絶叫遅刻魔 さーしーえーまーみーれー
(*´ω`*)ふぅ〜〜い
だだだだだだだだだだだ────!!
王城の廊下を、
純白のコートをはためかせ、
その、小さな体に、不釣り合いな、
大きなカバンを持った少年が、走っていく────。
……それは────!
「────そうっ!! ボクですよぉぉお────っっ!!!」
いやぁ──!!
だだだ、だいちこくしましたねぇ──!!!
いくら医療所で火傷した人を片っぱしから治しまくってたとはいえ、もうお昼時が終わる頃ですよぉ────!!!
いやぁ──!! ややや、やってしまいましたねぇぇぇ───!!!
だって、火傷してた人たちが、
あ────んな嬉しそうに、
あ────んな面白い話をするんだ、もんだからぁ──!!!
ボクはエルフ的には、まだまだ子供ですからねぇ───!!!
あのテの話は、メッチャ聞いちゃいますってぇ────!!!
いやぁ──! 面白かったなあ───!!
かれこれ1ジカくらい、目をキラキラさせて聞いちゃいましたよお────!!
まさか、王都で……そんな事がねぇ────!!!!!
ははは……ちこくに治療、カンケイねぇぇええ─────!!!
「いやぁ───!! 太陽が眩しいなぁ────!! ぜったいみんな、来てますよねぇ────!!! はっはは、はっははは───!!!」
……ボク、大丈夫かな……。
……あ、ゴウガさんはこないだろうな……。
もしゴウガさん待たせてたら、逃げよっと……。
だだだだだだだだだだだ────!!
「いや──しかし皆さん、ご飯はちゃんと、お食べになったのでしょーかぁ!!」
うん!! これ!! 待たれてたら!! ダメだな!!
毎回、ボクが最後だもんな!!
今回はダメだな!! アウトだな!!
あ、いや!! ゴウガさんがいるから、ブービー賞かなっ!!
でも、実質いつもボクがビリだなっ!!?
流石にボコられるかなっ!?
いや、大丈夫だ!!
ボク、"回復職"だもんんんっっ!!(震え声)
この、左手首に輝く、黄金のプレミオムアーツ!!
この輝きにかけて、ボクは、生き残ってみせるるるる!!(震え声)
ボクの最強の回復魔法と!!
このデッカバンに、しっこたま入った、
ポーションと、マナポーション……!!
「……勝った……!!」
"備えあれば、大勝利"……!!
どんな予想外な攻撃がきても、大丈夫!!
いけるいけるっ……!!(震え声)
さぁ、いざ! 戦場へ……!
いざいざいざぁ────!!!
……だだだだだだだだだだ!!!
───バァ──────ンンン!!!
「すみませ───ん!!! 遅れましたァ──!!! はいっ、ボクですっ!! ユユユ・ミラーエイドですよっ!? 皆さんいかがお過ごしですかっ!? え? ボクは元気ですっ!! 皆さん、お昼ご飯前に幾多の怪我人を治療してきたボクを褒めたたえて、褒めちぎってくれますよねっっっ!?」
「……────すんませんすんません、ホンッットすんません私寝ぼけてたんです殴ってすんませんてかケリも入れたような緊張で二日寝てなくていや言い訳なんですけどほんとスミマセン許してくださいもうしません実家に帰ります私なんてガキで貧乳でガラの悪いじゃりン子で金ピカでクルルカンでうううううう……」
────!?
「いや、ちょ、おま……わか、わかったから頭あげ……わ、や、やめろ、額をゴリゴリするなっ、あわわっ、おれに女を泣かせるシュミはねぇからっ……!!」
「────なななっ!!?」
────クマさんが、女のヒトを、みんなの前で土下座させているッッッ!!?
あ、あの女のヒト……ぜったい泣いてるじゃありませんか!
な、なんだっ、この公開処刑はっ!?
ベアさんは、こんな鬼畜野郎だったのでしょうか!?
ぼ、ボクがいないウチに、いったい何が……!?
「あ、ユーくんきたー! おそかったねー!」
「にょきっとな♪」
あ、エコちゃん久しぶり……。
今日は、しゃべるぬいぐるみを持っているんだね……?
…………ん?
い、いやっ! それよりも──!!!
目の前で、巨大な鎧クマに土下座をしている女のヒトは、
ずいぶん、か弱い存在に見えた……。
ぷ、プルプル震えているっ……!!
な、何をしてるんですかっ、ベアさんっ──!?
何かのプレイですかっ──!?
「なっ……! あ、あれって……せなかが見えて──!?」
土下座をしている女のヒトは、
どうやら金の軽装鎧を着ています。
着ているんですが……、
……そ、その鎧、背中がっ、
マルミエ、がら空きじゃないですかっ!
ちょうど、ボクは真後ろにいるので、
丸見えの、綺麗な背中のすじと、
土下座してるから、その、
ひ、ヒップラインが……良く見えて……。
「え……、えっちだ…………」
あの鎧……ただの鎧じゃないゾっ!?
絶妙に女のヒトのボディラインを際立たせて──……!?
な、何なんだこのヒト──!?
「ふ、ふみまへんでちたぁぁぁああ!! うぅ、ううゅゅゅゅゆ……!」
「も、もういいから、立てって……」
こ、この、綺麗な背中のお姉さんは何故、
こんな所でクマに土下座を……っ?
や、ヒトなら、ボクよりは年下だろうけど……。
「いやぁ〜〜……。私、今日きてよかったわァ……」
にっこにこ〜〜。にこぷるんっ。
──!?
──ええっ……!
オシハさん、どーゆーことですかっ!?
土下座する女のヒトが見れて、よかったって……!?
な、なぜ、そんな幸せそーな笑顔をっ。
いつからあなたはそんな、女王様気質に……! ぞわっ。
き、今日もおっぱい大きいですね……。
「──はっは! なんと言うか、見ていて飽きがこないお嬢さんでござるなぁー?」
ひ、ヒナワさんっ……!?
あ、あなたもこの、露出した美しい背中のすじに、釘付けにっ──!?
いや、それとも、この土下座することによって際立っている、素晴らしいお尻の膨らみですか!?
それとも、土下座する女のヒトという、
この特殊なシュチュエーション自体を、楽しんでしていらっしゃるっ!?
……あ、あなたって人は……!!
そ、そんな優しげな、女性をおとしまくってそうな表情をして、なんて非道なサムライ……!!
い、いけませんって!!
この閉鎖的な集会所で、こんなっ……!
ど、ドキドキ……。
「マジカ、マジリスペクト」
──グッ。(サムズアップ)
────マジカさんっ!!?
ナニをリスペクトするんですかっ──!?(震え声)
女性が土下座しているシュチュに敬意を払う意図が、ボォクにはわかりませんっ──!!!
他の女のヒトが嬌態を晒しているのを後押しするなんて……!
顔のデカさ並に、悪のココロが育ってしまわれたのですかっ!?
「く、くまったぜ……。あ……ほ、ほら! ユユユも来たし、多分今日はこれで全員だ! ゴウガのヤツは多分こねぇからっ! ほらっ、集会始めっぞ! レジメ配っから、もうおま、頭あげて座れ? ……な?」
「う、ぅ、そう、ですかぁ……?」
お、お……?
ベアさんが、金の鎧の女性をなだめている……。
よ、よかった……!
さすが、プレミオムズの良心だ!
クマさんは、いつも世界を正常にする……。
オシハさん、なんか、めっちゃにこにこしてるなぁ……。
マジカちゃん……なんで目をキラリとして、
サムズアップしてるのか、ボクにはわからないよ……。
……キン。
ボクに魅惑のお尻を向けていた女のヒトが、
ゆっくりと上半身を、おこしていく。
──あっ! そうかっ……!
このヒト、新しくプレミオムズになったっていう、
"配達職"の人かなっ!?
確か、"アンティ・クルル"、さん、だっけ??
ほぁ! 女のヒトだったんですね!
あ、しまった……初めましてで大遅刻とか、
ボクが遅刻魔だとバレてしまう……。
──よしっ、ここは、ちゃんと挨拶しておこうっ!!
「あ、あのっ! 初めましてっ! ボク、プレミオムズ"回復職"の、ユユユ・ミラーエイドですっ!」
土下座を解除した、金の鎧の女の子は、ツインテールだった!
ゆっくりと、こっちを向いて────……。
「あ、はい……よろしくおねがいしまぅ……」
「…………」
…………。
…………。
…………。
「──っ、クルルカンどぁぁぁぁあああああああああああああああああアアアアア──────────ぃい!!!!!!!!!!」
キィ─────────ン……。
「おま……うるせぇから……」
あ、ボク、みんなにメッチャ睨まれてるわ。
(*´ω`*)ゴウガさん、こにゃい。
+ ∩ ∩ にょっき〜〜
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