" 王感 " さーしーえー
『──おいでませ〜〜ニャ。』
…………。
『──らっさっせ〜〜ニャニャン。』
…………。
この状況を、誰か私に説明してくれ……。
「…………」
『──なんで黙るニャ。』
「……え──っと、、、」
このつり目の、
ちっこい金ピカネコは……
確か、あの時の……。
「あんた……先輩の過去の記憶の……"夕焼けの生徒会室"にいたネコよね……?」
『──あんときいたのは仲間ニャ。"ぶらざぁ"ニャ。』
「なかま……男兄弟なの?」
『──それはわからんニャ。中にはメスニャコっけがある奴もいるかもしれんニャ。』
……メスニャコッけってなんやねん。
「あんただれ」
『──ニャーはニャーニャ。あくまたんには"クにゃウン"って呼ばれてたニャ。もうウサギの時代は終わりニャ。』
「──! "悪魔"って……!」
イニィさんの事よね!?
てか、"くにゃうん"って、やっぱクラウンの……!
「えと……"くにゃうん"? あんた、クラウンの何?」
『──クラウンたまは、ニャーのボスニャ。あんた様はボスのボスなので、ニャーにとっては、ドンにゃ! ──いえすっ、"ドン:アンティ!"。』
「二度とそれで呼ばないでね。別にクラウンのボスってわけじゃ……ね、くにゃうん。いくつか質問したいんだけど……」
『──ドンときくニャ。くるものは拒まんニャ。』
「えー……っと、いいや。最初にきこう──……」
『──ニャニ?。』
「なんで私……裸なの? 」
『──服がないからニャ。』
「………………ぁ、はい」
ふわふわとした空間。
さっきまで戦っていたはずの場所とは、
明らかに違うトコロ。
私は全裸で、これまた、ふわふわしていて。
しかもなんだか、身体の色がおかしかった。
……これ、肌が淡く、金色に光ってる……?
目の前には見たことのある、
私の顔の大きさくらいの、
よくしゃべる、ネコっぽい何かが浮いている。
"くにゃうん"……
クラウンに……似てるや。
子分か何か、なのかな……。
『──だいじょぶニャ。ここではスッポンポンでも風邪ひかないニャ。安心するニャ〜〜。』
「……」
15の乙女が、裸で金ピカんなって……、
宙をふわふわしてるのに、
安心しろときたか……。
しかもしゃべるニャンコ付き────。
「……ま、いいや。ねぇ、次の質問は、先にきこうか迷ったんだけど」
『──ニャムぅ?。』
「ここ、どこなの?」
地平線が、見えん。
空も、大地もない。
見渡す限り、何も。
『──いま、"金曜日"と接続してるニャ。』
「! ……き、きんよう? 」
『──クラウンたまと、クルルカンが、うまいことやったニャ。いま、"金曜日"を中心に、7つとも繋がってるニャ。』
「???」
『──お陰でニャーも流暢にしゃべれるニャ。ニャニャンがし、ニャサンがろく:ニャ。』
いやいやいやいや……、
場所をきいてんのにぃぃぃぃぃ。
何の話してんのよアンタはぁぁああ。
『──でもちょっと大変ニャ。クラウンたまとあんちくしょうは、初めて"キングギア"になったニャ。構成が追いつかなくて大変ニャ〜〜。』
「──! "きんぐ、ぎあ"? 」
『──そうニャ! 他のぶらざぁ達は、みんな"キングギア"の構成で大忙しニャ。ニャーはドン「やめなさい」の道案内を主張してうまいことサボっ……とても重要な使命感に燃えているニャ。』
「──、……」
う──ん……。
こいつが仲間を売って仕事をサボったこと以外、
何もわかんないわね……。
「……クラウンと先輩は、無事なの?」
『──くっついてるけど、もち無事ニャ。』
「く、くっついてるんだ……」
先ほど見たはずの、
あのビジョンを思い出す。
────"金色のコートの魔人"。
このヌコの話だと、
クラウンと先輩がくっついて、
──"王の歯車"に、なった……?
「……クラウン達は、今どこにいるの?」
『──直接受信してるのはビックマム「ちょとまて」だかんニャ〜〜ここに入れるのは基本的にはあんた様だけニャ。』
「うぅ、ようわからん……。あっ! そ、そうだ、こんな所でヌコと語りあっとる場合じゃないわっ!! 私、"紫の時限結晶"を探さないとっ!」
あわわ、あわわ、
ど、どうやって出るんだ、ここ……!
ジタバタしてみても、
ふわふわと浮いた黄金ボディは、
空を切るばっかりだわ!
クラウン……! 先輩……!
探知能力を合わせて、
探す力を強化するんじゃなかったのっ!?
てか、よく考えなくても、やばいわ!!
イニィさんは!? 魔王はどうなったの!?
私、いまガルンにも乗ってない!!
ど、どうしょ、どうしたら……!!
『──おっ落ち着くニャ、女王「きゃっか!」様。そのためにニャーがいるニャ。』
「! "そのため"って……? 」
『──今、はだかァンティ「しばくわよ」様には、"王感"が使えるニャ。』
「ん?」
……んんん???
「……──"きんぐすふぃ──る"??」
『──キングギアは、"ごぉるど、ぽじしょにんぐ、しすてま"のデバイスを組み直したニャ。はい、これニャ!。』
────ごそごそ、にゃぽん!
ぶぉうん──。
「わっ……え、これさぁ──……」
くにゃうんが懐(?)から取り出したのは、
なんのこたァない、
ノートくらいの大きさの、アナライズカードだった。
見慣れた感じの、光の文字が書いてある……。
えと、内容は────……。
「……なんじゃこりゃあ?」
─────────────────────────
⚙ 王感路戦 ⚙
出発:_________
経由:_________
到着:_________
時代:_________
条件:_________
手段:_________
魔物:_________
[この条件で開始]
─────────────────────────
「……なにコレ」
ぶォン。
「うわっ」
『──行きたいとこ入力するニャ。』
にゃんこが出した、
変な七項目が書いてあるアナライズカード。
その下に、一文字ずつ文字が書かれた、
小さなカードが連なって、綺麗に並んでいる。
「……一文字一文字、全部書いてあるわね……」
『──何しとんニャ、押すニャ!。』
「えっ」
『──文字を押すと、入力されるニャ。』
「え、えと……?」
『──はぁ〜〜。仕方ないニャ……今回はニャーがやってあげるニャ!。』
「……は、はい! どうもすみませんです……」
なんで裸で、ヌコに謝ってんだ私……。
『──出発には、自分の名前入れるニャ。』
「そ、そうなの?」
『──ニャ、常識ニャ! "通り道"は何にゃ?。 』
「えっ……? ガルンではヒールスライムの上を走ってたけど……」
『──す、ら、い、む……ニャ、で、どこ行きたいニャ?。 』
「えっ、どこって? 」
『──ニャムム──!! 何すっとぼけてるニャ!! さっきなんか探すって言ってたニャ!。』
「あ、あっ!! む"紫の時限結晶"!! そ、そゆことか、そゆことね……」
『──ニャムぅ〜〜。……む、ら、さ……。』
ポチ、ポチポチ。
あ、あ〜〜なるほど……!
このアナライズカードの、字のトコを押したら、
文字が入るのかぁ……!
べんりぃ───!!
『──ニャ。』
「つぎはね──……」
んでもって、
くにゃうんと頑張った結果──……。
─────────────────────────
⚙ 王感路戦 ⚙
出発:アンティ_____
経由:すらいむ_____
到着:紫の時限結晶___
時代:いま_______
条件:はやい______
手段:おまかせ_____
魔物:あいたくない___
[この条件で開始]
─────────────────────────
『──で、できたニ"ャァアアアッッ!! 』
「ほ……ほんとにこれでいいの? 」
なんか、すっごい適当な項目があるような気が……。
経由が"すらいむ"で、
魔物が"あいたくない"、って時点で、
何かが既に、食い違ってる気がするんだけど……。
『──なッ!? 何ニャ!? ニャーにやらせといてっ!! わがままはニャンニャンの始まりだニ"ャッ──!! 』
バタバタバタ────ッ!
うわぁ、すげぇ腕振ってる……。
「……さ、さーせん、さーせんした……ホントさーせん……」
……あ。
また裸で、謝ってもたわ……。
ぐすん……。
『──クニャ。わかればいいニャ。じゃあ、いくニャよ? 』
「???」
『────そニャ! ポチッとニャ☆ 』
……──きゅういいいいいいいん……!
お、おおっ?
なんか、光が集まって────……!?
「な、なんなの、これ……」
『──ニョロニョロニャ。』
私の目の前から、
矢印が、ニョロニョロのびた。
時代が終わりし勇者「にょにょッッ!!?」










