ティータイムクエスチョン
まずい……ひじょうにまずい……
お湯がでない
↓
お風呂不可
↓
水浴びできないかば
↓
かばパワーの低下
↓
更新速度に影響((((;゜Д゜))))
かばのスマホは防水なので、
リアルに7割はお風呂で執筆しています……
うわぁーん!!
ギブミーお湯──!!!。・゜・(*ノД`*)・゜・。
「な、なんなんですかぁ〜〜〜〜!!」
「はっはっはっは! いや、だってお前……」
「こ、この挿し絵のアンティさん、すごい、すごいキマッてますよあははは……!」
ヒゲイドさんとキッティが、
私の事が書かれた記事を見て、
目の前で爆笑していた。
目立ちまくったの、ゼッタイ怒られると思ったのに!?
な、なぜ、こんな結果に……。
てか……なんか気恥しくなってきたぁ──!!
自分の記事を読まれるのって、実はとっても恥ずかしい事なんじゃないの!?
「ううう、な、なんだよぅ〜〜」
──こしょこしょ。
「──ひゃっ!?」
首筋に謎のこそばゆさを感じて振り向くと、
「くるくるぅ♪」
「──かんくる! そっか! 今ここに……」
私の座っている一人がけソファの背もたれに、
ちっこいおおかみが登っている。
ギルマス達の笑い声を聞きつけたのかな。
相変わらず、筆のような鼻先をしているわね……。
「くるくる! くるくる!」
「げ、げんきそうねぇ……」
「かんかん! かんかん!」
かんかんってアンタ……。
うさ丸の鳴き声もアレだけど、
この子の鳴き声も相当なアレだなぁ……。
ちなみに、別に怒ってはいないみたいだ。
尻尾はフサフサと、ご機嫌に揺れている。
「くるるぅ〜〜……かぁ────ん!!」
「にょ……? にょッッ、にょきっとぉおおおおと!!?」
ずみゅ──────ん!!!
カンクルが、ソファの背もたれから、ダイブしよった。
下にいるうさ丸に、割と容赦がないボディプレスをかます。
……やはりラビットはウルフに追われる宿命のようねぇ……。
「かんかん♪ かんかん♪」
「にょ、にょきっとぉ……」
とても仲が良さそうだ。
「やれやれ……我がギルドも賑やかになったものだ」
「……! ヒゲイドさん……」
「そうですねぇ。カンクルちゃん、早くも女性ギルド職員に人気ですよ?」
「キッティ……」
……。
「おこらないのね……」
「む? うむ……」
「あはは……」
いつの間にか笑い終えた二人が、こちらを見ている。
私はちょっと口を尖らせた。
「ぜったい怒られると思ってました……」
「……まぁ、お前の抱える問題を考えれば、確かに得策ではない」
「……」
ぎゅっと握る、輝くこぶし。
「……だが、お前は"クルルカン"だからな? いやがおうにも目立つ時はある」
「……!」
「ならば、"よい目立ち方"をすればよい。お前のようなピエロの少女が、そんなドでかい秘密を持っていないだろうと思わせてしまうほどに」
「……あの?」
「ならば、お前は"人々の笑顔に隠れるクルルカン"となるだろう……」
「は、はぃ……?」
ヒゲイドさんの言っていることが、よくわからない。
なんとも言えない苦笑いをする巨人は、
温かい雰囲気をまとっている。
「へぇ〜〜、ギルマスって結構ロマンチストなところがあるんですねぇ〜〜?」
「……! ちゃかすなキッティ……」
「???」
キッティが、ヒゲイドさんをジト目でニヤニヤ見ている。
? ?? よくわからないけど、私は怒られないみたいだ。
「まぁ、なんだ。よく帰ってきた、アンティ」
「は、はい……なんとか」
「この記事、もらっていいか? 額に入れといてやろう」
「マジっすか……」
非常に複雑な気分なんですが……。
「プレミオムズ集会だが、少し、どんな感じだったか聞いてもよいか? 疲れているなら後でよい」
「あ、えと、大丈夫です、よ?」
「私、お茶を入れますね!」
ヒゲイドさんがいつもいる執務室、
つまりこの部屋には、
備え付けの小さなキッチンがある。
キッティは、今はここを使うようだ。
「くるくるくるぅ〜〜♪ くるくるぅ〜〜!」
「にょんややややややや」
うさ丸が、カンクルにコロコロ転がされて、
どこかに行ってしまった。
あいつ、丸いからなぁ……。
「で、どんなだった……」
「そうですね……さいしょは地図で……」
少しだけ、話し込んだ。
まぁ、寝ぼすけバイキングのことや、
居眠り回し蹴りの事とかは割愛したが、
地図の修正で役に立てたことや、
炙り出しの手紙なんかがあったことなど、
話し出すと、なかなか止まらなかった。
キッティとヒゲイドさんは、
カップを片手に聞き手にまわってくれた。
たまに微笑んで相づちを打ってくれたりして、
少々、気恥しかった。
「ふむ……聞く限りでは、なかなか活躍しているではないか」
「ていうか、アンティさんって、いつもどうやって方角を調べているんですか? 迷子とかになりませんか?」
「や、やぁねキッティ。迷ったりはしたことないんだかんね?」
クラウンの地図はカンペキなんだから!
「……ああ、それとお前、"隠蔽"のジェムや"ポーション"等のストックはあるのか。街道付近は魔物は少ないが、いざと言う時はあるだろう」
「あ、あはは……大丈夫ですよ!」
さっきヒゲイドさんが気配を消していたのは、
"隠蔽のジェム"というアイテムの効果らしい。
『────不覚です。感知できませんでした。』
『>>>厄介だな……こんな物がギルドで管理されているのか……』
と、クラウンと先輩はなんか衝撃を受けていた。
確かにビックリした……。
いきなり隣に、スーツの魔王が現れたように感じたもの!
ただまぁ……"隠れんぼ"は、シゼツのチカラがあるし!
"ポーション"は、湖一杯分もっている。
だいじょうぶかな?
「たくさんポーションも持っていますから!」
「そうなのか? ……まぁ、お前の能力なら大量にストックできるからな」
「アンティさんが、ゼルゼウルフを狩るほどの強さだということをたまに忘れてしまいますね……魔物討伐クエストはやらないんですよね……」
「──やらん!」
「でも、簡単な捕獲クエストとかはしてほしいです……"キングコッコ鳥5羽の捕獲"とかどうです?」
「やらん! なんかこわそう!」
「こわくないですって! 体長70セルチほどのバード系ですよ!? アンティさんなら余裕です! 卵、美味しいですよ!?」
「……、……や、やらんぞ……!?」
「……なるほど。食材系クエストは推せばイケそうですね……」
キッティがベテラン受付嬢の目をしている……。
や、やらんぞっ!?
「やれやれ。王都でお前の噂を知らんヤツは、もうおらんだろうな……」
「ぐっ! そ、そんなことないと思いたいです……!」
「ふん、その言い回しが、既に答えではないか」
「うう……」
「良い噂ならいいじゃないですか! アンティさんに憧れる人も出るでしょうね! 助けられた子供とか、ぜったいそうですよ!」
「……! あ、憧れか……」
「ふっ……"配達職"の黄金時代の幕開けか?」
「えっ……いやいやいやいや……」
何を言い出すんだ、この人たちは……。
……。
"憧れ"か……。
私が、誰かの────。
「…………」
「……? アンティさん?」
「……どうした、いきなり黙りおって。疲れたか? ならば……」
「あ、いえ……。その、実は私、今回のプレミオムズ集会、ひとつだけ楽しみな事があったんです」
「えっ?」
「ほぅ……」
三つのカップは、カチャリと音をたて、
テーブルに落ち着いた。
そう、そうだ。
前から聞きたかったこと。
はやくに、聞いておけばよかったこと。
「お二人は、"紫電の魔法使い"を知っていますか?」
「────」
「────」
なぜか、二人の目が、見開いた。










