悪魔的無計画
「──"しろいふた"は、まだ、目覚めてない──……? 」
「ええ……」
「そ、それって、どう言うことなの?」
「……今、"14の転換路"と流路を交えて、わかったの。14、いえ……15の十字架は、まだ、本来の役目を果たしていないわ」
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>>>本来の役目……って?
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「──"しろいふた"を、叩き起すこと」
「た、たたき……?」
「……十字架たちから、少しだけ、太古の情報を引き出すことが出来たわ……」
「イニィさん、そんな事までできんの……」
『────問。その情報とは。』
「……"くろいかみさま"同様、"しろいふた"の正体は、何も、わからない。でも、わかった事もある……。"しろいふた"は、"眠り続けている何か"をベースにして、作られたモノ……」
「……! "眠り続けている"……って、"しろいふた"も、生き物みたいなモノなの!?」
「私にも、それ以上はわからなかった……でも、何故、"15の転換路"が作られたかは、わかった。眠っている"しろいふた"は、確実に、聖属性か、もしくは光属性の最高峰と呼ばれるべき存在だわ」
『────作戦予測。休眠状態にある聖属性の存在で遮蔽し──。』
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>>>15の転換路で その寝ぼすけを
叩き起こして 下の暗黒と
相殺する……? そゆことかい?
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「────そう。"十五夜計画"と、呼ばれていたそうよ……」
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>>>! 満月の概念と かけてあるのか
こっちも…… いっしょだから……
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「……え、えと、イニィさん。まるで、直接、昔の人から聞いたような感じで、話すね……?」
「! ……」
「あ、ち、ちがうの! イニィさんの能力を疑ってるんじゃないの! そ、そうだ、"本"! 14の十字架は、本のような役割を持ってて、それを読んだんだよね! ね!?」
「…………ええ、そうね……」
『────"十五夜計画"は、まだ、完了していないのですね。』
「! クラウン……」
「……本来、15あるべきだった十字架は、14まで"完成"し……最後のひとつは、間に合わなかった……」
「! それって……」
「そう……この杖よ。この握りの所は、不完全なまま起動したために、へし折れたのよ」
「…………」
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>>>14の転換路と あなたの十字架
その違いは なんだい?
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「……"闇の流路"が流れているかどうか」
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>>>『────「 ! 」。』
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「……詳しい、説明は……はぶかせて。簡潔に、言うとね……凄まじい光に耐えるには、闇の道がいるの」
「……?」
「私の杖はね、無属性なのよ。だから、どんな流路でも通す。その特性で、私の中に留まろうとする闇を、流し続けてくれていた」
「! ……だから、表面の色が、紫とか、金に変わるんだね……!」
「……そうね。でも、今は、このままではダメ……」
『────イニィ・スリーフォウ。作戦の詳細の入力を。』
「!」
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>>>そうだね
今 このメンツで
あなたが一番 やり方を知ってる
……そうだろう?
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「…………」
「イニィさん……?」
「……ピエロちゃん……手伝って、くれる?」
「なんでもするよ!!」
「そぅ……。── ……」
「え?」
「……──やる事は、ふたつよ」
「う、うん」
「ひとつ。この杖に、闇系統の流路を転写する。"しろいふた"が起きたら、多分、聖属性の魔力が、凄まじい勢いでこれに流れるわ。それに、耐えられるようにね」
「ど、どうやって?」
「あら、私は悪魔じゃない。がっつり闇系統だわ」
「! イニィさんの流路を、移すの……?」
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>>>それ だいじょうぶなの?
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「……私以外には、できないわ。やるしかない……もう一つを、ピエロちゃんに手伝ってほしいの」
「なに?」
「私のバカ弟が、一度、転換路をひっくり返したせいで、今、流路の流れは完全に止まっているわ。見て、都の黒を。あれは、"しろいふた"と"くろいあな"が、ひっくり返ってしまっているのよ」
「……"くろいふた"に、なっちゃってるんだね?」
「……ええ。上に暗黒の領域、下に光の領域がある。そして恐らく、14の十字架は、光の中に包まれているわ。それを、動かす必要がある」
『────具体案を入力。』
「……私は直接、流路を転換路に流せない。でも、間接的に、刺激を与えることはできると思う」
「────?」
「これよ」
「……え? "紫の時限結晶"……?」
「これを……"物凄い勢い"で、真下に撃ち込み、黒を貫通させ、白に流路をぶち込む。白の中で弾けた紫の流路で、14の転換路を刺激し、起動させる」
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>>>ちょ……
時限結晶を弾丸にして
"狙撃"するって言うのか……
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『────……。イニィ・スリーフォウ。私が入力申請したのは、具体案です。』
「……さぁて、ここからが本題なんだけど……ピエロちゃん? "コレ"を、もぉんのすげえ速さで、地面にぶっ込む方法……何か、思いつく?」
「……イニィさん……計画とか立てるの、めっちゃくちゃヘタっぴですよね……」










