ショックェンダウン! エンビィフッ! さーしーえー
(*゜∀゜*)お肉だひゃっほい!
地下遺跡の、大聖堂の中。
エンマさんは、倒れていた。
私は、ショックを受けていた。
──彼は食いすぎ。
────私は、
フライパンが天寿を全うしたからである。
「やってもうた……」
これは、ダメだ。
コゲている……。
完膚なきまでに。
元々、実家から持ってきたフライパンは、
けっこうやられていた。
こいつらには、寿命がある。
食材に火を通す時、
ヘラやトングが当たったキズに
コゲは、ある程度、溜まっていく。
後、加熱の時に舞い上がった油は、
空気にのり、フライパンの底や、
側面にも付着してく。
これが魔石台と擦れたキズに入り、
炎とコゲついて、
裏っかわは、知らぬ間に茶色くなっていくのだ……。
「油断したなぁ……脂、切りすぎた……」
最初、肉をフライパンに乗せた時の、
脂の多さに、ビビった。
片面に打ったソルト&ブラックペッパーが、
ことごとく流れ落ちたほどだ。
肉をあげ、片面に、
網の目に切れ目を入れ直し、
もう1度ふり直したほどだ。
あ、最初はふった面が下だかんね?
ステーキのかえしは、一発勝負だ。
タウロス肉は、ブタ野郎と違って、
完全に火を通さなくても、お腹は壊さない。
最初からフライパンはガッツリ山火事で、
焼き目が付く手前で、ほんの少し、火を弱める。
あえて言おう。
────"山火事"、メッチャ有能。
肉汁が赤く浮いてきたら、勝負の時だ───!!!
「おるああ──!!」
一気に返し、ここからが肉との勝負よッッ!!
いい? 覚えておきなさい────……。
「30ビョウ以上、焼いたらマケよ……!!」
『────……。』
─────────────────────────────
>>>アンティ 目ぇこわいよ
─────────────────────────────
う、うるさいわねっ!?
ここは、10ビョウから30ビョウの間の、
果てしなき戦いなのよっ!?
ここで、全てが決まるのよ!?
────ハッ!!
「今だぁぁああ────!!」
────…………。
───できたものは、ちょっと、
シャレにならなかった────。
ソースは、ガーリックとオニオンと脂の、
シンプルなすりおろし炒めにした。
エンマさんは、問う。
「さ、酒……」
「ない」
私が断言すると、一瞬、
この世の終わりのような顔をして、
その後、かぶりついた。
────ステーキは、飲みものだったっけ。
私はすぐさま、次を焼きにかかった。
……ふふっ、どうだっ──!!
これがッ、
"お店のステーキ"だあぁぁぁあああッッ────!!!
『────完食。ジャスト46ビョウです。』
─────────────────────────────
>>>ゴクリ……
─────────────────────────────
私もちょこちょこ、つまみ食いしながら、
6枚目を焼く時、悲劇が起きた。
牛脂が、出すぎたのだ。
この脂の量は、予想外だ。
余談だけど、ここにライスを入れると、
世界が終わる。
こんな湖みたいなフライパンでは、
流石にペッパーが乗らないので、
苦肉の策として、肉を投入してから、
私はフライパンを傾け、
脂を歯車の穴に流し込んだ……!!
なんと、なんと愚かな失策だったのだろう……!!
せめて……せめてっ!!
肉を入れる前に、脂を切っていればぁぁ────……!!
こ、こんな高級な牛さんを相手にするには、
私は、田舎の食堂娘すぎた……ッッ!!!
一瞬で脂は切れ、肉は、アイアンに張り付いたのだッッ!!!
「───────ッッ!!!??」
自分の失敗に気づき、
即座に"反射速度"を使い、
脂をさすが、既に、時遅しッッ!!
「な、なんてことを……。私は、なんて、ことを……!」
だ、だめだ……! 力技しかない!!
ここで、火を止めてしまえば、負けなんだ……!!
それだけで、ムダな余熱で、肉は死ぬッッ!!
速さが必要だッッ!!
引っぺがさなければならないッッ!!!
「う、うわあああああああああ────!!!」
……そこからは、よく覚えていない……。
「うーん……。けっこう実家で使い込んでたからなぁ……」
焦げ付いた、フライパンを見る。
元々かなり、キズからのコゲが出ていた。
ウチ、食堂だかんね。
超、使い込んでる。
さっき、トドメさしたっぽい。
「これは、お客さんに失礼なレベルのコゲだわ……」
ドニオス戻ったら、真っ先にフライパン買おう……。
コゲたステーキも食らいよったエンマさんが、
寝転んだまま、プルプル上半身を、
起こそうとする。
「……む、娘っこ……金を、はら……」
「──いえ、いいです。最後の納得いってないんで」
────私は、食堂魂を持って、固辞した。
(*゜∀゜*)ファンタジーへの冒涜(笑)
肉を入れる前に、ニンニクのスライス入れると吉。










