食堂娘はわかんにゃい
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>>>狙撃 するしかない
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「……そげき?」
先輩が、間髪入れずに提言する。
あんま、余裕ないからね。
いつ、地面の暗黒から、何かが出てるくか……。
狙撃……魔法とか、アローのイメージが強いけど……。
『────方針には同意。具体案を入力。歯車の使用はほぼ出来ません。』
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>>>それなんだよなぁ
回転の力を使って 弾丸加速できる
デバイスを作りたかったんだけど
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「! ……それって、前にやったことのある……!」
『────該当デバイス:"黄金の弾線"及び、"黄金の駆逐"。』
──!
あの、ズキュ──ン!! ズバ────ン!!
ってなるヤツか!
「……察するに、その力は、貴方の歯車を大量に使うのでしょう? 今は、不可能なのでは……」
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>>>えと…… アンティ いま
歯車 どれくらい出せるかわかる?
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「感覚だけど……ブーツのを除けば、あと4、5枚が限度かも……」
『────機動力を顧みると、脚部の歯車はストック推奨。』
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>>>さんせ。
いざという時に足には歯車ほしいね
となると……
歯車は時限結晶の保護に使おう
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「保護?」
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>>>紫の時限結晶を歯車で包み
弾丸にする 貫通力を上げるために
使うんだよ
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「……どうやって、それを撃てばよろしいの」
「そだよね……」
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>>>……"銃"がいる
火薬は……山火事……いや 無理だな
制御するには歯車が少なすぎる
そもそも銃身がない……
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「……"じゅう"?」
『────"銃"に対する概念把握の希薄さも問題です。』
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>>>……クラウンちゃんの知識量にも
ちょっとツッコミたいんだけどね?
ああ〜〜どうしようかなぁ〜〜
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「……よく分かりませんが、その"銃"とは、どのようなアイテムなのですか」
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>>>え ええと なんて言ったら……
筒状のパーツに弾をこめて
火の爆発する力で発射するんだ
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『────補足。砲より小型化された物が該当。』
「──! なるほど。大砲の小さな物、ということね」
「えっ、えっ、そうなの……」
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>>>アンティはもう
何回か近い効果のデバイスは
使ってるんだよ……?
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「あの、ズキュ──ンってするのが、"じゅう"なの!?」
「つまり……細長い、筒のような物があればいいのね?」
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>>>! イニィさん
何か 心当たりがある?
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「これですよ」
チャキ……
「!」
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>>>! 杖?
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「見ていて」
グググッ、チャキン……!
「──!!」
イニィさんの杖の握りの所が、伸びた!?
「この杖の握りは、流路を通す特別な金属を、螺旋状に重ねて作った物のようです……このように、少しだけ伸ばす事ができ、中身は空洞……筒状になっているわ」
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>>>! バネが重なったような
構造をしているね!
気密性は皆無だけど……
ロングバレルにはなりそうだ!
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『────伸縮した際の杖の柄の隙間より、弾丸を込めることは可能判定です。』
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>>>あとは "火薬"の代わりだ……
この構造は 山火事は使えない
どうしよう……
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「あの……ちょっとよろしくて。この杖の握りは、当然、転換路の一部に直結しています」
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>>>???
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「えと……それが?」
「──"流路"が通っているのです。貴方の頭にくるくるしているモノは、"無限の流路"と言い換えれるのでは? 」
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>>>!!!
クラウンちゃん 試算できる?
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「えっ、えっ」
『────概念取得。弾丸の装填された杖内部に、残存した三枚の転換翼を利用して、限界圧力の流路を流し込み、一方向に放出させます。空間系統にどのような干渉があるか予測不可能ですが、当機の流路構築質量は、無限です。』
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>>>ははっ いけそうな雰囲気に
なってきたじゃないか!
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「無限の流路の圧力とは、聞くだけで恐ろしそうですね」
「ど、どゆこと??」
私だけ、わかってないっぽいんだけど!?
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>>>杖の中で 一気に流路を作って
その圧力で 弾を撃ち出すのさ!
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『────魔力で、ではありません。純粋に、瞬間質量で加圧します。』
「えっ! えっ?」
「私の杖は、流路を道筋に沿って逃がすのに長けている。今から、私が杖の流路を強化して、その中に力を注ぐのよ」
「?? ???」
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>>>あーもう!
グツグツ煮えているお鍋があります!
フタをしました!
フタには小さな穴が空いてます!
穴はどうなる!?
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「……すごい勢いで、湯気が吹き出す……?」
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>>>それだよ!!
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『────それです。』
「それですね」
「……?? ?????」
な、なるほど、わからん……。
え、え、私がおかしいのかなぁ……。
……ぐすん。
『────300話の更新を確認。』
「にょきっと! にょきっとにょきっと、にょきっとなっ! にょっきにょっき、にょっきにょっき、にょっきっき! にょんやにょんやな、にょんにょんやぁ! にょきっとなぁぁああ!!」
『────翻訳不能。賛辞を述べていると推測。』










