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日常ドキンコ

((((;゜Д゜))))忙しふにゃふにゃ……!

一年でイチバンの多忙さです(;^ω^)(笑)

反動でホッコリ日常回になってしまう!




「……ふーぅ」




 問七. 次の括弧の中を適切な文字で埋めなさい。


  天空に浮かぶという迷宮( ロストガレオン )は、

 古くより様々な( 神話 )や( おとぎ話 )として

 語り継がれてきたが、そこへ( 辿り着いた )者が

 いるかどうかは誰にも( わからない )。何故なら、

 もしそれが実在するとしても( 行き方 )と( 帰り方 )

 が見当もつかないからである。



 問八. 次の問題文が正しければ〇、

    間違っていたら✕を括弧に記入しなさい。


 ・魔族と悪魔の差は、大きくは社交性で判断される(〇)


 ・ポーションを使うと、体力が回復し元気が出る (✕)


 ・吸血鬼は自身の血を使って剣を作る事ができる (〇)

  



「……うん、よし!」

「にょきっと!」

「ん? そうね。満点ね。ところでなんでいんの?」

「にょやっっ!!」

「うん? うん、窓あいてんね。うさ丸、テストってわかる?」

「にょ、にょきっとなぁ…………?」



 そっかぁー。わかんないかぁー。


 窓の外を見ると、マイスナが

 絵に描いたように、もっくそ慌てている。

 なにあれ可愛い。

 ウサギに逃げられたようね。

 私は満面の笑みを隣の二足歩行の兎に向けた。



「──にょきっとなぁ!!」

「うふふ、久しぶりにやらかしたな? まん丸うさぎめ☆ ん、待たれよ。君、なぜ私に登る」

「にょっきにょき!」



 ぐえ。

 ……おまえ今、顔ふんだやろ。

 先生きた。



「ふあぁ〜〜……よく寝たのぅ……。

 おお! 丸々と太ったラビットじゃな!」

「……帽子で「にょきっとな!」す……」



 ……おォし……。


 今さら私が、

 これくらいで取り乱すと思うなよ?


 ちょ、マイスナ!

 マイスナぁー!!

 助けてぇぇー!!


 この子、なかまで、入ってるぅぅ──!!









「あせったわー」

「ごめんなさい。いつの間に……」

「にょんにょんや……」

「かんかーん♪」



 先生は奇声を発する丸い帽子をポフポフと撫で、

 「ほっほっほっほっほっほ……!」と言って、

 答案用紙もってった。


 ……自己採点では満点だと思うけど、

 うさ帽子着用分の減点がない事を祈るばかりだ。


 うさ丸は猛省してて、

 へたりこダブル耳で自分の目を隠しているので、

 より完全な球体へと近づいている。



「アンティ、窓から飛び降りて出てきてビックリした!」

「きひひ。せっかく待っててくれたんだから、はやく合流したいでしょ?」

「えへへ……♪」



 うゅ、天使か。


 私と同じ女子で、何故こうも違うのか……。

 背の高さとか、ほっとんど、おんなじなんだけどなぁ……。


 お風呂上がりに鏡で見比べてみた事あるけど、

 だいたいプロポーションも同じなのに、なんでか、

 やたらマイスナの方が女の子っぽく見えるんだよなぁ……。



「?」

「なんでもなーい」

「えー」

 


 ふたりで、お昼の中をプラプラと歩く。

 地面が水たまりだらけなので、

 うさ丸は当頭上で反省帽子、

 カンクルはマイスナの高級マフラーと化してます。



「……凄い音だったね」

「んえ?」

「夜の雨。あんまり、音を聞いたことなかったから……」

「……そ、っか……」



 昨日の夜は、滝のような雨が降っていた。

 マイスナは、布団の中で目をパチクリしてた。



「ふふ……塔の家でも、たまにあったじゃない」

「うん。でも、アソコまですごいのは、初めてだった」

「そうね……風はなかったけど、すごかったね。塔の家だと、もっとすごいよ?」

「そうなの?」

「ええ……。雨や風が強い時は、まるで……あの空に近い場所に、自分だけが幽閉されたみたいな気分になるわ……」

「……!」

「ほら、地上から40メルもあるじゃない? 下の街は、雨で見えなくなるのよ」

「……さびしい?」

「……そうね。不思議な感じよ。嬉しいとか、悲しいとかじゃないの。窓の内側から、ただただ冷静に……水と灰色の景色を眺めてる」

「……。……次に、あの塔でそうなった時……」

「?」

「……隣に、いていい?」

「……っ! そんなの、いいに決まってるじゃない……」

「んっ! えへへ……」

「……。う、嬉しそうね……」

「……ぅん。ちょっと、雨が楽しみになった」

「も……もぅ」

「どんな感じが、するのかな…」



 昔は地下の研究室で暮らしてて、

 そのあとは雪と氷の世界だもんな……。

 雨なんかに降られたら死活問題だったはずよね……。



「その……」

「?」

「……あの場所で、雪や雨が降ったらどうしてたの?」

「……! ……打ち捨てられた、お化け屋敷みたいな家があって、その中にずっと居た……」

「! ……さみしいね……」

「……うん。今とは大違い……えへへ」



 おら。

 手ぇ、繋いだった。

 歩く。


 ぽちゃぷ、ぽちゃぷ。


 地面が、大きな池みたいになっている。

 ふたりで歩いて、水が濁る。

 歩いた所は、少しの間は、濁るのだ。


 随分前に、門番のおっちゃんが、

 "水()けが悪いのは街のレベルがまだなぁ〜〜"

 と言っていた。


 けどさっ。

 鏡のように風景が写って、

 世界が逆さまになるこの光景が、

 私は嫌いじゃない。



 境い目を、歩こう。


 手を繋いで、前を向いて。


 不安になって、後ろを向こう。


 ほら。やっぱり、キラキラしてる。


 ぽちゃぷ、ぽちゃぷ。



 赤い屋根の宿屋に寄ると、

 いつも出ているクラムチャウダーの屋台があった。



「にょきっとな……!?」

「くゆゆー」


「──おっ! 商売敵の娘! 今日はトモダチといっしょかい!」

「敵情視察よ! ふたつちょうだい!」

「──ははっ! 毎度ありっ! ところで、どちらかうちの息子の嫁にこないか?」

「ノーコメント」

「好きな人がいます」

「──ははっ! 裏切りは蜜の味って言うだろ? ほらよっ!」



 マイスナとふたりで、ニッコリと威圧を飛ばす。


 ここの屋台は、

 お皿を自分で持ってくると少しだけ安くしてくれるのよ。

 もちろん自前で、ふたつ渡したった。


 ……トロトロ、ポタタ……!


 じっくり煮込んたクリーミーな野菜スープに、

 二枚貝の旨みがとろけている。

 ベーコンはウチのばっちゃん焼き飯に使ってるのと似てる。


 あむ。


 ──うん、美味しい!

 

 悔しい事に、

 この宿屋は海の幸に明るい商人さんとツテがあるらしく、

 ウチは海産物では、この宿屋に敵わない!



「アンティも、これ、作れる!?」

「もちのろんよ! ナトリの街かホールエルの街に行った時、海産物、買い(あさ)ってやるんだから!」


『────危険な予感を:予測しました。』

『>>>ほどほどにしなよー。いっつも小料理屋さんできるくらい買ってるじゃんかぁー』



 うぇ!?

 だ、だってぇ……まさに食堂屋の娘じゃないのよ……。

 安くていいネタは、確保に入りたぃぃぃ……!

 バッグ歯車に入れたら、傷まないし……。



『>>>やあー、パートリッジの街のイレギュラーコールの報酬、かなりの額だったでしょ? 実はちょっと心配してんだよねぇー……。ほら、お金持ちになった途端、羽目を外して人格が変わるって話、よくあるだろ? 美女はべらしたりさ?』



 ……美女は間に合ってるでしょ、お互いに。



〘#……ふむ。今ざっくりと、この時限結晶(ストレージ)内の食糧備蓄リストを流し見てみたが……はは……確かに多いようだな。アンティ・キティラ、これは集団でしばらく籠城できる量だぞ?〙

〘------酒買ってくるのん☆ 辛口でいいのんな──☆〙



 酒汁王女は放置するとして、

 ギンガ先生にまで言われちゃったかぁ〜〜。


 ううーん……大金を持っているという実感が、にゃい……。

 バッグ歯車に、まるまるすっぽり隠れているからかな……?


 ハメを外して、豪遊する……? いやいやいや……。

 親に学費払って貰ってる有り難さ、


 こっちは身に染みてんのよ……。

 せっかく頂いたお金、そんなアホみたいに使えるかぁ……。



『────では:箱買いは二箱までと定義します。』

「え"っっ!?」



 お母さんが、お母さんみたいな事を言い出した。



「三箱……せめて三箱……」

『────いけません。』


〘#くっく……良い奥方になりそうじゃないか……〙

『>>>ははは……自分のスキルに財布のヒモ握られてるね……』

〘------お〜〜さ〜〜けぇ〜〜☆〙




 実家に帰らせていただきます。

 連れ合いも一緒ですのよ。


 表口の食堂はごった返しているけど、

 父さんの腰もローザのスライム湿布で復活したし、

 下ごしらえも手伝ったので、大丈夫だと思う。

 食堂は、まさしく消耗戦の場だ。

 準備が全てだよね。

 プライス君が風邪っぴきでも、父さんさえ動ければ……。

 ……ちぇ。後で湿布のお礼に、ローザにお酒あげっか。



〘------わぁ〜〜〜〜〜〜〜〜いっっ☆☆☆〙



 私たちの金と銀の髪は、

 ふたり一緒にいると、かなり目立ってしまうみたい。

 ……ドニオスの街でもふたりでいるから、まずいわよね……。


 今日は接客のお手伝いは父さんらに甘え、

 こっそりと二人で裏口から入って、

 二階の自室に滑り込むことにする。



「にょきっとにょきっと!」

「くゆっ!」



 えっ、お散歩してくんの?

 き……気をつけんのよ。

 水溜まりは避けろよ。

 大きくなっちゃダメだかんね。


 ぴょーん。

 とっとことー。


 ……いってもた。

 マイスナと、ふたりだ。


 裏口で、ちょける。



「……お手をどうぞ、お姫様。」

「あら……よしなに。お姫様。」



 ……そこはさぁ、絵本的には……王子様、じゃね……?



 トントンと上がる階段は、

 後ろに人がいると、

 とっても、落ちないように気をつける。

 ……昨日までは、知らなかった感覚だ。 



 んで、

 帰ってきました、私の部屋。



「…………」

「…………」



 さて、どうしようか。





(´,,•﹃ •,,`)ど、どうなるの……!?

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