A.倒せる
いつもスローペースでごめぬです(;^ω^)
蒲焼の絵なんて描いてっから……(✽´ཫ`✽)
時は、加速する。
ぶっぱなした瞬間、後ろ向きにも、ぶっぱなした。
ああ、これアレね。
勢い相殺してんでしょ。
あのねぇ。
乙女の左腕を中心に、
爆風サンドイッチってのは、どうよ。
肩から爆炎、肘から弾丸。
サクサクのウエハースみたいに、壁は砕ける。
────ぉぉぉぉおおおん!!!
「やば」
あれっ? 私、人間やめてない?
銃身が折りたたまれ、肘から、中に引っ込んだ。
気配。
「 ち 」
再び肉の力で閉じる腕の装甲を見ながら、
砕けたガレキの中の煙を跳ぶ。
ダメだ、止められない。
飛び交うガレキを避けながら、特大前歯が迫る。
やるか。
もう情に浸ってちゃ、いけない。
私にだって、命はある。
カタチが戻ったばかりの左腕に、力を入れる。
散りばめられた歯車が、唸りだす。
「ごめん」
刈り取るように、腕を突き出し、
……──分析結果の、最初を見た。
『────ネームド:【 デブ ── | 。』
「 」
い、
い、
い
!
────こ、いつ、かっ!!
『助』の文字が視覚に表示される頃には、
慌てて左手を引いた。
ぐわん、とやったので、身体がそっちに回転する。
デブ助は、やりたくない。
前歯。
魔刃を持った、右手を突き出す。
『──── ゥィィイイイイッッ───!!!』
「わぁ─────────!!!!!」
────ぞしゅ!
ゴトン、ゴトンッ!
「えぅぁ 」
『──〜〜!!? キュゥイイイイイ〜〜──!?』
なんか、斬れた。
「──え"っ!?」
『──〜〜クゥゥウイッッ!!? キュウウウウ〜〜!!』
「あ"っ、だいじょぶッッ!?」
でっかい光るモルモットが、
口を押さえて鳴いている。
涙目である。
「ちょ、デブ助!? ケガしたの!?」
思わず、魔刃をぶつけてしまったんだもの!
ま、まさか……!
『──〜〜キュウゥゥウィィイイイ〜〜──!!』
「えっ、あっっ!!!」
前歯が、短いっ!!?
「ど、どうしてっ!?」
『──〜〜キュンキュァァアアアアイイィィィ!!!』
だだだだだだだだだぁだだだだだだだ…………!!
あっ逃げた!
。
。
「……、……」
『────歯だけを切断するとは:流石です。』
『>>>ちょっと可哀想だったねー』
なんか、すっごいつぶらな瞳で泣いてたわね……。
あ、そか。歯ね。斬れたの。
魔刃シゼツを見る。
「……これ、鞘の一部に穴が開いてる意匠なのよねぇ。ここに当たったのね……」
キラキラと覗く、黄金の刃。
鞘の意味ないよね……。
『────切歯部の根元を残し:直角に切断しています。』
『>>>追い払えて良かったね! まぁ……また生えるよ』
「あれ、デブ助だったんだ……」
すでにデブの領域を超えている。
アレなら、クマに勝てるわよ……。
「食堂の天敵みたいなヤツね……ん?」
ぴかぴか、ぴかぴか。
───────────────────────────
なにか ひかっているものが
ふたつ おちている▼
ひろいますか?▼
▼はい いいえ
───────────────────────────
「…………」
よしょ。
とても清潔そうな白い板。二枚。
ほのかに、白く光っている。
私の顔よりデカいじゃないの。
『────抗菌:及び殺菌効果を確認。』
『>>>デブ助の前歯だねー』
「いや、前歯って、言うかさぁ……」
……。
すっごい、まな板に見えるんだけど……。
「…………」
ぴかぴか。
「…………」
ぴかぴか。
「……光るまな板だ」
『────ほぅ。』
『>>>おいやめろよッ! そんなこと言ったら、そうとしか見えなくなるだろぅッ!?』
なぜ、いま私は怒られたの。
「ひかってる……」
『────素晴らしい浄化効果です。
────汚染された水源に入れれば:即座に浄化可能。
────アンデッドにぶつければ一撃で屠るでしょう。』
『>>>ウソでしょ……そんな初期装備みたいなモンで……』
「まな板でアンデッドが倒せるワケないでしょっ!」
い、いや、落ち着け私……まな板じゃない。
これはデブ助の前歯よ……!
……。
でも、ヤッバィな……。
超きれいな、まな板だな……。
私が持ってる木のヤツじゃなくて、
貴族様が使うヤツみたいだわ。
「ねぇ……コレほんとに清潔なの……?」
『────雑菌を:尽く消滅させています。』
『>>>えぇっ。何だぃ、この分析結果。後輩ちゃん、それレアアイテムだよ。光の力を持ってる。投げたらエルダーリッチでも消し飛ぶよ』
「やんないわよっ!」
なんで最高位のアンデッドにまな板を投げんのよ。
それやったら私、どうかしてる奴じゃないのよ!
「……」
『────アイテム名:【 光るまな板 】を登録。』
頭上の相棒が、前歯に大層な名前をつけた。
てか私がつぶやいたママやないか。
『>>>これで料理したら日持ちするんじゃない?』
「えっ……嬉しい……」
い、いやいや待て待て!?
歯だぞっ!?
本当にいいのか私っ!?
何か大切なモノを見失ってないかっ!?
『────腸内環境を整える効果が:料理に加算されます。』
『>>>何それすっげぇ!』
「はぁ……"研究者の日誌③"、読んじゃおぅ……」
一応、前歯はもらっとく。
二枚あったら、使い分けられるわね……。
クラウンと先輩がワケわからん話をしだしたので、
ちょっと疎外感のようなモノを感じながらも、
アナライズカードの多面体を、手の歯車から出す。
キラキラ。
──しゅっ!
「──ふゅぉっ!?」
多面体に、いきなり髪の毛の先が吸い付いたので、
変な声でた。
(´・ω・`)ちょっと待って……
今、自分の蒲焼イラストのクオリティに引いてる……