☪ SEXY TONIGHT……! ☪ ⑥ さーしーえー
キリ番だぁ────!!!
ヽ(`Д´)ノうぉらぁぁああ────!!!
<(_ _*)>ぺこり
「では、参ろうぞ。イニィ殿、音を殺して行くのである」
{{ へぁい……。隠密任務ですか、やってみます }}
『 ガルン! 』
闇を纏いし変態たちは、再び向かい屋根の上に乗り、
目の前の屋敷を見つめる。
「やはり、見張りの者が塀の全方位にいるのである。少人数なので、せくすぃーアタックをしてもよいが……」
{{ まだ、その伯爵が本当に罪人かわかりません。飛び越えるおつもりなのでしょう? }}
「うむ。さすがであるな。いくぞ」
悪魔は頷き、3の罪人は助走をつける。
────飛んだ。
変態の脚力は、異常である。
空を舞う半裸。
漆黒の外套は風をとらえ、拡がり。
変態は滑空する。
悪魔の脚力もまた、尋常ではない。
夜空に舞うと共に、羽根は展開し、
ふわりと宙に舞う。
魔獣は、闇、そのものである。
漆黒の夜を泳ぐように、行く。
それは、暗黒の流れ星である。
────3人は、音もなく屋敷に侵入した。
魔獣は、変態と悪魔が着地する際、
体を拡げ、緩衝材となり、音を殺す。
「(──! みごとだ……)」
{{(……! ガルン、あなたやるわね! )}}
『(ガルル……)』
魔獣はニヤリと笑い、元の大きさへと戻る。
貴族の屋敷に侵入し、うかうかはしていられない。
庭を、音もなく駆け、屋敷に取り付く。
{{ ──。……──? }}
悪魔は首を傾げてみせる。"どうしますか?"と。
「 ──。……! 」
変態は、小さな顎の動きで、方向を指定した。
既に、変態と悪魔は、見事なチームワークを発揮しつつある。
屋敷に滑り込むように近づき、進んでいると、
屋根付きの回廊に、見張りの私兵の姿が見えた。
「──!」
{{ ──っ! }}
『 ──ル! 』
示し合わせたように、上に跳ぶ闇の変態たち。
不思議な事が起こる。
回廊の天井に取り付く、二人。
変態の外套、悪魔の黒衣。
変態と悪魔は、魔獣の一部を纏っている。
その衣装の、あらゆる所から、
暗黒の爪が、せり出したのだ──!!
「(ほぅ……!)」
{{(これは……!)}}
『(ガルル……♪)』
暗黒の魔獣の意思が、二人の漆黒の衣服を操作している!
闇の鉤爪は、いとも容易く、
半裸とボインの体重を、天井に固定する。
音など、微塵も立たない。
闇は、すべてを隠す。
──そう。
闇夜は、"魔獣ガルンの領域"なのである──。
天井に潜む彼らの下を、
見回りであろう私兵二人が、通り過ぎていく────。
───コツ、コツ、コツ。
────コツ、コツ、コツ。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……今日は、満月だな」
「……」
「……あの娘たち、そろそろ、揃うよな……」
「……私語を慎め」
「……あれって、なんの実験なんだろうな……」
「──私語を慎めと、言っているだろう!!」
「わ、わあったよ……んだよ……頭の堅いヤツだな……」
「……っ。……」
「……」
「……」
───コツ、コツ、コツ。
────コツ、コツ、コツ。
兵が通り過ぎた後。
天井にて、変態と悪魔は顔を見合わせていた。
闇の魔獣に取り巻かれながら、無音で降り立つ───。
「むぅ……娘たちが"揃う"、とな……?」
{{ ……"実験"とも言っておりましたわ }}
『 ガルン…… 』
もしかすると、保護された色薄の娘たちは、幸せに暮らしているのかもしれない──。
そう、淡い期待をしていた変態たちは、
しかし、更に不安を大きくする。
────"実験"。
娘たちは、それに関わっている。
今の私兵の会話から、それは充分に予想できた。
変態は、その仮面の下の表情を、険しくした。
悪魔も、不安そうに目線を寄せる。
{{ ……店長…… }}
「むぅ……。やはり、ナカを調べる必要がありそうであるな……」
『 ガルガル! 』
駆け出す。
音は無く。
迷い無く。
影と共に。
再び、人の気配がする。
「────っ──……」
変態は跳んだ。
天井に構える。
左手と両足の三点で、その肢体をささえ、
右手は、いざという時のために、
黒鉄の拳を、握り込む──!
{{ ────っ──……! }}
悪魔は壁に溶ける。
高い壁、四肢を広げ、
構えるように張り付いている。
その姿は、まるで狩りをする前の、
女豹のソレである。
『(ガルル……)』
──ウォォ……。
漆黒の揺らめきは、その気配を、
闇と同化する───。
二人の闇の者と、三つの鋭い眼が、
来たる者を見据えていた────。
「おい! さっさと歩け!」
「……」
「……ぅぅ」
「はやくしろ。お前達の行き場所が、他にどこにあるっていうんだ」
二人の兵が、二人の少女を連れている。
ライトアーマーを着けた兵士二人と、
薄着の少女たち。
少女の身体に傷はないようだが、
その首は縄で繋がれており、兵に握られている。
とても、保護されているような状態ではない。
闇に紛れし者たちは、怒りに目を細める。
この状況を、先ほど会った老夫婦が見れば、嘆き悲しむに違いない。
「……、……」
{{ ………… }}
『 ガルルル……! 』
見られているとも知らず、伯爵の私兵は悪態をついている。
「ったくよぉ、なんでこんなガキ共の面倒を見なくちゃなんねぇんだ……」
「つべこべ言うな。お前、あの資料は運んだのか」
「あぁ、運んださ。わざわざ持っていったのに「この部屋に不用意に入るな!!」って職人の連中にキレられたんだぜ」
「ふん……」
「あんな古い文献、何の役に立つって言うんだか……」
「余計な詮索はやめろ。それで俺たちの給料が変わるのか?」
「おおっと……! なかなかドライな事をおっしゃる」
「おい、あまり縄を引いてやるな。首に傷がつく」
「ああ、わりいわりい。集団で逃げようとしなけりゃ、こんな事にはならなかったんだぜ?」
「……」
「……うっ、うっ……」
「ふん……もう少し育ちゃあ、べっぴんになるだろうに。伯爵サマは、こいつらで何をするつもりなんだかな?」
「知るか……おい、お前ら。大人しくこの部屋にいろ。抵抗しなければ、毎日メシが出て、危害も加えられなかったろう」
「そぉそぉ。一応大事にされてんだからさ? 食わせて貰ってる分は、役に立ってくれや?」
「……」
「……」
少女のうち一人は睨みつけ、
もう一人は、悲しい顔をする。
兵士の一人は親指で部屋の中をさし、
少女たちは少々もたついたが、言われた通りに部屋の中へと入った。
キィ────……バタン。ガチャ……。ぴかぁ……!
「ほぃ、"箱詰め完了"っと……」
「いくぞ」
「はぁ……なぁ、これって犯罪じゃないのか?」
「……」
二人の兵士が動きを止める。
「……金は、貰っている。それに今ここを辞めたとしても、伯爵は手を打ってくるぞ」
「ちげぇねぇ……やれやれ、やばい所に居着いちまったもんだ」
「……」
兵士は、月夜の回廊を歩いていった。
そして、闇より彼らが降り立つ。
──────ヒュトッッ!!
『 ガルン──! 』
「くっ……! なんと、言うことであるか……! いたいけなせくすぃーの首に、縄をかけて歩かせるなど!!」
『 ガルンガルン!! 』
{{ ここの貴族、明らかに何かを企んでいますわね…… }}
「ふうむ。この部屋に、全ての"せくすぃーがぁるず"が集まっているのであろうか……」
{{ 待ってください。気配を探ってみます }}
「──むぅ?」
悪魔は精神を集中し、部屋のドアの前に立つ。
かつて盲目であったイニィ・スリーフォウは、
物音や気配、そして、
心の色を知覚することに、長けているのだ。
しかし────。
{{ ──!? バカなっ!? なぜ、気配がまるで感じられないの!? }}
『 ガルン……? 』
動揺する悪魔に、変態は静かに答えた。
「……イニィ殿よ。それは恐らく"ジェム"の効果であろう」
{{ っ! ……"ジェム"? }}
「……うむ。エロメイネス伯爵は、ジェムの利益で財を得た貴族なのである。その混ぜ合わせ製法や素材の種類は秘匿されていてな……長年の研究や研鑽にて培われた技術は、一部のお抱えの職人にしか引き継がれぬのだそうだ。"ジェムの職人"というより、"学者"と言っ方が正しい表現になるやもしれぬな……」
{{ そ、そのようなものが……! }}
彼女が驚くのは、当然である。
彼女がまだ悪魔でなかった頃。
千年前のあの都では、この技術はまだ確立していない。
まさに、未来の魔法技術であったのだ。
{{ では、この部屋は…… }}
「"隠蔽"か、"施錠"か。何にせよ、効果期間を考えると、かなり高価なジェムが使用されているようである。内からも外からも、干渉できないようになっておるのだろう」
{{ そんな…… }}
『 ガルン…… 』
「ドアを破壊しようにも、もし失敗すれば人が集まってしまう。カギを探すか、他の手がかりがあればよいのだが……」
『 ガルンン…… 』
{{ ……手がかり、ありますわ! }}
「ほぅ?」
{{ あ…… }}
「む……? どうしたであるか、イニィ殿よ……」
突然、戸惑いを見せた悪魔のレディに、
気遣いを見せるアブノ・マール。
見た目こそアレだが、彼のその精神は、
せくすぃー紳士、そのものである!
{{ ……店長。実は私、人の心を見ることが出来るんです…… }}
「すごいな」
{{ 信じられないかもしれないですが…… }}
「信じよう」
{{ かなり正確に考えていることもわかってしまって……──ってアレッッ──!? }}
「素晴らしい力であるな」
{{ ななな、なんで信じるのに、1ビョウもかからないんですかッッ!? }}
変態はいつだって、即断即決。
心と光を見られる悪魔。
変態が信じた事は、一目瞭然であった。
{{ ……。あ、あの……心を見られるというのは、不気味で、イヤなことではないですか? その、店長だって…… }}
萎縮する、乙女。
悪魔の力を持ってしまった乙女。
変態は優しく、乙女の肩に手を置き、言う。
「ふ……イニィ殿よ……」
{{ は、はいっ }}
「
せくすぃーをいくら見ても、
せくすぃーなだけさ……
」
{{ }}
変態は謎の発言をしたが、
なぜか、悪魔は感動した。
{{ て、て、店長ぉ……! }}
ぷるぷる。
「その力、時に見たくないものまで、見えてしまうのであろぅ……辛かったな……!」
{{ お"っ……! てっ……でんぢょおぉ……!! }}
変態が、クリーンヒット決めやがった。
心から言っているので、破壊力が高い。
タイミングって、大事である。
「イニィ殿よ……今は急がねばならん。その力で何を得たのか、我に教えてはくれぬか!」
{{ は、はいぃっ! }}
涙を拭いたラバースーツデビルは、凛と喋るのだ!
{{ ……すん! 先ほどの兵士たち、"資料を職人の部屋に届けた"と言っていましたわね! }}
「なんと! よもや!」
{{ ええ。場所を読み取りました。"444号室"というルームプレートが見えましたわ。ご案内いたします。こちらに…… }}
「……なるほど。せくすぃーカリスマ販売員に、なるはずであるな」
『 ガルルンガルッッ! 』
店長と、バイトと、お茶くみ。
夜を、疾走する。
いつも読んでくれている方、
Twitterで、ファンアートを描いてくれる方、
感謝です!<(_ _*)>。
先輩の仮面、描きにくいよなぁ……(笑)^^;