かっぷんちょおおお!! さーしーえー
学校の授業で、
"ある魔物を、わざと発生させる"
という、実習があった。
大きなビンの中で、
その魔物の"核"に、
魔力を込めた水をかけるのだ。
そいつは、核を壊さない限り、死なない。
たとえ、核だけになってもだ。
わずかな水と風の魔素をあたえるだけで、
すぐさま復活するという。
私を含め、同年代の生徒達は、
その魔物の恐ろしさを、まったく知らなかった。
それを、実感させるための実習だったんだろう。
同じクラスの男の子は、
上級生にでも聞いていたのか、
とても、はしゃいでいたように思う。
私は眉を潜めながらも、
何の気なしに、目の前のビンの、フタをあけた。
厳重に保管されていたであろう、
"魔物の核"が、
順番に、班に一つずつ、
ビンの中に落とされる。
"コンコロロン"と、
音をたててビンに入るソレは、
飴玉か、宝石のようだった。
魔力を使える生徒が、少しの水に、魔力を込める。
私はできないこと。
すぐ横の、ポロットがやった。
「魔力水を入れたら、すぐにビンの蓋を閉めなさい!」
先生が教室に声を響かせ、
それぞれの班の机がざわめく。
「金さじ、お前が閉めろよな!」
「……いいから早くやんなさいよ」
この時の私は、
自分が魔力を込められないことに気をとられ、
実習自体への興味は、それほどなかった。
魔力がないから、フタをしめる役を与えられた。
それはそれで、切ないものがある。
……つまり、内心、ブーたれていたのだ。
すっかり、魔物のことなど、意識の外だった。
「ぶー」
水が入れられた。
お鍋に、調味料を入れる時に似てるな、と思う。
私はフタをしめる。
金具でロックする。
魔法封じが、発動したらしい。
班のみんなが、顔をビンに寄せて、
固唾を呑んで、見守っている。
私は一歩離れ、直立していた。
「……なんだ、なにもおきないぞ」
「ほんと。生きてるのかしら」
「死んじゃってるんじゃないか?」
他の班からも、同じような声が聞こえる。
……いや、違った。
驚きや、笑い声がまじりだす。
「うわぁー! 動いてる!」
「すげー!」
「なんかかわいぃー!」
どうやら他の班は、
見事にビンの中で、魔物を蘇らせたようだ。
正直、あまり興味がわかない……。
「おい、見に行こうぜ!」
「うん!」
ポロット達は、
私一人を残して、他の班のビンを見に行った。
「ち、ちょっと……」
ポツンと残された、私と、ビン。
周りは騒がしい。
中を見る。
飴玉と、底にたまったお水。
「……?」
この班の魔物だけ、
息絶えていたのだろうか。
ビンを両手で持ち、
中をよく、覗きこんだ。
────その時だった。
────"ビチョぉんッ──!!!"
「ッ─────ひぃぃっッ!!??」
ビンの中の水が、
爆発したみたいに、
ガラスに、へばりついたのだ。
私は、ソレを、至近距離で見てしまった。
──"ぬろぉ……?"
ゾワッ……。
「ひっ」
つるりと、
ビンが、
手から、
おちた。
────ガシャアアア─────ン!!
すごい音を立てて、
魔法封じの印ごと、
ビンが割れる。
当たり所が、悪かったのだろうか。
そんなことはどうでもいい。
────魔物が、逃げてしまった!
自分のやらかした失態に、血の気が引く。
「────ど、どこっ! どこっ──!?」
「────アンティさん! 手を!!」
「──"て?"」
先生?
私の手がどうしたって──────。
……────かぷんちょ……。
そいつは、
私の手を、
包み込むところだった。
────むにゅむにゅ。
その時の記憶が、鮮烈に、
頭の中に、叩き起こされる。
される。
される。
される。
され、され、され、され、され……。
「────ぎ、ぎ、ぎ…………!!」
─────────────────────────────
>>>こ れ は あ か ん !!
─────────────────────────────
顔を引き攣らせ、
身体をガクガクさせながら、
黄金のグローブを、
湖面から、ひっぱる。
─────うにょ────ん。
のびた。
しろい。
量が、おおい。
あの時の、比じゃ、ない。
「みゃ──、むゃ──、みゃ──!?」
変な声って、でる。
周りを、ちろっと、見てしまった。
─────ぬぉんぬぉんぬおん。
─────ぬおんぬぉんぬぉん。
──うねってる。
こ、こ、こ、
これこれこれこれこれこれこれ────!!!
「ぢぇ、ぜ、んぶ、みっ、ず、うみっ、ぜっ──!!」
『────心拍数上昇中。アンティ! 距離を取ってくだ──……。』
「────────ッ……!!!!」
見上げる。
私の周りの白い粘液が、
囲むように、
もちあがった。
こんなかっこしてるけど、
私だって、イッパシの乙女なんやよ。
だから、ゆゆゆゆゆゆるしてね?
「……ぜぜ、ぜ、ぜぜっぜぜ、ぜぜぜぜぜぜ……」
……はァ。
……──すぅ────……!
「────ッ、ッぜんぶッッ、
っスライムだぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああァァァァ──────!!!!!」
────せいいっぱい、絶叫した。
(*´ 艸`)知ってた(笑)










