☪ SEXY TONIGHT……! ☪ ⑫ さーしーえー
ラミエリ・カッシュ……
それは、かの露出の一族……!
((((;゜Д゜))))
ぐったりと、変態の腕の中で横たわる、
淡い桃色の髪の乙女。
「イニィ殿……! この髪の色は! この"せくすぃーがーる"こそが、あのご老体達が探していた、"ラミエリ"殿ではあるまいか!?」
{{(こ、この子があの露出狂一族の……! さっき屋敷の外で会った、老夫婦の孫娘……イケない所で脱いじゃってブタ箱行きになった両親のせいで貧困に苦しみ、エロメイネス伯爵に預けられた、悲劇の少女……!)}}
「おい! そいつの髪と爪を見ろよ! なんか、元に戻っていってるぜ!?」
{{ ──!! }}
先ほどまでは、刃のようになっていた髪と爪。
そのピンクの爪は元の指に戻り、
髪は、サラサラと形を解いていく────。
『 ──ガルンッッ!! 』
「イニィ殿! これは……! 先ほど壊した"時限石"と、関係があるのであるか!?」
{{ え、ええ……! やった……! これなら……! }}
イニィ・スリーフォウが破壊した、
ラミエリの胸元にあった"時限石"。
ヤン・センマイは、何かの攻撃アイテムが格納されている、と踏んでいたが、千年前のレエンの住人であったイニィの見解は違うものである。
「お、おいっ! どうなってんだ!? 普通の髪と爪に戻ってやがるぜ!? 悪魔チャン、こいつぁ……?」
{{ ……かつてのレエンの都は、"時限石"を使った技術、特に空間流路系の魔法技術に関しては、非常に長けたものを持っていました }}
それは、時限石を使用した転送装置、しかり。
それは、身体に時限石を移植する力、しかり。
{{ しかし、どうやら……エロメイネス伯爵は、"過去のレエンの技術"を、完全には再現できていないようです。これを見て…… }}
イニィ・スリーフォウは、
砕かれた青い時限石を拾い上げ、皆に見せる。
「──あっ! "時限石"の破片に、"ジェム"が引っ付いてやがる!?」
{{ ええ……恐らく、過去の"時限石"の使い方を解析しきれていないんだわ……! 魔術流路の代用品として、"ジェム"を使っているのでしょう }}
「なんと! と、言うことは……」
{{ ──ええ! 伯爵の"転換路"の技術は、まだ未完成ですっ! もしかしたら"転換路への流路の転写"は行われてしまったかもしれませんが、恐らく不完全なソレは、この子の身体の流路へのダメージを最小限にしています! }}
「時限石って、アイテムバッグ作る以外で、そんなことも出来んのかよ……! で、でもよォ……さっきの硬化した髪と爪は、なんだったんだよ……私の双剣で切り込めなかったんだぜ?」
{{ それは…… }}
ちらりと、気絶している少女を見る悪魔。
{{ もし、"不完全な転換路への流路転写"が行われたとしたら、転換路本体と、この子自身。ふたつの同じ流路が存在しているはずだわ。それは、お互いに干渉しあい影響を与え合うはず……もしや、"流路の流れ"ができている……? }}
「おいおい、わかんねぇって……」
{{ ……こちらの身体から、魔素を吸い込んで……もう一方から……? }}
「……? むぅ。何にせよ今のラミエリ殿は、ただ眠っているように見えるであるな……?」
『 ──ガルン……! 』
魔獣が鳴いたかと思えば、
気を失っている乙女、ラミエリの指先が、
カクン、と宙を掻く。
『 ガルン! 』
{{ 意識が戻ります。一応警戒を…… }}
「お、おい、ダンナ……あんた、ちょっと離れてた方がいいんじゃ……」
「? なんでであるか?」
キョトンとする変態の腕の中で、
ゆっくりと。
桃色の瞳が、開かれていく。
「……ん」
出迎えるは、漆黒の変態フェイス。
「……だいじょうぶであるか……?」
「 ……」
{{ あ }}
(ああ〜〜、知らねぇぞ〜〜……)
面の額を押さえる、ヤン・センマイ。
しかし、ラミエリの反応は意外であった。
────バッ!
「──"パパ"ッッ!? パパじゃないの!? ど、どうしてこんな所に!? ばかっ、私を置いて、どこに行ってたのよぉ! 脱ぐなら外じゃなくて、いくらでも家の中で脱いだら良かったじゃないっ!! う、ううううう……!」
「お、おおぅ……」
「ぱ、パパぁ〜〜〜〜!!」
黒の変態の胸板にすがる、桃色の乙女の涙。
「…………」
{{ ………… }}
狩人と悪魔の、なんとも言えない目。
『 ガルッ 』
「……ふ、すまない、せくすぃーピーチガールよ……其方は人違いをしておられる……我が青春のチェリーせくすぃーは、まだ運命には、たどり着いておらぬ」
「えっ……あれっ? ま、まぁ……! 私ったら、お恥ずかしい所を……」
「 」
{{(耐性が、できている……!)}}
変態耐性がある乙女を見ながら、
狩人と悪魔は、同じ女でも色々いるんだなぁと、
世界の広さを感じずにはいられない。
「あなた様……パパの私服みたいな格好をしてるけど、いったい……?」
「ふむ。エロメイネス伯爵は、何やらせくすぃーガールズハートを冒涜する行いをしているようである! 我らは、貴女方を助けに参った者なのだ!」
「……私服がダンナに近いって、あんたのパパ、アウトじゃねぇか……?」
{{ ……、…… }}
変態の言葉を聞いた、半裸のピーチガール。
華やぐ笑顔は、とても可愛らしい。
「──まぁ! そ、それではみんなの事を、助けにきてくださったのですね! "仮面ナイト"様!」
「む……?」
「わぁ! 魔族の女性の方もいらっしゃるのね! ぴちぴち……"ぴちぴち"ですね!?」
{{ えっ…… }}
「あっ! 忍者みたいな人もいる! "クノイチ"! "ドロンチョ!"」
「……はぁ〜〜、私は早くも頭が痛くなってきたぜ……」
『 ガルンガルンッ♪♪ 』
「──よ、"夜の帝王"だわぁぁぁぁ……!」
『 ガルゥゥンン♪♪♪ 』
「……おい悪魔。この娘とめろ」
{{ 難易度高いわね……ちょっと貴女、ガルンはそんな男娼を登りつめたような存在ではなくてよ? }}
「あ、こいつもダメだわ……」
「──すごいすごいっ! "夜の黒騎士達!" ドニオスの街の夜を、守ってらっしゃるのですね!?」
「──おっふォい! 被害者の娘が、恥ずかしいチーム名つけてきちゃったぜ!?」
{{ …… }}
「ほ、ほぅ……!」
変態が、まんざらでもない。
「──こ、こほん。ラミエリ殿よ、どうやらお元気せくすぃーなようだな」
「まぁ、どうして私の名前を!?」
「ュアグランドマザーアンドファーザーが、君のせくすぃーを案じていたのだ」
「まぁ! 御二方が! じぃじ、ばぁば……!」
{{ なぜスラスラと会話の連結が…… }}
『 ガールー? 』
「ラミエリ殿よ、時は一刻を争う! そのようなせくすぃーコスチュームで申し訳ないが、他の行方不明になっているせくすぃー達の事を、我らに教えてはくれぬか……?」
「え……あっ! ま、まぁ、私ったら! なんて紙一重な格好を……! ぽっ♡」
くねくね。
「こいつ、たくましい女だなぁ……」
{{ ……良い事じゃありませんの。ねぇ貴女、この杖に見覚えはない──? }}
……──カシャン。
「──! そ、その十字架は!」
{{ ……あるのね。ラミエリ、教えてちょうだい。これは、とっても危険なモノなの。この屋敷で、何が起こっているの? }}
「……っ、……」
カーテンの布一枚で乙女の神秘を包んだピーチガールは、この場所での出来事を、話しはじめる。
「私がここに連れてこられたのは、1ヶ月前くらいです……既にその頃には私と同じく、髪の色が薄い女の子たちが何人か集められていたんです……ご飯は確かに美味しくて、最初は神様っているんだなぁって、寂しいながらに思っていたんですけど……」
胸元を、キュッとするピーチガール。
「何週間かして、おかしいなって」
「む。おかしい、とは?」
「なにもしないで、放置されたんです。あ、ご飯は出ましたけど……。ほら、いくら貧困を理由に保護されるって言っても、お仕事や教育も無しに、放置しておくのって、おかしいじゃないですか」
{{ …… }}
「そのうち仲間内では、"私たちは娼婦にでもされるんじゃないか"って、不安の声も上がりだして……そしたら」
「なんかあったのかよ」
「"健康診断"と言われて、身体測定や血の採取が行われたんです……! 確かに貴族様の屋敷にいるんだし、そういうものなのかな、って……でも、その後に、何人かの子が、屋敷から追い出されて……」
「なん、と……」
{{ なんらかの"適性"が、無いと判断されたんだわ…… }}
『 ガルルル……! 』
「それで、また私たち、不安になって……ある日、突然、伯爵様に呼び出されたんです! 私、手篭めにされるかもって、怖かったですけど、行くしかなくて……」
「せくすぃーNGだったのであるか!?」
「いえ……呼び出された部屋には誰もいなくて、そこには、"白い十字架"があったのを覚えています! そう、ぴちぴちデビルさん! あなたの持っているその杖と、よく似ていました!」
「……あっはっはっはっはっは……!」
{{ なに笑ってんだ、痛仮面…… }}
「それから私、たまに記憶が無くなる事があって……それで、今は、ここに……。なんだか呼ばれてるような気がして、それで……」
ラミエリは、じっと紫の十字架を見ている。
{{ ……ありがとう、ラミエリさん。店長、やはり不完全な転換路に流路を転写されている、と考えられますわ }}
「ふむぅ……よくわからぬが、胸元の時限石が、その白い十字架とリンクしているのだな?」
"恐らくは"と、ぴちぴちデビル。
「ほー! 胸の宝石を壊せば、硬化した体も元に戻るっぽいじゃねぇか! ダンナ、なんとかなるんじゃねぇの?」
「ヤン、手伝ってくれ」
「……おいおい、私、裏方なんだけどよォ……」
急にやる気を無くす、闇の狩人。
「……ホントはよォ、ダンナたちが、あるてーいど騒ぎを起こす裏側でよォ、エロ伯爵の情報を集めるのが、私の任務だったんだぜ……」
「せくすぃーNGなら、たくさん集まったではないか」
「や、だから私は1回、ヒゲイドのダンナに報告をだなァ……」
なんか面倒くさそうにする、闇の狩人。
「……やれやれ、ヤンよ。現金な其方に、我から特別報酬を出そうではないか……」
「……あぁ? 報酬だぁ!? ──はっ! おいおいダンナ、私の表の顔は、あっこのお抱え解体職だぜ? 珍しい素材なんて見飽きて────」
「ふん────其方が今つけている肌着……それの上位存在が、あるとしたら……?」
…………。
…………。
…………。
「 な、 ん、だっ、と…… ? 」
驚愕の、闇の狩人。
────マジ、驚愕。
「ば、ば……バカなっ……! う、うそだっ!? あの素材は、確かッッ……!?」
「"ドラゴンデライドのエラ"であるか……? ふっ……あまい、甘いであるぞヤンよ……我の交友関係を、ナメるではない!」
変態は、何度か黄金姫に、
あまりまくった焼き魚を、押し付けられていたのだ!
ぴちぴちデビルは、呆れながらも、
こめかみを押さえ、事の行く末を見守っている!
「 ──"クリスタルブルースポーティブラ&ショーツ・タイプエクセレント"……! この任務が終わったら、ヤン、貴殿に譲ってもよいぞ」
「ま……………………マジっすか………………!!」
{{ あ、アレですか。人気でそうですよねぇ── }}
『 ガルンガルン! 』
「まぁ、なんの話ですの? なんの話ですの!?」
「バッ、カヤロ……! あのシリーズが出たら、私にすぐに言えって、あれほど……!」
闇に生きるヤン・センマイにとって、
動きやすい肌着は、死活問題である。
今、彼女が装着している"約束されし勝利の下着"、
"クリスタルブルースポーティブラ&ショーツ"は、
女性の軽技職なら、
喉から手が出るほど欲しい一品である。
その、正統派(?)後継商品となると───……!
「もう少し、貴殿が"お淑やか乙女"になったら考えてやろうと思っていたのであるが……我の早計であったか」
「おい、ラミエリっだったか。はけ。残りの娘っ子の居場所をはけ! 今すぐに、吐きまくるんだっッッ!」
{{ 貴女……そういう所じゃないの……? }}
「ま、まぁ、そんなに迫られたら、困ってしまいますわ……♡」
『 ガルル、ガルルルル? 』
「──決まりであるな。ラミエリ殿。其方のせくすぃーボディ&ハートは、我ら"夜の黒騎士達"がゼッタイに守るのである。ヤツの目的も探らねばならん……案内を頼めるであるか?」
「まぁ……なんて頼りがいのあるお方なんでしょう……!」
{{ ──あっ! 店長がチーム名、気に入ってる!? }}
「やめてくれよ……私はブラが欲しいだけだぜ……」
『 ガルンッッ! 』
こうして、
新たな肌着を手に入れる戦いが、はじまった──!!
(´꒳`*)どやあああ