、なんやコレ……!
ひゃくてんやないかッ……!(((;゜Д゜))).*・゜










