☪ SEXY TONIGHT……! ☪ ⑤ さーしーえー
(●´ω`●)あ、今回 自重する気ないです(笑)
↑いつもだ
{{ えっえっ、なんで服きてるのに変態なの!? わかんないわかんない、お父様ぁ……私はどうすればよいのですかぁ……! }}
『 ガルンガル──ン♪ 』
「うおっ、なんじゃコイツはぃ!」
「ワシら息子夫婦たちは、それは運命的な出会いをしおってのぅ……」
「ふむふむ……」
狼狽する悪魔、魔獣に驚く老人をガン無視し、
老婆と変態は語らっている。
「実を言うとな、ワシらの息子は罪人でな……人を殺めるような大それた事はせぬが、夜な夜な街を練り歩いてはヒト様に迷惑をかけておった……」
「なんと……」
「身内の恥ゆえ、どのような犯罪に手を染めたかは、伏せさせておくれ……」
「あやつもワシに似て、目立ちたがりじゃったからのぅ……」
ジジィがしみじみと同意した。
「実を言うと、嫁の方も罪人じゃった……」
「なんと……」
「誤解しないでおくれ。あの嫁は確かにやんちゃしておったが、とても気立てのよい娘じゃった。人当たりもよく、ワシらの息子には勿体ないほどじゃ! しかし、あの者もまた、影で息子と同じ犯罪に手を染めておったのじゃ……」
「なんと……」
{{ ………… }}
悪魔っ娘イニィは、まだ"着衣せくすぃ"の真理にたどり着いてはいなかったが、あまりにも変態が"なんとなんと"言いまくるので、少し冷静となる。
「息子と嫁は、ある日、己の罪の相討ちとなって、出逢ったのじゃ……」
「なんと……! よくはわからぬが、お互いに罪を、突きつけあったのだな……?」
『 ガルぅ〜〜? 』
{{ ……どういぅ?? }}
「ワシら夫婦はバカ息子が心配で、その夜は、あやつの跡をつけておってな……その出逢いの現場を、生で見てしもうた!」
「あれは確かに、運命的な出逢いじゃったなぁ……! 今日のような、満月の日での……」
「なんと……そのようなせくすぃドラマが」
『 ガルガル? 』
{{ ……??? }}
肝心な所を濁す老夫婦。
悪魔もお年頃である。
運命の出逢いとやらが気になり、
その心の色を見る力で、少々、老夫婦の記憶を覗き見た。
{{ ……──っッ!? 〜〜〜〜っっ!!? ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ〜〜──……!!? }}
ぷっしゅ────!!!
顔から蒸気を出して硬直した悪魔が、
何を見たかは、ご想像にお任せする。
「ワシら夫婦も「あのバカを理解できるのは、この娘しかおらん!!」と、トントン拍子に話がすすんでのぅ……」
「もちろん向こうの親御さんには、事情は隠したがの?」
「なんと! 息子殿の嫁となる者の罪を許し、家族に迎え入れたのだな? なんという慈悲深さであるか……!」
『 ガァルンガルン! 』
{{ ──そ、そりゃそうだわ!? 娘がそんなコト毎夜してるなんて知ったら! お父さん泣くわ!? ……あれっ……私……? ……──ハッ!? あ、あああああ…… }}
何やら頭を抱え、ブルブルしだした悪魔を他所に、
老夫婦たちと変態の対話は続く。
「ご老体よ、わからぬな。なぜ、そのような運命的な出逢いをした"せくすぃーあべっく"が、娘を手放すような事になったのか……」
「うむ。まっこと、幸せな家族の暮らしであった。笑顔の絶えぬ家庭であった……」
「しかしワシらは息子夫婦の事を、真に理解をしてはおらんかった……ワシらは貧しかった。息子夫婦は、貧困からくる鬱憤晴らしのため、再び罪に手を染めておったのだ!」
「なん、と……!」
{{ お父様ごめんなさいお父様ごめんなさいお父様ごめんなさい }}
『 ガ、ガルン……? 』
「孫娘のラミエリを残し、あの二人は再び夜の世界に誘われていった……そして……!」
「────とうとう、しょっぴかれたのじゃ!!」
「……心中、お察しする」
{{ ふ、二人でやっちゃったんですか…… }}
『 ガルガル…… 』
悪魔だけが、正しく真実を理解している。
「ワシら夫婦は、恐怖した。これは呪われた血なのだと……実はワシらも昔は、ブイブイいわせていたクチなのじゃ……」
「なんと……?」
{{ ぇぇぇぇええ…… }}
「貧困の鬱憤から、いつか孫娘のラミエリまで同じ運命を辿ると思ったら、気が気ではなかったのじゃよ……」
「ラミエリはピーチ色の髪をした可愛らしい子でのぅ……しかし確実に、あの子にもワシらの血が流れておるのじゃ……」
「……"目立ちたがり屋"の血がのぅ……! ううう……」
「……」
{{ ………… }}
変態と悪魔は黙った。
黙った理由は、少し違った。
「息子夫婦という稼ぎ頭がいなくなったワシらの生活は、それはギリギリだったのじゃ。全く、あのバカ息子共め……」
「ラミエリは、ワシらにとって天使じゃ……。あの子の呪われた血を復活させないため、ワシらはエロメイネス伯爵の元に預ける事を、け、決意したのじゃ……ぅぅお……」
「な、なんという"せくすぃージャッジメント"だ……!」
{{ う、うん…… }}
悪魔は、感じ取っていた。
理由はともかく、この老夫婦は、
息子夫婦と孫娘を、心から愛している。
{{ ……色んな人がいるんだなぁ──……チラッ }}
「……感動した! 我は感動したぞ! なんというせくすぃーぱぅわだ! 一族の運命に抗うその姿勢、まっこと感服なのである!!」
「ふ……お主のような猛者にそう言われると、気恥ずかしいねぇ……」
「ワシらは、お前さん方の領域には、たどり着いてはいなかったのぅ……」
「……ふむ?」
『 ガルンガルン? 』
{{ あ、あの……先ほどは何故、ラミエリさんに会いに行こうと……? }}
「……! ……今日は、あの子の誕生日だったのじゃ」
「……ワシらはどんな理由があれ、あの子を手放してしまった……せめて、これだけは渡そうと……」
{{ ──…… }}
──キラッ……。
老婆の手には、ハート型の髪留めが握られている。
恐らくは、安物の露店で売っている品だろう。
しかし、それには確かな愛情が宿っているように感じられる。
「エロメイネス伯爵は、一度も保護した孫娘と、会わせてくれようとはせぬのじゃ……」
「何かが、何かがおかしいのじゃ……ぅ、ぅぅ……」
「…………」
{{ ………… }}
『 ………… 』
咽び泣く、老夫婦たち。
一族の運命に抗う、二人の猛者である。
変態は、力強く、応えた。
「……──ご老体よ、心配召されるな! 僭越ながら、この我が! ラミエリどのが今、せくすぃースマイルかどうか、見てこようではないか────!!」
「……──っ! おお──……!」
「な、なんと心強いお方じゃ……!」
『 ガルンガル────ン!! 』
老夫婦は涙ながらに、
月夜に照らし出される変態を見据えている。
「ならば……もしラミエリに、あの子に会えたなら……これを……」
老婆は、安物のハートの髪飾りを、変態に差し出した。
「……いや。それは直接渡した方がよかろう! その方が、ラミエリ殿も嬉しいはずだ……! 我がまず、彼女の"せくすぃーこんでぃしょん"を確認する! それからでも、遅くはあるまい! ご老体よ、今日は我らに任せ、身を休められよ……」
「……! おおっ、変態よ……!」
「なんと、慈悲深い変態じゃあ……っ!」
老婆はギュッと胸元に、ハートの意匠を抱きしめ、
老人と共に、涙した。
「……ワシらが今夜、お主たちと出会ったのは、運命なのやもしれんのぅ……!」
「ならば、ならばお願いするのじゃ! どうか、ラミエリの笑顔を確かめてきておくれ……!」
「「お頼み申し上げます、闇夜の心優しき変態たちよ──!!」」
老夫婦は、頭を下げる。
{{ わ、私っ、変態じゃないもぉぉおおおんんんん!!! }}
────悪魔は、絶叫した。