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きいてください さーしーえー



 暗闇の通路を抜けた先は、

 光り輝く、楽園でした……?


「クゥイ! クゥイ! クゥイ!」

「キュクク! キュクク! キュクク!」


「……めっちゃ居るじゃないのよ……」

『────至る所に:生命反応。

 ────枝葉の間にコミューンが形成されています。』

『>>>こんな地下に木が……。アイツらの光で木が育って、その木をアイツらが食べて……』

「……"共生"ってやつ?」


「キュア───!?」


 がさんがさん、ひゅ───────……!


「クィ───……!」


「あ」

『────落下。』

「ちょっ!」


 ネズ公が、枝から落ちたっ!

 あの木、でっかいから高いわよ!?

 下、ふっかい水ですよ!!


「ちょちょちょ! クラウン! 歯車の補助っ!」

『────レディ(準備完了)。』


 水面に叩きつけられそうなピカピカモフモフ!

 慌てて歯車を投擲(とうてき)する!


 ──きゅるるるるるるるっっ、

 ぼよぉぉお〜〜〜〜ん……。


 バッグ歯車は、生物を弾く!

 光るモフモフは、トランポリンのようにバウンドした。

 数回跳ねた後、バッグ歯車のシャボン玉のような入り口に、チョコンと座っている。


「…………」


 くいっと。

 歯車ごと、呼び寄せた。


 ──きゅるるるる……。


「クィック?」

「…………」


 ……持ち上げてみる。

 ぐい。


「…………」

「…………」

 挿絵(By みてみん)

 ぺか────ッ! 


「……クゥ──イッ!」

「ひかってやがるわね……」

『────光属性を確認。

 ────"ライトニング=モフモル"を、

 ────データベース:ライブラリに登録しました。』

『>>>なかなか可愛いじゃないか』

「……」

『────どうされましたか。』

『>>>え、どしたのさ?』

「ラット系ってさ……基本的に、食堂にとって天敵なのよね……」

『────……。』

『>>>ぁ──……』

「クィ──!」


 私の黄金のグローブの中で、

 光るモルモットが暴れもせず、じっと私を見ている。

 さながら「なんだこのやろう!」と言わんばかりの表情だわ……。

 中々の度胸よね……やっぱ人間慣れしてるのかな……?


「──クィッ!!」


 くるんっ!


「あっ──……ちょっ!」


 ……ひゅるる──ポシャンッ!


 ピカピカモフモフが、体を捻って水面に落ちた。


 すぃ────……。


「お……泳ぐのうめぇ……」

『────微弱ですが:魔力を使っています。』

『>>>枝から落ちたの、助ける必要なかったかもねー』


 なんじゃい。

 食堂娘のポリシーを捨てて助けてやったのにぃ……。


食堂(じっか)じゃなくて、よかったわね。もしアソコで会ったら、容赦はしなかったわ……」

『────……。』

『>>>ラット系に手厳しいな……』

「たまぁに、ちっこいのが店ん中に侵入したりすることがあってね……母さんも容赦ないわよ。箒でぶっ飛ばすもの」

『────……。

 ────スイング:ということでしょうか。』

『>>>食堂って戦場だね……』

「家系なのよ……飲食店だもん。おばあちゃん……母さんの母さんも、ラット系は目の敵にしてたんだって。こんな大量のラット見たら、なんて言うか……」


 巨大な光る木ってのは、確かに綺麗よ?

 下が澄んだ水ってのもあって、けっこう幻想的だわ。

 でもねぇ……あの光のひとつひとつが、

 モフモフピカピカだと思うと……。

 お、恐ろしや……!


 てか、"目撃された狂銀の手がかり"について調べてんのに、なんで新種モルモットの調査になってんのよっ!


『────モルモットは:お嫌いですか。』

「ん、いや……育った環境が、ねぇ?」

『>>>意外な一面だねー、可愛いのに……。ぉ! 後輩ちゃんッ!!』

「あに」

『>>>水面! 水面に、本が浮いてる!』

「えっ、あっ!!」


 ほんとだっ!!

 水の中に、本が開いた状態で浮いてる!

 さっきのネズ公が泳いだ波の揺れで、

 フワフワと漂ってるわ!


「回収してみよっ!」

『────アンティ:停止を申請。』

「──んっ!?」


 ていし?

 と、とまれってか。

 きくけども。


「……なして?」

『────波の揺れで:書籍が崩壊しかけています。』

「えっ!?」


 さっきのピカピカちゃんの泳いだ、僅かな揺れで!?


『>>>二年間、お水の中でドンブラコだったんだ……微生物に分解されてない方が不思議だ。揺らすとバラバラになりかねない……』

「ど、どうすればいいの……? 出来れば読みたい! せっかくの手がかりなのに……」

『>>>はは、何言ってんの後輩ちゃん!』

「えっ?」

『────ふ。

 ────私が:いるではありませんか。』

「えっ──?」


 ……クラウン、今ちょっと笑った?


『────"アナライズ:スキャン":起動。』

「……あ!」


 ヴォン……!!

 ジジジジジジジジ……!!


 水面に揺らめく書籍を、透明の板が、透過していく。


「そ、か……!」

『>>>クラウンちゃんの"アナライズスキャン"は、インクや材質の形状を読み取ることができるからね。どんなに劣化した本でも、ページさえ残っていれば内容を分析・把握することができる。これって実は、けっこう凄いスキルだと思うよ?』

『────文章データを:アナライズカードに転写しています。

 ────しかし:クルルカン。過信はできません。

 ────先程のアナライズスキャンでは:

 ────"未知のジェム"に(おく)れを取りました。

 ────大変:不服です。』

『>>>あぁ……。この広大な空間を隠蔽しきるとはね。ぼくも、やられたよ。後輩ちゃん! ドニオスギルドに帰ったら、ヒゲイドさんにジェム講座でもやってもらったら? かなり興味あるんだけど』

「えぇ──……。ジェム、なんか嫌い……」

『────……。

 ────予想していなかった:返答です。』

『>>>あはは……毛嫌いしちゃったのかな?』

「そ、そんなんじゃないもん!」

『────文章データの転写:まもなく終了します。』

「ぶぅ」


 水面のアナライズカードが、多角形の綺麗な形になる。

 くるくると回ってる。これが本のデータ?


「どうやって読むの?」

『────触れてください。』

「ん!」


 水面に浮かべた歯車を踏んづけて、近づく。

 あら、ほんとに綺麗。

 まるで宝────……。




 ──── ジ ャ ボ ッ !




「    」

『────    。』

『>>>    げっ…… 』



 ……()


 水面から、爪。


 アナライズカードの多面体を、取られた(・・・・)



「どちくしょう」

『────知覚不能。視覚のみヒット。』

『>>>距離をとるんだ!』


 先輩に言われるのと同時に、後ろに跳ぶ。

 水面から突き出した"爪"は、

 徐々に、ゆっくりと、上がってくる。


 爪は、手になって。

 そして、残り三つの腕も、姿を現す。

 ……そう、四本腕だ。


 水面から、顔が見え始めている──……。


「……振り切れて、なかったんだね」

『────分析失敗。原因不明。』

『>>>視覚以外は知覚できない敵か。ヤな感じだねぇ……』

「……全身、もーすぐ見えるよ」


 さっき、追っかけてきた四本腕の女ゴースト。

 モフモルツリーの光のお陰で、かなり明るい。

 はっきり見ることができた。


「……」


挿絵(By みてみん)

『 コ ン ニ チ ハ 』


「……、……!」


 ……正直な感想を言うと。

 綺麗だな、と思った……。


 やっぱり、女の人のカタチをしてる。

 一言で言うと……「花嫁姿をしたマネキンの怪物」。

 お腹に、大きな蒼いガラス玉があって、

 まるで妊婦さんみたいだ。


 巨大な腕だけが、まるでスケルトンの骨のよう。

 四本の腕は、関節が繋がっていない。

 肩から肘、肘から手のパーツが、

 宙に浮いているように見える。

 関節には、蒼いガラス玉のようなものがあり、

 奇妙な美しさを感じる。


 顔は、これまた蒼い、のっぺらぼうのマネキンのよう。

 目を閉じたような、まつ毛の白いペイントが、

 お絵描きみたいに描かれているようなツラだ。


 それが、花嫁さんみたいな、白いヴェールを被っている。


「……私は、お婿(ムコ)さんじゃないわ」

『────文章データを:奪取されました。』

『>>>わかっていると思うけど、異常だ。アナライズカードに干渉できる時点で、普通の敵じゃない』

「……取り返すわ。ねぇ、アンタ。悪いけど、それは御祝儀じゃないのよ」


『 …… コ ン ニ チ ハ ? 』


 ……。

 ……ふぅ。

 ぶ、きみだな……。

 妙に、綺麗なのが、こわい……。

 なんだ、この……。

 こいつ、ホントにゴーストなのか……?

 ちらっと、背中の"シゼツ"を気にする。


「……まだ寝てる?」

『────肯。深い眠りのように見えます。』

『>>>何か変だ……。シゼツが眠っているのも、こいつが関係あるんじゃないか?』


『 シ ゼ ツ 』


「──ぅあッ!?」


 どういうことっ!?


『────クルルカン。もしや。』

『>>>ふざけんなよ……こいつ、ぼくたちの声も聞こえてるってのかぃ!?』


『 ク ルル、ル ル ? 』


 4つ腕・花嫁マネキンさんが、

 カタンカタンと、首を捻る。

 白のヴェールが、ゆらゆらと煌めく。

 ……こいつ、あかんやつや。

 何で言ったら……カラダを作っている、

 ひとつひとつのパーツが、なんてーか……、

 つくりこまれてる(・・・・・・・・)


『>>>魔物として、クオリティが高いってことさ……魔物かどうかも怪しいけどね……』


 先輩の声は、まるで冷や汗が見えるかのような響き。


『────アナライズスキャンも無効化されました。』


『 ヒ サ シ ブ リ 』


「──!!」


 よく、しゃべる花嫁さんだこと……。

 一定の距離を保って、カタカタと動いている。


「"久しぶり"、ですって……?」

『────アンティ。油断は禁物です。』

『>>>急に襲ってくるかもしれないぞ。現に一度、やられてる』


 ……。


『 モ ウ 、 オ ボ エ テ ナ イ ノ ネ …… 』


 ……! この花嫁さん、知能が……?


「……ねぇ。生前の記憶を持つゴーストは、ユニーク?」

『>>>ああ……予想より頭が良さそうだ。厄介だよ』

『────このようなゴーストは:私のダンジョン:データベースには存在しません。』


『 カ ナ シ イ …… 』

 

 こいつ……感情があるの……?


「……返して。あなたがさっき、取ったもの」

『────! ……。』

『>>>アンティ。会話は危険だ』


『 …… オ シ ャ ベ リ シ ヨ ウ ? 』


「さっき、奪ったものを返して……」


『 オ シ ャ ベ リ …… 』


「──!!」


 フゥゥァアアア────……!


 光と水の水蒸気のようなものが立ち上り、

 四本の腕を上げ、こちらに飛んできた!

 ドレスの裾は、水面と同化してるように見える!


「……上等よ。話を聞かない花嫁さんは、お嫁にはもらえなくってよ?」

『>>>アンティ。多分、こいつ水属性だ。火が効くのは実証済み』

「根拠は」

『>>>勘だよ』

「それ、バカにできないわ。クラウン!」

『────両腕:両足にソルギア:ジェネレーター部を部分展開。出力軽減。』


 私の両手両足の歯車(ギア)たちから、

 白熱が漏れ出す。

 水面に触れる熱が、ジュウジュウと音を立てる。


 緩やかに、確実に、ヤツは近づいてくる。

 ──!

 速さが上がった!


(でも、遅いっ! ナメないでっ! 私には、"反射速度(クロックダウン)"があるっ!)


 先輩の仮面のスキル、(あなど)るなかれ?

 ヒキ姉……剣技職(ソードマン)の王都ナンバー2でも、

 見失う程のトップスピードなのよ。

 水面、ってとこで、

 多少、踏ん張りが効かないだろうけど、

 近接戦闘で競り負けない自信がある。

 油断はしてない。

 問題は、打撃と火が通るかだ。


『 オ ハ ナ シ 、 キ イ テ …… ! 』


「だから、返してってば……!」


 ぶわり、と、四本の腕が広がる。

 まるで、愛の抱擁がくるみたいだ。

 ノッポな花嫁さんだ。かなり、身長差がある。

 だが、遅いわ────!


「クラウン!」

『────"反射速度(クロックダウン)":起動(オン)。』



 

 ───時に、重さが、生まれる。


 水面の歯車(ギア)を厚くし、浮力を最大にして、


 ブーツで思いっきり、踏み込む。




『────"力量加圧(パワーアシスト)":起動(オン)。』




 右前に、逃げた。


 そのまま、回り込む。


 とりあえず、炎パンチだ。


 どついて、痛がってくれたら。


 本のデータを、返してくれるかも。


 油断はしない。相手が止まって見える。


 加速の中、熱を込めた拳を、振りかぶって────。




 ────なぐ、り────。




『 ム リ ダ ヨ 』


(────!?)




 かき、きえる。




(────な!?)



 さいだいかそく、なのにッッ!?



 はや、い!?



 むこうの、方が!?




 ────爪が(・・)捉えられない(・・・・・・)


 ────私が(・・)捕えられる(・・・・・)



   ガッ!!

           ガッ!!


      ガッ!!


          ガッ!!  



 ……──ゥウウンン……。



「──ッッ!? ぐっ……!!」

『 ツ カ マ エ タ 』

「ぅあ……!」


 四肢を、四爪で掴まれていた。

 うそよっ……!?


「く、クラウン!? なんで反射速度(クロックダウン)を切った!? 力量加圧(パワーアシスト)はっ……!?」

『────:::あ:::が:が……。』

「先輩っ!? ソルギアが手足に装填されないのは何故っ!? 歯車が、出ないっ!? も、もう一度スキルをっ……!!」

『>>>う<<<そ、だ<<<な、ぜ<<<』


 ──!?

 クラウンと、先輩がおかしい!!

 っ!! 掴まれている腕から、

 アナライズカードのようなモノが出てる!?

 私の……腕と、足に繋がってる!?

 これは、まさかっ……!


『 ……ハヤサデ、ワタシニハ、カテナイ。ムボ……ムボウダ、ヨ? 』

「あんたっ……!! 私の、流路に……!!」

『 ワタシ、ハヤイ。ミンナノ、ナカデ、ハヤイ。デモ、シャベルノ、オソイ。ダカラ、リュウロ、カリルネ? 』

「くっ……、クラウンたちに、何をしたっ──!!?」


 もがく。

 爪が、離れない。

 食いこんではいないのに、ガッチリと、とれない……!!

 水面に立つ巨大な花嫁に、私は宙に拘束されている。


『 ナニモ、シナイ。オネガイ、キイテ 』

「お願い、ですって!? は、離してよっ!」


 まるで、スキルが発動しない。

 歯車も、出ない。

 力が、入らない。

 背中の大剣が、重い。

 ただの、金色の、女の子。


「は、はな、してっ! はなしっ!」

『 キイテ、アンティ 』

「……っ!」


 なんで、私の名前を……!!

 次の瞬間、ゾッとする。


 爪が(・・)両の頬を包んだのだ(・・・・・・・・・)

 五本目と(・・・・)六本目(・・・)


「ひ……!」


 ──こいつ、六本腕(・・・)だ。

 ちびりそうだ。

 クラウンと先輩は、しゃべらない。


「う……ぁ……」


『 コワガラナイデ…… 』


 花嫁の、顔が近づく。

 今の私には、何もできない。

 身体がガタガタ、震えているのがわかる。


『 キイテ、ホシイダケ…… 』


 花嫁の怪物の、顔が近づく。

 蒼い、皮膚。

 皮膚と、呼べるのだろうか。

 タテ縞に、線の入った顔。

 まつ毛の、白いペイント。


 目が、開く。


 ペイントでは、なかった。

 蒼い、ガラス玉のような、眼だった。


 ちかい。



『 オチツイテ。アナタダケガ、マニアッテイル…… 』


「う、ぁ……何……? なに……?」


『 デキタノハ、フタリ、ダケダッタ…… 』


「ふた、り……?」


『 アナタガ、セイコウ。アノコハ、シッパイ 』


「……? わか、らないっ、からっ……!!」


『 カナシイ、カナシイ、カナシイ。ワタシダケデハ、モウ、コオラセラレナイ 』


「なにを、言っているの!」


『 アナタダケガ、デキルカモシレナイ 』


「……!? なに、何なの、何なのよ、いったい!」


『 ワタシハ、コレイジョウハ、カンショウデキナイ。コレハ、カケ、ダッタ 』


「…………"賭、け"?」


『 アナタダケガ、ゼンイン、ニ、アッテイル 』


「……、私……? だれに、って……? だれに、会ってるって言うの……」



 手足からは、力が抜け。

 私は、 (はりつけ)にされてるみたいだ。

 こいつが言っている、意味がわからない。



 ────蒼い、ガラスの瞳が、近づいた。



『 ……──ワタシガ、サイゴノ、"プレミオムズ" 』


「……えっ……?」




 まったく予想だにしない単語に、頭に、熱量が戻る。

 ……こいつ、いま、なんて言った?


 ────"プレミオムズ"?


「……なにを、言っているの、あなた……! わ、私は、確かにプレミオムズ、だけど……、あ……全員には、まだ会ってない……! えと、たしか獣人の……」


『 アナタハイチド、ツナガッタ。ソシテ、アッテイル。ダカラ、デキルカモシレナイ 』


「な、なにを……! わからないっ……!」


『 ……。 モウ、コノ、セツゾクハ、モタナイ……。コオリノ、マンナカ二、イッテ。アノコガ、マッテイル 』


「……こお、"氷"!? ……。あの子って……?」


『 アナタト、ツイヲ、ナスモノ 』


「     」


『 サヨナラ。マタ、ア エ  タ   ラ  …… ! 』


「ちょ、と……ま、待っ……!」




 ────ジジジ、と。



 花嫁の姿が、歪む。


 雑音(ノイズ)騒音(ノイズ)響音(ノイズ)



 タテに、ボケるような。

 ヨコに、ズレるような。

 姿、カタチが、ブレる。


 ─────止まるかのような。

 

 次の瞬間──────……、



 ────バチッッ!!



「────んあっ!」




 ────────。 




 ……────どぼぉおおおおおんん……!!



 私の身体は、水に、落ちた。


(ん、ふ、ふぃ……。ぷくく、ぶく……!)


『────アンティ。申し訳ありません。再起動しました。』

『>>>まってろ!! 浮上させる!!』


(あ……)


 よかった……。

 ふたりとも、無事そうだ……。

 ヨロイに付いた歯車(ギア)から、空気が噴き出し、

 私を水面へと、押し上げる。


 ざぱぁ……!


「──ぷはぁ……!」


 顔だけ、外に出した。

 上を向いて、ぷかぷかする。


「…………、……」

 

 ……ちょっとだけ。

 ちょっとだけ、休憩させておくんなまし。

 光り輝く空間に、大きな木が見える。

 うぁ……パンツまで、ビッチョリだ。


「……私。もう、どんなゴーストに会っても、怖くない……」

『────アンティ。最後の最後に:分析に成功しました。』

「……やりおる」

『>>>あんの腕まみれ花嫁が消える直前に、少しだけ"反射速度(クロックダウン)"を使えたんだ。その時にね』

『────超:至近距離で:分析してやりました。』

「クラウン、キャラ崩壊してる」

『────そ:そんなことはありません。

 ────ですが:申し訳ありません。

 ────名称しか:判明しませんでした。』

「あいつの、名前? ……。……なんてやつだったの?」


『────"Q.Q.":と……。』


「"きゅーきゅー"?」


 ……。

 うむ……なんのこっちゃ。

 はぁ……。



「……、ん……」



 ……ちゃぽん。




 違和感を感じて、上げた右手には。

 アナライズカードの、多面体が握られていた。

 きゅーきゅーさんは、御祝儀を返してくれたらしい。


『────"研究者の日誌:③"を手に入れました。』

『>>>いや──、ありえね──……』



 ……ダンナ見つけてから、来やがれっての。







好きラノに投票してくれたら、

もしや三巻ががが……!。・゜・(*ノД`*)・゜・。

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『今回の目次絵』

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 恐怖で目が曇ってんのかね?敵意の有無には割と敏感設定あったような気が。
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