黄金の範囲攻撃
((((;゜Д゜))))かばはのりきった!!
鬼〇一月を、のりきったのか!?
ほんとうに!?
⚙ SS、6本書き下ろしました!
書籍巻末に1本、各店舗にそれぞれ5本……
((((;゜Д゜))))ふぉぉお──!!
⚙ 一年で1番忙しい時に、
原稿なおし300ページ来ました(笑)
あまりにピンポイントだったので、
かば転生するかと思いました(*´∀`*)
⚙ 全ての書籍用の挿し絵、口絵、
表紙デザインを見させてもらいました。
……。
……。
マジで見た方がいい……!( ✧Д✧) カッ!!
担当さま、杉先生、あざんます!
ワガママ言ってごめぬでした……!(つд⊂)
ふふふ、巻末SSには……!
(*´ω`*)にやり……
きんきんきん♪
らんらんらん♪
逃げよう♪ 逃げよう♪ おっ城っから♪
だって、義賊なんだも〜〜ん♪
「ぅうっ、うぅぅうぎゅぅぅうぅぅうぅ〜〜〜〜!!」
ふるふるふる。
うねうねうね。
しゅぱしゅぱしゅぱしゅぱしゅぱしゅぱぁ────!!
『────ツインテール部:範囲攻撃です。』
『>>>こ、後輩ちゃん……恥ずかしいのはわかった、わかるけど……両手で顔を押さえながら頭を小刻みに振るのは、絶対にやめた方がいい……』
ぜったいわらってた、ぜったいわらってた。
きしさんわらってた、やさしくわらってた。
「ぅぅううんみゃあ〜〜ぎゃぁぁああ〜〜!」
『────状況が悪化。』
『>>>あわうわ……き、奇声はよすんだっ!? 目立つから、マントしてても、ホントに目立つからッッ!!』
「にょ、にょ、にょむ……」
今、出来る限り、お城から離れたい。
そう、これはもはや願望よ。
これから私の人生、あの立派なお城を見るたびに、
今日のことを思い出すのよっ!
クルルカンは、一日はやめにやってくるっ!
さすがクルルカン、ものすごいはやさだっ!
ひかりのはやさではやとちり!
かっこつけて、かえってった!
ひらりとマントがくるると舞って!
来た道もどって、さようならぁぁ!
「──うあああああ〜〜!! 明日、どんな顔して行けばいいのんじゃあぁぁ〜〜……!!」
ぐるんぐるんぐる──ん。
『────範囲攻撃:縦回転が追加。』
『>>>あああわわわぁ……、ぼ、ぼくはもう知らないぞぉ……?』
『──ドンの双剣があらぶっているニャ! ニャフゥ──!。』
【 なーんじゃい、別に一日間違うたくらい、ええやろげ。遅いよりマシやろによぉ? 】
< あらんまぁ〜〜金の髪が綺麗な弧ぉ書いて舞いよるねぇ〜〜♪ >
{{ ピエロちゃん……そのうちツインテールの餌食になる人が出てくるわよ……巻き付くわよソレ…… }}
『──ガルンガルルゥ───ン♪』
私の髪は、触手かッ……。
うぅ頼むから、悶えさせてくれぇぇ……。
「……あああ、クラウンも先輩も、なんで教えてくれなかったのよぉ……」
『────事前に時刻を確認するものと誤解。』
『>>>やぁー、うっかりしてたよぉー! まさか明日とはねぇー!』
「──せんぱい、ギルティぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
うううぅ、あの騎士さんらの、生暖かい目が忘れられん……。
「"ああ、ああ──そういうことって、あるよな──?"」
「"大丈夫だ、オレ達はそんなことで、バカにしたりしないぜ──?"」
「"そっちのうさちゃんと、またこいよ! ──待ってるぜ?"」
……みたいな感じの、眩しいツラだった。
その優しさが、今はツラたん。
「にょんむぅ──……」
『>>>いやぁ、でもさぁー当初の目的は大成功なんじゃないの? そんな意匠のヨロイ着てさ? 門番の警戒心を、あんだけ木っ端微塵にできるのなんて、後輩ちゃんくらいだと思うよ? 城なんて中に入っちゃったらこっちのもんだからね! 門番の許可得たってことだからね!』
「なぁにが、"そんな意匠"よぅぅ!」
あんたの昔の意匠だろがぁ〜〜ぁあほぉぉ〜〜!!
「にょきっと、にょきっとな……」
ポンポン。
「うう、あんがと、うさ丸ぅ……あんた、連れてきてよかったわ……うさ肌の癒しが、今の私には必要だわ……」
【 かっかか──っ! 大袈裟なやっちゃなぁ──! 俺っちもおんぞぉ安嬢? 】
< ふふ〜〜♪ 夜寝たら、わっちらが箱庭で、いい子いい子したんでぇ〜〜♪ >
ちょ、サキ、ダイさん、やめてくれ。
< よーしよしよし♪ >とかされたら、
いろいろ思い出して、
ちゃぶ台に突っ伏して泣くからな私……。
『>>>ていうかさ、うさ丸に、ぼく達の声、聞こえてないかい……?』
『────タイミングを分析:可能性大。』
「──にょむ!」
「あああ、何故私はクルルカンなんだろぅ……」
『──ドン:アンティ? それはもう哲学のレベルニャ! ドツボニャ! 考えるのやめるニャ!。』
7号機……あんた哲学とかわかってんのかコラ……。
よくしゃべってっけどさぁ、また仕事サボってんだろ……。
『>>>で? どうするんだぃ? 一日、空いちゃったけど、王都観光でもするのかぃ?』
「はぁぁ……先輩の格好は、歩き回るにはハードル高いってばぁ……そりゃ観光はしたいけどさ?」
『────提案:宿の確保を推奨。』
「! そうね……夜になってから"ウチの宿はクルルカンはお断りだよ"なんて言われたら、強制野外ベッドだわ……」
『>>>ははは、なんだぼくが悪いのか、ごめんよ……』
「え、ぇえい! いきなり真面目に受け止めないの! とりあえず宿を探すわ! お城の近くはヤダ! 全てを忘れ去るために、距離を稼ぐわっ!」
「にょきっとなぁ──!」
貴族街っぽい所を抜けて、賑やかな市民街を行く。
なんてーかさ? カーディフの街やドニオスの街に比べて、
王都は、建物がタテにでっかいわ!
それが連なって建ってるもんだから、やっぱ街の印象がちがうよね!
相変わらず色んな格好や種族の人だらけ!
歩いてる途中で、これまたでっかい本屋さんがあった。
"キニクノヤ王都店"だって。
一階の店頭で、王都の観光案内が売り出されてた。
アナライズカードでスキャンしたらイッパツで読み込めるけど、食堂娘として、そんな盗賊チックなことはできん。
お姉さんに小銭をわたして購入する。
? 本屋のお姉さん、私を見て、一瞬、驚いてたな……。
なんだ? マントで身体は、すっぽり隠れてるから、
クルルカンとは見られない、ハズなんだけど……。
この後、クラウンに観光案内を読み取ってもらい、
宿屋を総当りにする事にした。
載っている件数は多いけど……。
「ここも、いっぱいだった……!」
観光案内が紹介してるからかなぁ……どこも満室だわ!
もうお昼前になる……ぐぅ。
耐えきれずに、露店でやっていた、イチバン美味しそうなにおいの肉串屋さんで、二本注文する。む、ちょっと高いな。
でもまぁせっかく王都の中にいるんだし、王都のなんか食べたい。
「にほん」
「あいよっ!」
……ずっし、ずっし。
じゅう〜〜ぅ……!
「にょ、にょんむー!」
「……」
『────……。』
『>>>なっがっ……』
一本、60セルチはあった。
肉も野菜も、デカい。
タウロス肉ね。
王都の肉串は、どこもこんなバケモノなのか……?
隣の露店を見ると……あら普通の大きさだ。
……うん、ここの店だけおかしいね。
店名の書いてある、たれ屋根を見ると。
" バベキング "
……ワイルドな店名だった。
買っちまったモンは仕方がないので、人混みにまぎれ、一本を歯車送りにする。
マントの下で、はい格納。
串が、ほとんど凶器に近いので、先に気ぃつけながら食べる。
……はぐっ。
じゅむわ〜〜……!
「……んま!」
うんまい。
私の嗅覚は間違ってなかった。
あの店主、なぜ小分けにしない。
小さくすれば、女性客も取り込めるだろうに……。
間の野菜が、種をくり出したピーマン丸ごと、ニンジン、オニオンと、間にしこたま刺さってるの、これシシトウか……。
別名、くじびきガラシ……。
これまたワイルドだな……。
ピーマンとか、アナが発狂するレベルの姿焼きだわ。
いや、うまいわよ。
くたぁ、って焦げ目ついたピーマンとかシシトウって、うまいわよね、にが甘くて。
こんがりニンジンを半分、イニィさんフォークに刺して、うさ丸にあげた。
「かぷ──に"ょッ!? にょっ!」
{{ あわ、まだあついわよ? }}
熱くてビックリしてた。ごめん。
しばらくすると、美味しそうに食べてた。
今度、ニンジンをしっとり焼いてやろうか。
あ、うさ丸の手なら自分で料理できそうね?
「にょむ〜〜♡」
ある意味とても王都らしからぬ食事を終え、
再び宿屋を探す。
でも、観光案内のトコはもうヤダ……。
『>>>後輩ちゃん。街が大きいほど、区分けがしっかり出るものさ。国の場所、貴族の場所、お店の場所、市民の場所。"お店の場所"じゃなくて、"市民の場所"で探してごらん。これだけ大きな街だ。路地裏の住宅に、埋め込まれてるような民宿は必ずある』
『────住宅地方面をマーキングしたマップを"ベアークラッチ"に展開。』
先輩が先輩らしい事を言って、裏通りに向かう。
しばらくして、近道らしい路地裏に入った。
人がぐんと減り、静かな落ち着きが出る。
まだお昼と言えるので、路地はきれいに照らされていた。
見上げると、淡い黄色の壁と壁の間に、
洗濯ものが干してある。
青空と一緒に、とても風情を出している。
なるほど、こういう所を歩くのも、いいもんね。
キン、キン。
ボールで遊んでいた小さな子供たちが、止まって、
私をまっすぐ見た。
……?
なーに?
クルルカンじゃないよー!
あやしくないよー!
タタタタタ……。
「ありゃ、逃げた」
「にょむ!」
??
……なんか、少し複雑だなぁ。
いつもは子供、よじ登ってくるのになぁ。
うーん……。
『────アンティ。』
クラウンの声で顔をあげると、看板があった。
「みっけ」
どうやら二階建ての、小さな宿屋さんのようだ。
淡い黄色の壁に、埋め込まれるようにある。
先輩、さすがやんけ……。
少しガヤガヤと人の音がしたので、すぐ前の路地を見ると、
どうやらすぐに大通りがあるようだった。
へぇ、ちょっと入っただけなのに、ずいぶんと静かな宿屋だ。
隠れた名店かも。
はいる。
チリンチリーン。
「いらっしゃーい、……!」
小さな女の子が店番をしてた。
茶色い髪を、服と同じ黄色い布でまとめてる。
アナよりちょっと大きいかもしれない。
視線は、うさ丸を肩にのせた私に、釘付けになっている。
「部屋、あいてる?」
「あ……空いてます、けど……」
「そう、じゃあ──」
「ちょ、ちょっと待っ……お待ちください!」
「──え!? ちょ、ちょと!」
パタタタタ……。
「なんじゃらほい……」
「にょんにょん?」
いきなり放置された。
仕方がないので、宿の中を見る。
木を組んだ、穏やかな内装の宿だった。
窓から陽の光がほんのり……うん、いい雰囲気だわ。
今までにまわった宿屋は、ずいぶんときらびやかな外装が多かったけど、こんなふうに、静かで主張しない内装の宿屋も、のんびりできていい。
しばらくすると、受付の女の子が、細マッチョなおじさんを連れてきた。
顔のほりが深くて、色黒の男性だ。
茶色い髪はけっこう短髪だけど、女の子と同じ色に見える。
お父さんかな?
「おぉ、あんたさんかい? ウチに泊まりたいってのは?」
「ええ。部屋は空いてると聞いたわ」
「……」
「え、ダメなの? あ、もしかして、ラビットお断り、とか?」
「──に"ょむッッ!?」
宿屋の主人っぽい色黒のおじさんは、アゴに手をあてて、私を見ながら何やら考えている……。
「……うーん、あんたさんはやっぱり、違う宿屋に行った方がいい。ウチじゃ、あんたさんに見合った、充分なおもてなしができねぇ!」
「ちょ、ちょっとお父さん! そんな口のきき方しちゃダメだって……!」
やっぱりお父さんだった人が、変な事を言い出した。
?? 私に見合った"おもてなし"……?
や、ここもダメだったら、困るんだけど……。
「……理由を聞いても?」
「いやなあ? いま、ウチのカミさんがカゼで倒れちまっててよ。治りかけなんだが、今日の仕入れは買出しに行けなかったんだよ。ウチの食材は今、サラダに使うナッツしかねぇ」
「お父さん!」
ありゃー。な、なるほど。
ツマミですなぁ。
母さんなら、問題なく泊まれるわね。
お酒さえあれば。
てーか私、歩く"黄金の食料貯蔵庫"だかんね?
心配ご無用よ?
「別にそれでも、だいじょぶよ?」
「メシが出せない、オレのプライドもあるんだがなぁ……」
「ちょ、ちょっとお父さん! ダメだって……」
「あ、いやぁ……だってよぉ……」
ほぅ……!
それは食堂娘として、わからないではないわねっ……!
好感度大だわっ!!
食材がないからメニューが作れないとか……うん、ありえないわねっ!
なかなかいーいプライドを持った、ご主人じゃないの!
「他にもよぉ、今空いてる部屋は、シーツがちょびっとほつれてやがんでさぁ……そちらの従獣サマの寝床も、ありやせんし」
「ふぁ?」
「にょむぅ?」
? なんかいきなり、変な言葉遣いになったわね。
従獣サマ? ……うさ丸の事?
この子、いつも、かっっったい受付カウンタで寝てんのよ?
板さえあれば寝れるって……。
や、しかもベッドあんでしょ?
いっしょに寝るわよ?
「?? 問題あるかな? ちゃんとお金持ってるわよ?」
……キン。
私も、はたから見れば、ちっこい女の子だかんなぁ。
信用されてないとかかな?
金のグローブの歯車から、お金を取り出す。
マントのスキマから手を出し、硬貨を見せる。
「──うわ」
「うーん……」
!? 女の子が、私のグローブを見て、怖がってるように見える……?
な、なんでっ!?
初めての反応に、私、ちょっとパニック。
どうなっとんの!?
え? え?
何なの────!?
「い、いやぁ、だからよぉ……貴族の方に、ウチの宿は、ちょっとキツいってばよぉー!」
「──へっ?」
……。
……ん?
……。
私が……、
き……き……、
"貴族"ぅぅッ──────!!!!?
「──ちゃ──うちゃうちゃうちゃうちゃうちゃうちゃう──!! ちがうってばぁ────!!!!!」
『────ツインテール部:範囲攻撃です。』
しゅぱしゅぱしゅぱしゅぱしゅぱしゅぱぁぁ────!!










