空(*´³`*)合体 さーしーえーまーつーりー
自重ゼロ回です。
────"時の結晶剣"。
先生が創り出した巨大な氷の大刀を、
先輩の力で、時ごと凍らした宝剣。
絶対に破壊できない、永劫の反刃。
ふたりにとって、因縁のカタナだ。
あの氷の山で、あの日の出来事を、
今も弔っている。
〘#……頼む〙
「ええ〜〜っ!」
「にょきっと」
ドニオスの街に着く直前で、先生に回収を依頼された。
今からかっ! ……と、思ったけどもさ。
もちろん、あの記憶の中の刀身が、
私の心にも、焼き付いていた。
先生を刺し貫き、薔薇の花のような氷を成した剣。
────恐ろしく、綺麗な永遠。
「う、う──……ん」
永遠に滅びない剣ってのは、確かに凄いと思うわ。
なんか、お金持ちで欲しい人とか、すっごい居そう。
でも、先生が回収を頼むのは、それだけじゃないのかも。
狂っていた時に、自らが創り出した剣。
見て、みたいんだ。
確かめてみたいんだわ。
その時に。
自分が、どうあったのか。
『 ……ガルロロ? 』
「…………」
「……アンティ?」
プレミオムズの呼び出しは、今のところ無い。
今回は、集会が無いのかもしれない。
急いでドニオスに帰る必要は、無くなったかもしんないな。
それに……もし今すぐに通知が来たとしても、
私たちの速力なら、遅刻ってのはないと思う。
三日くらいは余裕をもって、"お呼び"が、かかるだろうし。
ちょっと、でっかい寄り道だけど……。
「……私は、いーわよ。でも、マイスナが、ね……」
「う……」
マイスナを見ると、居心地が悪そうな、
何ともションボリとした表情になってた。
そりゃそーよ。
パートリッジには……思うトコ、あるでしょうし。
「……あの街の人は……私を怖がるかもしれない」
あ──……。
氷の山がイヤなんじゃなくて、そっちかぁ。
そういや、狂銀をめっちゃ怖がってた男の子とか、
いたもんなぁ……。
「……いつかは、行かなきゃいけないと思う。あの街の人たちに面と向き合わなきゃいけないわ。でも……今はまだ、早いと思うのよ」
「……! アンティ……」
私は、マイスナを庇った。
ちょっと、甘やかしてるって思うけどさ。
でも、自分が恐れられてるかもしれない街に、
突っ込んでいくってのは……ねぇ?
〘#……マイスナ、頼めないだろうか……〙
「ぅ……」
〘#……早いうちに、回収したいのだ〙
「あの街の人に会うのは、まだ、怖い……」
〘#……ぅ、む……〙
流石の先生も、マイスナには弱いわ。
彼女が狂銀たるのは、先生にも大きな要因があるから……。
"自分が悪者だった街"に帰るのは、勇気がいる。
「う、うぅ……」
「……どーしよっかな……?」
『>>>あ──……じゃーさ、』
「んぇ?」
『>>>──街の人に会わずに、雪山にいけばいいんじゃない?』
先輩が、かるーい感じで、提案した。
──────でね。
ごぉおおおおおおおおおおお………!!!
『C7:……高度10000にゃ。順調だと思うにゃよ。』
『C2:各燃焼室に問題はありませんみゃ。安定しているみゃ。』
……たっけーな。
『────鼓膜内気圧:呼吸器系の維持活動を継続中。
────時限結晶内より:引き続き気体循環を継続します。』
『>>>後輩ちゃん、耳鳴りとか痛みはある?』
ないわ。
風が凄いわね。
思考だけでわかる?
『────意志流路伝達は:初期から運用しています。
────伝わりますよ。』
『>>>もはやぼくも、きみのチカラの一部だ。前よりよくわかるくらいだね』
はっ……プライバシーも、へったくれもないわね。
まぁ、いいけど。
〘#……マイスナも、健康被害はないな?〙
〘------どこもケガはしてないのんな──☆〙
アンティが大丈夫なら、私もだいじょうぶ……。
凄いね……綺麗で、ちょっとこわい。
〘#……ふ、これだけ高いと、そうだろうな……〙
〘------のんぷろぶれむのん☆
------今;ドニオスとパートリッジの中間地点を通過したのん☆〙
クラウン、先輩。
ローザと先生も、あなた達みたいにマイスナをサポートしてくれているの?
『────肯定。
────"ホログラムコックピット"の複製データを提供済みです。
────現在:試験運用中。』
『>>>ローザと先生は、どんなカスタマイズをしたんですか? やっぱりコックピット型??』
〘------ちっちっちっ……☆ あまいのんなぁ──☆〙
〘#……ふ……私たちはもう少し殺風景なものにした〙
え、なになに、気になるわね。
……先生とローザ、どんなとこにいるの?
〘#……む? そうだな。ドーム状の球体の中心にある、氷のような椅子に、ポツンと座っているような形だな〙
〘------たっかいのんよぉ──☆〙
え、なにそれ……。
そ、想像つきません……。
〘------のんぷろぶれむのんな──☆〙
〘#……くっくっくっくっくっく…………!〙
『>>>ま、まぁ……お気に入りの"管制塔"ができたのなら、それはよかったです……。クラウンちゃん。"翼"の調子は?』
『────見事に"再構築"されています。
────あなたのホロコーティングもあり:
────今現在まで:破損は確認していません。』
『>>>……そいつは凄いや。やりたい放題だ』
マイスナが使えるチカラで、
ひとつ、すっげぇなと素直に思う事がある。
マイスナは、私の歯車を、壊せるのだ。
経験値を変換してつくる歯車が、
私は今まで、欠けたり、壊れたりした所を見たことがない。
それを彼女は、触っただけで、ぐにゃりと変形させられる。
逆に、マイスナが経験値から変換した鎖は、
私だけが、変形させる事ができる。
たぶん、マイスナの鎖も、本当はあんな簡単には壊せないんだ。
────まさに、天敵。
お互いの歯車と鎖を、お互いだけが変換しあえる。
ふふふ、不思議な関係だわ。
で。
マイスナとのチカラを使えば。
経験値を純粋な金属素材として、デバイスの一部に組むことができる。
"電鎖歯車法"の、ヤバいチカラの一つだ────。
ごおぉおおおお────!!!
今、私の両足から生えている金色のガルウイングは、
歯車と鎖を変換して作ったものだ。
前までは、アナライズカードの積層体で翼を形成してた。
先輩が構築できる金色のアナライズカードは、かなりの強度。
でも、"経験値由来"の素材は、間違いなくそれよりも上。
マイスナの方には、銀色っぽい翼が伸びている。
もう気づいてると思うけど、
私の羽根も、マイスナの羽根も、
"天使の翼"……というよりは、"戦闘機の主翼"って感じ。
"経験値"でできた金属は、
私たちの身体を透過できるので、内蔵フレームである、
"ゴールドフレーム"と、"シルバーフレーム"に、
直接固定できる。
身体の芯にデバイスを固定できる安定性は、高い。
また、ギアやチェーンを使ったデバイスの物理接合に、
これらの金属パーツは、実に都合がいいわ。
だって、接着剤や釘いらずで、
溶け合って接合するんですもの。
ま、つまり。
────"最強の金属による、身体のカスタマイズ"。
これは、"電鎖歯車法"の醍醐味と言える使い方なワケ。
あ、私たちの、ふくらはぎからは、
でっかいウイングが左右に伸びてるけど、
それだけじゃ、こんな速く飛べない。
もちろん足の裏のスラスターからは、炎が吹き出ているわよ?
んで、補助スラスターが両肩後ろと、お尻辺りに各二門ずつ。
お互いに、なっがい髪の毛は、
金色のアナライズカードと、
銀色のメタルコーティングで保護済みだわ。
マイスナも、上手く飛べてる。
高度、いちまんメントルテだって。
ひゃ──、たっかいたっかい。
雲すごい。
絶景だわ。
「にょっきぃ〜〜♪♪」
「く、くゆくゆ……」
背中に背負う形で、
私の方にうさ丸、マイスナの方にカンクルのコックピットを作った。
カンクルが、あまりの高さに、ちょっと怖がってる。
……うさ丸は、けっこう大ジャンプで見慣れてるのかも。
このまま上空から侵入すれば、
パートリッジの街の人たちの目に触れずに、
あの雪山にいける。
やれやれ、もう少しだ。
……ん?
クラウン、先輩!
……なんかおかしいわ!
『────詳細の入力を。』
『>>>どうしたって言うんだぃ?』
な、なんか、熱いわ!
お風呂でのぼせてるみたいな……。
『────コンディションチェック:開始します。』
『>>>バカな……!! 排熱機構は、かなり気を使ったつもりなんだけど……』
『C7:パピー、マミー! ドンの言ってる事は本当にゃ! ドンの身体の温度の上昇を確認にゃ! 特に体表に顕著な変化があるにゃ!』
『────こちらでも:確認しました。
────カネト:これは……。』
『>>>"熱暴走"現象……!? 何故だ……! まだそんなチカラは使っていない! 使用できる経験値にも余裕があるはずだ!』
『C2:こちらミャーツ! ドンの体温上昇に反比例して、オクさまの体温の低下を確認!』
〘------え──☆ おかしいのんなぁ──☆〙
〘#……こちらでも捉えた。マイスナ、大丈夫か〙
さ、寒い……です!
〘#……まずいぞ。体装甲の一部が氷結を開始している〙
『>>>そんな……!? 機構運用だけで、歯車や鎖の消費は無いっていうのに!?』
……クラウン、先輩、まずい。
私の肩の装甲、燃えてるわ。
『────消火完了。内部損傷:微。』
『>>>ま、待ってくれ、分析する!』
〘#……アンティ、マイスナ。お互いの身体に温度調節処理ができるか? 炎と氷を操作してみなさい〙
──! やってみる。
マイスナの身体に、燃えるイメージ……。
──! はいっ!
アンティの身体に、凍るイメージ……。
──あっ。
──う……!?
『>>>よ、余計に酷くなったよ!?』
『────:一時的な体温干渉を確認。
────その後:リバウンド現象が発生。』
……ダメっぽいわ。
マイスナを燃やすイメージを操作すると、
私の身体が燃える。
……私もです。
チカラを使えば使うほど、
こちらが氷結します……。
『>>>どうしてこんなに、互いの持続力が落ちているんだ!? スキル融合の弊害が、まだ……!?』
〘#……カネトキ。原因の究明は後だ。問題を解決しよう〙
『>>>ど、どうやってです──!?』
〘#……アンティ、マイスナ、よく聞け。どうやら君たちは、持続的な能力使用をすると、体温の著しい変化を引き起こしてしまうようだ〙
「にょきっと!? にょきっとぉぉ〜〜!!」
……山火事ならぬ、空火事ね。
うさ丸、まだ大丈夫だから、落ち着きな。
ちょっと装甲のスキマから、火ぃ噴いてるだけだから。
……アンティの身体を凍らせてあげようとすると、
その分、私の身体が凍ります……。
〘------今のところ外傷は抑えられてるのんな──☆
------でも;これ以上はマズイのんっ☆〙
〘#……カネトキ。機体情報をいじるぞ。ふたりを直結させる〙
『>>>──!! 空中でですか!?』
〘#……能力を使った冷却、熱処理ができないのなら、直接、抱き合わせるしかない〙
……うわぁ。先生って理系らしからぬ思考回路ぉー。
……そ、そんな事できるんですか。
『>>>ちょ、ちょと、待って……き、基本構築は、こう……かな? 先生!』
〘#……ほぅ。動揺の割には、構想を形造るのが速いな。優秀だ、カネトキ。皆、サポートを頼む〙
『────了解。
────空中合体による機体コンセプトの改良案を進行中……。
────順次:流路改変を行います。』
〘------しゃーないのんなぁ──☆
------ウチの汁;凍結させて使ってもいいのんよ☆〙
『C1:こちらニャッチ。
父さんの原案を元に、ドンとオクさまの機体重心を調整中にゃ。』
『C2:こちらミャーツ。
接続強度に耐えるため、一部パーツを増強しますみゃ。』
『C3:こ、こちらミャナミ!
うさ丸ちゃんとカンクルちゃんの、
コックピットスペースの設計完了ですみゃ〜〜!』
『C4:シーニャにゃ。
ふたりの主翼バランサをちょっとイジったにゃー。
これでドッキング時の揺れを抑えられるにゃー。』
『C5:こちら、ニャンゴにゃ……。
ふむ……機体ドッキング後の操縦デバイスを作ったにゃ。
後は……お二人の有線直結で共有化されるにゃよ……』
『C6:はぁ──い! こちらネコロクだよぉ──!
やっぱり翼だけじゃ温度密閉できないから、
ミャーツのデータを元に、封鎖装甲を追加にゃー!!
愛のブラックボックスを、あなたに!!』
『C7:あー、こちらニャーナにゃー。
だいたい終わったにゃよー。
うわっ、これ本当に空中でやるんにゃか……。
身体の密着が必要にゃので、
どちらかが上下ひっくり返る必要があるにゃ。
あとはやるだけにゃよー。
こちらで出来る限りサポートしますにゃー!!』
『────アンティ。
────:一時的に:全身機体の操作を貰います。』
あーい、どうぞー。
〘------任せとけのん☆ バッチリくっつけたるのん☆〙
ド、ドキドキ……。
"経験値パーツ"の増設で、
ほぼ戦闘機のようになっている私とマイスナの身体。
あ……あの子、腕と背中が、凍ってるわね……。
私も、けっこう炎が噴き出してる。
なんだかなぁ……。
ごぉおおおおおおおおお──!!!
上空一万メルトルテの空の中、
翼を広げたマイスナが、くるりと反転し、上を向く。
両翼の先から、筋のような雲。
接近が開始される。
おお……高速で飛行しながらってのは、すごいわね。
世界で彼女だけが、私と同じスピードだ。
ジリジリと、彼女の顔が近づく。
アナライズカードで防風しながら、しゃべる。
「……はぁーい、ハニーバニー。あ、そっちはおおかみか」
「ふふ……末永くお願いします」
お互いに凍ったり燃えたりしてるけど、
冗談を言える余裕はあるみたい。
『────ドッキングを開始します。』
『>>>僅かな揺れと接触が命とりだ……慎重に……!』
────ゴォォォオオオオオ──ッッッ──!!!
ふたつの機体の距離が、無くなっていく。
金と銀の髪の毛コードが、接続した。
視界に光が流れる。
いくつかのコードは、周囲のデバイスにコネクトされる。
私たち本体のすぐ横のパーツから、パイプやギアがせり出す。
──接続されていく。
『────増設パーツより:接続肢を展開。
────機体固定を開始。』
──ギギギ……ガ、ション……!
──カチ、ギュゥゥウウイイン……!
──バ・シュ──! バ・シュ──!
──ウィィン、ウィィン……!
──チュゥゥゥゥゥウウンン……パン!
──ガ、チャ、コ……!
──ガチ、パチパチパチ、ギ、ギュウンゥ……ガゴ!!
もう、ほとんど隙間がない。
おへそとおへそが触れた。
冷たい。
──ジュゥゥウウウウぅぅ……!!
────バション!!!
「うぉわっっ……」
「ふぐっっ……」
……おへそんトコロで、フレーム同士が接合したらしい。
ちょっとビックリした。
『────少々……:刺激が強いと思いますが……。』
クラウンが、気にしちゃった。
「……いいからいいから。任す」
「大丈夫です。お願いします……」
……シュォゴォォオオオオ……!!!
……ギギギ、ゴゴゴゴゴ……!!!
風の音。
後ろと前から、壁に押し潰されてるような感覚。
ま、クラウン達の設計は信じてる。
ちゃんと、スキマに私とマイスナが収まるんでしょう。
──バシュ!
──バシュ!
──バシュ!
──バシュ、バシュ!
──きゅぅぅぅううういいいんん──……グン!!!
ヨロイの隙間から伸びる、金属の支柱。
おへそだけじゃなく、身体の色んな所か、
お互いのフレームに接合されていく。
ま、しゃーない。
空中分離しても、困るもんね。
あや……?
この顔の位置って……?
──ギギ──ゴ───……ガッ、、、チャン。
……私たちの隙間が、完全に無くなった。
『────ドッキングを完了。
────アンティとマイスナ本体の接続と密閉を確認。』
『>>>体温干渉を確認……う、うまくいってる。お互いに物理的に冷却と保温、できてるよ……』
〘------各パーツユニットに;ウチの体を伸ばしといたのん☆
------冷却に使うのんな──☆〙
〘#……何とかなりそうだな。"ベアークラッチ"を使って、二人の視覚を機体の前面へ設定する〙
──キィィィイイイイインンンンン────!!!!!
お、見えた見えた。
前、向いて飛んでるわ。
これ、マイスナにも同じ景色が見えてるのかな?
ところで……。
完全に隙間がない所にマイスナと閉じ込められているので、
昔の先輩を真似して、意思疎通する事にする。
──PON。
───────────────────────
完全抱擁した形で、
カンオケみたいな空間に密閉されてんだけど……
……これって羞恥プレイじゃないの?
───────────────────────
───────────────────────
う、動けない……ですっ
───────────────────────
『────ふふ、今更ですよ:アンティ。
────コントロール:戻します。
────機体デバイス名は:そうですね──。
────"サンドライダー"で如何でしょうか。』
〘------えへへ──☆ NON PROBLEM──☆☆☆〙
「にょきっとぉぉ──!!」
「くゆくゆぅぅ──!!」
ぶぅ。
空の旅へ、ようこそ。
︎ ┈┈ ✈︎










