E度夢気分
今日も元気に問題作(*´ω`*)。*・゜
──ジャジャ────……。
──がちゃ、ん。
「なんだぁーい……。
電車って、お手洗い一つだけじゃないのね。
追いかけっこしてソンしたわ!」
ちゃんと、水の魔石ついてたわね。
勝手に水が流れて、ビクゥッ! ってなったけどね!
立ち上がると、すぐに流れる仕組みなのかな……。
兎にも角煮も、水に流してもらえて良かったわ……。
「──にょっぷしょい!!! ぶ、ぶるるる……っ!」
「あらぁ、尊主さま!! お風邪ですか……?」
「くゆーっ♪」
ま、バッグ歯車さえ使えたら、いつでも洪水に出来るけどね。
ローザのうるおい保持のために、
雨の日とか、空にバッグ歯車、投げまくってるし。
『>>>今、保水量どんだけあるのさ? ガロン単位?』
『────考えないようにしています。』
『>>>おい……』
「んー、マイスナ遅いわねー……んぉ?」
お手洗いとお手洗いの間のスペースに、
なんか変なのみっけたわ。
[[[ 乗車フリーチケット 販売中 ]]]
「うぅぉおおお──い!! なんなのよコレぇ──ッッ!!?」
『────解。
────チケットデバイスの:
────販売筐体だと予測。』
『>>>んだよ、自販機あんのかよ……』
「ギャンブルしなくても車内で手に入ったんじゃないのー!!!」
「うぉ、アンタ何してんのよ。遅いわね」
「立ったら勝手に出るわよ」
ふんむぅ……?
先輩の知識で、何となーく"自販機"ってわかるけど……、
あれ、コレってお金入れるキカイなんじゃないの?
ちがうのかな?
エキィンさんは「旅プライスレス」発言してたかんなぁ。
「つか、どーやって買うのよォ……。クラウン、ちょーっとアナライズカードで分析してみなさいな」
『────レディ。
────資金投入口らしき溝の付近をスキャンします。』
──ヴォン!
──ガ────ッ。
『────:ええっ。』
吸い込まれましたな。
アナライズカードな。
『────と……:取り込まれました。』
『>>>あ……そーいう事かぃ……? それっ』
ヴォン、──ペカァ──!!
まぁぶいまぶい。
先輩が、高密度圧縮したアナライズカードを出しました。
ピカピカゴールドで、非常にやかましい色のヤツです。
『>>>よっと!』
ガ────ッ!
「……アナライズカードがお金の代わりなの?」
『────複数のボタンが:光を帯びています。』
『>>>当たりだねぇ。……ぼくら、無限にアナライズカード出せるから、これ転売したら金になるよ?』
まーた先輩は盗賊みたいなコト言っちゃって……。
こんな、ドコ走ってるかわかんない(ガチ)ローカル線に、善良な一般ピーポーを巻き込めるかぁ。
「この数字、どう思う……?」
光ってるボタンを指さす。
[☈]✕ 1 [☈]✕ 10 [☈]✕ 100
⊂⊃ ⊂⊃ ⊂⊃
『────乗車可能回数を表す数値と予測。』
『>>>そだね。定期券みたいなモンじゃないのかぃ?』
定期券……ってなんやねん。
全てが己の知識で補完されると思うなよ。
「ひゃく? ひゃく押していいわね? いいよね? いきなりバクハツとかしないよね?」
『>>>もし爆発したら、あの駅員さんブッ飛ばすの本気で手伝うから』
『────それは:私も同意します。』
『>>>だいじょーぶだって! たぶん、一枚だけチケットが出るだけだよ。100回使える仕様のさ』
『────可能性:高。』
「そなの?」
信じたろやんけ。
────ポチッ。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!
──100枚でたけど?
『────も:申し訳ありません……。』
『>>>あっれぇ──?』
ジャ────……。
──ガチャ、ん。
「……アンティ、何やってんの?」
「……ひろうの手伝って……」
床に散った乗車チケットを確保し、
イニィさん達がいる客席に向かう。
「いいか。今から10フヌカン、アンタたちをポンコツ風呂チュッチュ夫婦と呼ぶ。異論は消え失せろ。私はたいへんプンスカしている」
『────ミスは自覚していますが:
────あまりにもプライベートに踏み込み過ぎです。
────良識的な減刑を求めます。』
「……飛び出してくるチケットを、おへそで100枚受け止めた私の精神的苦痛……誰にもわかるまい!」
「私かんじたよ。ペシペシしてたね」
『>>>枚数とは思わないだろフツー……。あ、あとさ。そんなお風呂でヤンチャしてないからね……?』
「ダイ姉が仕掛けた"風呂の扉に紙挟むだけカウント調査"では、アンタ達が一日に最も多く混浴した最多記録は──11回よ。喜々として報告しに来てくれたわ……。服を着ている時の方が、短い一日だったんじゃなぁいのぉう?」
『>>>さ……、最大の、敵は……味、方にアリ……。──ガクリ』
『────アンティ。
────少々:おイタが過ぎましたね。
────私のモニタリング能力を侮ってはいけません。
────ヒト様の恋慕事情を開示するのならば:
────ご自身の心配もなさった方がよろしいかと。』
「……どっ、どういう意味よ……?」
『────現時点までの:
────アンティとマイスナのトレード量を:
────コップ何杯分という単位で表しましょうか?。』
「「…………」」
──ガタン・ゴトン──・・・
──ガタン・ゴトン──・・・
「──よォし、わかった。戦争ね……?」
「クラウンさんっ。私、いまのそれ……すっごく興味がありますっっ」
「マイスナは黙ってなさいっっ!? この頭上人妻!! わ、私はアンタを、そんな低俗なスキルに育てた覚えは無ぁあ──ッい!!」
『────ふふ。
────バケツ測量でも:よろしいですよ?。』
「こっ──!? これかぁあ──!!
この王冠かァ──!!? コイツぅゥゥウウ──!!!」
『────む:むぎゅー。
────は:はなせぇえ──。』
< あらぁ~~花ぁ~~? 安ちんと冠ちゃんが喧嘩しとぅよぉ~~? 珍しい事もあるもんやなぁ~~! かんらかんらぁ~~♪♪ >
【 だ、大姉ぇ。おどれが諸悪の根源じゃ…… 】
〘#む……花摘みは終わったのかね? な、なんだね諍いか? や、やめたまえ、こんな時に……〙
頭上の人妻本体に握撃を加えながら一号車に戻ると、イニィさん達が車窓から外を見ている。
なんだなんだ?
『 がるるぅー! 』
〘------のんなぁ──☆☆☆〙
{{ ──! ピエロちゃん! 紫電ちゃん! 外を見て! }}
「なぁに? ……! これ……!?」
「花くらげが、集まってる!」
マイスナが驚きの声を発するくらいに、
大量に集まっていた。
さっきまでは近づくと逃げていたのに、
今は──この電車を、追いかけてる……!
「すごい……薔薇の花の大行列だわ」
「わぁ──……」
100とか200の話じゃない。
亜空間から全ての花くらげが集まってきてるみたいな。
『────アンティ。
────"花くらげ"達により:
────トンネル状のデバイスが構成されていきます。』
「──!」
風呂チュッチュ嫁の指摘の通り、
電車を包み込むように密集してきているわ!
まさに、"花のトンネル"……!
あ……なんか白く光ってる──?
『────類似流路構成:該当有り。
────これは:…レエンの大聖堂の──。
────アンティ!
────:転移術式です!。』
「……!」
──シロを、潜り抜ける────……!!
──────────カッ・・・!
──ガタン・ゴトン・・・!
──ガタン・ゴトン・・・!
「抜けた……!?」
「アンティ、ほら──」
「──!」
トンネルの先には、
────蒼空が広がっていた。
「──外に出られた!! クラウン、場所はわかる??」
『────周囲:検索中。
────該当マップ:無。』
「そんな……何処を走っているの?」
窓を調べると、
どうやら上にスライドするように開きそうだ。
──ガチャ……カン。
──ひゅおおお──!
顔を出して、外を覗く。
上は蒼空。
下を見て、驚いた。
『────申し訳ありません。
────線路のアナライズカードに干渉して:
────上手く高度を計測できません。』
『>>>後輩ちゃん、あまり窓を開けないほうがいいかな。気圧が下がっちゃうよ──』
──下も、蒼空だった。
たまに湯気みたいなモクモクに突っ込む。
でも、焦げたような嫌なにおいはしない。
「……空、走ってんじゃないのよ……!」
「すごいねー」
このモクモク……まさか、雲?
なんなのよ、このトンデモ列車はぁぁあ……!
{{ ピエロちゃん! こっち! こっち来て! }}
反対側の窓の方から、イニィさんが激しく手招きしてる。
マイスナと一緒に移動する。
「な、なんなのよう」
「どうかしたの?」
イニィさんは風呂チュッチュ夫のアドバイスを無視し、窓を全開にして、外の上の方を指さしている。
その先を見た。
「──んだアレ……!」
「──おおきい……!」
『────:……凄いですね。』
『>>>す、"スーパーセル"かな? いや……』
列車を走るすぐ横に、
大きな、大きな渦を巻く雲があった。
いや……巨大過ぎて、すぐ近くに感じるだけかもしれない。
球体状になっている純白の巨大雲は、
まぶしい蒼空の中で見る分には、
まるで神のいる場所だ。
雲の形状を見るに、回転しているみたいで……。
なっがい天使の羽根のような雲が、
いくつも巻きついている。
うまく言葉がでない、大きなものだった。
「すげ……」
「うん……」
ちかい。
ずっと見ていると、雲の裂け目が生まれた。
アレだけで、街がひとつ入りそうな裂け目だ。
「………街?」
純白の間に、建造物が見えた。
たまたま、風のいたずらなのか、
巨大な球雲の羽根が、大きく瞬いた。
「………お城……かな」
確実に、あの雲の中には、何かがあった。
城……というには、アレは大きすぎる。
太陽が照って、外壁のようなモノがよく見えた。
なんだアレ──……。
「……」
「……」
『────:……。』
『>>>……』
〘------のわ──っ☆☆☆〙
〘#……〙
{{ …… }}
『 がるぅー♪ 』
・・・キキィィ────……!
──ガァ────ッッ!!
みんなでビックリしている間に。
いつの間にか、列車は駅に止まっていた。
色々ブッ飛び過ぎている、天空の駅だ。
半透明の駅の、屋根の下に。
看板のようなアナライズカードが浮いていて、
こう書いてあった。
[[[ が れ お ん 前 ]]]
「う、そぉぉ……」
「……アンティ?」
ま、まさか……アレ、
────" ロストガレオン "──?
──ガチャン、バン!
私たちがビックリしている間に、
空の風景は動きだした。
伝説のダンジョン、スルー。(´・ω・`)+.*・゜










