くるくるぶくぷく さーしーえー?
今回の挿し絵はいつ消えてもおかしくない。
(●´ω`●;)
'ω')ノ⌒゜ポイッ
∑(●´ω`●)!?
……。
おっきな、"井戸"なんだわ。
ヒールスライムまみれの。
大地に空いた、大きな井戸。
その奥、一番底に。
あのバカヤローは、
ずぅっと、閉じ込められてたんだ。
でも、登ってきた。
よじ登って、きてしまった。
それを、レエンの白は、
必死に、止めようとしてたんだ。
……でも、もう、限界が、近い。
あれは、今も、登り続けてる。
今も──────……!
『……──ガグルゥゥ、ゥゥガギャアアアア──アアアア!!!』
「────ッ……」
なんなのよ……バケモノじゃないの……
カンベンしてよね……。
ここまで、上から落ちて来たけど、
そんなに距離、無かったわよ?
もう少しで、こいつ、
外に、出ちゃうじゃないの……。
なんとか、しないと……。
なんとか……。
『────……。』
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>>>…………。
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「先輩……あんなのと、戦ったこと、ある? 」
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>>>ぼく 逃げ専門だってば……
今 めまいしそう
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「いや……しっかりしてよぅぅ……」
まぁそりゃ……あんなん、初めて見るわよね。
いや……あれはなぃわ……ほんとに……。
私、食堂娘。
目の前のコレ、多分、世界の危機。
『グルガゴギャァァアアアアアァァア───!!!!』
「──うわわっ!?」
知らない間に、少し近づき過ぎたわっ!
咆哮だけで、すごい振動が伝わってくるっ!!
音に押されて、空中の身体が傾く!
この透明の羽根、壊れやすいんだってば!!
「く、クラウン! イニィさん達、見つからないっ!?」
『────流路を探っていますが、膨大な魔法反応のために解析が滞っています。ヒールスライム及び、ガルン亜種体に起因する。』
うわあん!
光魔法と闇魔法が邪魔ってことなの!?
てかここ、ほんとに下、深いなっ!!
ヒールスライムが光って見えるから、
かなり下の方まで見えるわよぉぉおお!
まさかっ、あんな下まで落ちてないよね……?
「イニィさん……ガルン……!」
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>>>こっちの感覚野にも引っかからない!
上に登って 一度スキルを
回復させてから もう一回
トライしないかぃ!?
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「! 先に私に、外で休めっての!? そんな……イニィさん達を置いて!?」
『────ギガンティック・ヒールスライムの粘度上昇のタイミングを考えると、ガルン亜種体の進行速度は深刻と判断。私達は、ギリギリ間に合ったのかも知れません。』
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>>>でも……!
唯一の歯車はバーニアに使ってる!
今のぼくらには 攻撃手段がない……!
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『────ですが……。』
「──あっ、あ、ケンカしないで! なら、もう少し下に行って───……」
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>>>!! アンティ! くるよっ!?
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「!! ──ッ!」
────シュゴォオオオオオ──!!
んんんっ!?
んにあれっ!! くろい触手っ!!?
「うわぁぁぁぁぁん!!」
『────左旋回。』
ゾォォォオオオオオン────!!
「うひゃえぇ──!!」
側を通り過ぎる時、あつい!
熱湯が、通っていったみたいだ。
何よあれ、アレって闇魔法なのっ!?
「おそろしすぎるわ……」
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>>>くるくる! 次来る!
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「いやぁ!」
────ダァオン、ダァオン、ダァオン!!
変なくぐもった音が、大きな空洞に跳ね返り、
山びこのように響く。
信じられない。
あのバカ魔王から、黒い触手が伸びまくってくる。
よける、しかぁ────!!
「く、あああっ───!」
見えては、いる────!
でも────!
この半透明の、翼と、炎────!
動かし、にくい────!
『────マニューバ選択:バレルロール。』
キュゥゥウウ────ンン!!!
うううううっ!
世界が、回るっ!
私の身体が、螺旋を描くように、
くるるとまわり、黒を避ける!!
うわぁ、周りはスライムだらけだ。
めちゃめちゃ上下がわかりにくい!
! 黒の触手が見えたっ!! また来たっ!?
ズシュウウウウゥゥ────!!!
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>>>水平を! 天地をつかめ アンティ!
マーカー2つ!
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「! はいっ!」
ベアークラッチ。
私の顔を包むアナライズカードに、
光の矢印が2つ、映し出される。
示している。
ひとつは、上であるべき方向を、
ひとつは、下であるべき方向を。
「っ! こうねっ!?」
ぎゅううううぅうん────……!!!
……──なおった!
これは便利ねっ!
視覚で方向がわかるのは、ありがたいわっ!
身体の向きが整えられた!
「クラウンッ!」
『────マニューバ選択:インメルマンターン。』
キュ────オオオオッ──────ンン!!
「ううおおわ───っ!!」
頭が持ち上がり、上を向き、逆の方向へ。
世界が、ひっくり返っていく。
私の身体はさっきと反対の方向へ進む。
光の矢印は、天が下、地が上を指す。
『────ピッチアップ:レディ。
────180ループ:レディ。
────ロールアクション。』
キュゥンン────……!!
「おわぁっと!」
身体が半回転して、
いきなり天と地が元に戻った!
父さん母さん、私、いま、空飛んでま────す!!
ピキッ……パキパキ……。
「はいヤな音したぁー!!」
『────右翼フラップ部:破損を確認。アナライズカードにて補強中……。』
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>>>ひぃぃい メモリはいいんだよ
容量無限だから!
純粋に組みなおす人手が足りない!
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「……ごめん先輩、何言ってるか全然わかんない……」
『────く……。かなりの情報量を、さばききれない、と言うことです。』
「だ、だだだだ大丈夫よねっ!? このままぴゅーんって落ちないわよねっ!?」
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>>>がんばってます! おーらい!
修復おっけー!
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『────こちらも組み直しました。翼力、戻ります。』
フワッ────……!
ゴォオオオオオオオ────!
少し右に流れていた身体が、
また浮き上がり、真っ直ぐ飛べるようになった!
すごい……けど、アナライズカードを翼にして、
空を飛ぶのって、クラウンと先輩に、
めちゃくちゃ負担がかかるみたいだ……!
「──まず下にいって、イニィさん達探そうよ!」
『────クラウンギアは方針を委任。』
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>>>いっかいやってみる………あ
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──え?
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>>>しっぽぉおおおおオオオオ───!!!!!
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「 」
あ うあ
あれ しっぽ か
ふり おろ されと る
「 ────ッッくうぅぅぅぅうううぅぅ───!!?」
見え、てんのよ。
せまってくる、アレは。
でも、飛んでるの。
急には、キツいのよ。
さけるのは。
グォオオオオオオ────ンン!!!
──ゴッ。
────ッッ、バリぃぃいいいいンンン!!!
「────うわぁぁああああ!!!??」
とっさに、腕で、ガードした。
透明の翼は、両翼とも、粉だ。
私は、歯車を守るので、せいいっぱいで、
ひとつの炎だけじゃ、私は私を、
支えられなかった。
お
ち
る
゜
「した、に」
『────分析中。』
「なにか、ある?」
『────ヒールスライム構造体:距離:10メル単位。』
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>>>おもいっきり身体ひねって!!!
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……。
「すぅ───……ッ、っらぁあッ!!」
ひ
ゅ
う
う
う
う
う
う
う
う
う
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───ドぱぁぁぁあああん!!!
白いスライムの柱に、墜落したぶくぷくくくぷ。