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エンマさんのてがみとおれい さーしーえー

 

 エンマさんの残した手紙を見る。

 黒い鉱石か何かをこすり付けて、

 紙に書かれているみたいだ。




 ……パラッ。


─────────────────────────────


 わしは、行くことにする。

 ちょっと、ガマンができなくなった。


 包丁のこと、盗っ人扱いして、すまなんだ。


 そいつは、ワシにとって

 とても思い入れのある作品じゃ。


 ワシは昔、人を感動させる物は、

 どうやって作ってよいか、

 わからなくなっておった。

 その頃に、たまたま立ち寄った、

 できかけの街で、

 おぬしの父と母に会うたのじゃ。


 鉱石を渡され、

 このような包丁を、と、

 簡単な絵を渡された。


 物を作る事の本質を、

 見失っておったワシは、

 2つ返事で、この仕事を受けた。

 適当に済ますつもりじゃったのじゃ。


─────────────────────────────


 ……ペラっ。



─────────────────────────────


 最初は乗り気ではなかったが、

 途中より、とても興が乗った。

 楽しかった。

 若い頃にやっていた、

 ちょっと強引なやり方も使って、

 なんとか形になった。

 素晴らしい出来で、

 かなり終盤で、

 魔が宿っていると気づいた。


 ワシは、おぬしの親に感謝しておる。

 人を感動させる物とは、

 まず、自分を感動させることが大切と

 気づかせてくれたのじゃ。

 感謝を込めて、おぬしの両親に贈った。


 おぬしの手に現れた時、

 あの食堂から、

 盗品として流れたのかと思うた。


 スマン。

 まさか、娘に受け継がれておったとは、

 思いもせんかったのじゃ。


─────────────────────────────


「…………」


 ……パラリ。



─────────────────────────────


 覚えておらぬじゃろうが、

 おぬしが赤ん坊の時に、

 ワシはおぬしに会うた事がある。


 酒を店に持ち込もうと思うたら、

 ぬしの母に取られて不貞腐れておった。

 その時、おもりを頼まれた。


 本当は、その時、

 包丁を見に来たのじゃが、

 机の上で、

 おぬしに構っておるうちに、

 すっかり忘れて、帰ってしもうた。


 おぬしと包丁に会うのは、

 どちらも二度目じゃ。


 アンティ。

 おぬし、大きくなりよったのぅ。


─────────────────────────────


 ──ぱらっ……。



─────────────────────────────


 助けてくれたのと、

 ご馳走になった礼じゃ。

 受け取れ。


 それは昔、へんな本に載っていた物を、

 てっきり盾と思うて作ったら、

 全然違うかったものじゃ。


 ぬしなら、使いこなせよう。


 デレクとソーラに会ったら、

 よろしく言っておいてくれ。


 アンティ、

 ヨトギサキを、そのまま、

 大事に、たのむ。


 あと、その格好は、秘密にしておく。


        エンマ・ドジルグ


─────────────────────────────



 そばに置いてあった、

 粗野な布を解いた。


 中に、綺麗な白のフライパンが包まれていた。



挿絵(By みてみん)


『────分析完了(アナライジング)


 名称【 ダイオル 】

(スキル媒体/アイテム)

 分類:調理器具/盾

 状態:清潔

 特性:絶対拒絶

 ────────同期、停止中です。』




「…………ぐすん」



 手紙とフライパンを見て、

 なんだか、涙がでた。








挿絵(By みてみん)







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