視覚域拡張野デバイス さーしーえー
やっとだせたよ……(つД`)
遺跡の石碑の下に隠されていた、
地下へと続く、階段。
そこを、私とエンマさんは、
延々と、降りていった。
その足場は、
規則正しい造形から、天然の岩を利用した、
ゴツゴツしたものに変わってきていた。
どんどん、くだる。
怖いことが、ある。
階段は、幅が3メルくらいだと思う。
手すりはなくて、その向こうが……ない。
「ふえっ……」
「気をつけるんじゃぞ。これは並の深さではない……」
こわっ……。
暗闇で、階段の下が見えんのよ……。
キィン、キィン、キィン。
ゴツ、ゴツ、ゴツ。
2人の足音は、あまり、響かない。
この、でっかすぎる空間に、
音を食われてるんだ。
音が跳ね返る場所が、ない。
いや…………。
「真横にある柱……でかすぎじゃないですか……?」
「ぅうむ……前に落ちた場所では、ここまでのものは無かったな……」
幅3メルくらいの石の階段を、
延々と降りている。
横には、底無し? の、漆黒の空間。
その途中に、柱が、規則正しく並んでいる。
……でかすぎよ。
その柱の、上と下が、見えない。
ながすぎる。
そして、
ふとすぎる。
くらい。
「人工的に作られた物だとわかるのが、かえって、こわいですね……」
「すごい技術じゃなあ……」
クラウンなら、アレの太さ、わかるかな……?
『────可。概算:直径28メルトルテ。』
おおきすぎるでしょ……。
暗闇の中、その柱の一部が、
階段の高さに合わせて、
小さな小さな、弱々しい色の光を放っている。
階段から巨大な柱までは、
これまた、かなり距離が離れてて、
お世辞にも、安全とはいえないわ……。
規模がデカすぎる、
広く、細い空間を、
下に、降りていく。
ううっ、暗い……。
なんか、不気味なところね……。
こういう暗さって、
意識しちゃうと、
とことん怖くなっちゃうのよね……。
うう、背中ぞわぞわする……。
肩がすくんで────、
ヴォン────!!
─────────────────────────────
>>>できたっ!!
─────────────────────────────
「ッひュッッ──!!?」
「ど!? どした娘っ子!?」
び、び、ビビった……。
て、てんまぁぇ……
仮面ん、こんにゃろぅおぉぉぅ……!
「な、なんでも……ないです、なんでも……」
「ほ、ほんとかのぅ……?」
先を行くエンマさんを、何とか誤魔化す。
まったく怖がることなく進むわね……。
ドワーフの好奇心って、すごいわ。
ところで……。
(おいコルぁ先輩……テメやってくれたな……)
─────────────────────────────
>>>え……あ? ビックリさせちゃった?
─────────────────────────────
(心臓がヒュッってなったわ……!!)
『────心拍はわりと正常値です。』
やめぃ。
私のハートは鉄の心臓か。
「……で、何かでき……え、なんか出来たの?」
エンマさんに気をつけて、
コッショコショしゃべる。
できた、って……
こんな暗闇で、一体何を……。
─────────────────────────────
>>>えーっとね……
ほら前に 夜の森で
あの羊さんとやり合ったでしょ?
その時の暗視デバイスの改良版!!
─────────────────────────────
「……えっ」
…………。
……。
うわぁ……。
そうじゃん……。
あんとき、暗闇でつかった……
透明の、光の地図が見える、
アナライズカードで作った仮面……。
あれ使えば、全部見えるじゃん!
何、忘れてんの私……。
「うっ……うっ……自分の浅はかさを呪いたい……」
『────堪えてください、アンティ。前方のドワーフに、察知されます。』
─────────────────────────────
>>>い、いいかな? ほら
ヨトギサキさんに言われたじゃん?
歯車の"軸"?
それでさ
"座標"を指定するために、
良く見える空間を、
確保できるようにしたいなって
─────────────────────────────
……?
良く見える空間……?
「……前と同じ透明の仮面じゃダメなの?」
─────────────────────────────
>>>だから すこし改良したんだよ!
クラウンちゃんにも
ちょっと手伝ってもらったんだ〜〜!
─────────────────────────────
『────わずかな流路作成のみですが。』
「あんた達、仲良くなったわねぇ……」
『────な……。』
─────────────────────────────
>>>ま、ちょっと試してみてよ!
いくよ〜〜!
─────────────────────────────
ん……、ん!?
暗くて良く見えん……
なぁになんなの!?
お…………?
キュオオ──……
キュオオ──……
ウィィィィン──────!
「────ッッ!」
何枚かの、
魔獣の爪のような、
細長いアナライズカードが、
仮面ごと頭を包み込んでいく────────!!
─────────────────────────────
>>>クラウンちゃん あとヨロ!
─────────────────────────────
『────了解。
────視覚域拡張野デバイス、試作型起動。
────流路安定。眼球視野直結。
────"眼魔"プロトコル、内約。
────リパッチ反転。
────進行形モジュール設置。
────網膜コンタクター形成完了。
────変換機構:輪転開始。
────投影:良好。
────ライナー:良好。
────三半規管:良好。
────バランス:正常値。
────バージョンアップに成功。
────デバイスが確立概念を取得しました。』
「な、なんじゃこりゃあ──……!」
「どはははっ、ほんとうに、なんじゃこりゃあな景色じゃのう!!」
いや、エンマさん……
その指摘、間違っているようで、
あっていると言うか……。
めっちゃくちゃ、見える……!
クラウン、これが……!
『────レディ。
────クルルカンにより、視覚域拡張概念を取り入れた、新しい感覚デバイスです。』
「な、なんぞいや……」
─────────────────────────────
>>>ちょっと……
ドワーフさんの口癖、
うつってんよ?
ま、いいかんじだね!!
─────────────────────────────
おお……すごぉい、すごいわ……!!
この感覚、どう伝えたら……
まず、暗いところが見えるのは、当たり前!
目の前の石の階段が、
かなり下の方まで見えるわ!
少し緑にも光ってるってことは、
この階段とあの巨大な柱には、
魔力が流れているのね……。
あと、頭の後ろまで見えるっ!!
あ、何言ってんのかわかんないって顔したわね!
見える範囲が、拡がってるのよ!
『────肯。このデバイスは、クルルカンの仮面外部に展開した、複数のアナライザーからの情報を、網膜に直接伝達する機構を持ちます。』
「まるで、仮面なんかつけていない気分なんだけど……わっ、まだ拡がってる!」
私が、目だけで視点を左に動かすと、
ピヨヨヨ、ってアナライズカードが拡がって、
ずぃぃと、真後ろまで見えるわっ!
──うん、酔うわねっ!!
これ、すべての方角が、
いっぺんに見えるんじゃないの?
─────────────────────────────
>>>ほら、前の牛さんの時にさ……
仮面の視野の狭さ、ってのを
痛感したんだよね……
ぼくのスキルはあるけどさ、
純粋に、見える範囲、狭いじゃない?
─────────────────────────────
「あ……」
そか。
学校でならった。
私達は、前半分くらいしか見えない。
真横までしか、見えないんだ。
仮面をしたら、そりゃあもっと見えない。
……今まで、スキルや、
クラウンらの助けで何とかなったけど、
けっこう、
視野が狭いってことが、あったのかも……。
牛の時なんか、
最初は見失って、
最後はうつむいちゃってたし……。
でも、これなら……!
─────────────────────────────
>>>見えないものは、こわい
わからないからね
これなら、もう、見える
……この前みたいに、
見えなくならないよ。
見て、ぜんぶ、できる。
─────────────────────────────
「先輩……」
私が、怖がらないように。
立ち向かえるように。
逃げれるように。
そゆことか。
この力。
「……ありがと、ね」
─────────────────────────────
>>>ん
このデバイス 慣れが必要だけど
かなり広範囲を知覚できるよ
きみなら できる
─────────────────────────────
ふふ。食堂では広い視野でないと、
お客さんの要望がわからないのよ?
かならず、使いこなしてみせるわ……!
最後に……この視覚デバイス?
クラウンと、先輩の言葉が、
瞬時に文字になって表示されるわ!
これって、アナライズカードに書いてるの?
……まるで、目の前の空間に、
直接書いているみたいなんだけど……!
『────眼球部擬似網膜コンタクターに、虚像が直接投影されます。マッピング、敵対勢力データなど、バックアップ項目を最適化し、表示します。』
「すごいね……多分、速さが違うね……」
魔物を見た瞬間に、
瞳に直接、そいつの弱点がうつる……。
「すごいね……」
─────────────────────────────
>>>そこまで感激してくれると
組んだかいがあるよっ!
─────────────────────────────
『────デバイス名の、名称入力申請。』
────がくっ。
はは……
また名前決めろってか……。
ん? クラウン、
なんかあんた、ちょっとムッとしてなぁい?
─────────────────────────────
>>>はいっ!
こんかいのデバイスのなまえ、
希望を言ってもよろしいでしょうか!
─────────────────────────────
「ほう」
『────ききましょう。』
─────────────────────────────
>>>こほん!
その名も……"隈取り"!!
─────────────────────────────
「べ、ベアークラッチ?」
『────なるほど。あのアナライザーの形状、後ろから、ベアー系の魔物に掴まれた様に見える。そういう事ですか。』
「え、何それ……」
バーグベア思い出して、ヤなんだけど……。
『────よいでしょう。
────あなたのアイディアと、新しい感覚軸デバイスに、敬意を。
────視覚域拡張野デバイス、"ベアークラッチ"が登録されました。』
「え、決定なの……?」
くまさん、やぁや……。
─────────────────────────────
>>>いやー
あの形っていえば、
もう"隈取り"しか連想しないよね!
て、あれきいてる?
─────────────────────────────
「な、なんかさ……クラウンと先輩、ビミョーにズレてない……?」
「……ひとり言の多い娘っ子じゃのう…………」
本日の自分への一句(;^ω^)
絵
ば ェ
か 描
り い
文 じ て
を ゃ
書 な
け く
た て
れ










