リベンジマッチ
(●´ω`●)おまたんたん♪
朝です。
アンティが、お手紙の有無をカウンタに問い合わせていると、ギルマスが近づいてきました。
ギルマスは大きくて黒い柱みたいな人です。
「その……アンティとは仲良くやっているか?」
「……?」
ヒゲイドさんは、いきなり変な心配をしてきました。
まるで、お父さんです。
正直に答えます。
「仲良いよ。昨夜も戦争だったよ」
「──なにいっ!?」
アンティと私の戦いは、これからだ。
「せ、せん……!? 女の二人暮らしとは、それが日常茶飯事なのか……? いや、ケンカするほど、と言うが……」
「ケンカじゃないもん。正々堂々やってるもん」
基本的にアンティも私も防御はしません。
徹底的に攻めを貫きます。
「……?? ま、まぁ程々にな……仲良くするんだぞ?」
「大丈夫だもん」
仲が良いからやってます。
ちなみに、いつも引き分けです。
「うぅむ……年頃の娘は、よくわからぬものだ……」
巨人が去り、アンティが来ました。
「んぬ? ヒゲイドさん、なんか言ってた?」
「仲良くしなさいって」
「……これでもかってくらい仲はいいんだけどな……」
「うん、そう言っといたよ」
倒し倒されの仲ですから。
私は幸せです。
「お手紙どぅ?」
「ん、今は急ぎは無いって。ちょっと溜めときましょう、ってキッティが。あ……」
「どうしたの?」
「なんか、急に言われたんだけどね……? "闇の奴隷商人さんには気をつけてくださいね! お二人とも隠れ天使なんですから!"って注意されたわ……」
「私はわからないけど、アンティは天使だね」
「いやアンタ、ヨロイに羽根ついてるでしょ」
そういえば、そうでした。
「うさ丸の腰、治ったかな」
「みたいよ! アレだけローザの体流ぶっかけたら大丈夫でしょ。なんか全快祝いの催しがあるとかで、早朝に連れ去られたって」
「……どこへ??」
「──我らが尊主様は、永遠なり!!」
「「「「「「「──永遠なり!」」」」」」」
「──にょきっと連盟は、世界の礎なり!」
「「「「「「「──然り! 然り! 然り!」」」」」」」
「──さぁ皆よ! キャロットを持つのてす!
尊主様の復活を祝おうではありませんかぁぁ──!」
「「「「「「「──にょきっとなぁぁぁ!!!」」」」」」」
「ふふ……どうぞ、尊主様。今朝、産地から献上されたオメガニンジンでございます」
「にょ、にょきっとな……。にょんむにょんむ……──にょにょ! バリガキんごきん、ボリバッコリパァァンッッ!」
「な、なんて愛らしいお姿なの……っ!」
「とても力強い咀嚼だぁ……!」
「あの揺れる耳は、生命の息吹なり……!」
「……くゆー?」
「「「「「「「──!?!?!?!?!?」」」」」」」
「──あ、アマロンさまっ!? しっ、侵入者ですっ……!」
「ば、バカな……! そのような事がッ……!?」
「し、信じられん……! 彼奴は命が惜しくないのかッ!?」
「たった一匹で、この支部に乗り込んでくるなんて……!」
「今日、新たな歴史が刻まれる事になる……ッ!!!」
「──な、なぜ貴様がここに──ッッ!?
"こしょこしょオオカミ"ぃぃい──!!!!!」
「くゆーっ♪」
「にょきっと♪」
「……わかんない。キッティの友達が連れていったんだって」
「ふぅん。ねぇ、アンティと私って、友達?」
「……! あ、あのねぇ……世間一般のお友達は、寝る前に、あんな互いを塗り潰し合うような揉みくちゃはしませんっ……!」
「えっへへ……!」
「もー! 可愛いから笑うなっ、いくよ!」
今日は、アンティとリベンジマッチです。
絵本タッグの恐ろしさを見せてやります。
主に魔物さんに。
本日は炭鉱行きの馬車がお休みらしく、
他の冒険者さんは、アソコへ行きません。
チャンスです。ひと目がありません。
アンティと私なら、馬車が無くても平気です。
着きました。
誰もいないので、ちょっと延長戦をしたくなりますが、
ここはガマンです。
ドンドン炭鉱には、いつも地鳴りが響いています。
まるで、巨大な心臓の音みたいです。
ド ォ ォ オ ン ・・・ !
ド ォ ォ オ ン ・・・ !
ド ォ ォ オ ン ・・・ !
『>>>──と、言うわけで、クラウンちゃんは昨日から押入れに籠城していてね。ダイさんが布団がしまえないって困ってたよ……』
「あの子はぁぁああ〜〜!! 先輩! ちょっと引っ張り出してきてよ! 自分の嫁さんでしょっ!」
『>>>でもホラ、きみらのサポートがさぁ……。いや……ローザと先生もいるか……。うんそうだね、ちょっと行ってくるよ!』
クラウンさんは、昨日の失敗を気にしています。
私たちが欲しい素材が、ゴーレムの胸からとれると気づけなかったのがショックみたいです。
「ねぇ、ローザ。なんでクラウンさんは押入れにいるのかな」
〘------ネコ型ロボットだからのん☆〙
〘#……ろっ……ローザ! 止めないか……!〙
ローザの言ってることは、たまによくわかりません。
『>>>いやー遅くなったね。連れてきたよ』
『────申し訳ありません申し訳ありません申し訳ありません申し訳ありません申し訳ありません申し訳ありません申し訳ありません……。』
「こらぁークラウン! いーかげんに立ち直りなさい! "モツ煮込み"にしたゴーレムが、たまたま違う魔石持ちだったんだから仕方がないでしょー!?」
〘------まーた連呼モードなっとるのん☆☆☆〙
〘#……クラウン君。そこまで気に病まずともだな……〙
ドジっ子クラたん登場です。
いーや、悪いのは、あのゴリラパパです。
物理的に胸に埋まってるのなら、
50体、倒しきる前に教えてください。
『────ごめんなさい:ごめんなさい:ごめんなさい:ごめんなさい:ごめんなさい:ごめんなさい:ごめんなさい:ごめんなさい:……。』
「あー!!! もぅいいって言ってるでしょ!! てかアンタだけのせいじゃないわよ!! みんなのせぃじゃい!!」
私が考えるに、今回の問題は以下の通りです。
●顕現化ドロップじゃなくて、剥ぎ取りだった事
●スターエメラルドの魔石を持つゴーレムがランダムな事
●アンティとクラウンさんが流路分析したゴーレムが、エメラルド系の魔石を持っていなかった事。
●倒す前に、一度は全ての個体にアナライズスキャンすべきだった事
これらを、誰かがちゃんとしていれば、
クラウンさんが持っているダンジョンモンスター情報と照らし合わせられたと思います。
「はわぁ〜〜ゴーレムいるかなぁ。昨日で全滅したりなんかしてないわよねっ!?」
『────サーチ:アンド:デストロイ。
────サーチ:アンド:デストロイ。』
『>>>リポップするのに間隔あるかもねー。奥にいるかもしれないけど、レベル帯がわかんないしな……』
「アンティ。次見つけたら手足くだこう」
「怖ぇわ。それってゴーレムの話だよね?」
「手足なくなったらゴーレムじゃないよ」
アンティが冷や汗をかいています。
?? ……何故でしょう?
「心臓を、よこせー」
「……マイスナ、その掛け声二度と言わないで」
リベンジクエスト、続行です。
ド ォ ォ オ ン ・・・ !
ド ォ ォ オ ン ・・・ !
ド ォ ォ オ ン ・・・ !
「いないね」
「あああああぁ……」
いません。
本当にいません。
アンティは、仰け反りました。
〘------全滅したのん?☆〙
〘#……いや、ダンジョンであるのなら再発生はするだろうが、しばらくかかりそうだな……魔石が必ずエメラルドとも限らん事も考えると……〙
『>>>やばいっすねー。もうミスリルだけでいいんじゃないのぉー?』
「なに言ってるの! ほら、ゴーレムいそうなとこ教えてクラウン。ヤバいわよ月末までに見つからないとプレゼント無しよ!」
『────ち:地形データを照合中……。
────奥地に空洞を発見しました。』
「おっ」
「空洞?」
あっちは行き止まりにしか見えませんが……。
先に、隠された坑道があるのでしょうか。
「奥……行ってみる?」
『────全性能をかけて分析します。』
『>>>まぁ……うん、警戒しながら行ってみようよ』
大きな行き止まりにやってきました。
「アンティ、壊していい?」
「え、ちょ……落盤とかしないかな。あと、塞いでたモンにいきなり風穴あけるのはちょっと……」
「さいご、元通りにするよ?」
私の被っている二本ヅノの仮面に、
ビリビリと光が集まりはじめました。










