" レターライダーズ "
知らない間に、もうこんな年末ですね(笑)
(*´艸`).*・゜
今年は書籍出版という、人生で中々出会えない幸福に恵まれました。
一重に皆さんのおかげです!
あざんますます!
なかなか長く続いてきている
『はぐるまどらいぶ。』ですが、
549話で大きな大きな一区切りを迎えました!
マイちゃん、やっぱり仲間になりましたね(笑)
550話からはかなりビックリな新要素が増えましたが……
((´∀`*))ヶラヶラ
さぁて……ここからがたいへんだや!
かばが忘れている伏線は、いったいいくつかな……?
(;^ω^)笑
これからも『自分が楽しく』をモットーに、
ふにゃふにゃ問題作を綴っていこうと思っちょります!
良ければまた、のんびりと。
お付き合いくださいませ。
それでは、良いお年を。
多謝<(_ _*)>。
かばやきたれ
やれやれ。
やっぱり女の子の日が終わるのも一緒だったわ。
男の子になったって意味じゃねーぞ。
オーライ?
[ AM 7:14 ]──ドニオスギルド上空 塔の家▼|
「うーっ。月に一度、こうなるの?」
「そ。てか今までは、どしてたのよ?」
「……全身が痛かった」
「抱きしめるので許してくれ」
「わぁーい。これって赤ちゃんが産めるってことなの?」
「まーそぅね」
「私、アンティの赤ちゃん欲しい」
「ふぅー……、よく聞けマイスナ? 驚きの真実。私にチンコはねぇ」
「ああ、ああ、神よ。世界でひとつだけ願いが叶うなら、アンティに立派なおチンチンを……」
「oops、今日も憧れの人が狂ってる」
「もしくは逆でも可!」
「即もぐかんな。どっちに生えても。冗談言ってないで、行くわよマイスナ!」
「ふふ、私がいつ冗談を言ったのだろうか」
「っせ。もー! 今日も区画仕分けからだかんね? まぁ二人でぶっ倒れる前に結構慣れてたから、だいじょぶかぁ」
「……子供たちに群がられる感触が、忘れられないです……!」
「きひひ! これからずっと被害が半分なんて、マイスナ様様だわ! しゃークラウン!」
『────Ready。』
「ローザ!」
〘------Please☆〙
「「コードにゅうりょく!」」
「 " 変 "──……!! 」
「 " 身 "──……!! 」
『〘 ─-─-─装着変身シークエンス。〙』
[ AM 7:26 ]──ドニオス受付カウンタ▼|
「ひゃわわわわぁ……むーぅ。アンティさん、マイスナさん、おはようございます。今日も笑顔じゃなくても眩しいですね。もう仲良しダウンは大丈夫なんですか? ちなみにあの歓迎会の事は、既に冒険者さん方の中で伝説になっていて、もう手遅れです」
「ごめんキッティ、あのさぁ……。あの夜の事について、誰に聞いても全く教えてくんないんだけど……。私たち、いったい何しでかしたの?」
「……うん。何か美味しいモノを食べて、その後の記憶がないです」
「ほほーぉ……。私もあの後、会場にお邪魔したんですが……お二人共、アレを全て覚えていないと仰る……?」
「だぁーかぁーらぁー……、何も覚えてないんだってぇ……」
「みんな笑って『いやぁー最高だったぜ!!』しか言わない……」
「えぇ、えぇ、私もそう思います。あんな素晴らしい見世物は、そうそうお目にかかれませんよ。もう思い出しただけでゾクゾクします。あれはアカンです」
「新作のお菓子あげるから教えやがれ」
「やがれー」
「やぶさかではありません」
「フリーズドライの苺を、ホワイトチョコでくるんでみました」
「ぶいっ!」
「フリーズドライってなんですか??」
[ AM 11:34 ]──酒場"おうんごうる"▼|
「──なんだい! じゃあ配達の合間に、わざわざ謝りにきてくれたのかぃ??」
「ほんっとに、ホンットにごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「すみませんすみませんすみませんすみませんすみません私が悪いです悪いです悪いです悪いです悪いです悪いです……」
「いやっははぁ!! 何言ってんの! あの日、俺の店は二週間分の売上を叩き出したんだぜ! 親父も大喜びでなぁ……絵本ファイト様様さ! カミさんも大盛り上がりだったよ!!」
「ぇ、え……? あ、あのォ……このお金……私たちが背中とかで潰したお皿とかの……弁償代です……」
「しくしくしくしくしくしく……」
「えっ!? いや、これは貰えないよ!! だから売上で全然まかなえちゃうんだって! そんなの気にしなくていいから、ホラ……また、たまにやってくれよ!! がははははは!!」
「お願いですお金ならあります受け取ってください私たちの精神的に……」
「あ、あ、アンティに……アンティの顔に泥を塗っ、た……、こっこれはも、ぅ……私の全てを捧げるしかぁぁ……」
「いやぁ、しかし凄かったなぁ……まさか、あんな義賊ちゃんと狂銀ちゃんのバトルが見れるとはなァ!! フフフ……あ、ちょっと早いけと昼メシ食っていくかぃ?」
[ PM 1:27 ]──ドニオス某所▼|
「いよーおォ! 義賊ちゃん、狂銀ちゃん!! あの夜は最高だったぜぇー!!」
「おっ!! 絵本コンビじゃねぇか! おいおらお前ら! 道開けろぉ! 姫様方がお通りだぞごッッるぁぁああ!!」
「はっ!! あ、あなた様方は……!! ど、どうぞッッ……!! お通りくださいッッ!!」
「きゃ〜〜♪♪ やっぱ二人とも可愛い〜〜!! あの後どうなったの? やっぱ同士討ち?」
「…………」
「…………」
「ぁ、はい……どうも……えぇ……」
「……アンティ」
「あに……」
「身も心も捧げるので、許してください……」
「……後でなでなでして。私もするから」
[ PM 3:50 ]──クルルカンのぼり隊 第三陣地▼|
「でたなっ! クルルカンのおねぇちゃんと、きょうぎんオクセンフェルトめ!」
「ここであったがひゃくねんめ! おまえたちが手をくんだとなると、すておくわけにはいかぬ!」
「手をむすべば、ぼくらにかなうと思ったか!」
「…………」
「…………」
「……むごんか。いいだろう! たたかいの前にむだぐちはいらぬ! ものども、かかれぇー!!」
「「「「「わぁぁぁあああー!!」」」」」
「……」
「……」
「た、たいちょう! おかしいわ!」
「どうしたっ!? だれかやられたのか!?」
「ち、ちがうの! 今日のおねぇちゃんたち、元気がないわ!」
「な──……なにィ!?」
「いつもは、いくらのぼっても、ゆっくり前にすすむのに……! 見て!!」
「ば……ばかな……! む、むていこう、だと……!」
「されるがままよ……」
「な……なんだ……なんだこのキモチは……」
「た、たいちょう……」
「ち、ちがう! ぼ、ぼくはこんな、むなしいたたかいがしたかったわけじゃない……!」
「な、何か、あったのかな……」
「おねぇちゃん、どーしたの?」
「──立て! 立つんだクルルカン! オクセンフェルト!! きみたちが元気じゃないと、ぼくたちに張り合いがない! ちょ、ホント元気だしておねぇちゃんたち!! 飴ちゃんあげるからぁ────!!!」
[ PM 5:06 ]──ドニオス東部14丁目 カトリーヌ宅▼|
「あぁらぁ……私に荷物ですか?」
「はい。お肉屋さんからです! 先日のお礼ですって」
「ちょっと心配だったから、凍らせた」
「まぁまぁまぁ……氷の魔石、高かったでしょう?」
「あ、いえ……」
「……魔法で凍らせたから、大丈夫」
「まぁ、そうなのぉ? ふふふ……そんな所も、絵本とソックリさんなのねぇ。氷属性は難しいって言うけど、どれくらい凍らせられるの?」
「え……。や……やま、ひとつ分……くらい……?」
「あ、あはは……。よかったら、お肉の解凍します! やってっていいですか?」
「あらぁ、じゃあ、お願いしようかしら。狂銀さん、もうこの街には慣れましたか?」
「う、うん……さっき、子供に飴ちゃん貰った」
「あ、あはは……」
「まぁまぁまぁ……! 狂銀さんも、愛してくれる街で良かったわぁ。クルルカンさん? 子供は早い方がいいわよぉ〜〜」
「──うん? ちょっと待っておばあちゃん。私にチンコはねぇ」
[ PM 6:02 ]──ドニオスギルド受付▼|
「アンティさん達が持ち込んだお菓子のせいで、我々ギルド職員は壊滅的なダメージを受けています。ご覧下さい」
「ホワイトチョコの中から広がるシャクシャク苺の甘酸っぱさに脱帽。仕事が手につきません」[23歳:女性]
「甘味と酸味のハーモニーに、思わず涙が滲んだ……」[19歳:女性]
「一口サイズで食べやすい。美味しかったです」[32歳:男性]
「夢に出る」[25歳:男性]
「うわぁぁああああんんん!! なんてモノ食べさせるんですかぁああああ!! 追加が欲しいですぅぅううう!!」[18歳:女性]
「…………」
「キッティうるさい」
「文句を言ってきたギルマスにも、ひとつ口に放り込んで黙らせました。あの苺の加工方法を教えて下さい」
「いつもふざけてるキッティが真剣でこえぇ……。いやー、あの苺は私とマイスナでないと無理だしなぁ……」
「きぎょうひみつです」
「……。ぐすっ……」
「泣くなよ……。たまに持ってくるから……」
「よしよし」
「ううっ……なんだろこの癒し……。マイスナさんはいいお嫁さんになりますね……「私は?」あ! そうだアンティさんが調べて欲しいって言ってた魔物! わかりましたよ!」
「っ! ホント!? さっすがキッティ!!」
「パチパチパー」
「えっへん! "ほりほえ"なんて言うから、ナトリの街近くの、南方面の魔物から調べちゃって、えらい遠回りしましたよ! 全然見当違いでした!」
「え……っと、で、実際はどんな魔物だったの?」
「ドキドキ」
「──ホリホエ、は恐らく略称ですね。
"ホーリーホエイル"。"羽根鯨"の事だと思います」
「! はね……くじら、って……。よく絵本に出てくる、あの?」
「?? アンティ、知ってるの?」
「そですそです。パートリッジの街の北の民族の中では、"天空鯨"という意味で"カントフムペ"と呼ばれています。プレミオムズ集会で会った審議官の方のローブに、その魔物の刺繍がされていませんでしたか?」
「! エコープルちゃんのローブに……? そう言えば……」
「?? アンティ、プレミオムズって、なぁに……?」
「ふふふ。アンティさんは、世界で一番の"配達職"だという事ですよ」
「! そうなの!?」
「や、そりゃ……少し前まで私しかいなかったかんね?」
「あと……"ホーリーホエイル"の"ソウルシフト"ですが……"錬成"だと言われています」
「れ、"れんせい"……!?」
「? ??」
「ええ……。あらゆる物質を組み換え、新しい何かにしてしまう特性です」
「……くみ、かえる……」
「…………。ねぇ、キッティ。"はねくじら"って魔物、珍しい?」
「あはは! そりゃー珍しいですよぉー!! 伝承でしか出てきませんし! 前にドラゴンが伝説だって言いましたけど、僻地に行けば、竜種は必ずどこかで生息していると考えられています。昔、ドラゴンの武装に肉体や能力を"捕食"されて取り込まれたって記録もありますしねー。でも、"はねくじら"は遥かな天空にいるかもしれないなー、的な認識が一般的です。ある意味、ドラゴンよりも雲の上のお話ですよぅー」
「おいおいおいおい……。てことは……"ホリホエのナユタ"は……"ナユタ"って名前の"はねくじら"……? あんの変態ぃぃぃ、ヤバいもん取り扱いすぎだろぉぉぉ……!!」
「アンティ……? このドレスって、その……?」
「? ?? 所で、なんで"羽根鯨"のこと調べてたんです?」
[ PM 7:38 ]──ドニオスギルド 廊下▼|
「おっ。ギルド飯の帰りか。ふん、今日は自炊はサボりか?」
「あ……ヒゲイドさん、こんばんは」
「こんばんはです」
「うむ。あの酒場の騒ぎ、ずいぶん広がっているようだな、おいまて、やめろ。二人して土下座しようとするな。立てアホたれ」
「追い出さないでください追い出さないでください追い出さないでください……」
「アンティといたいですアンティといたいですアンティといたいです……」
「わ、わかった。わかったから……。全く。まぁギルドホールで暴れるより、酒場で暴れる方が良かろう。店に謝罪に行ったそうだな。冒険者の連中から聞いたぞ」
「ううう……なしてそげな事を……」
「全く記憶にございません……」
「お前ら……あ、あんな壮絶な押し倒し合いをしておいて……。そうだ。お前ら二人、クラン登録しておいたぞ」
「へ?」
「ほ?」
「クラン名は……"レターライダーズ"にしておいた。キッティは何も言っていなかったか?」
「え……いや、その事については、何も……?」
「お菓子がもっと欲しいって言われたよ……?」
「あ、あいつ……あの苺のか……。確かに美味かったが……」
「ひ、ヒゲイドさん。それより"クラン"って……?」
「こくこく」
「ん? 言葉の通りの意味だ。お前達二人を普段共に行動するパーティとして正式登録した。ふん……まさか"Sランク二人組"のバディクランがあるとは誰も思うまい。くくく……なぁ? "レターライダーズ"?」
「レター……!」
「ライダーズ……!」
「クラン人数上限は、二名にしておいた。お前達以外をメンバーにする気は毛頭無い。絶対に誰も入れるな。アンティをクランマスター、マイスナをサブクランマスターにしておいた。覚えておけ」
「え、いや、あのぉー……」
「はいっ! たいへん気に入りましたが、なんでアンティとクランする?」
「それだ。ひとつ、お前達に頼みがある。二人で別々に配達をした方が効率が良いとは思う。しかし、できる限り、いつも二人でいろ」
「「 ! 」」
「お前達の力の秘密は大きい……。すまないが、多箇所に展開するよりは、同じ箇所で活動した方が、秘密の漏洩が起こる可能性は低くなる。お互いにお互いを、ボディーガードできるしな……」
「……! ヒゲイドさん……」
「アンティの……ボディーガード!!」
「それを公認と見なせるようにクランを作った。強制はせんが、できるなら常に共に行動しろ。以上だ」
「わかりました。ありがとうございます」
「いつも、一緒にいるっ!」
「……ふっ。そうだったな」
[ PM 8:59 ]──ドニオスギルド上空 塔の家内 風呂▼|
「にょきっとぉ〜〜♪」
「くゆくゆ〜〜♪」
「……うさ丸の手、おまんじゅうみたい。つるつる」
「にょ……!? にょ、にょきっとなぁ……」
「?」
「あー。うさ丸ねぇ、自分の手に毛が生えてないの、気にしてるみたいなのよ。可愛いのにねぇ」
「そうなの? 大丈夫。私にも毛、ないよ?」
「にょんにょん……にょんにょんにょん……」
「くゆくゆ──!!」
「うおっぷ。カンクルとお風呂入ってると、勝手にお風呂がお花まみれになるわねぇ」
「ふふ、お姫様のお風呂みたい!」
「ふふっ、そーね?」
「にょきっと、にょきっとな?」
「かんかんかん♪」
「そーいえば、"銀の花嫁"から生えてきた精霊花、どーなってる?」
「知らない間に、にょきにょき生えてる。でも、ちゃんと"鎖ポケット"に入るよ……?」
「そうなの? てことは"バッグ歯車"にも入るわね……どうなっとんねん、精霊花……」
「にょきっとなー!」
「くゆっ!」
[ PM 10:00 ]──ドニオスギルド上空 塔の家内 ベッド▼|
「……」
「……」
「……」
「……ねぇ……」
「……あに……?」
「私たち、一緒にいて、いいのかな?」
「? なにが……」
「だって……その、アンティも、いつかは……誰かと結婚して……」
「……! ……」
「……」
「……、ねーなーさいっ」
「! むぅ──……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……ねぇ、マイスナ」
「……なぁに? アンティ」
「お互いの人生、だいなしにしあおっか」










