まおうくらいみんぐ さーしーえー
────────────… … … !
「く……」
光、だった。
そう、思った。
それは白の世界で、
私は、たぶん、久しぶりに、
ここに、飛び出した。
通り抜けた出口は、置き去りにはされず、
即座に、背中に"装備"され、
金の輪より、炎を、吹き出した。
『────ベアークラッチ:正常稼働。
────アナライズウィング:基子強度低下。
────微量崩壊確認。』
ギギッ チリリ……
今は、後ろの視覚も拾ってる。
透明の翼が、少しずつ剥がれ、
キラキラと流れていた。
……出だしからお先真っ暗ですこと。
逆に、空は晴れているわね。
ゴォォォォオオヒュゥゥウウウウ──!!!
……前からの風、やばいわね。
ベアークラッチとアナライズカード無かったら、
きっと目も開けてられないし、
口も閉じないわね。
ちょ……こら……。
このままだと、お日様んとこ行っちゃうでしょ。
「……上向きに出るとは聞いてなかったわ。クラウン、一度、カーディフファイアを停止。下に一定距離、落下する」
『────レディ。』
……──ボシュウウゥゥゥゥ……ボッ。
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>>>ほぅら、やっぱり絶叫系
平気だった……
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……何言ってんの、叫ばないわよ。
『────自由落下を開始。』
上を向いていた頭が、
くるんとひっくり返り、
下に、真っ逆さまだ。
……──ォオオオオ────……!
ふ────……っ。
なんか落ちるのも、
慣れちゃってきちゃったわよねぇ……。
『────ウィングで微度:軌道修正が可能。』
「クラウン、私の感覚に合わせて操作いける?」
『────レディ。
────感覚野にリンク。予測変換開始します。』
「よく分かんないけど、頼む」
落下と、加速が始まった。
風の音がすごい。
今、レエン湖の上だ。
変だ。スライムの城がない。
それどころか……湖が、無くなってる。
大きな大きな正円の、穴。
白い、穴だ──……。
「湖が、そのまま穴になったみたいだわ……」
落ちていく。
"しろいあな"に、入る。
穴の中は、だだっ広いに決まっていて、
外側の壁は白く、
あのヒールスライムが、
壁を包み込んでいるとわかった。
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>>>ぼく達は レエン湖が
調理に使う ボールのように
半球状に えぐれていると
思っていた
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「でも、これって……」
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>>>ああ ふかいね……
これは完全に"たてあな"だよ!
レエン湖は上から見たら正円だけど
縦の断面図は 円柱状に
穴が空いてるんだろうね
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(底が……見えない。まぶしっ……)
『────反響確認中。現在:その仮説を否定する要素:無。』
レエン湖の中の、縦の大穴は、
白く輝くスライムにコーティングされてる。
まだ、背中の炎は止まったままだ。
そのまま、落ちる。
(この、透明の翼……持つかな……)
『────本来、アナライズカードは、強度を持たせるスキルではありません。安定値は低下中。剥離、崩壊に合わせて、精製補強を継続中。』
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>>>アナライズカードは質量はあるけど
強度は今ひとつっぽい!
新しく継ぎ足すにしても
長時間はこっちがきついな……
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そか……。
……ここで私が落ちたら……
えと……父さんら、泣くよね……。
イニィさんも、ここの穴に落ちたのかな……!
私が戻ってきたのは、随分上の方だったけど。
……! もしかして、戻ってきた瞬間に、
この穴があいたの!?
「……イニィさん達の捜索が第一優先!」
『────アンティ。』
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>>>下方に障害物!
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「──!」
自由落下する先に、横向きに、
白い柱のような物が生えている。
あれは……
「スライム、よね……。クラウン! 避けるの任す!」
『────両翼フラップ部:角度修正。コンプリート。』
……────しゅうううううんん──……!
私の左右についた翼ごと、
全体が、緩やかに旋回する。
迫り来る、白い柱を避ける。
白いデカい穴の中を、
通せんぼするように、
たくさんの白い柱が生え、
道を、遮ろうとしていた。
「……あの、白い橋みたいになってる柱も、全部ヒールスライムなの……?」
『────そのようです。聖属性感知を確認。』
どうりで眩しいわけよ……。
これ、"眼魔"、発動してるわね。
魔法が、白く光って見えてるんだわ。
あのでっかいスライム、
予想より遥かに、体積がありそうね……ぶるるっ。
様々に生える、
白い巨大な柱を避けながら下に、
落ちる。
……ピカッ──……ゥワワン───……!
「わっ」
柱の一つの先っちょが、
花のように、急に広がる!
5枚の花びら……!
いや、まてよ……?
「"手"……?」
デカイ白い手が、穴の壁から、生えた。
大きすぎて、距離感が、おかしくなる。
下に、伸びる──……。
その先を見て、私も気付く。
「……クラウン、落下中断……」
『────レディ。姿勢制御。
────平行飛行。ブースト開始。』
シュウウウウウウ────!!!
風を切るような音と共に、
私の頭が持ち上がり、
ゆっくりと、世界に平行になっていく。
ボボボッ、ゴォォォォオオ──!!!
さっきの白い手は、"アイツ"を、
抑え込むのに、加わったわ。
……────ジュウウウ……!!
白と黒の、触れた所から、
肉を焼くような音がでる。
……。
見て、わかった。
登って、きてるんだ。
長い時をかけて。
この白の、大穴の底から。
黒い体。
たくさんの、ピンク色の眼。
ギザギザの、口。
でかい。
「……ねぇ。あれが登ってきたら、世界、サイアクじゃない?」
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>>>少なくとも……
子供が見たら ぜったい泣くね……
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『……──ガギャグルルルルルゥゥ──……』
……そりゃそうだわよ。
こんの魔王、どうにか、しないと。
歯車法は、使えない。
ああ……。
どしよかな……。










