GOOD-LUCK-GO ! さーしーえー
普段、三人称を使わないかばが、
たまに使うと、こうなっちゃうという例。
その①(´-` )
よぉ〜〜〜〜っ!
ベンっ!
べべんっ!
べべべべべべッ、べべんっ!
あ、みなさま、さぁさぁ、よっといで♪
"歯車落語"が始まるよッ♪
『『『──ニャ───!!。パチパチパチパチ!!。』』』
おやおや、これはこれは……!
ども、ども……!
こりゃまた賑やかなお客にゃんこ様もそろった所で、
それでは、はじまり、はじまりぃ〜〜!!
『『『──ニャ───!!。パチパチパチパチ!!。』』』
今宵の舞台は、四大王凱都市のいちばんひだりっ!
ドニオスという街にある、『まぁる服飾店』に、ございますっ!!
知る人ぞ知る、この名店にぃい、
幾名かの御仁が、
お集まりのようでェ、ござぃましたぁぁ〜〜!!
「ガルンガルぅ─────ん!!!」
「ウ、ウォォオオオオオオオオオ─────!!!!! なっ!! なんといぅ、ことでしょううううう────!!!!」
「にゃぁぁ───っはっはっはっはっは!!!」
おぉやや、おややっ……!
何やら店の奥が、さわがしいご様子っ!
聞くところによると、
「魔獣の二輪」とやらのお披露目であるとか!
黄金のヨロイの娘がぁ、
その仮面を外し、腕を組み!
何やら父親譲りの、高笑いをしていらっしゃらァ!
黄金の義賊たる身、いつもヒミツが多いご身分!
思いっきり、さらけ出して、
自慢したいときも、あるのでぇ、ござんしょう!
おいそれしかし! しかしでござるっ!
今宵の主役は、金の娘と店主じゃあァ、ございやせん!
魔獣の二輪に、半裸の店主が吼えておるその頃にぃ、
店先では、二人のおなごが、バッタリ!
出会ってェ! おりましたのじゃあ〜〜!!
「あの……」
貴族の娘、ミレニー嬢とぉ?
{{ い、いらっしゃいませ…… }}
よっ! 我らがァ、ぷに悪魔っ!!
イニィちゃんでェ、ございますぅ〜〜〜〜!!!
『『『──ニャ───!!。パチパチパチパチ!!。』』』
はぁて、さてッ!
実はこのミレニー嬢の実の父、ドレッド将軍は、
つい先刻、半裸店主の怒りを買い、
空高く、ぶっとばされていたばかり!
穴の空いた天井からは、
お天道様が、きらきらと光を、ふりまいておりますっ!
そんなこととは露知らずっ!
出会ったお二人方は、それぞれの思惑が、
心ん中に、渦巻いておいでのようでぇ、ござんした!
「(な……なんて可愛い魔族の子なの……! しかも、"いらっしゃいませ"!? ……ま、まさかここでほとんど、タダ働きをさせられて、夜な夜な変態の餌食になっているのではっ……!?)」
とまぁ、
いたいげな少女を心配するミレニー嬢に!?
{{ (わぁ……お客様が来てしまった……こんな綺麗な女の人も来るなんて、やっぱり、評判の店なのね……人の頃の私と、同じくらいの歳かしら……) }}
何故だか、
半裸店主の株が上がっていく? イニィちゃん!
はやくも何かが食い違ってきそうでぇさぁ!!
「──ねぇあなた、こんな所にいて怖くな──……」
{{ 店長は奥にいるから、呼んでくるわ }}
「ぎゃあああああぁぁ! ちょっっっと待って!! お願いだから待ってぇええええ──────!!」
{{ ──えぇっ!? }}
騎士あがりの自分にゃあ、
接客は無理だと思ったイニィちゃん!
しかし、ミレニー嬢が、
必死の形相で止めに? かかるぅう!
「──あああなたぁああ、ききき気は確かなのッ!? あああああんな変態を呼び戻しに行くなんて、悪魔の巣に光魔法をぶちこむようなものよっ!?」
{{ ぁ、ぁぅは──…… }}
イニィちゃんの予想だにしない行動に、
取り乱しまくって、動揺するぅ、ミレニー嬢っ!!
いっぽうぅ? 実は、自分が悪魔のイニィちゃん!
これまた何とも言えない、
複雑な表情になって? おりますぅぅ──!!
『『『──ニャハハハハハハ───!!!。』』』
小さな悪魔の両肩を掴み、
しゃがんだミレニー嬢、こう言ったぁ──!
「あ、あなた、こんな変態のいる服屋で働いてはダメよ……! もぅ、エルフや魔族を慰み者にする時代は終わったの……! あなた程の美少女なら、他に仕事なんて、山ほど見つかるわっ! 今すぐここからお逃げなさいっ!!」
{{ え……は、はぁ }}
「あぁああっ……! なんて事なの……こんな上の空で! きっと変態にアレやコレやされて、心がぴょーんなのね……! むごい、変態……むごすぎるわ……! くっ」
{{ ぁ、あのぉ──……、ぁ──…… }}
目の前で、世界の残酷さに涙ぐむっ、ミレニー嬢!
"空の上にぴょーんなったのは、お前のダメな父ちゃんだよぅ"、
とは、誰もぉ言っちゃぁくれないッ!
いっぽぅ、だんだんミレニー嬢の心を、
掴みつつあるぅ、イニィちゃん!
なるほど、この貴族の娘っ子は、
あの変態に会いたくないのだっ!
自分も、さっきまでは同じ気持ちだったのでわかる!
ありゃあ見た目だけで言えば、乙女の許容量を、
かるく、ゆぅぅに、超えているっ!!
しかし、どぉしたもんだ!
先刻、半裸店主の心を覗きッ!
ぁ、どうしてぇえ、なかなかっ!
人の想いを大事にする変態なのだと!
わかってしまったぁあ──イニィちゃん!!
変態を怖がる貴族の娘!
しかし実は優しい変態!
{{ う、うぅ〜〜ん……ど、どぅしよぅ…… }}
ふたつを知る悪魔! 葛藤の渦へと!
落ちてゆくのでェ、ありますッッ!
そんな悪魔の心は知らずぅッ!
いたわりの涙をはらいさりッ!
キッ! っと、決意の目で!
少女を見るミレニー嬢ぉ!
──そしてこぅ、仰ったぁ!
「……私があなたを救い出してあげますわっ! でも、少しだけ待って……私には愛する方がいるのです……! その方をその気にするために、どうしても、至高の肌着……"約束された勝利の肌着"がいるのですぅぅう!! 」
{{ ぇっ……ぇくす……? }}
「あなたを連れ出す前にっ……! その場所を、教えていただきたいのッッ!」
{{ え、ええぇぇぇ…… }}
そそそ、そんな事言われても、と!
内心あせりっぱなしの、イニィちゃん!!
どうやら目の前の貴族の娘、想い人がァ、いるご様子!
ありがた迷惑な話じゃあるが、
この悪魔めをぉ助けようたァ、
どうやら悪い娘っ子ではァ、ないようだッ!
できることなら肌着をわたしてやりたいが、
このままわたすと、自分が誘拐されてしまうのであろぅ!
悪魔が誘拐されちまうなどぉ、お伽話にもぉ、なりはしない!
やはり半裸店主に頼みたいのだが、
ちらりと奥の部屋を見ると、
貴族の娘っ子が、うるっとした目でぇ、見てきやがる!
このまま私は、ここで連れ去られてしまうのかっ!?
あ〜〜〜〜あぁああ〜〜〜〜!
えぇ〜〜らいこっちゃ、えらいこっちゃ!
どうすっぺ、どうすっぺ!!
う〜〜ん、う〜〜んと、
悩んだ悩んだイニィちゃん!
一計を講じるにいたりまするっ!
{{ ……ううぅぅぅ〜~……! そうだ……! 私が店員さんだって、ことにすればいいんだわ……! }}
なるほどなるほど、イニィちゃん!
貴族の娘はあの店主にゃ会いたくない!
自分はこの娘に肌着を買わせてやりたい!
しかし、連れ去られるのはまっぴらごめんだ!
なら、自分が売り子のフリをすればよいではないか!
名案きたりと、両拳をにぎるイニィちゃん!
先ほど、自分じゃ接客はムリ、と考えた心は、
どこぞに忘れ、
ミレニー嬢に、話しぃかけまするぅうう!!
{{ ……あなたは何かを勘違いしてるようね……。私はれっきとした、ここの店員よ? }}
「な!? 何ですってぇえええええ!!!」
小さな悪魔っ子の、
"私は売り子です"発言をきいて、
ずびょびょんと!
飛び上がる、ミレニー嬢ぅぅ!!
「う、嘘おっしゃい──! あなたのような小さな子、こんな所で生き抜けるはずが……!」
{{ むぅ……! あ、あなたね、言っとくけど、私のほうがあなたよりずっと年上なのよ? }}
「な、ん……!?」
ちっちゃな子扱いされて、
ちょいとぁ、ムッときちゃった、イニィちゃん!
まぁ気持ちはわからんでもないっ!
千年もの間、かの湖で生き抜いたその身体は、
確かに生き抜く力には優れていようっ!
真実味のある言葉に、ミレニー嬢は、ハッとするぅ!
「そ、そうか、"魔族"!! 聞いたことがありますわ! 魔族には、エルフよりも長命な者が、現れる事があると……!」
{{ そ、それよ! 変態なんて、こわくないのよ……! }}
「ぉぉぉぉぉぉ……! し、失礼ですが、お幾つなんですの……?」
{{ 千歳よ }}
「せっ──な!? 何ですってッッ!? "マスターデーモン"クラスではありませんかっ!!?」
{{ 冗談に決まっているわ? }}
ミレニー嬢の反応を考えて、
流れるような嘘をついた、我らがイニィちゃん!
後で黄金の娘に調べてもらおうと想いつつ、
今は、この貴族の娘を納得させる、
ちょうどいい年齢詐称が必要だっ!!
さぁて、あんまり嘘が得意ではないイニィちゃん!
どうしようかな、どうしようかな?
考える中ッ!
ふぃに、自分の名前を思い出すっ!!
イニィ・スリーフォウ……!
いち、にい……。
{{ ……12歳よ }}
「え、まだ子供じゃありませんの……」
{{ ……しまったぁぁ……! }}
キョトンとするミレニー嬢!
あわあわと、千年を生きた悪魔が、
慌てふためきまする!
千年の知恵がしぼり出した数字は、
自らの名前の残り後半でござった!
{{ う、嘘よ……34歳よ…… }}
「ま、まぁ……! お母様と同じ歳ではありませんか……! し、知らなかったとはいえ、大変失礼なことをしましたわ……お詫び申し上げます……!」
{{ ……いえ……34歳は……そんなことで怒りませんょ…… }}
実際は千歳なのに、何故か涙を堪える、悪魔っ子!!
ミレニー嬢! かまわず、まくし立てまする!
「そういうことでしたら、大人の女性の機微には明るいでしょう! 私にピッタリな、"殿方にズッキュン!"な肌着を、選んでくださいませんか……?」
{{ えぇっ? う、ぅーん…… }}
うまくミレニー嬢を信用させたはいいも、
肌着の売り子などしたこともない悪魔っ子!
どうしたものかと、逆に、貴族の娘に聞きまする!
{{ あなたはどういうものが欲しいの? }}
「──あ、赤ですぅ!! 情熱の、燃え上がるような赤ッ!!」
{{ 赤……? }}
ミレニー嬢の熱の篭った言葉に、
眉をひそめるイニィちゃん!
千年前は、18の乙女だった自分の感性が、
これは危険だと、びんびんと告げておりましたぁ!
せめて、相手の殿方の好みが、わかればなぁ、と、
そこまで考えたイニィちゃん!
妙案を閃きまするぅ!
{{ ……ねぇ、ちょっとさわるわよ }}
「え……えと……?」
しゃがんだミレニー嬢の頬を、
小さな爪を立てずに、優しく包み込む、
我らがイニィちゃん!
そぅ、そうそうそうっ!!
れえんの国の元王女、
悪魔っ子のイニィちゃんときたら、
"流路で心を見る"天才だぁ!
ミレニー嬢の心の中に、
想い人の思い出を、探りまする!!
しかしぃ、見えるのは、
それだけじゃあ、ないようで……?
{{ ……! あなたの父親、ろくなやつじゃないわね……家でゴロゴロしてるでしょ…… }}
「!!? なんでわかりますのッッ!? 」
{{ ぁ……超すごい魔族だからよ。私のお父様とは、大違いだわ…… }}
「えぇ、ええ……私、あの人を見ていると、恥ずかしくなりますのよ……」
{{ ……この人、どっかで見たことあるわね? まぁいいや、あ、昨日あなた、お皿割ったわね? }}
「どうしてわかりますのッッ!?」
{{ ぅぁ……、……超すごい魔族だからよ }}
ここいらで、いらんこと言わんほうがええと、
悟ったイニィちゃん!!
真面目に想い人の記憶を探しまするぅ!
そしてそしてぇ!
それっぽい記憶の残滓が、
悪魔のココロに、映りまするぅ──!
"……ミレニー……せせらぎのようなその髪……綺麗だ……しかし、僕のような木っ端貴族などに……"
"そんな……コミック様……"
{{ ────見えたわ }}
「えっ──?」
ミレニー嬢から手を離し、狂ったように、
棚の引き出しを開けまくるイニィちゃん!
その様子を見て、ミレニー嬢は、
驚きの声をあげまするっ!
「そんな───!? まさか、こっ、これ全部、"約束された勝利の肌着"──!?」
{{ ──惑わされないで。あなたに相応しいのは、この中で、たったひとつしかないわ! }}
「───!? 今、なんと仰ったの──ッッ!?」
{{ ──! ……あったわ! これよ……! }}
「な──!?」
しゅるり、と!
ひとつの棚から抜き出されたのは、
流水のような、透き通った、水色の肌着で、ございました!
値札には、
"きらきらあくあ☆べびぃどぉる"と、
書いてございまする!
「そ、その、青の輝きはっ──……!」
{{ ……そう、あなたの髪と、同じ色よ。あなたの想い人は、あなたの髪を手に取り、褒めたたえたことがあったはずね? }}
「──あ、あなたは、いったい……!?」
{{ この肌着を着る時、あなたは"青の化身"となる……! 今の私にオススメできる、あなたに一番の乙女の武器は、これしかないわっ……! }}
青の透き通った肌着を、
両手で掲げるイニィちゃん!
それを見て、とうとうミレニー嬢は、
涙を抑えきれなくなったのでございましょう!
「か……か……かみ! 神・接・客……!! あなたは神だわ……!」
{{ …… }}
「かかか、買いますぅぅぅう──! 買わせてくださいぃぃぃい!!」
{{ えと、これの、お値段は……いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうま……こ、こ、れなんだこれっ……!? }}
「そそそそんな安い値段でなど、とても失礼で、いただけませんわ! 永劫の愛にはそれ相応の価値を! これを! お納めくださいませっ!!」
{{ えぇ、ええええええ!!?? }}
ずっしりと、おもい袋を抱え込むイニィちゃんと、
"きらきらあくあ☆べびぃどぉる"に、頬ずりする、ミレニー嬢ぅぅ!!
その表情はァ、あまりにも、対照的で、ございやしたァ!
「……私は、この目で見た……! この魔境に降り立った、一人の天使の姿を……! あなたは乙女たちの、革命よッッ!!!」
{{ は、はぁ }}
「……神の販売員さん、お名前をお聞かせくださいませんこと……?」
{{ …… ……イニィです }}
「いつもここに、いらっしゃるの?」
{{ え! いや……いるような、いないような…… }}
「なるほど……不定期ですのね。それはそうですわ……神の御使いとはいえ、あの変態の側にずっといては、力尽きてしまう……」
{{ … …… }}
「わたくし……頑張りますわ! この、"きらきらあくあ☆べびぃどぉる"で!! あの方のハァトを! ズッキュンしてみせますわっ!! 」
遠い目で、ミレニー嬢を見ていたイニィちゃん!
だがしかぁし! 目の前の、
恋に燃える乙女を、しっかり送り出してやろうと、
そう思ったのでありましたァァ!
{{ ……──あなたの幸運を祈りますッ!! お行きなさいッッ!! }}
「は、はぃぃいい!! このご恩は、決して忘れませんわっ!! あなたのような革命者が現れたことッッ!! 近隣の貴族の娘達に、噂を流しまくっておきますわ!!」
{{ ……ぇ? あ、ちょ……!!? }}
「わぁああああい!!! 革命ですわぁぁあああああ────!!!」
{{ ──…… }}
イニィちゃんが止める間もなく、
ミレニー嬢は、店の外へと、消えていってぇ、しまいやす!
唖然とする悪魔の後ろで、何やら、
せせら笑う声が、聞こえてきたのでありませぬかッ!
「……──っぷ、く、くく、くふふっ、ふふふくくくッッ!!」
{{ ……、……、……、ぴ、え、ろ、ちゃ、ん……! }}
「い、い、イニィさん、なにしてんの、くぷぷふくくくくッ……」
「なんと……!」
『──ガルンガルぅーンン?』
{{ あ、あ……アブノさん……ガルンまで……いつから }}
「ふ、ぷく! あのお客さ、んと、イニィさん、途中から居ても、まったく気づかないんだもん……!」
{{ ……〜〜〜!!! }}
「か……"神、接、客"! ぷッ! ……あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは──────!!」
{{ にぎゃああああああああああああああ!! }}
ついに耐えきれず、側の壁をキンキン殴り、
笑いまくる黄金の娘!
頭を抱え、羞恥に悶えながら、
床に転げまわる小さな悪魔っ子!
黄金の娘、
邪魔だったのか、手で仮面を取り、
涙目になりながら爆笑したのでありますッ!!
おやおやこちらの悪魔っ子も涙目に……!
深紅の目を、おっかさんにもらってからはァ、
ちょいと、泣きむし悪魔っ子な、
我らがイニィちゃんでぇ、ございます!
{{ お、お、お、おのれぇ……神めェ……!! }}
あわれやあわれ、おいたわしやぁ!
悪魔が、神を呪った瞬間で、ございました!
そこに近づくは、
半裸の店主と、魔獣の二輪!
店主、床にて転げる悪魔に近づくなり、
真剣な声で語りかけよる……!
「……"約束されし、セクシィ"よ……」
『──ガル? ガルルン?』
{{ ぇ……。アブノ、さん……? }}
「……」
何やら重い雰囲気を察し、
床から上体を起こす、我らがイニィちゃん!
どうやら半裸店主と魔獣の二輪は、
そこそこ、仲良しになったようでございます!
急に黙りだす店主に、
魔獣もどうしたのか? というご様子!
不穏な空気が立ち上りはじめまするぅ。
イニィちゃんの横には、
ずっしりとした、金貨入りの袋ぉ!
これはしまった! と、我らがイニィちゃん、
店主に怯えながら、謝りまする!
{{ ご、ごめんなさい……私、勝手な真似を…… }}
喋らない半裸の店主!
イニィはあせる!
黙って法外な料金をいただいた!
これは立派な犯罪ではないかッ!?
一発ぐらい殴られても、仕方が無いかなぁ、と!
我らが悪魔、床に正座!
歯を食いしばって、目をつむりまするぅ!
{{ ……、…… }}
ぷるぷると恐怖に耐える中、
ドスン! と、前に何かが落ちる音がしよった!
そぉっと、目を開けた悪魔の前には……!?
{{ ──え }}
なんとそこにはっっ!!!
土下座をするッッ!!!
半裸の店主、"あぶのまぁる"の姿がッ、
あったのでございましたぁぁあああ────!!!
『『『──ニャニャニャ:ニ"ャんだってぇえええええ────!!!??。』』』
綺麗な土下座ッ!!
美しい土下座ッ!!
筋肉の土下座ッ!!
店主、"あぶのまぁる"は!
まっっったく、姿勢を崩さず!!
こう、悪魔に頼むのでぇ、ありましたァァ!!!
「……不定期でいいんで、ウチで働いてください……!」
{{ ……ふぁ? }}
こぉおおして、こぉおおしてぇぇええええ!!!!
"欲望の魔境"!! "まぁる服飾店"にぃ!!!
"時たま現れるぅぅうう"!!!
"謎の魔族の女の子"ぉぉおおッッッ!!!
"乙女達の革命者"ァァァアああ────!!!
" カリスマ販売員☆イニィちゃん! "が、
爆ッッッ☆ッッッ誕!!!
したのでぇぇえ、あありますぅぅううううう!!!!!!!!
『『──ニャッ──!!:ドニオスいちニ"ャ───!!!。』』
『『──ざぶとん投げるニ"ャ──────!!!』』
『『『──ニャ───!!。パチパチパチパチ!!。』』』
「はぁ……ハァ……笑いじぬ……はぁ──っ、いーんでないの? イニィさんも、"お小遣い"欲しいでしょ?」
{{ ぴ、ピエロちゃん…… }}
──おぉっと、めでたしめでたしと思いきやッ!!
乙女の恋を応援しッ!
素晴らしい手腕をふるった!
我らがイニィちゃん!
それを見て、仮面を外し!
笑い転げた黄金の少女に!!
"天罰"と言うべき存在がぁァ!!
──近づいているのでしたぁああああ!!
「あ〜〜……笑った笑った……腹筋いたた……」
{{ ──!? ピエロちゃん! なにか、強大なモノが、近づいてくるわッ……!? }}
「? なーに言ってんの? イニィさ────……」
その時ぃぃぃいいイイ!!!
"まぁる服飾店"の窓硝子がぁぁああ!!!
音をたててぇえええ────!!!!
突き破られたのでありますぅうううう!!!!!
───バリィイイイイイぃぃいンンンッッ!!!!!!
{{ ──!!? ピエロちゃんッッ!! 危なぁぁ────い!!! }}
「 ──ふぇっ? 」
「にょきっとなぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「あ、うさっフぅむモゴぉおぉおお──────!!!!!」
待ちぼうけをくらい過ぎていたァ、
"うさぎの勇者"はァ、
仮面を外し、油断しきっていた、
金の乙女の顔面にィイ、
しっかりとぉぉおおお、
へ、ば、り、ついたのでぇぇえ、
ござぁあああいましたぁいああああ!!!!!
『『『『『『『──ニャッハハハハッ────!!!。』』』』』』』
「にょにょにょにょにょぉぉおおお……!! にょんやにょんやにょんやにょんやにょんやにょんやにょんやにょんやにょんやにょんやにょんやにょんやにょんやにょんやややぁ…………!」
もこもこ。すりすり。
「……ふぁ、ひょっと、ふははる、あふた、やえあさい、ちょ、ほら、ほら、ろけ、ろきな、ひょ……」
「……愛であるな……」
『──ガルンガルンン♪』
{{ ……ら、"ラビット"……? }}
『>>>わぁ……出番ここだけだって……』
『────クニャウンプログラムへの罰則を選考中……。』
『『『『『『『──ミャ:ミャスタぁぁあ──ッッ!!!?。』』』』』』』
さぁて、みなさま?
おあとが、よろしいようで────!
にょきっと、
にょきっと、
にょきっと、な?
歯車落語、『 カリスマ悪魔っ子の爆☆誕 』
仕舞わせて、いただきまするッッッ!!!
それでは! これにてッ!!
またのォ、おこしをぉぉおおおおお─────!!!!!
カン、
カン、
カンカン、
──カカンッ!
ベンっ!
べべんっ!
べべべべべべんッ!!
よぉ〜〜〜〜っ!
……─────────べべんっ!
──。
──終
((((;゜Д゜))))
にょ、にょきっとなぁああああ!!!










