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むしゃくしゃぴかぴか

「なんと……」


 バスリーさんが驚いている。


 最初の1体、一瞬で枝にしたからね。

 空飛ぶ歯車も、初めて見るだろうし。


「上にでるね」

「うえ、だって?」


 3人を、歯車の輪で拘束する。

 腕、足、胴。

 これで、持ち上げた時、重さの負担が分散するはず。


「おおっ!」

「「わぁ〜!」」


 私の腰周りに、大きな歯車を出して、3人を固定する。

 ごめん、屋根、壊すね。

 はぐるまさ〜ん!!


 ギュイオン!! ……ガウン!!


「! ムチャをしよる……!」

「空が見えちゃった……」


 せまい廊下の、壁と壁の間。

 足をつっかえるようにして、車輪を回す。

 廊下を縦に(・・・・・)登っていく(・・・・・)


 ギュルギュルギュル。


 ぐぅ……やはり、4人は、重い、な。

 歯車輪で、壁を削りながら、かなり無理やりに、上まであがる。

 ……煙突が結構高いな。

 ここにしよう。


 煙突を両手、左足で包む。

 もちろん車輪つき。


「っらぁ!!」


 右足で、思いっきり屋根を蹴る。


 ぐぉん!!

 ────ギュルルルルルッ!


「ぐっ!!」

「! あんたっ!」


 けっこうな負担。

 でも充分。

 3人の固定された歯車を、煙突の上に固定する。

 けっこう高い。

 特等席だね。

 下にいるウルフが、全て見渡せる。……多いな。

 この高さだと、まぁまぁ安全かな。

 でも、こいつら飛び道具あるんだよなぁ……。


 あっ、言ったそばから。

 葉っぱが飛んできそうだ。


「クラウン、バッグ歯車で防御いける?」

『────可。限定空間の特性に起因する。防御効果:大。』

「あれも生き物だもんね。いけるっしょ!」


 そう。"アイテムバッグは、生き物は入らない"。

 その特性は、私の歯車法と組み合わせると、こういう事になるわけで……。


 打ち出される大量の葉っぱ。

 そこに出現する、バッグ歯車(アイテムストレージ)

 歯車法Lv.2なので、ちょいと大きめを3つ出しても平気。

 シャボン玉の膜みたいな所に、葉っぱが吸い込まれる。


 アイテムバッグって、物を取り出す時、手を突っ込むのが普通なんだけど、手も生き物だから当然、押し戻される感覚があるんだよね。


 つまり────。


 バサァ、ぱらぱら。


 葉っぱは生き物(・・・・・・・)受け付け拒否(・・・・・・)

 バッグ歯車から、はき出されちゃう訳だよ、チミ。

 ……あれ、これ、直線攻撃を防ぐのに、反則レベルの盾なんじゃ……。


「……なんてことだい」

「「お姉ちゃん、すご〜い!」」


 上からの、お褒めをいただきましたので、そろそろこっちから行こうかな。

 フォレストウルフ達は、家の周りを、ぐるっと取り囲んでいる。

 たくさんの(つた)が、伸びてきている。

 厄介だ。

 避けても追尾してくるのは、マジで危険だと思う。

 掴まれたら、終わりだ。


「クラウン、"投げ輪(チャクラム)"いっぱい!」

『────"いっぱい"の定義入力申請。』

「えぇい! 34かける2以上よ!」

『────展開中。』


 歯車の外周に、歯車を固定できるようになったのは多分、スキルのレベルがあがったからだ。

 でも小さい歯車は、元々かなりの量が出せたんだよね……。

 だから、この技? のコストパフォーマンスは、かなりいいわけで……。


「「お星さまだ〜〜!!!」」


 空中に、やたらめったら出現した黄金のチャクラムは、当然、外側が高速回転している。

 今は、朝焼け。

 オレンジの光が、反射して、……まっぶいったらありゃしない!

 超光ってるじゃないの!!

 わ、ちょっと、ウルフ見えないじゃない!!


 ブンッ!!!


 ! 音でわかる! 蔦がとんできた!!

 こうなったら、作戦「言ってみよう・やってみよう」だ!


「クラウン! 自動追撃(・・・・)!」

『────掃討対応。』


 さーせん……頼れる相棒に、ブン投げました。


 チキュゥゥゥンンン!!!


 それぞれの意思を持って、動きだす歯車たち。

 なんか光の妖精のパーティみたいだわ。

 うわっ、まぶしっ!

 あ、蔦、切れてるわ。

 あ、ザッシュ、ザッシュいってるわ。

 自分でやっといてあれだけど、おっかね〜技だな……


 ことごとく蔦を切りまくると、フォレストウルフ達の攻撃が止まった。まぁ、あんだけ蔦が削られたら、体を作ってる蔦も減るのに気づいたんだろう。


 獲物がなくなった70くらいのチャクラムたち。

 おわっ! 私のほう飛んできた!

 後ろ腰あたりに、7つの円柱になるように重なっていく。


 キンキンキンキンキン……


 ……わぁ。

 黄金の尻尾ができたで。

 しかも7本。

 ……どうせいと?


 残りのチャクラムは、バラけて私の身体を覆い、ヨロイに加わる。


「わぁ〜〜!!」

「お姉ちゃん、ドレス着たお姫様みたい〜〜!」


 ? ドレス?

 なるほど……そういうふうにも見えるのか。

 7本の歯車尻尾は、お尻から足を覆うように展開してる。

 上半身は、黄金のヨロイ。

 頭に王冠。……きんぴかだ。

 て、ちょっと! 超成金シュミみたいじゃないの!

 やだ! 私、庶民派の食堂出身なのよ!!


「! 嬢ちゃん! 上だよ!」

「!」


 バスリーさんの、危険を教える、声。

 見上げると、2体の植物ウルフが飛びかかってきていた。

 直接きやがったか!


 私は足の歯車輪(スケイター)で体を回転させ、勢いをつける(・・・・・・)


 きた。

 回転を殺さずに、足をふりあげる。

 私の足の歯車から、(やいば)


「おぅら」


 私の歯車、おいしい?

 あ、胃袋の所、裂けちゃったね。


「もいっちょ!」


 まだ回転は続いている。

 2体目へ。


 ガランガランガラン……


 屋根に枝きれが、バラ撒かれる。


「ふ────」


 それっぽく、かまえをとってみたり。


「……なんてデタラメな嬢ちゃんだい!」

「「わーい!(パチパチ)」」


 お客さまから拍手いただきました。

 ……いや、油断大敵よアンタたち!


 まだ! ……えーっと、


『────敵対撃破:2。残:32。』


 まださんじゅうにもいるんだから!!

 ……めんどくせぇ────!!!!


「……クラウン、チャクラム、もっかい」

『────対応入力申請。』

ぜんたい(・・・・)

『────受理。無差別攻撃を開始します。』


 スカートのような尾がひらく。

 両端から、射出される(・・・・・)円盤たち。

 おお、なんか、規則正しい動きで、きれい。

 7本の尾のうち、6本は全て、獲物を狩る円盤になった。

 うわ、上から行きますか……

 首、おちたね……

 うっわ足払ったわ……のたうちまわってる……

 あっ、一瞬大きくなった。

 3体ばらけた。


 むしゃくしゃしてやった。

 誰でもよかった。



 ……。

 …………。

 ……………………。


 お、おっかね────!!!!

 あ、私か……。

 私、おっかね────!!!!


「……なんで自分の技を見て、震えているんだい……」

「「お姉ちゃんつよーい!」」

「あわわわわ……」




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