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金のお団子くるくるりん



「ええぞぃ」


「ほっほんとですか! ありがとうございます!」


 カーディフの北よりに位置する、

 ちょっとこじんまりとした学校、アリーヴァ学童院。

 教頭先生は、割とあっさり試験の許可をくれた!


「ところで君のような女子生徒、ウチにおったかな?」


「おい……」


 アンティ・キティラです、と名乗ったら、

「おお! あの短パンの元気な子か! 完成度の高い女装じゃのう!」と言われた。



 ……。



 ……ニコッ。



 ……大人の笑顔がうまくなった。



 ……。



 先生の集まる部屋で、テストを受けることになった。

 


「……おい、あの生徒、だれだ?」

「きれいなコねー」

「なんでこんな所で勉強してんだ?」

「用事があるからって、月末の試験、前もって受けにきたんですって」

「ほー! そんな殊勝な生徒がいるのか。今は魔法実技に夢中で、みんな座学はギリギリの点しか狙わないのに」

「てか、どこのクラスです?」

「……わ、私のクラスです……」

「! リズ先生のクラス、あんな綺麗な子いましたっけ……?」

「……アンティさんです……」

「え……」

「ほ……」

「ん……?」

「アンティ・キティラさんです……あの子……」

「…………」

「…………」

「…………」



 ……正直に言います。

「試験受けてるんだから、黙ってよ」って、思ってました……。


 いざ、黙られると、超、気になります。

 ……あによ。この無言の圧力はよ……。


 ええい! は、はやく問題を解かねば!!

 集中できんが、わからないところがない!

 てゆうか、問題が簡単すぎでしょこれ!

 ゼッタイ、魔法ぶっぱなしてる生徒用に、難易度落としてるわ!


 もう終わったわ! いやコレひゃく点だわ!

 前の試験問題より、ぜったい簡単だったもん!

 この時期から、魔法の実習が本格化するからとか、

 そんな大人の理由だわゼッタイ!

  

 ううう……試験が簡単だったのはいいけど、

 なんか釈然とせん……。

 座学を頑張った私は何なのよぉ……!


 教頭先生が終了をつげにくるまで、

 膝の上に手を置いて待つ。


 …………。


 めっちゃ見てる。

 めっちゃ見てるから。

 先生たち、めっちゃこっち見てる。

 手ぇ止まってるもん。


 はずい! はずい!


 し、仕事しろぉぉ──……!



 ……──ガラガラ──……。


「お、アンティくん、おしまいじゃ!」


「──しゃあぁ!」


「はは、そういう所は、やっぱり男の子じゃのぅ」


「「「「「────ッ!?」」」」」


「…………」



 ……ニコッ。



 ……大人の笑顔が、うまくなった。



『>>>いや、そこは否定しなよ……』

『────……。』


 うるせぇ、風呂上がりめ。




 ────。




 ────外に、出た。


 今は、校舎と校舎の間の通路だ。

 道にあわせて、簡易な手すりと雨避けの屋根がある。

 そこから、運動広場が見えた。


「……! 魔法の実習してる……!」


 前の試験も受かってたし、後は帰るだけなんだけど……、

 やっぱり、ちょっと、見てしまう。

 みんな、水とか、炎とか、雷とか。

 本物の、魔法を撃ってる。

 私の使う魔法とは違う、本物の魔法だ。


「いや、クラウンや先輩が偽物って言ってんじゃないのよ……」


『────はい。』

『>>>だいじょぶだって、気ぃつかわなくて』


 なんか、言い訳してしまった。


 手すりによりかかり、広場の方を見る。

 ……すごいな。

 あ、あの子、杖を持ってる。

 光った。

 笑ってる。

 みんなで。

 ……いいなぁ。


『────私たちが、います。』


「! ふふ……ごめんね、気ぃ使わせて」


 やっぱ、実際に見ると、ちょっとキツいなぁ───!

 なんか、自分だけ、仲間はずれみたいで!


 前は、同じ教室にはいたからね!

 でも、今は、場所も離れちゃったし。

 ま、同じ場所にいたら、ケンカになっちゃうんだけどね?


「……みんな、がんばって練習してんだなぁ──……」


 座学の試験も、大事なんだぞぉ──……。


 渡りの手すりによりかかり、

 ぼ──っと、遠くのクラスメイトを見ていた。

 うちのクラスと、あ……違うクラスも合同でやってんな。

 ……ん?

 なんか、木を集めてるな、何だあれ。

 木箱みたいな……いっぱい……?


「おーし、じゃあ、やってみなさい! 力は抑えるんだぞ!」


「「はーい!!」」


 小さい学校だから、ここまで声が聞こえるわね。

 なんだ、なんかすんのか。


「では、はじめ!」


 ────ゴッ──……!



 ! おっ、わぁ……。

 炎の魔法だ。

 何人もの手に、火が集まっている。

 すご。火の属性の人の訓練か。

 もちろん、あれは山火事じゃない。

 いや、そりゃ規模は負けないわよ?

 でも、あれはその、ホントに自分の魔力でやってるかんね?

 私には、できないことよ?


「──おい! レンカ! もう少し力を抑えなさい! これはコントロールの訓練だ」


「────ふん」


 あ……あいつ、隣のクラスの……。

 あの、赤いくねくねの髪の女の子……。

 私のこと、空気みたいに通りすぎるヤツだったな……。


「お、おい、レンカ──!!」


 ちょ、ちょと、あの子、炎、大きすぎない?

 直径一メルはあるわよ、あの火の玉!

 周りの火の属性の生徒が、びっくりして魔法を止めてしまってる!

 あ──……あの子って、ああゆう性格だったんだ…。


「こら、レンカ!!」


「──"ファイヤーボール"──……!」



 ご…… … … … !


 どぉ────んんんん!!!!!



「……うわぁ…………」



 積んであった木箱に、クリーンヒットしたじゃないの。

 いや、大爆発じゃないの……。


 だー、いー、さー、んー、じ──……………。


「炎の魔法って、あぶないわね。見なかったことにして帰ろ……て、うわ、あんなに高くに木箱が舞って──……」





 おちたら────……。





「……────あ、れ、は……ダメでしょおっっ!!!」







 ────気づく。


 空高く吹っ飛んだ木箱。


 その落下地点に、


 誰か、いる。







(……──ばかぁ!!!)







 すでに、走りはじめている。





 ────タタタタタタタタタ────!





 女の子、二人だ。


 座って、上見てる。



 ────!! ミユナとセヴァだッッ!!






 ────タタタタタタタタタ────!






「────ミユナぁぁああ!! セヴァぁぁああ───!!! 避けろぉおおおおお!!!」




「─────え!!?」

「────! 金さじちゃん!!?」




 ばかかっ!!


 こっち見んな!!!


 立てって!!!


 は、し、れッッ!!!!!



 今の私の声で、運動広場のみんなも、全員、気づいた。



 そうだよ!!! 上に吹っ飛んだ木箱がよ、



 このままだと、いくつも、



 あいつらに、ぶつかんだよッッ!!!



 レンカも、引きつった表情ぶっこいてやがるっっっ!!!



 おっっせぇんだよ!! なんではやく気づかないの!!!



 ミユナとセヴァが、上を見ながら、ちんたらちんたら走る。



 ばかっ!! 前見て、とっとと、駆けろッッ!!!



 ……────ドシャ。



 ミユナが、こけた。



 セヴァが、止まって、駆け寄りやがる。



 あほたれ……。



 ……やるしか、ない……!






『────アンティ。』 



(だいじょぶ! やれる!)



『────レディ(準備完了)。』





 いま、仮面も、ヨロイも、ない。


 でも、私には、わかる。


 あの落ちてくる木箱たちが、どこに落ちるか。


 どれくらいの力で、どうすればやれるか。


 どんな走り方が、いちばん勢いがつくか。


 こっちもなぁ、今まで、


 遊んでたわけじゃ、


 ねぇんだよ。






 と。






 ────ダンっっっ!!!!!!!






 思いっきり両腕を使って、


 遠心力をつけてから、


 片足で、蹴り抜く。


 狂ったような速さで走ったから、


 私の軽い体は、すっとぶ。


 あ、いけるわ。


 身体、覚えてるわ。


 地面を蹴った逆の脚を、


 思いっきり振り、遠心力を増す。




 ……───、一個目!!





 ─────バキィィィイ────!!!





 アブノさん特製、ウッドサンダルのヒールが、


 木箱と、ごっつんこする。




 真下に、ミユナとセヴァの、驚く、かお。




 こんだけ勢いつけたんだ。


 1回くらい回し蹴りしたくらいじゃあ、


 私の身体は、地面に落ちないわよ?




 くるくるとまわり、


 二個目の木箱がきて────……。




(────! 二個目の後ろに、もっこ、あんな──……)




 蹴るのをやめ、焦げた木箱の穴に、


 足を突っ込む。


 うっへ、そげ(・・)刺さりそうだけど、


 ま、この角度ならだいじょぶだろ。


 二人の上で、片足、木箱に突っ込んだ私が、


 その重みで、さらに回転する。



 きた。





「……────みっつめ……!」





 ……───────バッキャァァアア────……!!





 ……ウッドヒールって、けっこう蹴れるわね。


 あ、はぐるま使ったら、よかったかな?


 ま、しゃあない。


 最後に、足にハマった木箱を、ふり飛ばす。




 ……────ヒュ──…………。





 まだ、木箱は三つとも、宙に舞っている。



 


 ……────さぁて、重力さん?



 ────────こんにちは。






      ── とっ。





「…………」


「…………」




 ふたりのすぐそばに、着地した。




 ……──────どがしゃああああんんんん……!!!





 しばらくして、


   ちょっと離れたところに落ちる、


     みっつの木箱、だったもの。




 ……ふぅ──……、シャレにならん。



 あ──……、でもまぁ、



 わたし、スキルなしでも、けっこう、いけるじゃん!



 ま、今までに出会ったピンチよりは、マシだよね?




「やれやれ……あんたたちねぇ、ああゆう時は、さっさと走んのよ? わかった?」




「………………………………………」


「………………………………………」



「んぁ?」



「……………………きんさじ、ちゃん?」


「……………………だ、よね?」



「んぁ」



「……………………いまの、なに……?」


「……………………なん、ですか……?」



「んぁ? だから、さっさと逃げろって……」



「…………10ビョウくらい、うえで、くるくる、浮いてた、よ?」


「(コクコクコクコクコクコクコクコク)」



「んぁ……」



「………………あれ、けったのに、落ちてこなかったよ?」


「(コクコクコクコクコクコクコクコク)」



「……そんな日もあんのよ……」



「いや、あの…………………え、あれ? 私がおかしいの?」


「(ブンブンブンブンぶんぶんぶんぶん)」



 おいミユナ……あんた、そんな横に首振ったら、とれるわよ。


 あ、なんかこれ、やばいわね。


 さっさと帰……、





「「「「「「「すぅぅううげぇぇえええええ──────!!!!!!!」」」」」」」






「…………おそかった……」







 みんな、こっちに走ってきた。






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