とんでもピエロとせくしぃ悪魔
(●´ω`●)ちょこっと加筆。ごめぬ。
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▼アークデーモンが 食堂娘の仲間になった!
緊急クエスト:「ガルンをとめろ!!」
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「さぁ、いきますよ」
……────バッサァ……。
───ちょ!!?
──がしっ。
「うわっと……」
「──ちょちょちょ、ちょっと待ってぇ、イニィさぁあんんッ!!」
ズルズルズルぅ────……。
────ガルルルロロオオオオオオンンン…………!!!
「……"杖を媒体にして、未来と"同期"してる"──……?」
「うんっ、うんっ! そう……」
「……信じられない事をしますね……」
あ、危なかった。
イニィさん、杖持ったまま、
なんか羽根広げて飛びそうだった……。
思わず足に飛びついたわ!
あなた羽根使うの初めてのはずでしょ……。
順応性高いよこのヒトぉ……。
「つまり、私の杖から離れ過ぎると……」
『────"同期"状態の維持に深刻なエラーが発生すると予測。』
「うんっ、うんっ!」
ブンブンブンッ──!!
「……めんどくさいですわね」
いいいいまふつうにめんどくさいって言ったッ!!?
イニィさん! あなた悪魔になったからって、
ちょっとグレ過ぎですよッ!?
「ピエロちゃん? 貴方の不思議な力、空中でも動けますか?」
「! それって……そか、地面、あんな事になってるもんね……」
ちらりと見る。
暗闇の、底無し沼みたいだ……。
「うん……本来なら、多重層歯車を空中に仮固定して、その上を"走る"事が出来るんだけど……」
「"空を走る"ですか……とんでもピエロですね。しかし今は、その歯車とやらが」
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>>>著しく制限されちゃってるんだよね
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そーなのよ……。
あのバカ野郎を思っきり殴るのに使ってもたから……。
「……てかイニィさん普通にクラウンと先輩と喋ってんね」
「悪魔ですから」
いやいやいやイニィさん……
割り切りが、はやすぎる……。
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>>>きみの「クルルカンですから」と
いい勝負だね!
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「ぐっ!」
わ、私も同じようなことしてたわ!
「貴方は、未来から助けに来てくれた……正義のとんでもピエロちゃんなのですね?」
と、とんでも……。
「……イニィさん、その"ピエロちゃん"って固定ですか」
────ガルルルロロオオオオオォォォオン!!!
「「────ッ」」
『────アンティ。"ガルン"が、地表暗黒面より移動を開始。行動入力。』
「ッ……どうしよ……」
「ピエロちゃん、貴方、パワーはどれくらい?」
「えっ」
「パワー。その、はぐるま以外の……」
…………"力量加圧"……。
「……上限が、わかんない……」
「…………」
「ほ、ほんとにわかんないんだもん……」
「……とんでもピエロちゃん。それは、"無限"と言ってるのよ」
「えっいやそんな大層なモンじゃなくて」
「作戦が決まりました」
「え、えええええぇぇ……」
……悪魔、決断はえぇ。
「私が羽根持ち、貴方が力。やる事は決まっているわ」
「そ、それって……!」
────ガルルルロロオオオオオオォォォンンン!!!
バサぁぁあああ────!!!
ひゅぅうおおおおお─────!!!
「ひぃえええぇえ────……!」
「暴れん坊ね」
「ひゃ」
耳元で声を出され、思わずゾクッとしてしまう。
イニィさん、悪魔になってもなんか……
せ、せくしぃさが……。
「……かわいい声ね。あと、露出度に関しては流しなさい」
あ、ダメだこの人。
多分、クラウン並に、マイハート筒抜けだわ。
すごいわね……心読まれてるじゃないのよ。
もう、"色の言語"って言えるんじゃ……。
てか、イニィさんのせくしぃさって……
見た目の事だけじゃあ、
ない気がするんだけど。
「イニィさん、けっこう男の人にモテたんじゃ……」
「……"生きながらに目隠しプレイな娘とか萌える"などと考える男性を、好きになれますか?」
「うん、殴るね」
そこまでわかんのね。
やだね。
そんな極端なヤツいんのね。
「……心からの同情は吝かではないですが、勢いで飛び出してきちゃったんです。なんか考えてください」
「イニィさんさっき作戦って言ったぁあ!!!」
────そう、私は今、空を飛んでいます。
せくしぃ悪魔に、後ろから、ハグされて。
「わかっていると思いますが、杖は絶対に落とさないで」
「だっ、だいじょうぶ……左手のナックルの装甲で、ガッチリと挟んだわっ!」
「……そのヨロイも、随分とんでもヨロイですね」
え……そりゃ、クルルカンの意匠のヨロイだけど、
あ、"力量加圧"のコト言ってるのか!
確かにとんでもヨロイね。
変態職人製だものね。
イニィさんの十字杖、"魔杖スリーフォウ"? は、
私の左手に、固定されている。
普通に掴んでるだけだけど、スキルのお陰で、
普通の女の子よりは、力が強いはずだ。
このヨロイのナックルガードは、
ギザギザの筋が入っていて、
そこからパカッと、口みたいに割れるわ。
拳で握り込んだ杖の上から、
わかれたナックル装甲を、
噛み付かせるみたいにして、固定した。
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>>>金の入れ歯みたいだよね
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先輩の言葉は、無視する事にする。
空を飛んでいる。
……こんな時じゃなきゃあ、楽しんだ。
下が、とてもよく、見える。
「ひどい……」
「…………」
もう、街じゃ、なかっ、た。
あんこくだ。
飲み込まれて、いる。
建物なんて、見えない。
人も……。
「……う」
「泣かないで。聞いて。この都では、今の私のように、魔物になってしまう病が、前から流行り始めていた」
「……イニィさん……」
「当然、騎士団含め、住人達は警戒していたわ。避難は迅速に行われたのよ。被害はでたけどね」
「…………」
「何が言いたいかっていうと、無事なフツウの人間は、私たち騎士団が、城に殴り込みを開始した時点で、既に大多数が、都の外に避難してる」
「あ……」
「私だって、お父様の愛してた都を、守りたかった……でも、切り替えは必要だわ? アンティ」
……!
いま、名前で……。
「──現実を見なさい。目を、逸らさないで。貴方は、私を見てくれたでしょう。"場所"としての、都は死んだわ……。でも、まだ、やらなくてはいけないことがある。私達で……」
…………。
「……わかった。あいつを……"ガルン"を、なんとかしよっ!」
「それはその……アイツの、名前、なの……?」
「あ、わ、私が付けたんじゃないですよ……? そういう伝承が、未来に残っているんですよっ」
「……ガルンって変な名前の割には、凶悪なツラだわ……」
「…………」
悪魔化して、
ちょっと正直に、
ちょっと辛辣になった、
イニィさんの言葉。
……うん。
心から、同意する。
する、しか、ない。
ゆっくりと、暗黒の上を滑るように動く、
巨大な、黒の怪異。
アイツ、脚、無いの?
「クラウン────」
『────分析不可能判定。属性のみ暗黒:闇系と推測。
────対象の大きさは、ガス状部含め、常に変動中。』
……。
クラウンのアナライズカード由来の知識は、
ダンジョンを作成するためのモノらしいから……。
「……魔物かどうかも、怪しいってことよね……」
「え?」
「イニィさん……あれ、ホントにカミサマかもしんない」
「……」
でも、行くしかない。
アイツに、立ちふさがるしかない。
街を飲み込んだ黒い"池"のようなもの……
いや、もうこれは、"湖"だ。
"未来"と対照的な、真っ黒な、湖。
その範囲は、正円状に収まって、
拡がりは、止まっているように見える。
でも、アイツが、コレの外に、
踏み出してしまったら────。
「……カミサマでも、止めなくてはいけないわ。そうでしょう?」
「そうだね……」
────ガルルルロロオオオオオオォォォンンン!!!
……あのカミサマは、子供が見たら、泣きそうだ。
「……とりあえず、殴りに行こう」
「……カミサマも、ビックリね?」
バサァぁ────────!!!
悪魔の羽根が、翔ける────────……!
ゼロンツ「あレ……デバん」
かば「ぺィは払うから」










