弱虫先輩とあたたかなものたち さーしーえー
連投です(●´ω`●)
きみは、前話を読み忘れている(笑)
『>>>…………』
『がるがる♪ がるるんるん♪』
「わぁ〜〜〜〜!!」
「なんだこいつ〜〜〜〜!!」
「くゆぅ〜〜♪」
「にょきっと!」
「かっかっかっかっか!! も、も、もう一人、増えてるじゃあないかッッ!! こ、こりゃ、こりゃすごいねぇッッ!!! あ、アンタらぁ! とっ、とうとうサーカスでも始めるのかぃ!? かか、かっかっかっかっかっか──!!!」
「ば、バスリーさん? ちょ、ちょっと笑いすぎじゃね……!?」
「むぅ──!!」
『>>>……。だ、だいじょうぶそう……だな?』
箱庭に居ながらも、多少、ビクビクする。
今のぼくの状況を、説明する機会もないし、説明もできない。
こ、これは……昔の恋人から隠れる感じになってるんだろうか。
いや……恋人にすら、なっていないや……。
『>>>ふぅ……情けないったら、ないな……』
後輩ちゃんたちやガルンたちは、
バスリーちゃんたちと上手くやれそうだ。
ぼくはこの空間で、大人しくしておくことにしよう……。
〘#……カネトキ。あのご婦人と、知り合いなのか?〙
『>>>え? あ、いや……』
【 ……。はーいはーい、お偉い先生は、こっち。俺っちが酌でもしたるえ? 】
『>>>っ!』
〘#……な? お……? ん……、そ、そうかね……?〙
──どたどたどた。
──しゃんらしゃんら
【 (おら……去ね去ね) 】
『>>>……』
はは……。まさか、サキさんに気を使われるとは。
去り際に、アイコンタクトしてくれた。
鬼の居ぬ間に……ってのは失礼か。
せっかく先生を連れて行ってくれたんだ。
少し離れた区画に行こう。
とたとたとたとた……。
『C7:──はにゃ?』
『>>>……! やぁ……』
ニャーナと会った。
相変わらず、前の見た目とは全く違う。
完全に人型の女の子だ。ネコ耳つきの。
『>>>まさか、きみがそんな風になるとはねぇ……』
『C7:っ! あのにゃあ……。誰のせいでこうにゃったと思うとるんにゃ!』
『>>>あ、ははは……』
『C7:もーちっと、シャキッとするにゃよ? "パーパ"?』
『>>>いっ!?』
『C7:ぷ! にゃはははははははwww』
とたとたとたとた──……。
ニャーナは可笑しそうに走り、角を曲がっていった。
……ひぃ。
ぱ、パパって、きみ……。
──ヒョコ!
『C7:──もうちょっと!』
『>>>わっ!?』
『C7:ワタシたちの父親らしく、しっかり振る舞うにゃよ!』
『>>>……っ!』
──ヒュッ!
どたどたどたどたどたどた……。
『>>>……、……』
ドキドキ……。
『>>>参った……』
あてもなく、また。
和風の迷路を、歩き出す。
『>>>父親……って、あの"七人"の、ってことになるんだよなぁ……』
しょ……正直言う。ハードル高い。
ついこの間まで…………だったのに。
いや、確かにぼくは、やらかした。
し、しかし!
翌日から"七つ子のパパですよ〜〜"って、
無茶苦茶すぎやしないかぃっ!?
『>>>はははっ……喜べばいいのか、なんかバチが当たったのか……トホホ……』
ぶらぶらと歩いていると、酒飲み王女が寝ていた。
〘------ぐっかぁぁ──……☆〙
『>>>…………』
た、畳の部屋で、腹出して寝てやがる……。
これ、布団とか掛けてやった方がいいのか?
いや、でもヒールスライムだしなぁ……。
〘------ぐっかかぁぁ──☆ う;うへへ;うへへ……☆〙
『>>>というかコイツも、かなり謎の存在だよなぁ……』
レエン湖で回収したギガンティック・ヒールスライムが、なぜ、かの帝国の王女、"ロザリア・ロン・リバースレイブ"の面影を持つのか──……。
結局、ぼくらの分析力では、何もわからなかった。
〘------くかぁ──……☆ うぃ;氷入れるのは邪道のん……☆〙
『>>>なんの夢見てんだよ……』
だが、わかる。
ノウンチェイン≒ロザリア。
名前もそうだが、コイツは確実に、
あの王女の"なにか"を引き継いでいる。
ぼくと、ニョロニョロと、ロザリアとで……。
共に旅をしたからこそ、感じる何かがある……。
『>>>……やれやれ。わかっているのは、すっかりお酒好きだってことだな……』
〘------えへへ──☆ くか──……☆〙
一応、すぐそばの押し入れから布団を出して被せる。
スライム染みにならないといいけど……。
歩く。
しばらくして、またクニャウンズに会った。
『C1:……! これは父さん、こんにちはにゃ』
『>>>……! や、やぁニャッチ』
クニャウンズ一号機、ニャッチ。
ネコ耳つきの青年型で、
ぼくのせいで人型になったクニャウンズの中では、
一番、背が高い。
『C1:父さんは、散歩ですかにゃ?』
『>>>は、はは……そんなところ』
『C1:そうですかにゃ。ご一緒しても?』
『>>>え、もちろんいいけど。ホント、プラプラしてただけだよ?』
『C1:それが散歩ってもんですにゃ』
『>>>は、違いないや……』
とっとこと、歩き出す。
ううむ……やっぱり、後輩ちゃんよりも背ぇ高いよな……。
おっと、何か喋った方がいいよな……。
えーと。
『>>>きみは……』
『C1:……?』
『>>>けっこう堂々と、ぼくの事を"父さん"って呼ぶね?』
『C1:ふふ、事実ですからにゃ』
『>>>あはは……。ニャッチはその……嫌じゃないのかい?』
『C1:……というと?』
『>>>いや、だから……クラウンちゃんは、きみらにとって紛うことなき"母親"だろ……? それを、その……。ぼくが、かっさらっちゃったと言うか……』
『C1:ふふ、別にさらってはいないにゃ』
『>>>そ、そりゃそうだ! モノの例えさ……。でも本当は、クニャウンズの皆に嫌われてるんじゃないかと、思わなくもなかったりさ……?』
『C1:……』
ニャッチは何やら考えて歩いていたけど、
すぐに喋り出した。
『C1:……父さん。ぼく達は最初、"擬似生命デバイス"だったにゃ』
『>>>! ……そうだね』
『C1:"クラウンたま"をサポートするためにプログラミングされた並列化AI……それは、偽物の命ってことにゃ』
『>>>そっ、それはちが──』
『C1:──でも、今は堂々と言えるにゃ。ぼく達は、"ホンモノ"の生命だと』
『>>>……──!』
『C1:ぼく達は、"発生"した時から、けっこう優柔不断なデバイスだったにゃ。それなりに個性を持つことも許されたにゃ。でも、それらがぼく達の中で確定していった要因は、"母さん"が"父さん"の記憶を見て、喜怒哀楽をよく理解したからに他ならないにゃ』
『>>>! ……、……それは……そうかもだけど……』
『C1:そうにゃ。心も身体も、あなた達から貰ったにゃ』
『>>>! き、きみ……落ち着いてる雰囲気なのに、けっこうドシンと言うねぇ……』
『C1:素直に思っている事を、伝えているだけにゃ』
『>>>ははは……』
『C1:クニャウンズは色々いるけど……あなた達に"ホンモノの生命"に育ててもらったと、皆、ちゃんと理解しているにゃ。嫌われるってのはないと思うにゃよ?』
『>>>……ふぅ。ありがとう』
ポリポリ……。
『C1:……そんなに、昔、好きだった人に後ろめたいにゃか?』
『>>>──ッ!! や、あの、それは……』
『C1:気にする必要、にゃいと思うけど……。運命信じて一人だけに好きな人を決め込むなんて、恋愛成就した側から見たら行動力のない妄想持ちにすぎんにゃ?』
『>>>おいちょっと待て! きみはちょっと悟りすぎだぞ!? なんでそんな達観してるんだ!?』
『C1:ふふん、父さんの人生経験を多少引き継いでるからにゃよ。だいじょうぶにゃ。あなたは"父親"に相応しいと思うにゃ』
『>>>……。自分では、思えないんだよ。とても、ね』
『C1:にゃ。じゃあまず、終始ナヨナヨするのを止める所からにゃあ?』
『>>>──薄々わかってたけど、きみ、かなり言う事がキツイなッッ!?』
『C1:ははは。なんのことかにゃー。あ……』
『>>>え? ……あ』
『────:……。』
クラウンちゃんだ。
『C1:──では"父さん"? ぼくはこっちに用事があるので。後は、"母さん"と──。また一緒に、銃火器系のデバイスでも造ろうにゃー!』
『>>>え? あ、ああ……』
『C1:じゃ……』
すたたたたた……。
う、うーむ。
冷静そうに見えて、敵には容赦がないタイプと見た。
見た目といい、ニャッチは長男って感じだな……。
『────……何の話を:していたのですか。』
『>>>……ん? ……"父親"について……』
『────:そうです:か……。』
『>>>うん……』
『────:一号機は……ニャッチは:なんと。』
『>>>……。ぼくが、"父親に相応しい"、ってさ。自分ではサッパリなんだけどね?』
『────ふふ:そうですか。』
『>>>何してたの?』
『────散歩です。』
『>>>そりゃ奇遇。ご一緒しても?』
『────デートの:お誘いですか。』
『>>>手を繋いだ方が?』
──ポスンっ。
軽く小突かれた。
いっしょに歩く。
『────箱庭フォートレスの自動修復ですが……。』
『>>>うん?』
『────やはり:形状が変化してきています。』
『>>>っ! 具体的には??』
『────"戦闘武装系デバイス"が増加傾向にあります。』
『>>>!! え、え? それって……例えば、"主砲"みたいな……?』
『────まさにそれです。実は箱庭フォートレスの全体ホログラムをギンガ殿に確認してもらったのですが:〘#まるで戦艦だな……〙と言わしめる程の変化が起こっています。昨日:とうとう三連砲が六基:構成・配備されました。』
『>>>おいおいおい……なんでそんな武装がにょきにょき生えてくんだよ……!?』
『────それは:その……。実は仮説は立っておりまして……。』
『>>>えっ……。箱庭が戦艦みたいに修復されてる理由ってこと?』
『────はい。その……つい先日:私とイニィ・スリーフォウ:ダイオルノシュオンとヨトギサキ:とのグループで分かれて模擬戦闘をした際──……。』
『>>>なるほどわかった! この前のケンカできみがぶっぱなしたミサイルやらの武装で、箱庭の外壁が破損したから……! 箱庭の防衛本能的なものが、武装構築という形で修復箇所に現れたってことか!』
『────けっ:ケンカというワケでは。ゴニョゴニョ……。』
『>>>マジか……えっ、そのデータ!! 後で見せてほしい』
『────は:はい……。』
あ……思わずクラウンちゃんの両肩を掴んでいた……。
いっけね……。
『────カネト。私たちの事で:相談があります。』
『>>>えっ……、ど、どんな……?』
ドキドキ……。
『────"サーバー"関連の事です。』
お、おっとぉ! 真面目なほうだった!
『>>>こ、こほん……。その……きみが"日曜日サーバー"って呼称されている件だよね……』
『────はい……。』
『>>>……ぼくの認識では、きみが発生した三要素は、"歯車法"、"アナライズカード"、そして"紅の時限結晶"だ……』
『────はい……。』
『>>>……きみは間違いなく、アンティのスキルだよ。得体が知れないものなんかじゃない』
『────しかし:カネト。あなたも、私の肉体を創る時に:見たはず。あの時────。』
『>>>……』
『────確かにあの時:こう表示されました。
────ダンジョン:サーバーのボディを
再構成しますか?
────と……。』
『>>>…………』
『────カネト。私の構成マテリアルの"アナライズカード"と"紅の時限結晶"は:ダンジョンから出土しています。』
『>>>……、ああ……』
『────私は……:何かの"生まれ変わり"なのでしょうか……。』
クラウンちゃんは、随分と不安そうに見える。
まるで……昔の記憶がない人のような。
もしかして、過去の自分の全てが消えた上に、
今の自分があるような。
そんな、土台が空っぽであるという、不安。
……。
こういう時、気のきいた言葉をかけられたら、
どんなにいいだろうか。
……は。
それができたら、ぼくはここにはいまい。
なるほど、初心に帰ろう。
正義の味方に必要なのは……、
正義の心よりも……まず、行動だ。
──ギュ……。
『────え……。』
すぐ隣の壁に背を預けて座り、
膝の中に、彼女をおさめた。
いつものコックピットの中に似ているけど、
今は、少しだけ心が近い。
『>>>きみに……』
『────!。』
『>>>きみにカッコイイ言葉をかけてあげたいけど……ぼくには思いつかないや』
『────……。』
『>>>いつまで経っても、思いつかない。だから──……』
『────……だから?。』
『>>>マシなことが言えるまで、そばに居ることにするよ』
『────! ふふ……。』
『>>>な、なんだぃ?』
『────それでは:永遠にそばに居ることになるのでは?。』
『>>>……! い、言ったな?』
『────ふふふ……。』
やれやれ……。
こりゃ、いつまでもこんな感じだろうなぁ。
『>>>……後輩ちゃんが落ち着いたら、"シゼツ"を呼び出してもらおう』
『────!。』
『>>>勘だけど。あいつは、なんか、知ってる』
『────……はい。』
コテンと。
クラウンちゃんは、頭を預けた。
『────もう一つ:ご相談が。』
『>>>なんだぃ?』
『────私専用の:パイロットスーツの製作にご助力ください。その:いつまでもワンピースというのは……。』
『>>>……なるほど。ウェディングドレス型がいいかな?』
────ごっつん。
後頭部で小突かれた。
( º言º)チッ
↑こらぁ










