表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
443/1216

☪ SEXY TONIGHT……! ☪ ⑤ さーしーえー

(●´ω`●)あ、今回 自重する気ないです(笑)

↑いつもだ


挿絵(By みてみん)

{{ えっえっ、なんで服きてるのに変態なの!? わかんないわかんない、お父様ぁ……私はどうすればよいのですかぁ……! }}


『 ガルンガル──ン♪ 』

「うおっ、なんじゃコイツはぃ!」


「ワシら息子夫婦たちは、それは運命的な出会いをしおってのぅ……」

「ふむふむ……」


 狼狽する悪魔、魔獣に驚く老人をガン無視し、

 老婆と変態は語らっている。


「実を言うとな、ワシらの息子は罪人でな……人を殺めるような大それた事はせぬが、夜な夜な街を練り歩いてはヒト様に迷惑をかけておった……」

「なんと……」

「身内の恥ゆえ、どのような犯罪に手を染めたかは、伏せさせておくれ……」

「あやつもワシに似て、目立ちたがりじゃったからのぅ……」


 ジジィがしみじみと同意した。


「実を言うと、嫁の方も罪人じゃった……」

「なんと……」

「誤解しないでおくれ。あの嫁は確かにやんちゃしておったが、とても気立てのよい娘じゃった。人当たりもよく、ワシらの息子には勿体ないほどじゃ! しかし、あの者もまた、影で息子と同じ犯罪に手を染めておったのじゃ……」

「なんと……」

{{ ………… }}


 悪魔っ娘イニィは、まだ"着衣せくすぃ"の真理にたどり着いてはいなかったが、あまりにも変態が"なんとなんと"言いまくるので、少し冷静となる。


「息子と嫁は、ある日、己の罪の相討ちとなって、出逢ったのじゃ……」

「なんと……! よくはわからぬが、お互いに罪を、突きつけあったのだな……?」

『 ガルぅ〜〜? 』

{{ ……どういぅ?? }}

「ワシら夫婦はバカ息子が心配で、その夜は、あやつの跡をつけておってな……その出逢いの現場を、生で見てしもうた!」

「あれは確かに、運命的な出逢いじゃったなぁ……! 今日のような、満月の日での……」

「なんと……そのようなせくすぃドラマが」

『 ガルガル? 』

{{ ……??? }}


 肝心な所を濁す老夫婦。

 悪魔もお年頃である。

 運命の出逢いとやらが気になり、

 その心の色を見る力で、少々、老夫婦の記憶を覗き見た。


{{ ……──っッ!? 〜〜〜〜っっ!!? ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ〜〜──……!!? }}


 ぷっしゅ────!!!


 顔から蒸気を出して硬直した悪魔が、

 何を見たかは、ご想像にお任せする。


「ワシら夫婦も「あのバカを理解できるのは、この娘しかおらん!!」と、トントン拍子に話がすすんでのぅ……」

「もちろん向こうの親御さんには、事情は隠したがの?」

「なんと! 息子殿の嫁となる者の罪を許し、家族に迎え入れたのだな? なんという慈悲深さであるか……!」

『 ガァルンガルン! 』

{{ ──そ、そりゃそうだわ!? 娘がそんなコト毎夜してるなんて知ったら! お父さん泣くわ!? ……あれっ……私……? ……──ハッ!? あ、あああああ…… }}


 何やら頭を抱え、ブルブルしだした悪魔を他所に、

 老夫婦たちと変態の対話は続く。


「ご老体よ、わからぬな。なぜ、そのような運命的な出逢いをした"せくすぃーあべっく"が、娘を手放すような事になったのか……」

「うむ。まっこと、幸せな家族の暮らしであった。笑顔の絶えぬ家庭であった……」

「しかしワシらは息子夫婦の事を、真に理解をしてはおらんかった……ワシらは貧しかった。息子夫婦は、貧困からくる鬱憤(うっぷん)晴らしのため、再び罪に手を染めておったのだ!」

「なん、と……!」

{{ お父様ごめんなさいお父様ごめんなさいお父様ごめんなさい }}

『 ガ、ガルン……? 』

「孫娘のラミエリを残し、あの二人は再び夜の世界に(いざな)われていった……そして……!」

「────とうとう、しょっぴかれたのじゃ!!」

「……心中、お察しする」

{{ ふ、二人でやっちゃったんですか…… }}

『 ガルガル…… 』


 悪魔だけが、正しく真実を理解している。


「ワシら夫婦は、恐怖した。これは呪われた血なのだと……実はワシらも昔は、ブイブイいわせていたクチなのじゃ……」

「なんと……?」

{{ ぇぇぇぇええ…… }}

「貧困の鬱憤(うっぷん)から、いつか孫娘のラミエリまで同じ運命を辿ると思ったら、気が気ではなかったのじゃよ……」

「ラミエリはピーチ色の髪をした可愛らしい子でのぅ……しかし確実に、あの子にもワシらの血が流れておるのじゃ……」

「……"目立ちたがり屋"の血がのぅ……! ううう……」

「……」

{{ ………… }}


 変態と悪魔は黙った。

 黙った理由は、少し違った。


「息子夫婦という稼ぎ頭がいなくなったワシらの生活は、それはギリギリだったのじゃ。全く、あのバカ息子共め……」

「ラミエリは、ワシらにとって天使じゃ……。あの子の呪われた血を復活させないため、ワシらはエロメイネス伯爵の元に預ける事を、け、決意したのじゃ……ぅぅお……」

「な、なんという"せくすぃージャッジメント"だ……!」

{{ う、うん…… }}


 悪魔は、感じ取っていた。

 理由はともかく、この老夫婦は、

 息子夫婦と孫娘を、心から愛している。


{{ ……色んな人がいるんだなぁ──……チラッ }}

「……感動した! 我は感動したぞ! なんというせくすぃーぱぅわだ! 一族の運命に抗うその姿勢、まっこと感服なのである!!」

「ふ……お主のような猛者にそう言われると、気恥ずかしいねぇ……」

「ワシらは、お前さん方の領域には、たどり着いてはいなかったのぅ……」

「……ふむ?」

『 ガルンガルン? 』

{{ あ、あの……先ほどは何故、ラミエリさんに会いに行こうと……? }}

「……! ……今日は、あの子の誕生日だったのじゃ」

「……ワシらはどんな理由があれ、あの子を手放してしまった……せめて、これだけは渡そうと……」

{{ ──…… }}


 ──キラッ……。


 老婆の手には、ハート型の髪留めが握られている。

 恐らくは、安物の露店で売っている品だろう。

 しかし、それには確かな愛情が宿っているように感じられる。


「エロメイネス伯爵は、一度も保護した孫娘と、会わせてくれようとはせぬのじゃ……」

「何かが、何かがおかしいのじゃ……ぅ、ぅぅ……」

「…………」

{{ ………… }}

『 ………… 』


 (むせ)び泣く、老夫婦たち。

 一族の運命に抗う、二人の猛者である。

 変態は、力強く、(こた)えた。


「……──ご老体よ、心配召されるな! 僭越(せんえつ)ながら、この我が! ラミエリどのが今、せくすぃースマイルかどうか、見てこようではないか────!!」

「……──っ! おお──……!」

「な、なんと心強いお方じゃ……!」

『 ガルンガル────ン!! 』


 老夫婦は涙ながらに、

 月夜に照らし出される変態を見据えている。


「ならば……もしラミエリに、あの子に会えたなら……これを……」


 老婆は、安物のハートの髪飾りを、変態に差し出した。


「……いや。それは直接渡した方がよかろう! その方が、ラミエリ殿も嬉しいはずだ……! 我がまず、彼女の"せくすぃーこんでぃしょん"を確認する! それからでも、遅くはあるまい! ご老体よ、今日は我らに任せ、身を休められよ……」

「……! おおっ、変態よ……!」

「なんと、慈悲深い変態じゃあ……っ!」


 老婆はギュッと胸元に、ハートの意匠を抱きしめ、

 老人と共に、涙した。


「……ワシらが今夜、お主たちと出会ったのは、運命なのやもしれんのぅ……!」

「ならば、ならばお願いするのじゃ! どうか、ラミエリの笑顔を確かめてきておくれ……!」

「「お頼み申し上げます、闇夜の心優しき変態たちよ──!!」」


 老夫婦は、頭を下げる。


{{ わ、私っ、変態じゃないもぉぉおおおんんんん!!! }}


 ────悪魔は、絶叫した。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ