☪ SEXY TONIGHT……! ☪ ③ さーしーえー
給湯器、復活!!(●´ω`●)+
「……ふぅぅぅぅぅぅ────……」
暗黒の外套を纏いし変態は、
密着した革のマスクから、息を吐き出す。
大胸筋は、大きく呼応した。
月は、天より、明るい。
おもむろに、変態は身を屈める。
外套に隠れきらない丸太のような脚に、
強烈な、せくすぃぱぅわが溜まっている……!
次の瞬間────……!
「せくすぃぃぃ───……ジ、ャ、ァ、ァ、アアアアンプッッ……!!」
どぉぉおお!! ・・・───んんん……!!!
月夜に舞う、半裸の変態。
満月に浮かぶ、変態のシルエット。
その跳躍力は、もはや人を超えている。
変態は、自らの根城の屋上に、降り立った。
……ゴォォオオオンン……。
「ふぅむ……」
黒の外套は、夜風になびき、その正面を隠さない。
変態は見据えている。これから赴く、戦場を。
だが、目線はそのままに、変態は声を放つのだった。
「……我は"帰れ"とお願いしたのであるが……?」
{{ ──っ! ……、…… }}
声は、正しく彼女に届いた。
変態の背後から、動揺が伝わる。
「……何故、未だに留まるのか。"約束されしせくすぃ"よ……」
{{ …………気づかれて、いたのですね }}
マール服飾店の屋上。
店舗には、空調用の、大きな風の魔石の構造物。
その物陰から、姿を現すは、先程まで共に働いていた、
魔獣と、悪魔である────。
……トト、ト。
{{ 店長……こんな夜更けに、そんな格好で何処に行かれるのですか }}
『 ガルン…… 』
「…………」
沈黙する変態。
まだ、先程の話を聞かれていたのか、わからない。
変態は、悩んだ。
誤魔化すべきか、真実を話し、遠ざけるべきか──……。
だが、変態は思い至る。
彼女は、自身の根城の、唯一無二の、女性販売員だ。
魔獣も、非常に健気に客を持て成してくれていた。
そもそも、今までに、共に働いてくれた者など、いただろうか。
変態は、誠実さを、失えなかった。
「……今から行う"せくすぃアクション"は、非常に危険なのだ……"約束されしせくすぃ"、それに"スーパーティータイムガルン"よ……今日のところは、引いてはくれぬか……」
『 ガルンッ? ガルンガルンッ♪ 』
{{ て、てぃーたいむ……? ……。そ、その、"セクシーアクション"、というのは……貴族の館に忍び込むこと、ですか? }}
「──ッッ!! ……やはり、聞いていたのか……!!」
半裸のまま、一歩後ずさる変態。
{{ ……聞きましたし、ちょっとだけ、覗かせていただきましたわ…… }}
「……な、に?」
一陣の風が吹き、小さな悪魔の髪が揺れる。
月夜に照らされる顔は、幼く、美しい。
「……そこまでわかっているなら、話は早いのである。今夜、我が行う行為は、紛うことなき犯罪行為である。貴族の館に調査にいけば、私兵の襲撃もあろう……」
{{ 店長…… }}
「我を犯罪者だと罵ってくれても構わないのである。我は己の信念を、貫くのみッ。……店を辞めたければ、辞めてよいのだ。……。共に働いてくれた事、心より感謝している……」
{{ ──なっ……!! }}
『 ガ、ガルゥン…… 』
まくし立てる半裸に、動揺する魔の者たち。
変態は続ける。
「──何にせよ、魔族とはいえ、子供が脚を突っ込んでよい世界ではあるまい。アダルティックな風に吹かれる前に、お家に帰るがよいのだ……」
{{ な……、…… }}
寂しげな声で、別れを告げようとする変態。
しかし、小さな悪魔の肩は、震え出している。
{{ ……けんじゃ、ないわよ…… }}
「──? イニィ殿……?」
{{ ──ッ! }}
俯いていた顔を上げた悪魔!
真紅の瞳には、涙が浮かんでいる。
変態は、動揺した。
「……"ピュア、せくすぃ"……」
{{ ……ふざけんじゃ、ないわよ!! 私は、あなたの店を辞める気なんて、ない!! }}
「……!! お、おお……!」
変態の心に、言いようのない嬉しさが拡がっていく。
だが、だかしかし。
「──しかし……イニィ殿のような"せくすぃの蕾"を、かのような戦場に連れて行くわけには……」
{{ …………ふんっ! }}
『 ……ガルン? 』
小さな悪魔と、優しき魔獣の身を案じる変態。
しかし。
悪魔の少女は、自身の服に手を伸ばし────……、
──バサっ……。
────豪快に脱ぎ始めた。
「──ッッ!? な、どうされたのだ! "約束されしせくすぃ"よ──!!」
{{ ────…… }}
悪魔は変態を無視し、どんどん脱いでいく。
月夜に、幼い少女の身体のみが持ち得る、
特有の丸い肢体が、晒される。
───……しゅる。
「……イニィ、殿……?」
{{ ……ガルン? 少し解放してちょうだい }}
『──ガルンガルン!! ……──ガルォオオオオオオオオオオオオオ────ンンン!!! 』
「────な、なんとっ……!!!」
────咆哮。
闇を貫く、咆哮。
普段の、大人しい魔獣からは想像がつかぬ、
獣の、咆哮である。
幼き悪魔に、変化が起こる。
────バサァ──……!!
「……! 羽根が……!!」
{{ すぅぅぅ……はぁぁ────……! }}
小さな悪魔の羽根が、瞬く間に、肢体を包んでいく。
宙に浮かび上がる、魔の肉体。
紫と、月光。
変化は、変態にも、すぐにわかった。
「──!! おおきく……なっているのであるかッッ!?」
時が、速まるかのような。
魔の少女は、劇的な変化をとげていく──!!
肢体を抱える手足は、成熟した女性特有のラインを。
妖艶なるボディは、もはや、羽根では隠れない。
月の光と共に、
千年の時を超えた悪魔が、
────────いま、復活する。
────きらり。
「……──む……なんであろうか、この輝きは──?」
魔の肉体を隠しきれない中、
悪魔の女王の前で、何かが光る。
それは、まるでフォークのような。
そして、それは少女同様、仮初の姿。
徐々に顕現せしは、悪魔には似合わず。
神々しいまでのオーラを纏っている────。
「……──!! 十字架の、杖……!!」
{{ ────、フフ……! }}
魔の女王の、真紅が、ひらく。
妖艶なる爪は、杖を握る。
緩やかに、宙より舞い降りる、その姿は。
───月夜に相応しい、アダルティックセクスィである。
{{ ……ねぇ、店長ぉ? 私、貴方のこと、嫌いではありません。しかしですねぇ……? 歳下のボウヤにずっと子供扱いでは、少々、むかっ腹も立ちますわ? }}
『 ガルルォォオオオンンン……!! 』
「なん、と……いうことだっ……!!」
変態の目の前に降り立つは、
まさに"約束されしせくすぃ"。
少女から、見事な変容をとげた、
イニィ・スリーフォウ、本来の姿である。
「……"ぼんきゅっぼん=ダイナマイト"……ッッ!!」
{{ だ、だいな……? と、とにかく。これで子供を連れ回す、なんて心配事は、無くなりましたわね? }}
『 ガルォォオオンン──♪♪♪ 』
「……よもや……ここまでの"ぷるんぷるん=ないすばでぃー"とは……!」
胸を張り、ニタリと自身の正体を見せつける悪魔。
魔獣の身体は膨れ上がり、影の支配者たるオーラを放っている。
変態は、最初は動揺していたが、やがて、落ち着いて言うのだった。
「……危険な、任務になるのである」
{{ 承知の上です。エロメイネス伯爵の館は、あちらですね? }}
「──!! なぜその名を!!」
{{ ふふふ……悪魔を舐めないことね? }}
『 ガルンガルン♪ ガロォォオオオンンン!! 』
「…………」
呆気にとられる、半裸コート。
しかし、やがて。
タイトな革のマスクの下より、笑みがこぼれた。
「ふ……我は、従業員に恵まれたようだな……」
{{ あら……特別ボーナスはでますか? }}
「ふっ、考えておこう……」
『 ガル〜〜ン♪ ガロロロォオ〜〜ン♪♪♪ 』
憂いは消え。
変態は、向き直る。
戦場のある、方角に────!!
「──ではいこうっ!! "マール服飾店"、出張サービスであるッッ──!!!」
変態は、露出した脚に、力をこめた────!!!
{{ ──!! ちょ、ちょっと待って店長!? }}
「えっ、何……」
カクッとなる変態。
{{ あの……そのカッコでいくんですの……? }}
「……? 何か、問題が?」
当然のように言う変態。
{{ い、いやいやいやいや……今、下の道に降りようとしてたでしょう……! ご自分の姿を、そろそろちゃんと客観視できるようになってくださいな! そのコート、ガルンの一部が組み込まれているんでしょう!? }}
「ほぅ、わかるか。繊維状にしたガルン殿の一部を編み込んでいる」
{{ な、なんていう高度な技術なの……! なのに、半裸との組み合わせで台無しだわ……!! と、とにかく!! 前を閉めてくださいませッッ!!! }}
「いや……実はこの外套、まだ試作段階でな……。正面に、ボタンなどは取り付けられていない」
{{ な、なんですって──!? つ、つまり、その外套には…… }}
「うむっ。──前を閉める機能はないッッ!!!」
どぉぉお──ん。
{{ なん、て、ことなの…… }}
『 ガッ♪ ガッ♪ ガッ♪ ガッ♪ ガッ♪ ガッ! 』
打ちひしがれる悪魔の女王。
笑う、無の魔獣。
変態は、なにやら悪魔を見つめている。
「じ〜〜〜〜……」
{{ ……? な、なんですか……? }}
「……ふむ。我の格好のことはよくわからぬが……イニィ殿よ。露出が問題になると言うのであれば、其方は全裸ではないか」
{{ ぐぇぉっ…… }}
一瞬、表情が固まる悪魔。
自分の身体を見る。
……。
視線をあげる。
{{ い、いや……私はその、大事なところは隠れてますし…… }}
「全裸なのに、半裸。イニィ殿……其方の"せくすぃぱぅわ"は、もはや我が領域に達しているぞ……?」
{{ ……。え、えええぇぇぇえええッッ!? う、うぞぉぉおお!!!? }}
『 ガルンッ! ガルンッ! 』
魔獣は「そうだそうだ」と頷き、変態に同意した。
{{ ま、まさか、この時代の人たちって……。私のこの姿を見たら、今の……アブノ店長のような印象を受けるって……ソウイウコトデスカッッ──!!? }}
「むしろイニィ殿は、我のせくすぃレベルを超えている。全裸なのに、半裸なのだぞ? 生きているだけで、チラリズムではないか」
{{ ──は!? は、は、はぁわわわ、わわ、わわわぁぁ〜〜……ッッ!!? }}
千年を生きた悪魔に、羞恥心が戻る瞬間であった。
{{ ふ、服っ! 今脱いだ、ふくっ!! }}
「いや、イニィ殿よ……。その衣装は確かに伸縮性があるが、その身体の、"ムッチムチトゲトゲぼいんぼいん"には、流石に対応できぬであろう……すまぬが、すぐに衣服の準備はできぬ!!」
{{ つ、ま、り……。ぜ、ぜんらで、きぞくのやしきにとつにう……、……!? }}
サァ〜〜…………。
悪魔の女王の顔より、血の気が引いた。
変態は、勇ましく言い放つ───!!
「───さぁ!! ではいこうっ!! 出張!! 大ッッ、サー、ビス!!! まだ見ぬせくすぃを助けるために、いざいざいざぁぁ───!!! ふぉおおおおおううううう──!!!!!」
{{ ゃ、いやぁぁあああ────!!? ちょ、ちょっと待って、てんちょ──!? ふく、ふくつくって!? や、ちょっと下の道おりないで!? 屋根!! 屋根から行きましょ!? ね!? ね!? こるるらぁぁああ────!!! }}
『 ガルルロロラォォオオオオ───ンンン!!! 』
かくして。
半裸の変態。
全裸の女王。
全裸かどうかわかんない魔獣が。
貴族の館を目指すことになったのである────。
{{ ね!? ふくちょうだいって、てんちょおぉぉお────!!? }}
イニィさんの羞恥心、復活!!(●´ω`●)+