表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
610/1216

ドンドン炭鉱

アンちゃんワールドでは夏の初めかな?

(*´ω`*).*・゜



 ふぃー、あっちぃ。



「アンティ〜〜! はやくぅ〜〜!」

「んにゃ〜〜! ちょっと待ちなさいよぉ〜〜!」



 マイスナは私と初めてのダンジョンが、

 楽しみでならないみたいだ。

 ギンギンと軽くステップを踏みながら、

 飛び跳ねるように進んでいく。


 ふふ、嬉しそうにしちゃって。

 白銀の光が、キラキラと舞う。


 ずいぶん、陽射しが強くなってきた。




 ──ココに向かう前。

  

 ヒゲイドさんに誕プレの相談をしたら、

「うーむ……貴金属系のアイテムは貴族に喜ばれるんじゃないか?」

 と、言われた。私が、

「えーと、それって食器とかです?」と返す。


「ほぅ。俺は装飾品(アクセサリー)(たぐい)を想像していたが……それは良いかもしれん。"銀のカトラリーセット"は貴族には定番のアイテムだ」

「アンティ、王女さまに食器あげるの?」

「ぅ、うん。スプーンとかフォークとかいいかなって。うーん、銀の食器か……どこかで買おうかな」

「今から買いに行く?」

「いやいや……お前たち、何を言っておるのだ」

「「へ?」」

「俺もまだ、よくわかってはいないのだが……こちらの"愛しの狂銀"殿は、"ミスリル銀"ですら自在に形を変えられるのだろう?」

「「あっ!」」



 そうか!

 マイスナの"錬成(れんせい)"の能力で、

 カトラリーセットを作ればいいんだわ!

 ミスリル銀も、私たちの家の外壁に超あるわ……!



「あの、ヒゲイドさん……"塔の家"のミスリル、ちょっとだけ……」

「あのなぁ……。ふん、聞かなかった事にしてやる。というか、その銀ピカの鎧で既にかなり持ち逃げしておるだろう……」

「す、すんません……」

「助かってます」

「やれやれ……流石、"盗賊と敵役"のコンビだ……」



 ヒゲイドさんの、お目こぼしOKをいただいた私たちは、

 早速スプーンやらフォークやらを試作してみた。

 設計や意匠(デザイン)は、

 クラウンチームやローザチームが手伝ってくれる。


 意外にファインプレーかましたのがローザで、

 クラウン達がモデリングした食器を、

 自分の体流を使って、ウネウネ再現してくれた。

 おお、実際のカタチがわかりやすい。

 流石スライム……まさに万能粘土。

 立体ホログラムを使ってたクラウンが悔しがってた。



〘------どやぁ──☆☆〙

『────むむっ……!。』



 スプーン、フォーク、ナイフ。

 ほぼ造形が決まった所で、

 マイスナがゴネた。



「この食器、銀色ばっかり! アンティもプレゼントするんだから、金色も入れる!」

「えぇー!」



 き、金って、ゴールドですよね……?

 金貨を分解して装飾にするかな……?

 い、いやいや……よくわかんないけど、

 金貨って勝手に溶かしたりしたら怒られそうじゃね……?


 どこかで装飾用の純金、

 売ってるのかなーと思った矢先に、

 お茶持ってきたキッティが、いらん事言った。



「あらぁーシンプルでいいデザインですね! でも、この持ち手の所に宝石かなんか欲しいですねー」



 あっふぉ。

 キッティのあっふぉ。

 プレゼントにケチがついたマイスナは、

 銀の食器に、金の装飾と宝石は絶対つける!

 と騒ぎ出す。

 べ、別にいーじゃん、と言ったらポカポカされた。

 ご存知のとおり、狂銀ちゃんのポカポカは、

 女クルルカンにとっては、かなりの有効打である。

 

 仕事の合間にお茶を貰いにきたヒゲイドさんが、

 困った顔でアドバイスしてくれた。



「う、うぅむ……もし装飾用の宝石を用意するなら、"スターエメラルド"などがいいのではないか? ドンドン炭鉱のゴーレムの魔石で、一定確率でドロップするぞ」

「! ドンドン炭鉱って、いつもゴリルさんがゴーレム狩ってる所ですよね?」



 ドンドン炭鉱は、正式名称が……、ええと……。

 "ドゥン炭鉱"か、"ドォン炭鉱"だった気がする……。

 いつもドンドン音が鳴っている場所らしいので、

 "ドンドン炭鉱"という愛称で定着してしまってるみたい。

 ギルドマスターであるヒゲイドさんも、

 たまに、そっちの愛称で呼んじゃってるし。



「あそこはまだ攻略されていないダンジョンだが、利益のためにわざと放置されている背景がある。ゴーレム共は餌場である炭鉱から、わざわざ外には出ないのでな。あまり群れも作らないので、比較的、安全に戦いやすいダンジョンなのだ」



 と、ヒゲイドさん。

 


「行こう!! アンティ!」

「う〜〜ん……自分からダンジョンに行くのは思うトコあるけど……、ま、行ってみっかぁ!」

「──えっ!?!? アンティさん達、ダンジョンに行くんですか!? ぜっ、ぜひゴーレム系のクエスト受けていきましょうよ!?!?」

「いやいや、いらないから。パートリッジのイレギュラーコールのお金、どんだけ残ってると思ってるの!」

「や、そういうモンダイじゃなくて、アンティさぁ〜〜ん!!」



 なんで泣くねん……。

 何故か猛抗議のキッティを放置し、

 ドンドン炭鉱へ向かうことにした。



「ギルド……ギルドのじっせきぃぃい……!」

「よせ……逆に考えるのだ……地底王とか倒してきたらどうする……」



 おい、聞こえてんわよっ。







 ──んで、冒頭に戻るワケですよ。



「はーやーくー!」

「またんかーい!」



 ちなみに今回は、うさ丸とカンクルはお休みになった。

 あのウサちゃん、ゴウガさんの修行で、

 どうやら腰をやったようである……。

 看病にカンクルを置いてきたった。

 帰っても回復してなかったら、

 ローザの体液をぶっかけようと思う。



「にょ、にょきっとな……」

「くるぅ〜〜?」



 実は王女様の誕パ招待状が届く前に、

 クラウンと先輩が、何か相談したそうだった。

 どうやらシゼツに少し話を聞けたらしい。



「……で、ホントに聞かなくていいの?」

『────まだ:不確定事項が大きいのです。』

『>>>はは……きみもそれどころじゃないだろう。ちょっとだけこっちで確かめてからにするよ。それに、まだニャーナに話を聞けてないんだ……』

「む……そ、そりゃ、けっこう私もいっぱいいっぱいだけど……」



 王女様の誕生日パーティなんて、

 貴族さんがほとんどに決まってる。

 "時限結晶持ち"の私たちにとっては、

 自らの兵器としての価値がバレるかもしれない場所だ。

 たぶん、クラウン達や……マイスナがいるから、

 落ち着いていられるんだ。


 同じ境遇の人が、目の前で笑っているって、

 とても勇気づけられる事なんだって、すごく思う。



「アンティ……? 元気ない? 氷だす?」

「っ! ふふ……大丈夫よ。ありがとね」



 はは……最悪の場合は、

 この子と地の果てまで逃げよう。

 天敵同士で愛の逃避行なんて、ロマンチックだわ。



「そいえばさ? ニャーナ達、まだ帰ってこないの?」

『────肯定。

 ────"不要格納"の捜索に出たまま:

 ────ミャーツと共に:連絡がとれません。』

「ねぇ、それってさ……アイテムバッグの中で行方不明になってるって事だよね……?」

『>>>遺伝子アルゴリズム反応は消えてない。そのうち無事に帰ってくるとは思うんだけどね……』



 いやいやいや……大丈夫なのソレ?

 無限のアイテムバッグ、怖いわねぇ……。



「……ちなみに、あの二人は何を探しに行ってんの……?」

『────じ:実はですね…… (ゴニョゴニョ)……。』


「「 ……へ? 」」



 クラウンは、その"廃棄予定の物"の内容を、

 私とマイスナにコッソリ教えてくれた。

 まぁ、その…………、

 とっても赤面したと言っておく。



「な、なんでそんなモン、とってあったのよぉ〜〜……!」

『────も:申し訳ありません。

 ────あなた方の遺伝子データは:

 ────こちら側のあらゆるバックアップデータに:

 ────流用できたもので……。』

「ちょ……ちょっと見てみたいね? 透明なのかな……」

「やっ、やめなさい……」



 クラウンの言う通りなら、

 小さな立方体のアナライズカードの中に封印しているらしい……。

 ニャーナ達が帰ってきたら、問い詰めなきゃね……。

 処分する前に、ちょ、ちょっとだけ見せてもらおっ。



〘#……む、見えてきたな。アレではないのか?〙

〘------でっかい岩山のんなぁ────げぷ☆〙



 せんせぇ……その幼女にあんまり飲ませないでね……。

 目の前には、大きな大きな岩の山がそびえている。

 なるほど。ドニオスから、そう離れていないわ。


 うーん、"炭鉱"って言うくらいだから、

 坑道を行くダンジョンなのよね。

 暗いのかなぁ……。



 キンキンギンギン歩いていると、

 ドンドン炭鉱の方から馬車が来て、すれ違った。

 ……! えらいたくさん、人が乗ってるな。

 御者(ぎょしゃ)さんの席まで、パンパンだわ。


 横を通り過ぎる時に、

 冒険者の人に何人か手を振られた。



「おおお〜〜!! おへそちゃん達ぃ〜〜!!」

「あっ、義賊ちゃんと狂銀ちゃんじゃねぇかっ!」

「炭鉱へ行くのかぁ〜〜い!?」

「うおっ、今日もまっぶしいなぁ〜〜!!」

「そのおへそ、俺にくれぇ〜〜!!」



「ばいばーい」

「なんだなんだ……」



 マイスナと手をヒラヒラ振り返す。

 おへそちゃんって言うな。

 これはアンタたちの街の変態店長のせいだかんね?

 マイスナのおへそは、私のモンじゃ。



「おへそ出てたら、いいことあるのに」

「? どんな?」

「? いつでもアンティとサンドイッチできるよ?」

「……??」



 ちょっとよくわからないので、

 深く、ツッこまない事にする。


 気にしたら負けだ……気にしたら負け……。



「アンティ、あそこに誰かいるよ?」

「んぇ? あ……」



 恐らく炭鉱の入り口である大穴のそばに、

 あっつい陽射しに照らされながら、

 見慣れた赤茶の革鎧の冒険者が一人、立っていた。

 向こうも、こっちに気づいたみたいだ。


 近づく。


 ──キンキンキン、ギンギンギン──。



「──よォ! どぉした? 珍しいな、こんな所でよ!」


「ゴリルさん、こんにちは」

「ゴリラさん、こんにちは」


「えぇと……狂銀ちゃんは、やり直しな……?」





 ドニオスギルドのアニキ分。


 ゴリラパパこと、ゴリルさんが汗を滲ませて言った。




(*´ω`*)マイちゃん失礼(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ