ガオガオ道場
(´∀`*)サクサクじゃない、
タレタレだもの。←迷言
「──がぉぉおおおおおンンンんんッッ!!!!!」
「!? なんで吠えたん!?」
「うるさいです……」
ご飯を作ってあげたら、
何故か"謎のワザ"を教えられようとしています……。
"至高の格闘職"の常識は、いったいどうなってんのよ……。
うさ丸は先にライオン師匠にとっ捕まったらしく、
バテて床でぶっ倒れているのを、
カンクルがこしょこしょしている。
『『 にょ、にょきっとやん……な……? 』』
『『 くるぉ〜〜?? 』』
「あの、ゴウガさん……やっぱいい「殴ルッ!!!」なにをやねん……」
私の話きこっか?
……ん、何を指さして──……?
「え、コレっ……!?」
「──え"っ!」
ゴウガさんがアタックしろと言ったのは、なんと、
この空間のド真ん中にある、
"鏡みたいな岩"だった。
「いやコレさぁ……」
「ええぇ〜〜……!」
マイスナの、かなり思い入れのあるモンなのよね……。
てかここ、辛うじて室内なんですけど……。
せめて外でやらん?
「はいッ、師匠! なしてこの岩を殴らにゃ「殴ルゥゥ!!!」いけないの……」
「な、殴っちゃうの……?」
あっ、ほぉーら見ーさ。
マイスナが悲しい顔してんじゃないのよー。
この子は、この鏡みたいな岩を見て、
ひとりっきりの時の寂しさを紛らわしてたんだから!
今は私といるから、いーけどさぁ……。
それ壊しちゃったら可哀想でしょーよー!!
「アンティ殴ると、無くなっちゃう……」
「……。あの師匠ぉー! コレ出来たら壊したくないンだけど?」
めっさ気がのらない私たち。
まぁ当然よ。
でも、ライオン師匠が次に言い放った言葉に、
まんまと乗せられるハメになる。
「ガフッッ!! そォオの……!! こブシではァァ……!!
壊れなどォ、セぬワァァあああァァア……ッッ!!!!!」
「「 ……は? 」」
──カチン。
あっ、ムカツく。
あのねぇー!?
さっきの"食前運動"では、
こっちも手加減してたんだかんねぇー!?
……プルプルプル……!
「あ……! アンティ! やっちゃって!!」
「えっ!? いいのっっ!?」
「……いい!! アンティ、バカにするの許さない……!!」
いや、ぅ、うん……。
アンタがいいんだったら……。
てか、こんくらいの岩ならイッパツよ?
確かに私の数倍以上ある大きさだけど、
この変態産のヨロイの神秘を、ナめんじゃないわよ!
きひひ……いっちょブッ飛ばして、
ライオンさんをビックリさせてやっかな!
鏡のような岩の前に、構える。
……キン。
「じゃ……遠慮なく……?」
「──ヒビをォォ、、、入レるだけデぇぇ、良ィぃいい……ッッ!!!」
ぉ………、…………。
「……──は……。ナメられたモンね……」
…………クラウン。
ちょっと、本気だすわよ──。
『────レディ。
────吝かではありません。
────"力量加圧":起動します。』
『>>>やれやれ……血の気が多いこった。方向に気をつけるんだよ』
ゥゥゥォォオオオオオオオ…………!!!
殴り飛ばすとしたら、階段側だとまずい。
崩れている入り口の方に岩が吹っ飛ぶように位置取る。
さぁて、星になってもらおっか?
ナックル装着!
──ガシャコっっ!!
「いくわよォ……! ……──しッッ!」
……───キィん────!!!
──・──・──ごっ!!!!
パ キ ン ・ ・ ・ !!!
「 え ? 」
『────な。』
『>>>っ!! 頭を庇え!!』
景色が回る。
呆気にとられて、"反射速度"が間に合わなかったらしい。
先輩の言葉に従い、すぐにナックルで後頭部を庇い、
チカラを入れる。
────ガッ!! きぃぃ────ィイン!!!
「──がっ!?」
「アンティ──……ッ!?」
え……!?
か……階段……!
ここは、階段だわ……!!
ふっ飛ば……されてる!?
うわ……私がぶつかった衝撃で、
階段のタイルが少し壊れちゃってる……!
──ガラッッ……。
起き上がって向こうを見てみると、鏡の岩は健在で、
心配そうなマイスナと、
腕を組んだゴウガさんが、こっちを見ている……。
「な、なぜ……?」
『────アンティ:攻撃対象鉱物に:
────特殊な性質を確認しました。』
『>>>ああ……ただの岩じゃない。殴った瞬間、"波紋"のようなモノが出て弾き返されたよ……』
「っ!!」
『────分析完了。
────結果:正面に表示します。』
──ヴォン……!
────────────────────────
名称【 反錬石 】(アイテム)
・別名『天空鯨の涙』と言われる希少な鉱物。
・『反転』と『錬成』の特性を持ち、ホワイトキ
ューブやブラックキューブ作成時の素材となる。
────────────────────────
「……! 反錬石……!」
……! クラウンの分析……。
こんなに情報が詳しかったっけ……?
『────鉱石の特性により:
────打撃の威力を"反転"させられたようです。』
『>>>クジラの涙、だってさ……。この屋敷、天井に穴が空いてるけど……まさかね?』
「……ち」
キン、キン、キン。
「……ゴウガさん。もっかい、いい?」
「………………………殴ルゥゥ!!!」
「あ、アンティ!! 頑張って!!!」
「………ふぅ」
……。
大きな鏡石を見つめる。
まさか……こんなモンが世の中に存在するとはね……。
はは、世界は広いわ……。
「………………小さナカラダァ……!! 大きナちからァ……!!!」
「──っ!」
『>>>……! 後輩ちゃん……』
「……わかってる。ヒントを言ってくれてるようねぇ……ムカツクわ」
いくら大きなチカラを持っていても、
私の体重は軽い……。
前々から、先輩に言われていたことよ。
室内で、ソルギアブーストを使うワケにもいかないし……。
「クラウン。ヨロイに歯車を組み込んで、できる限り……その場に固定して」
『────レディ。』
──きゅぅおおおおんんん……!!
────ピタっ……!
私たちの歯車は、空間に固定する事ができる。
身体が軽くて後ろに吹っ飛ぶなら、
その場にヨロイごと縫い付けてやるわ。
脚が……全く動かなくなる。
ふふ……マイスナが緊張した顔で見てるわ。
右腕にチカラを入れ、
次は真っ直ぐなパンチではなく、
ナックルに展開した歯車で、
回転のチカラをかける。
ふぅ────……。
回転する、七つの黄金回転────!!!!!
──ぎゅおおおおおおおおんんん!!!!!
「アンティ──パンチ!!!!!!」
────ゴォォオ──!!!!!!
パ キ ン ・ ・ ・ !!!
「 なっ、うっそぉぉ──……!! 」
『────波紋状:光彩現象確認。
────押し戻されています。』
『>>>驚いたな……! 相当な威力が出ているはずだ……!!』
……ギギギ……!! ギギギギ……!!
私のヒッサツパンチは、
でっかい反錬石の岩に触れる前に、
光の波紋のようなものに受け止められている──!!
「…………ッッ!!!」
……鏡状の箇所に映る、拳を突き出す私の姿──……!!
まるで"もうひとりの自分"に、押し戻されてるみたいだわ──!!
……ぎゅ、ぉおお、おおおんんん…………!!
「……、……」
「あ、アンティ……」
次は、後ろには弾かれなかったけど、
岩に傷は、全く付けられなかった……。
……………、……。
『────:……。
────対象:ダメージ判定:無。』
『>>>ホワイトキューブってのは、ドニオスの塔の地下にある、衝撃を吸収する白い部屋のことだよね? なるほど……コレが原材料ってんなら、納得だな……』
「…………」
いや…………………。
かなり、悔しいんだけど……………。
冷や汗をかきながら、チラっと、ゴウガさんを見る。
「…………………チガっゥゥ!!!!!」
「……っ!!」
「…………………へそガ、ナっておらぬワぁぁあッ!!!」
「……へッ!!?」
い、今……な、何てった!?
へ…………へそ!?
「へそ……って、こ……この、おへその事ですか!?」
ゴウガさんは、自分のおへそ辺りをバァン!!
と叩き、高らかに叫ぶ──!!
「…………ソのへそがァァ……!!
まだマダァァ、、、なノだぁぁあああアア──!!!!!」
「そんなこと……はじめて言われたわ……」
「そっ!? そんなことないもんっ!!
アンティのおへそはステキだもんっ!!!
とっても可愛い、いいおへそだもんっ!!!!
キィィ────!!!!!」
あっ。マイスナ、キレた。
((((;゜Д゜))))
アンちゃんのへそを、
バカにしただとッッ!?










