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たまにはふたりで。

前話にユーくんとアオカちゃんの挿し絵を追加

ฅ(*°ω°*ฅ)*.*・゜



 シゼツは暴虐の限りを尽くした。



 クラウンと先輩は、

 何かを確かめるためにシゼツを呼んだみたいだけど、

 あのわんぱく鬼っ娘は、新婚さんに容赦なさ過ぎた。



『『 す、スキありぃぃいい────!!!! 』』

『────なっ……!?。』

『『 とりゃあああ────ッ!!!! 』』


 ────シュルスポッ!



 取っ組み合いになっているクラウンの一瞬の隙を突き、

 私とおそろのぱんてぃを強奪した辺りから、

 収拾がつかなくなった。



『────:〜〜〜〜〜〜!?!?。

 ────し:しぜつぅぅぅぅう!!!。』



 怒りのシャイニング・モード(怒髪天的な)になったクラウンは、ワンピースを抑えながら逃走するシゼツを追いかけてたけど、四番目の娘の裏切りによってスカートめくりで足止めされてた。位置的にはミャーツとニャーナに見られちゃったと思われる。



 ──バサァ!


『C4:目覚めの時にゃー』

『────:ひゃっ!?。』

『C7:……みっ、見るニャー!!!』

『C2:み、見てないから、そろそろ手をどけるみゃあ……!』



 先輩がお父さんらしく、シーニャを拳骨(ゲンコツ)で叱(しか)るという珍しい光景を、先生が微笑ましく見守っている。



 ──ごっつん!


『>>>なにやってんだきみは……』

『C4:えうー』

〘#……ほぅ。ふふふ……〙



 シゼツが何故か私にクラウンのぱんてぃを手渡してきたので、ぽっぺたグ二グ二の刑に処する。



『『 どやぁァ……!!!! 』』

「たこやき」

『『 むにーっ 』』



 ドミノ倒しのように倒壊した障子と襖(ふすま)を皆で片付けながら、これサキが見たら卒倒すんじゃね? と思いつつ、ミャナミにお母さんのお着替えを手伝いなさいと命じる。



『C3:ははは……。はーい母様、こちらですよ〜〜』

『────:うう、ぐっす:ぶ、ぅぅ。』



 遮る物がなくなった和室はとても広く、

 みんなは座布団を丸めて畳に寝転んだり、

 軽く談笑したりしている。

 先輩に引き続き、先生にも怒られてるシゼツとシーニャは、まるで同級生のようだった。



〘#……ローザ。この二人が持っているバケツに好きなだけ体液を入れなさい〙

〘------ぺっ。お前ら;覚悟はいいのんなぁ──?☆彡〙


 デロデロデロォ〜〜……!


『『 おもい──っ!!! 』』

『C4:ぷ、ぷるぷるぷるぷる……』



 粘度の高い白い体流は、

 こんもり盛られたソフトクリームのようだわ……。

 先生、割と容赦ないわねぇ。

 アイテムバッグ内で廊下に立たされる光景を目にすると、若かりし頃の自分を思い出すわ……ホロり。



『C5:首領はまだ15歳ではにゃいか……?』



 サキもダイさんも、イニィさんも居ないので、

 マイスナがみんなに、お茶とお酒を配ってくれてる。

 手伝おうとしたら「大丈夫……!」と言われてしまったので、

 私は畳には寝っ転がらず、縁側にポツンと腰掛ける事にする。



「ふぅ……」



 マイスナと一緒に暮らすようになってから、

 箱庭の夜空には、蒼と紫の妖光が美しい大きな月が、

 よりハッキリと見えるようになった。

 先生いわく、青い月は幸せの象徴でもあるらしい。


 この巨大船舶型建造物が、みんなの記憶や夢で構成されている事は確からしく、今日、先生が掛けていたお洒落な老眼鏡は、生前、向こうの世界で先生の祖父から譲り受けたものだそうだ。

 住むと決めた箱庭の部屋で、ふと気づくと本棚や机と椅子と共に"出現"していたのだ、と、さっき言っていた。



〘#……よもや、これをまた手にする日がくるとはな……。アンティ・キティラ。君に感謝せねばならん〙

「い、いえ……。それが先生の記憶から生まれたとしても、その……本物かって言われたら、よくわかんないし……」

〘#……よい。そこが重要なのではない。今、この胸に溢れ出(い)づるこの懐かしき想いが……何よりも心地よいのだ〙



 本棚に新刊が増えないのは残念だがな、と、

 とても嬉しそうに笑っていた。

 先生の部屋に、異世界の本でも借りにいこうかな?

 縁側で、伸びをしながらくつろぐ。



「んぅ〜〜〜〜。……まったく、ふしぎな所よねぇ……」



 マイスナの色をした月と、

 サキとダイさんの、金葉黒幹の大樹、

 そして、イニィさんが初めて見た満天の星空が、

 美しくないはずが、ない。

 アイテムバッグの中という事実を苦笑するしかないわ。


 一人で浸っていると、お声がかかった。



『────:あの……。』

「おっ、来たわね?」



 チョンチョン、と隣を指さすと、

 着物のクラウンは、たどたどしく座った。

 私と違って、脚がはだけていない。

 なるほど……ああやって着るのね。


 縁側の下の大きな石に、二対の足を預け、

 私たちは隣(とな)りあった。

 ここの景色が美しい事に、ちょっと助けられた。



「………」

『────。』

「……──言いなよ」

『────、……。』

「もぅ……。アンタなら、わかってるでしょ? アンタが何であろうと……私は、ずっとアンタがいいんだって」

『────はい……。』



 ゆっくりと、話を聞く。



「……もしかしたらクラウンが、世界に7つ存在する、

 "ダンジョンサーバー"というものかもしれない。

 って事?」

『────はい……。』

「"じかん箱"に記載されている"曜日"が、

 それぞれのサーバーを表してるってことか……」

『────そう予測するのが:一番しっくりときます。』

「あのシンエラー教授の残したっぽいパソコンは……」

『────"SUNDAY"。

 ────つまり:私の管轄下の"じかん箱"を:

 ────改造したものではないかと予測したのです……。』

「"管轄下"……か。サーバーってのは、"じかん箱の管理者"みたいな存在だったって事……?」

『────断言はできません。

 ────ですが:私には誓って:

 ────あなたと出会ってからの記憶しか存在しません……。』

「……」

『────私は……私は純粋に:

 ────あなたから生まれた存在でありたかった……。』

「!」

 


 あらんま……!

 可愛いコト言ってくれるじゃない、もぅ。



「その……なぜ、シゼツを呼んだの?」

『────彼女は恐らく:サーバーの一人です。』

「!」

『────意図的に:情報を隠しているように感じます。』

「そゆことか……三人が合体した身体を、何か"凄い存在"が借りてるのかなーって、勝手に思ってた。今はアソコで、アンタの娘とバケツ持ってるけどネ……」

『────的を射た予測です。』

「ふふ、それ久しぶりね。……他には?」

『────これも予測の範囲を逸脱しませんが……:

 ────パートリッジ教会の地下研究施設跡地で遭遇した……。』

「あっ、あの高速花嫁幽霊さんか……!」

『────対象名:"Q.Q"も、恐らくサーバーの一人だと予測します。彼女は:シゼツの名に反応していました。』


 あ……それもある……。

 けど……。


「……クラウン。ふたつわかったわ」

『────詳細の入力を。』

「ひとつ。アイツは自分の事を"プレミオムズ(至高の者たち)"と呼んでたわ。つまり……」

『────!!。

『────7人のダンジョンサーバーは:

 ────"プレミオムズ"という呼称であると:

 ────予測が可能……。』

「よくわかんないんだけどね……。

 あと、もうひとつ……。

 あの花嫁さん、私たちに、こう言ったわよね?」

『────?。』

「……『 ヒ サ シ ブ リ 』……って」

『────!!!。』

「あれさ……アンタに言ってたんだと思う」

『────ぁ:……。』

「そして、その後に言ったわ……『もう、覚えてないのね』って……」

『────記録(ログ)No:484を確認しました……。

 ────彼女は:まさか……。』

「"ダンジョンサーバー"だった頃のアンタを、知ってたのかもしれないわね……」

『────:……。』

「もし本当に、そうだったとしたら。

 私のスキルになった時、アンタの記憶は消えているんだわ……」

『────:……………………。』



 ────。



「……どうしたい?」

『────え……?。』

「調べたい? 自分のこと」

『────それは……しかし。』

「いや、なんで遠慮すんのよ」

『────っ……。』

「こーら。言わなきゃ伝わんないわよ……?」

『────っ:あなたはっ!。』



 ……おっ?



『────あなたは:日常を望んでいます!!。』

「!」



『────歩み:たどり着き:掴み!。

 ────あなたは憧れの人を救い出した!!。

 ────言っていましたね。

 ────もう:特別な事など何も無くて良い。

 ────穏やかに手紙を配達するだけで良い:と。

 ────それが:幸せなんだと!。

 ────でもっ──!。』



「…………」

『────私が:それを壊してしまうではありませんか……。』

「……、……」



 …………。

 ………。

 ……。

 

 ……ハッ……!



「まったくもぅ……」

『────:……アンティ?。』

「アンタねぇー、寝言は寝ていいなさいっての」

『────ね:寝言……?。』

「はぁ……あのねぇークラウンッ!」

『────は:はいっ。』




「

  誰のお陰で今の私があると思ってんだぁ!!

  恩返しさせなさぁあああい───!!!!!

                       」





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