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☪ がーるず とぅないと……! ☪ さーしーえー

シリアス神「私のことはよい。だが、救済は必要だ……! しくしく……」

 かばたれ「(何言ってんだこいつ……)は、はぁ……よくわかんないけどわかりました」




 ──アンティ・キティラがログインしました▼


 サポート:2▼






「ありゃ……!」


 廊下。

 朱塗りの廊下。

 和風の建築。


「これ、箱庭フォートレスの中、かな……?」


 うん、やっぱりそうね。

 私、寝てたと思うんだけどなぁ……。

 ここ、どこだろ……外が見えないや。


「ま、まぁある意味、じぶん家の庭よね? ……や、そでもないか……」


 歩き出す。くらい。やっぱり夜かな?


「おーい! 誰かいますかぁー? クラウン──?」


 入り組んだ所を抜け、

 どうやら外に面している廊下にでる。

 障子に、ゆらゆらと青い光が反射している。

 怖いというより、きれい。

 開ける。


 すぅ────。


「……あ、ここにも池があるのね……」


 月明かりが水面に反射して、

 光の波が、障子に映っている。

 ずいぶん青い。

 ……ここの月、どうなってんだ。


 ──ガザガサっ、ゴソ!


「──!」


 何やら、池の側で物音がした。


「……」


 靴がない。裸足だ。

 庭先の地面に岩が埋め込まれて、足場になっている。

 少し悩んだが、そのまま降りることにする。


「……ひゃ、冷たっ。岩肌で切らないようにしないと……」


 そっと、そっと、一歩ずつ進む。


 ────ガザガサ、ごそっ。


「──! ……」


 なんだろう。

 ここ、私のバッグ歯車の中だから、

 あんまり変なのはいないと思いたいんだけど……。


 ──ゴソゴソ、シュリ──。


 ここの茂みだな……。

 白と、濃いピンクの花の。

 なんていう花かは、わからない。

 サキなら知ってるかな。


 ん……。

 なんか出てる。

 月の下で、白い。

 2つ。


「……」


 掴んでみることにする。


 ……ぎゅむ。


「────ぇえいっ!」


 ────ガササァ……!!


 引っ張りあげた。


「…………」

「にょむにょむにょむにょむにょむにょむ……!」

「……安心しろ、私だ……」

「にょ……にょきっとなぁ〜〜〜〜……!!」


 ……うさ丸だった。


 顔に抱きつかれそうになったので、

 途中で阻止して胸元に抱きしめる。

 もふもふぽんぽんである。


「にょ、にょんむぅ──……!」

「えええぇぇ、なんでアンタここにいんのよ……あれっ? ここ本当に"箱庭"の中よね……まさか、実は本当に夢とか?」

「にょんや、にょんや……」

「あぁ……よしよし。大丈夫だから」


 まぁ夢でもどっちでもいいや。

 うさ丸は、しくしくにょんにょんしている。

 いきなり知らん場所にいたのだ。

 そりゃあビックリするわよね。


「私の本当のカラダ、あんたと一緒に向こうで寝てるのかな?」

「……にょんむぅ?」

「はは、わかんないや。ほれ、ちょっと探検するわよ」

「にょんやぃ」


 うさ丸をだっこしたまま、建物の中に戻る。

 箱庭は、かなり大きな船上建築物だ。

 前に先輩が、

 "みんなの記憶が創り出した同期テラリウム"

 じゃないか、ってクラウンと話してたけど、

 わたしゃ、全くわからん。

 とりあえず、うさ丸がもふもふである。

 ぶっとい筒状の耳が、歩行に合わせて、

 やさしく、ゆらゆらと動いた。


 しばらく歩くと────。


「…………」

「にょっき……」

「……くる」


 カンクルがいた。


 障子の上の方の紙をぶち破り、

 布団を干したみたいんなってる。


「……サキが、怒るわよ」

「くるるる……」


 後で、一緒に謝ろう。

 こいつも顔に飛びつこうとしたので、

 片手でキャッチして左肩にのせた。


 歩く。


「あんたたち、こっちに来れたのねぇ……」

「にょきっとぉ」

「くゆ! くゆ!」


 うさ丸がちょっと元気になった。

 まだ不安そうだけど、キョロキョロしている。

 カンクルのいる方の、左耳があったかい。

 側で見ると、やっぱ筆みたいな口先をしている。

 ……パン生地に卵を塗るときとか……。

 い、いやダメだ、可哀想だわ。


「──あ! ここの道、見たことある! こっちだこっちだ……」


 こっち、台所のはずだ。よかった。

 いやぁー、箱庭(ここ)、広いわよねぇ……。

 本当にちょっと探検してみたいわね。

 隠れお風呂とか、ありそうだし面白そう。


 とたとたと、台所に────。


「…………」

『────……。』


 クラウン、いた。

 お盆に、お皿が乗っている。

 三人、ぶん……?

 あら、餡蜜かしら……。


「くゆくゆ」

「にょきっと」

「……こっちでは夜食しても、太らないかもね?」

『────……。』

「おーい」

『────つ:つまみ食いでは:ありません。』

「……! いや、つまみ食いでもいいんだけどね。きひひ……」


 アンタほんと、スキルっぽくないなぁ。


「んで? 相棒の私に隠れて、三人前も食べるってか?」

『────ひ:否定。ヨトギサキとダイオルノシュオンもいます。』

「ありゃ! 起きてんの二人! お呼ばれしていい?」

『────もちろんです。ぶっ。』


 カンクルが、クラウンの顔に飛びついた。

 あぶねぇ。

 お盆に、もひとつ餡蜜を追加し、

 クラウンと一緒にいく。


【 ──! おぉ! 安嬢! こっちきとったんかぇ! 】

< あんらぁ〜〜♪ こんばんはぁ〜〜! >


 サキとダイ姉は、四角い木の机に、しなだれかかっていた。

 ……なんか、こう。

 ナナメになった身体が、艶っぽいというか……。

 てか前から思ってるけど、ダイ姉、肩、出しすぎだよね?


「なぁに、なぁに、楽しそうね」

【 おぅい安嬢! なんや、その丸こいのは! 】

「特別ゲストよ」

「にょきっと!」

「くるくるぅ〜〜!」

< まぁ〜〜♪ クラウンちゃんにも可愛いのが乗っかっとぅよぉ〜〜♪ >


 トン、と、カンクルが机の上に降りる。

 私もうさ丸を、サキの前にタッチダウンする。


「にょきっと!」

【 ぅお、面妖な。おまぃ、こっちこれたんかいゃ! 】

「にょきっと?」

【 かっか! 俺っちがわからんか。まぁ、ある意味、おまぃの天敵やて! 】

「にょ、にょむぅ〜〜??」

「いや、天敵って……」


 ま、まぁ確かに、包丁とラビットだけども。

 クラウンが、みんなに餡蜜を配っている。

 カンクルが、興味深そうにダイ姉を見ている。


「くるるぅ〜〜?」

< あんらぁ〜〜可愛らしいわぁ〜〜! ボク、お姉さんと、お風呂はいるぅ? >

「──かんかん!」

< か、かんかん? >

「あ、私、お茶いれるわ」

【 いま、緑茶しか出現しとらん。すまんな 】

「だいじょぶだいじょぶ」

「にょきっとにょきっとにょきっと、にょむにょむにょきっとな!」

【 なに言っとうかわからん……。よしよし 】

「にょむぅ〜〜!」


 トポポポポポ……。


「この餡蜜も、いきなり出現したの?」

< せやねぇ。完全にくじ引きやねぇ〜〜 >

【 この前、"すてぇき"が出よったぞ 】

「ほんとに!?」

< あれ美味しかったわぁ〜〜♪ さすが安ちんやねぇ〜〜! >

「あ──……、エンマさんに焼いてあげたやつかな。え、ここってもしかして、すごいグルメな感じ?」

『────もぐもぐ。多種多様な食物デバイスが:ランダムに構成される事象は確認しています。』

「食うとる。いただきますせんかい」

『────ごっくん。ニンジンのデバイスを確認。転送します。』

「……」


 ……きゅうううううんん!


「にょきっとぉ──!」


 カプッ、ゴリゴリゴリゴリガガガガガ……!!


「……ワイルドねぇ」

『────ワイルドですね。』


「くゆくゆ、かむかむ」


 カンクルは、自分の足の付け根に生えた花を、

 もしゅもしゅと食べている。

 散髪と食事を同時にやっている感じだろうか。


< 今夜は賑やかやねぇ〜〜♪ >

「いーなぁ。たまにお呼ばれしたいなぁ。……あ、おいし」

【 気ぃ向いたら()ぃさ。ここん家主は安嬢みたいなもんやろ 】

「や、家主……はは」

『────いつでもログイン申請してください。即時可決します。』

「お──? 私に隠れて美味いモン食ってたくせに、どの口だぁ──? このぉ、このこのぉ」


 こしょこしょ。


『────ヴァぁ──! ……。』

「ガガガガガガ、にょんむにょんむ……」

【 あむ。というか、あんの茄子頭、まだ帰っとらんぞ 】

「な、ナス……? あ!? イニィさん!?」

< そうやねぇ。まだお店から帰ってきてないねぇ >

「そ、そうなの!? そういや寝ちゃったかんなぁ私……」

『────ガルンの帰還も:確認できていません。』

「えええ、なんか、お仕事忙しいのかな……と、泊まり? アブノさんのお店に……?」

「くゆ──……Zzz」

< ふふ、ふふ、ふふふふふ…… >

【 ……あっ 】

「えっ、なに」


 ダイ姉の笑顔に、何やら含みがあるような……。


< 安ちん……これは、"朝帰り"やよ……? >

「────ぶぁッッフォ!!」


 餡蜜、吹いた。


「げっほ、ごほ! ななな、ななな!?」

【 あんのちみっ子に、そんな甲斐性、あるやいのぉ…… 】

< いいや、わからんよぉ〜〜? 店長サン、殿方なんやいな? >

「い、いや、殿方っつったって、すごい変態よ……?」

【 ……前から思とうたんやが、それはそれで大丈夫なんか……? 】

「や、まぁ変態だけど紳士というか……いや、擁護するのもバカらしいんだけど……」

< 帰ってきたら、それとなぁ〜〜く聞いて、後で教えんね♪ >

「は、はぁ……いや、ない。ないわ……あむ……」

【 安嬢は、いつ婿さん探すんやぃな? 】

「────ぶぁッッフォ!!」


 餡蜜、吹いた。

 光になって消えた。


「ごほっ、ごほ! い、いや、はやいでしょ……てかそんな人、いないし……ま、まだ15だしぃ……」

< あんらぁ〜〜そんなことないよ? わっちらの時は、15歳言うたらなぁ…… >

【 かっか! あんのちみっ子に先こされたりしてな! 】

「え、えええええぇぇぇぇえ……」

< あ、ところで安ちん、こっちのお風呂、入っていく? >

「……あっ、いいの? お風呂と言えば……先輩は?」

【 はっ……あいつ、この区画の隠れ風呂、けっこう探索しとってな? 】

「何それ、超楽しそうじゃないのよ……」

『────むぅ……。』


 呪いの仮面が、実は英雄で、今はお風呂探検隊か……。


< けっこう大きいお風呂よ? 入ってみぃへん? お背中、流しますえ? >

「え……、……じ、じゃあ、お願いしよっかな……?」

【(……後で着せ替え人形やな……)】

「うさ丸、あんたもお風呂はいる? えっ、カンクル寝てんじゃん……」

「にょむ! にょきっとな!」

『────餡蜜:おかわりの許可:求みます。』

【 かか! "食らわず"が、よう食いよるて! 】


挿絵(By みてみん)


 ──たまぁに、夜の女子会、やってます。





 ────カポーン。


『>>>……男友達、できないかなぁ……』





(*´ω`*)やぶれた障子のことは忘れるアンちゃん。

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