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おふろ、おおかみ、おおおとこ さーしーえー

【悲報】モンハンが届いた。

((((;゜Д゜))))片手剣アンちゃん作らな……


みんな!

モンハンとはぐるまどらいぶ。

絶賛発売中やよ!d(ゝω・´○)+

↑うおぃ



挿絵(By みてみん)

「かん、くるぁ〜〜♪」


「…………」



 はたして。

 俺がドニオスのギルドマスターになってから、

 ここまで魔物の侵攻を許したことが、あっただろうか。


 ギルマスにだって、デスクワークはあるんだぞ……?


 ぱたぱたぱた〜〜。



「くるぁ〜〜♪」


「……"くるぁ〜〜"は、俺のセリフだ……。こら、書類からどかんか……仕事が進まんではないか……」



 あの、やんちゃ黄金娘が拾ってきた、

 新種であろう、ちっこいおおかみ。


 そいつが今、俺のデスクの上で、

 書類をカーペットよろしく、

 うつ伏せになって、寝転んでいる。


 尻尾が楽しそうに、ふさふさ動いているな……。

 なめらかな毛並みだ……。



「くゆっくゆぅ〜〜♪ くゆくゆ〜〜♪」


 ──ぱたぱたぱた。


「…………」



 うーむ。

 なぜ俺のような大男に懐くのだろうか。

 というか、このウルフ、鼻歌うたってないか……?

 ま、いいからとにかく、どいてほしいのだが……。



「……くゆぅ?」


「……」


 つぶらな瞳で見たって、ダメだからな。



 ──ガチャ、ギィィ───……。



「ギルマスぅ──! あのー、カンクルちゃん居ませ……あ、やっぱりここでしたかぁ!」


「こらキッティ、ノックをせんか、ノックを」


「お茶入れてきたんで、許してください!」



 いや……いつもやってくれている事で、

 許しを()われてもな……。



「はーい、カンクルちゃんは、

 "ピカピカお花と、お水の盛り合わせ"ですよおー!」


「──! くるくるぅ〜〜!」


「ははは、私はくるくるじゃありませんよォ〜〜!!」



 キッティが、"カンクル"の前に、

 硝子(がらす)の器に入った、透き通った水を差し出す。

 中には、淡く光る花びらが、何枚か、ゆらめいている。


 外からの日光が、水と硝子(がらす)に透け、

 おもしろい光のダンスが、デスクに映っていた。


 ……お洒落な食事だと思うが、

 こんな具のないスープみたいなので、

 大丈夫なのだろうか……。



「くゅ……、かぷかぷ!」



 ちゃっぱちゃぱ。もぐもぐ。



「……うむ、食欲はあるようだが……やはり、肉は食わんのか?」


「あ──……はい。やっぱり、この花が唯一の主食のようです。一応、重り天秤で体重もはかっていますが、重さの変化はほとんどないんですよ……」


「ほーぅ? この大きさだと、てっきり育ち盛りだと思ったのだがな……」


「くゆ?」


 ふむ……。

 まぁ、弱ってるようには見えない。健康そうだ。

 体に生えた花が、キラキラと反射している。

 まさか、これが成体なのか?

 ……ま、まぁ、このまま体が小さいままなら、助かるが。

 "ゼルゼウルフ"みたいになってみろ。

 俺の、責任問題また追加だ……。



「やれやれ……あの金ピカ娘はいったい何処で、こんな珍しい珍獣を……」


「……言葉の意味、かぶってますよ? ギルマス……。アンティさん、だいじょうぶ、ですかね……」


「う、む……今頃だろうな」



 プレミオムズ集会。

 まぁ、ゴウガは来ないにしても、

 新参のメンバーが増えるんだ、

 かなりのメンツが揃うに違いない。



「審議官とか、アンティさんの天敵じゃないですか……うわぁ〜〜、大丈夫かなぁ〜〜、嘘ついたら即、"ピカ──!!"ですよ!? "ピカ──!!"」


「……ハラは、くくっている……」


「うぇ〜〜……」



 キッティが言ってるのは、

 審議官の持つ水晶球、"真偽球(しんぎきゅう)"の事だ。

 あれ、ウソつくと、真っ赤に光るんだよなぁ……。

 俺はそのことをアンティに言うのを、

 その、すっっっかり忘れてしまった。



「……まぁ多分、"審議官ってどんなお仕事ですか?"くらい、現場で質問するだろう……」


「知りませんよぉ〜〜、アンティさんですよぉ〜〜!?」


「……」


「あ──……それよりも、ほら。あれ、いいんですか? アンティさんが欲しいって言ってたやつ!」


「む……?」


「"お風呂の湯船"、ですよ! ほら、新種発見の報奨金をいらない代わりに、シャワー室に湯船が欲しいって言ってたじゃないですか!」


「──! ああ!!」



 わ、忘れていた……!

 そんなこと言ってたな、あいつ……!!



「ギルマス、がんばってくださいね!」


「ん……? えっ!? な、なぜ俺が……」


「アンティさんが帰ってきて、湯船があったら驚くでしょう!? ドッキリはスピードが命ですよ! ギルマスなら、お風呂ぐらい抱えて帰ってこれるじゃないですか!」



 俺に、湯船を持って帰ってこいってか……。 



「う、う〜〜む……」


「くゆ?」



 デスクの書類をチラリと見る。

 む……この仕事は、数日後でもよい、か……。

 いつも前倒しに処理するクセがついているが、

 まぁ……たまには、はやく仕事が片付いた分、

 のんびり過ごしても、良いかもしれんな……。



「……わかった。ちょっくら、買い出しにでも行ってこよう」


「おみやげ、期待してますね!」


「やれやれ……」


「! くるるぅっ!」



 タッタッタッ、パンッ──トッ!



「──!?」


「あっ、カンクルちゃん!」



 なぜ、俺の肩にのる……。



「あ、じゃあ、カンクルちゃんのお散歩もお願いしますね!」


「いや……肩に乗っていては、運動にはならんだろう……」


「くるるぅ〜〜♪」



 新種のおおかみと、お買い物に行くこととなった。



 ズシン、ズシン、ズシン……。



「あらぁ〜〜ヒゲイドさん、こんにちはぁ。あら、肩にぬいぐるみが乗っていますよ? どこで投げられたんですか? こまった子がいるものねぇ」


「──くゆゆ!」


「あらぁ〜〜最近のぬいぐるみはしゃべるのねぇ〜〜!」



 少々ほんわかしたご婦人とすれ違ったりしながら、

 街中を行く。

 おい、ばぁさん。

 俺は子供に、何か投げつけられる存在なのか。

 確かに、この街に来た頃は、子供たちに、

 "魔王ヒゲイド"と恐れられた者だが……。

 大丈夫だ。ホンモノの魔王は、

 どうやらあいつが倒している。


「あ〜〜! 魔王がいるぞぉ〜〜!」

「わっ、ほんとだ〜〜!」

「えっ、何あのおっきい人……」


 ガキんちょどもに目をつけられた。

 何人かに見覚えがある。

 あいつは多分、前に俺に登ったことがある。


「ひさしぶりだな"魔王"! 元気か!?」


 相変わらず礼儀を知らんなこのボウズ……。


「……お陰様でな。今日は買い物だ」


「何買うの?」


「お風呂だ」


「すげぇ〜〜!!! 魔王の買い物は、格が違うなっ!!!」



 ▼ 街の子供たちの、"魔王威厳度"が上昇した!



「なぁ魔王! おれ、将来がんばって勇者になるんだ! そうなったら、あんたの所で雇ってくれよ!」


 こいつ何言ってんだ……。

 あ、ああ、ギルドで雇えってことか……。

 勇者と魔王が癒着してたら、大問題だろうが……。


「おれも、"クルルカンの姉ちゃん"みたいな、勇者になりたいなぁ……」


「むぅ……あいつとは親しいのか」


「たまに遊んでくれるよ!」

「たまにクッキーくれるよ!」

「たまに登るよ!」



 ……──登るなよ。



 未来の勇者を、見逃すことにした。



「くゆ〜〜……くぷー♪」



 ……人の肩の上で、寝ないでくれる?

 いい歳した身長3メルのスーツの男が、

 装備していいアクセサリーではない。


 はぁ……。


 でっかい陶器系の湯船を取り扱っている店舗にきた。


「おゥッッ! ヒゲイドのダンナじゃねぇか! あんたが入れるような湯船は、この街にはないぜッッ!?」


 ……知ってる。

 ん? ──いや、大衆浴場あるだろ!


「……俺用ではない。ちっこいクルルカンが入れるサイズの風呂が欲しいのだが……」


「おォ、あの義賊サマか! 前に、展示品を見てたことがあるぜ!」


「ほぅ……」



 あいつ、ほんとに風呂釜がほしかったんだな……。



「いやぁ、そん時に、おんもい商品を運んでもらってよぉ!! あの嬢ちゃん用ってんなら、ちょいと勉強するぜ!?」 


「本当か。というかあいつ、あの格好で至る所に出入りしているな……」


「ははは! 最初に見た時は、どうしようかと思ったぜ!」



 陶器系の湯船は、様々な色や形がある。

 ほぉ……この、黒くてザラザラしたやつなど、

 中々、よい味があるではないか……。

 俺は入れないが……。

 こんな色あいの湯のみが欲しいな……。



「よォダンナ。これとかどうだい。手頃だぜ?」


「む……少々、大きすぎやしないか。あいつも真っ裸になれば小娘だ。湯船に寝そべった時に、ツルッと滑って沈没しかねん……もう少し小さな物がよい」


「親御さんみたいな心配をしやがる。ダンナ、はやく"巨人(ヒュージ)系"の嫁さんでも見つけろや」


「な、何を急に……」



 言っとくけど、俺は"巨人(ヒュージ)系"じゃなくて、

 ちょっとおっきい、ただのギルマスだからな?



「……俺のような男を好いてくれる者など、いないだろう」


「そうかィ? あんたはけっこう街に慕われてるし、いけると思うけどなぁ。気持ちの問題さァ!! "巨人(ヒュージ)系"のお嬢さんにも、気立てのいい奴はいっぱいいるぜ!?」


「う、うーむ……」



 妙な話になってしまった……。

 何か、話題をそらしたいな……ううむ。

 ……ん?



「……店主、あそこでひっくり返っている湯船はなんだ?」


「ん? あっ……いや、あれは……」



 ズシン、ズシン……。


 近寄って、見てみる。



「ほぅ……」



 白磁器で出来た、貴族が使いそうな湯船だった。

 ひっくり返っていて、白い光沢が、光を放っている。

 脚は、金属製のシンプルなモノが、

 ちゃんと4本ついており、対角線上に、

 金が2本、銀が2本と、少し変わった意匠だった。


 ……うむ、上品だ。

 少し大きいかもしれんが、これくらいなら……。



「これが、よいではないか。こいつをくれ」


「いやっ……! ヒゲイドのダンナ、これは不良品だ……」


「? 何がいけない。とても綺麗な湯船だと思うが」


「確かにこれは貴族用に発注した湯船だ。白磁器も、かなり壊れにくいシロモノが使われていて、汚れもつきにくい。脚の金属も特殊合金だ。全くサビん」


「なんだ……高いのか」


「違うよ……言ったろ、不良品だって……」


「???」


「いや……ほら、底面見てみな……"穴"がないだろう」


「む……? ──ああっ!!」


「──形成不良なんだよ……。湯を抜く穴が塞がっちまってんだ……どうしようか困っちまっててよ……」



 なるほど。

 この美しい白磁器には、どこにも傷がなかった。

 ただの、大きな器になってしまっているということか。


 湯を、逃がす所がない湯船か……。


 いや……あいつなら……。



「──よい。これをくれ」


「──えっ!? い、いや、いいのかよ!?」


「そのかわり、うんと負けてくれ」


「いや……正直、買ってくれるならいくらでもいいが……いいのかい? こいつ、冷めた湯を下から逃がせないぜ?」


「大丈夫なのだ。クルルカンは、"ビックリ人間"だからな」


「???」


「これくらいでどうだ」


「こんなに払ってくれるのかい!! や、も少し負けとくよ!」


「決まりだな」


「業者を手配するかい?」


「いや、出来ればかついで帰りたい。簡単に梱包をお願いできるか」


「……ははッ、さすが、"ドニオスの巨人"だ。ちょいと待ってくれ! お──ぅい!!!」



 店主が声を上げ、若い店員が何人か集まってきた。

 ……よい買い物ができたようだ。





「……ところでダンナ、さっきから気になってんだけどよ……その肩に乗ってんのは、なんだい?」


「……守護獣だ」


「くゆゆ〜〜……Zzz」



挿絵(By みてみん)




(*´ω`*)おっふろー

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