ゾ ッ ! さーしーえー
書籍作業の山場、こえました!(*´﹃`*)
「ひぇぇ……暗いよォ……長そうだし……」
『────:一本道のようです。』
『>>>こんな隠し通路があったとは……はは、ホントに真っ暗だねぇー』
ホントに真っ暗よ!!
こえぇ……。
このピカピカ光ってる歯車が、
もし無かったら……と思うと、恐ろしいったらないわ!
『>>>やっぱり……妙だな』
「なにがやねん」
こんな状況で、
不安にさせること言うんじゃないわよ。
『>>>幽霊が、いないじゃないか』
「……クラウン。私、怒っていいよね?」
『────肘打ちです。』
『>>>まて。まてまてまて、話せばわかる』
『────……入力を。』
『>>>これだけ大きな崩落事故だよ……その、ヤな話だけど、今まで一つも亡骸を見てない。これは妙だと思う』
『────……。
────有機物は:先程の樹木の根しか記録していません。』
「みんな、上手いこと逃げちゃったんじゃないの? ほら、こんな地下にあるんだし、もしかしたら埋まるかも! って、常日頃、思ってたかも?」
『>>>! ……意外と的を射た予想かも。避難経路が用意されていたのか……?』
「何にせよ、ゴーストがいないのは、ありがた────…… 」
『 』
白い手が、
後ろから
包んできやがる。
──── ゾ ッ !
────飛び退いた。
キンッ───ギャルルルルルッ!!
「クラウン」
『────"レエンホーリー"。』
───びかぁぁぁあああ!!! バリバリバリ!!
白いイナズマが、ほとばしる。
『>>>手応えがない! 流路が感知できないだと!?』
「泣きたい」
『────スキャン実行中。反応:無し』
──ドッ。ドッ。ドッ。ドッ。ドッ。ドッ。
心臓の音。
即効反撃できた自分を褒めてあげたい。
今のは、ぜってぇ、手だった。
後ろから、抱きしめられるみたいな感じだった。
「おうち帰りたい」
『────スキャン効果無し。一時離脱を提案。』
『>>>賛成。ゴースト系は、ぼくのスキルで視認できるはず。近距離まで察知できないのは異常』
「こわいこわいこわい」
キィんキぃンきィんキィン──。
来た道を、戻ろうとする。
さっきの部屋だ。
『 』
「────!!」
白い、モヤのような人影が浮かぶ。
あれは"眼魔"で見える光じゃない。
とても背が高い、女の人に見える。
長い腕で、壁を叩いた。
────ドォォオオン!!
……──ゴゴゴゴガガガガァァアア!!!
『>>>──!! 通路に戻れ、アンティ!!』
「っ!! くっ!?」
反射的に、元の場所に戻りながら、見る。
──!?
壁の一部が光ってる!?
あれって……!?
『────"ジェム"の一種のようです。』
「またジェムか! ジェムなんか嫌いだぁっ!」
『>>>崩れてくる! あいつ、何かしやがった!』
ドオンッッ!! ガラガラガラガラッッ!!
「うそでしょ……」
来た道が、ふさがった。
白い、光の煙のような女の人が見える……。
「……せんぱい。女の人のゴーストって、腕が4本あるの?」
『>>>ぼくは、初めてお会いするね……レエンホーリー、撃つよ!』
ピカァ──!! バリバリバリ──……!!
スゥゥ……。
白い女の人のモヤを、素通り、する。
『────効果無し。分析失敗。』
『>>>うそだろ』
「クラウン。"ベアークラッチ"、"スケイルスケイター"」
『────レディ。』
顔を包む全方位視覚と、ブーツに組まれていく車輪。
後ろ向きに、滑り出す。
─────ギャルルルルルゥゥウウオオ──!!
景色が前に流れる。
あの女が、追ってくる。
『 』
『────再度:分析失敗しました。』
「どうやったら分析できる」
『────限界まで接近し:再トライ。非推奨行動。』
「賛成。ぜったいやんない。一応後ろは見てるけど、通路に障害物があったら、即、格納して」
『────レディ。』
「先輩、答えられなくても怒んないから教えて。何で、いま追ってきてる4本腕さんは、光魔法が効かないの」
『>>>……光属性のゴーストとも考えたけど……さっき、白いイナズマが素通りしたろ。あれ、実体が限りなく無いよ。まさにゴーストだね……』
「……スピード上げて。元の通路から上に帰れる可能性は?」
『────敵勢力が撃破不可能と仮定すると:推奨されません。』
『>>>隠れて、やり過ごして、別の入口を探す』
「……くそったれ。クラウン、来た時に掘った穴を補強している歯車、解除して」
『────レディ。
────解除しました。
────侵入口の崩壊を確認。』
これで、あのタテ穴を使って外に出ることは出来なくなったわね……。
しゃあない。
どうせ、もうかなり離れてしまっている。
「ダメ元で、幽霊さんを格納できないか試す」
『────レディ。バッグ歯車:投擲。』
──きゅーん。
ダメでした。
歯車を素通りして、飛びながら追ってくる。
「……あいつ、なんなの……!? フワフワしてるワリに、はやくない!? こっちけっこう、トばしてんだけど!」
『────魔素感知:ゼロ。
────分析失敗。』
『>>>魔素体でもない……じゃあなんで、青白く光ってんだ……』
クラウンも先輩もわかんないって、相当よね。
あ、わかってると思うけど、
今、私、後ろ向きに滑ってて、めっちゃ追われてるかんね。
私に追従する、光る歯車。
『 』
「……この通路、行き止まりとかじゃないよね」
『────螺旋状に:地下に降りているようです。』
「地上、遠ざかってんの。そろそろ泣くよ?」
『>>>ダメもとで、火、やってみっか』
──きゅきゅきゅぅおううん!!
───ボボボボボボ──!!!
『 』
「!! とまった!!」
『────加速します。』
『>>>ふりきっちゃえ!』
床にバラ撒くように出した炎が、
女幽霊の動きを、ピタリと止める!
──ギャルルルルルるるるるるるるぅぅ──!!
「ふぅ……」
…………見えなくなった。
前後の向きを変え、とりあえず進む。
この通路は下に降りちゃうようだけど、
とりあえず、戻る気にはなれない。
「……クラウン、先輩ナデナデしといて」
『────……。』
『>>>ほ、ほんとにしなくていいんだよ。ねぇ、ちょと……ぁの……』
「はぁ〜〜〜〜……。はぁ〜〜〜〜もぅいやだ……カンベンして。何なのよアレ……ゴースト初心者には、レベル高いって……」
『────ナデナデ。』
『>>>…………。ぼくとのファーストコンタクトよりかは怖かったねぇ』
「……。あれはあれで大概だったけど……。ねぇ、シゼツ、まだ寝てんの?」
『『 んにゃ──……きらいぃぃ──…… 』』
「?」
『>>>しかし、火が効くとはなぁ……肉体が残っているアンデットならともかく。まさか水属性じゃないだろうし……』
『────次回遭遇時には:ソルギアを使った攻撃を主体とします。』
「もう、会いたくないんだけど……むぅ。とりあえず、行けるトコまでいこっか?」
下へと向かっているらしい、通路を急ぐ。
ひらけた空間に出る。
ずいぶんと、明るい。
「まぶし……。あぅおっ!」
チャぽ……。
下一面が、綺麗な水でいっぱいだ。
わ、けっこう深いわ……!
「クラウン、おねがい」
『────レディ。予測変換。』
歯車を何枚か重ね、ブーツの靴底につける。
水面の、空中散歩だ。
少しだけ振動が伝わるのか、
私が歩くと、水面に波紋ができた。
とても澄んでいるけど、かなり水色に見える。
光の当たり方のせいだろうか……。
すすむ。
大きな部屋だった。
いや、部屋と言えないほど、広い。
「──!! そうか!! ここ、あの日誌の!!」
そこにあったのは、
────大きな木だった。
見上げる。
「すごい……!」
『────研究員の日誌の記述と一致。
────全長が100メルトルテを超えています。』
『>>>へぇ……見事なもんだな。教会の地下に、こんな大きな空間があったなんて……』
光って、いる。
すごく天井が高いけど、それに届きそうなくらい。
神様の木みたいだ。
「……! なんかレエンの……ゼロンツさんの木に似てるよね? この木、なんで光ってるの?」
『────動体反応があります。』
『>>>! あれだよ』
「……あっ!」
大きな木の枝に、何やらピカピカ光る魔物が見える。
あ、めっちゃいるわ。
ものっそい量だわ。
『 クゥイ! クゥイ! クゥイ! 』
『 キィク! キィク! キィク! 』
『 キュウ! キュウ! キュウ! 』
「……"ライトニング=モフモル"……!」
小さな魔物たちの、秘境にきた。
『好きラノ』ライトノベル人気投票、
2018年7月15日までやっちょります(ノ≧∀≦)ノ
よければぜひぜひ……!