アンちゃんのぶんどり術
もっぱつ行こうぜ(`-ω-´)+
あ〜〜ら不思議。
歯車が私の身体を、
とおりぬけるじゃ、あ〜〜りませんか。
「……わぁ、私、すごい大道芸人になっちゃったぁ……」
『────……声に抑揚が皆無です:アンティ。』
『>>>きみの身体が、"歯車の一部"と判定されるんだよ。だから歯車の材質が干渉しない』
『────身体機能には:全く影響を起こしていません。』
「私の身体を、歯車が素通りできる、ってこと、よね……?」
『────集約された表現。』
「…………」
パシッ。
掴める。
歯車、ちゃんと掴めるのよ。
なのに、さっきは私の腕をすり抜けた。
今の気持ちを、なんと表せばよいのだろう……。
「……神さまは、私に芸を極めろと仰るのだろうか……」
『────……。』
『>>>確かにソレ、舞台でやったらバカウケだろうね……世紀の大魔術だよ』
た、確かに……。
身体の中に、歯車を隠せるってことでしょ?
通り抜けとかもできるし……。
あかん、めまいしてきた。
『>>>あ、後輩ちゃん、ちょっと歯車を体に入れたまま、回転させてみ?』
「 ── ほ、ほぉおおあああぁぁぁぁぁ──…… !! 」
この世の終わりみたいな声でた。
何てこと言うのよ! この仮面お兄さんはぁ!
『────どちらの肘が:よろしいですか。』
『>>>こらぁ! 怪我する可能性が限りなく低いから言っているんだって! きみだって、体内での回転運動の観測! したいだろぅ……?』
『────むっ:それは:……。』
「ふ、ふえぇ……クラウンまで……!」
■ アンちゃんの世紀の大魔術 ■
〜〜 きみにトリックがわかるか? 〜〜
①自分の腕に、歯車を差し込みます(震え)。
②すんなりと、入ります(拍手)。
③回します(涙目)。
──きゅううぅぅぅうういいんん!!
──ぞくぞくぞくっっ───ッ!?
「──ッひぃぃぃいいいいい!!?」
『────……外傷:無。
────熱量発生を確認。』
『>>>あー、ごめん……なんか、今さら罪悪感に襲われてきたよ……』
「うわぁぁああああ〜〜〜〜んんっ……!」
「キュックィ?」
……きゅうう、うぅぅぅん……。
「……、はぁ……はぁ……」
大樹の根っこに、突っ伏していますよ。
ちびっていません。
いませんとも。
『────身体内部に:歯車機構が構築可能のようです。』
『>>>そりゃすごいね! 今までは、クルルスーツの外側とか、装甲の隙間とかにしか歯車は組めなかったからなぁ……身体の内部にも歯車機構が組めるなら、ジョイントの幅も拡がるし、防御にも使えるんじゃないかな?』
『────回転時の熱量が:身体流路によって冷却:放熱されているようです。"同期融合"の効果と推測。』
『>>>へぇ。てことは、末端の毛先の流路から放熱してるんじゃないかぃ? うーん摩訶不思議だ……後輩ちゃん、もっかいできる?』
「うう、うぅ……」
『────……回復期間の延長申請。』
『>>>……やめといた方が良さそうだね……』
あ、当たり前でしょッッ!?
自分の身体の中で、歯車が回っってたのよ!?
お、恐ろしいったらないわ!!
そりゃ、痛くはなかったけどねっ!?
なんか、素通りって感じだったけど!!
こ、心がっ!!
ぞくぞくぞくっ、て、したわ!
うわぁぁぁあああんんん!
『────アンティ:"研究者の日誌③"は:どうされますか。』
「ぁ……後で読む。今日はお家かえりゅ……」
『────レディ。
────パートリッジギルド宿舎への帰還を選択。』
『>>>入り口、崩れちゃったけどね……』
「掘りますよぅ、何度でも……」
う、うぉ……立ち上がれ私……。
歯車に負けるんじゃない……。
あ、シゼツ持って帰らなきゃ。
……へっくち。
ヨロイ着よう……。
ぎゃおおおおおおおんんんん…………!
ヨロイに自分を喰わせ、魔の大剣を、背負う。
疑問を、口にした。
「……ねぇ。なんでいきなり、スキルが増えたの?」
『────原因は不明ですが:予測は出来ます。』
「えっ!」
『>>>ああ……十中八九、あの幽霊さんに会ったからだろうね……』
「そ!? そうなの!?」
あの、お手手まみれ花嫁さん……!
「確か……"Q.Q."って名前だったよね?」
『────肯。不完全な分析に起因する。
────何かの略称名の可能性:大。』
『>>>……後輩ちゃん。"歯車法"ときみとの同期が強化されたのは、恐らく"七光"というスキルのせいだ。"同期融合"は副産物でしかない』
「どっ、どうゆうこと!?」
『────記録を確認して:判明しました。
────まず"七光"が発現してから:
────"同期融合"が顕現したのです。』
「……、……」
『>>>同期の能力が強化されたのは、きみの身体のほとんどが流路で埋め尽くされたからだ。それが"七光"の特性なんだよ』
「……! で、でも! 流路ってさ、誰にでもあるものだよね? や、そりゃ私は魔無しだったけど……」
『>>>後輩ちゃん……脅かすようなこと言って悪いんけどさ……今のきみの流路束の密度は、はっきり言って異常だよ。髪の毛一本一本にも、毛先まで流路が通っているんだ』
「……──!」
『────アンティ。
────流路は:木の根のように身体に張り巡らされています。
────あなたにも:微弱ながら、それはあった。
────私は現時点まで:主に外部コーティングで:それをサポートしてきました。』
「……」
『>>>身体の表面に、流路を通してサポートしていたんだ。アナライズカードや、ヨロイ、歯車を使ってね。でも、今のきみは違う。あの花嫁さんとの接触で、肉体そのものが流路の塊になってしまってるんだ……』
『────アンティ。
────あなたの流路束は:もはや"木の根"に比喩できません。
────密度が:高すぎるのです。』
「そんな……」
自分の手を見る。
髪を、触る。
まぶたが、少し震えた。
それってさ……。
私の身体、作り変わっちゃったって、
そういう、ことじゃないの……?
「……、……」
『────……アンティ。』
『>>>……幸い、きみの健康状態は良好のようだ。後で色々試して調べてみよう……それが、安心に繋がるよ……』
…………。
「ねぇ……私、人間だよね?」
『>>>……──!』
『────もちろんです:アンティ。』
「!」
相棒が、言い切った。
『────あなたほど:人間らしい人間を:私は知りません。』
「クラウン……」
『>>>……あぁ、そうだとも。お陰できみのスキルも、随分と感情的になったじゃないか!』
『────むっ。』
「はは……」
私の身体が、幽霊花嫁さんと会って、
作り変わってしまったらしい。
……ブーケは、貰わなかったはずなんだけどな。
でも、体には違和感がない。
むしろ調子がいいくらい。
……今は、帰ろう。
さっき手に入れた日誌を読んで、
それから、髪の毛を調べてみようかな?
「"七光"……それが、元凶ってわけね? 世の中、わかんないことだらけだわ……」
『────今は:この地下空間からの脱出口を探索しましょう。場合によっては:また掘削が必要やも知れません。』
「そうね、その通りだわ」
「キュッキュ〜〜!」
おっ。
足元に、さっきへそライドしたモフモフがいる。
え? 「なかなかいい実験だった!」って?
ふん、褒めても何も出ないわよ。
「……あんた、"デブ助"の子供かなんか? ここはあんた達の楽園ね。元気で暮らすのよ。食堂には来んな?」
「キュックィ──!」
ライトニング=モフモルは、喜んでいるようだ。
「はいはい、じゃあね、……!?」
サラららららららら……!
────ピカァぁぁぁあああ────!!!
「──なっ!!?」
わ、私の髪!! 勝手に、動いて!?
『────スキル:"七光"が発動。』
えっ!? なんで!?
『>>>髪が、光ってる!!』
見りゃわかんわよっ!
「わ、私、なんもしてないわよっ──!?」
ピカァ────────!!
アンティの髪は、光り輝いた!▼
ライトニング=モフモルは、黄金の髪に包み込まれる!▼
"ドロー"!▼
「キュイ──!?」
「っ!!」
『────顕現化判定。』
『>>>っ! 見て!』
きゅううぅぅぅぅんん……!
目の前のモフモフから、光の筋が何本も出る!
これって……"流路"!?
何か、見覚えのあるカタチになってる────……!?
……──シュウウウゥゥゥ──……。
「……………」
「キュウ?」
『────……。』
『>>>…………』
はぐるま、だ。
はぐるま、なったで。
「……クラウン、分析……」
『────分析完了。
【 ぴかぴかどらいぶ 】
投擲型デバイス
用途:閃光弾
使用回数:1
────弾丸に加工可能判定。』
「…………」
つかむ。
「てやっ」
投げた。
きゅるるるるるる…………、
ビカァァァァ───────!!!!!
光った。
「キュゥゥウアアア─────♪♪♪」
「…………」
モフモフが、狂喜した。
スキル"七光"の効果。
・相手の流路に干渉し、能力系の歯車をぶんどる。
「盗みスキルじゃないの……」
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↑そろそろひつこい(笑)(;^ω^)
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ガチで今から二巻のゲラ出してきます(笑)
(๑´∀`๑)おわたー!