クーリングオフ……ききますか?
看板娘「すみませーん、これ、返品してもいいすか……」
────────キィィイン!
長椅子の上に着地した私は、
追撃がなかった事もあり、少し冷静になる。
「キルル……キルルル……」
うう……
襲われた勢いで倒しちゃったけど、
この女の人のカタチした像、
明らかに、ここを守ってるよね……
「え、エンマさん! やっぱりその原石、元の場所に戻しましょう! ドロボウはダメですよ! 戻したら、この女の人の像も止まるかもしれませんし!」
原石を元の場所に戻すなら、
このピンクさん達が怯んでいる今しかないわ!
「そ、そうじゃな……! こんな"守り手"がいるような仕掛け、他の2つにはなかったんじゃが……!」
そ、そうなの?
ここだけに、
何か、守らなければいけないモノが、
あるってことかな?
「「キルルル……」」
「う……!」
いまそんなこと考えてる場合じゃない!
5体は倒しちゃったけど、
残りはまだ半分以上いる!
うえええ、なんでこんなことに……。
「む! 娘っ子! い、いかん! 入っていた所の檻が、まったく上がらん! な、なんでハンドルが軽いんじゃ!?」
「げっ……」
うああああ!!
私が壊したんだったああああ!!
だって、固くて回んなかったんだもんんんん!!
貴重な遺跡がああああ!!
あ、しかも歯車自体が足らないわ。
割れたし。
うぎゃああああああ!!
やばいいいいいいい!!
「うっ、うっ、エンマさん! 私がスキを見て、その檻を上げます!! その時に、中に戻してください!」
まだ、敵は9体もいる……けど、やるしかない!
あああ、こんな動く像があるなんて!
さすが遺跡というか……
ん? あれ?
「……もしかしてさ……この女の人の像も、かんなぁり、歴史的な価値があるんじゃあ……」
『────肯。ダンジョンライブラリに該当が無いという事は、古代の人々が、独自に開発した技術と予測されます。』
─────────────────────────────
>>>えぇ……今ごろ 気づいたの……
─────────────────────────────
…………。
「うわああああああん!! 首チョンパしちゃったじゃないのよぉぉおおお!!」
床には、胴体だけになった、
女の人を象った像が3体……!
あ、こっちまだマシだ……。
向こうのバラバラさん達は、
元が、お2人だったかどうか、
判断するのも難しい状態だわ……
床に、ブチまけられてるぅ……。
あれ?
こ、これ……私、極悪人じゃね……?
貴重な遺跡、ばらんッバランじゃね!?
「キルルララ────!!」
「って、うぉっとぉ────!!?」
シュバ────!!
自分のやらかしたコトに冷や汗かいていると、
いきなり一体に攻撃された!
やっ、やば、ちょ、こっちくんな!?
アンタも壊すとヤバイんだってば!!
私、誰も傷つけたくありませぇんんんん──!!!
─────────────────────────────
>>>アンティ!!
今のはこっちが危なかったよ!
ヨロイがあるとはいえ、
力抜いてたら 危ないんだからね!
─────────────────────────────
「う、う、でもぉ……!」
これ壊したら、私、ワルモノじゃんかぁ……!
目の前には、9人のピンクまみれの女の子が、
ジリジリとこちらとの距離をつめてきている!
─────────────────────────────
>>>やっちゃったことは
しょうがないでしょ!
相手は 明確にこっちに敵意がある!
ちゃんと戦わなきゃダメだよ!
─────────────────────────────
『────同意。アンティ、遺跡の価値よりも、あなたの安全を重視。』
「そそそ、そう言ってくれるのは嬉しいけど! 元々の原因、私だししぃぃぃい!!」
ジワジワ……ジリジリ……。
距離をつめてくる、無表情の動く像たち。
あ……てゆうかこの子ら、ホントに顔、ないわ……
のっぺりしてるわ。
それなのに「ドロボウ、ユルスマジ……!」
とか言わんばかりのプレッシャーだわ……。
「「「キルルルルララァ────!!!」」」
「うおおおわわわわっ────!!?」
はしたない絶叫をあげ、
襲い来るピンクをさばく!
ご、ごめんなさいっ、や、やめてっ!
壊したくないんだってば!
ちょ、とっ! ……ハッ!
─────────────────────────────
>>>おお すごいな……
敵と同じ速さで攻撃をいなして
相手に傷がつかないように
しているのか……
なんだ 使いこなしてるじゃない!
─────────────────────────────
そんなのんきなコト、うおっ、
言ってる場合じゃ、な、ないでしょ──よ!
うわっ、またパンチだっ!
このヨロイで受けたら、
向こうの拳が割れるかもしんない!
やだ!
そっと手を添えて、摩擦しないように、
少しずつ力を入れて、横にそらす!
ひいいぃ────!
─────────────────────────────
>>>いや もう倒そうよ……
ほ ほら 誰にもいわないで
おいてあげるから……
─────────────────────────────
『────同。決して口外しません。』
「いやいやアンタたち私以外にしゃべれないでしょてか私のキモチのモンダイだこらぁァァァ────!!!」
うおっ、とっ! はっ!!
ううう! 9人はキツい!
今いなしてる3体の他に、
あと6体もいるんでしょ!?
どうにかスキを探って、
何とか、あの檻を上げないと……!
原石を元の場所に、戻しさえすれば……!
────ピカ────ッ──!!!
────なっ!?
「な……とっ! な、何、今の光……!?」
いきなり、緑色の光が、閃光となって、
ステンドグラスを照らした!!
あ、あれ、もうおさまってる……?
! エンマさんの方からだわ!!
敵の攻撃をかわしまくりながら、
なんとか、声を出すっ!
「え、エンマさんっ! 今のっ! 光ぃ、何ですかっ!?」
「な、なんという事じゃ……」
「えっ!」
な、なにがっ!?
何が起こったっていうの!?
ねぇ、ちょっと!
「娘っ子よ……! 元の場所に、原石を戻すのは無理じゃ……!」
「なっ!? なんでですかっ!?」
おいコラおやじっ!
このままだと、
私が遺物損害でショッピかれかねないのよぉぉ!!?
「……ひっついてしもうたのじゃ……」
「ふぇっ?」
な、なんて……?
もっかいいって……?
「ここにあった原石と、ワシの持っていた原石が、ひっついてしもうたのじゃあぁ!! み、見ろっ! デカいっ! だ、ダメじゃ! この大きさでは、たとえ檻が開いたとしても、もうここには入らんぞい!!?」
……………………。
「うええぇぇぇえええェェ────────ッ!!!??」
女人像「お客様、変形してしまったのは、ちょっと……」
看板娘「ですよねぇ……」










